5月29日(木)の午前中は発熱外来・救急当番だった。午前中は内科外来があるので、発熱外来担当は、とりあえず新型コロナとインフルエンザの迅速検査だけ行って、陰性であれば内科外来に回すだけになる。
市内の医院から30歳代半ばの女性が発熱・腹痛で内科外来に紹介されていた。上気道炎症状はないので、新型コロナやインフルエンザではないのだが、病院の決まりで検査してから外来に回すことになっている。当然陰性で、内科外来受診となった。
後で(午後になって)その患者さんがどうなったか確認した。紹介状によると、5月24日から腹部の張った感じと腹痛が生じてきた。5月28日から腹痛が強くなって、29日に医院を受診していた。右季肋部に圧痛があり、CRP18mg/dLと上昇していた。
既往として出生11日後に「腸捻転で手術を受けて盲腸・虫垂は切除された。いわゆる盲腸=虫垂炎にはならないといわれている。」とあった。
外来で診た先生は血液検査と腹部CT(単純)を行っていた。白血球18000・CRP20と炎症反応が上昇している。肝機能障害はなかった。腹部CTで、上行結腸の中ほどから肝彎曲にかけて壁肥厚と周囲の脂肪織の炎症像を認めた。
下痢はなく、感染性腸炎ではない。むしろふだんより便が出にくかったが、排便はある(血便ではないそうだ)。よくよく見ると、結腸憩室が疑われる部位があるようだ。横行結腸に1個明らかな憩室があったが、そこは炎症像はない。腹水はなかった。おそらく上行結腸の憩室炎ではないかと思われる。
地域の基幹病院外科に紹介となっていた。まずは抗菌薬で経過をみるのだろう。憩室炎は手術するとなると、炎症部の近位にいったん人工肛門をおいたりして、大手術になるらしい。大抵は保存的になんとか治まるが。