なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脾梗塞?

2024年04月18日 | 消化器疾患

 放射線科で外来患者さんのCTを診ていると、別の内科の先生が入って来た。「脾梗塞」だったようです、と放射線科の技師さんに伝えていた。

 後で技師さんに訊くと、4月初めにCTを行って、脾臓近傍の嚢胞性腫瘤?のことだった。もっとも何の話?と訊くと、いつだったかなあと、CTのオーダー画面を探していた。先生が気にしているほど、技師さんは関心がなかったか。

 

 患者さんは37歳男性で、その先生が当直だった日の夜間に救急外来を受診していた。寿司を食べた後に、嘔気・嘔吐と腹痛(上腹部痛)が生じたということだった。

 入院になり、炎症反応はごく軽度だったが、症状が続いて入院となった。入院後に発熱もあった。

 腹部単純CTで脾臓近傍に嚢胞性腫瘤を認めた。それ以外は有意な異常はない。どの組織由来か、造影CTとMRIも行ったが放射線科の読影では不明となっていた。

 いつの間にか、腹痛は左季肋部痛ということになっていた。症状軽快して、4月4日に退院した。精査というか相談目的で、地域の基幹病院消化器内科の外来に紹介された。

 返事は、「画像診断医とも相談して、脾臓の一部と判断され、脾梗塞と判断した」、というものだった。確かに脾臓の一部のように見える。症状は残るが、鎮痛薬(ロキソプロフェン)で外来経過観察となっていた。

 心電図は正常洞調律で心房細動はない。最初の症状はいかにも食事性のようだが、寿司は無実で、脾梗塞の症状だったということか。

 

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膵嚢胞

2024年04月09日 | 消化器疾患

 4月8日(月)に別の内科の先生が診ていた80歳女性が、地域の基幹病院・消化器内科に転院となった。膵頭部と膵尾部に膵嚢胞があり、尾部の嚢胞は巨大(145mm)だった。

 膵炎後の仮性嚢胞とおもわれるが、明らかな膵炎の既往はなかった。胆道系疾患も認めず、原因は不明だった。CTに加えて、MRIも行われたが、膵頭部の嚢胞に関しては膵管との交通がありそうだった。尾部の方は大き過ぎてよくわからない。

 3月11日に食欲不振と微熱で入院していた。食事摂取が進まず、CVカテーテルを挿入して高カロリー輸液が開始されている。

 家族の希望もあり、紹介転院について打診すると受けてくれた。ありがたいが、どう対応するのだろうか。検査としてはERCPを行うと思うが、治療としては尾部の嚢胞の内瘻化を目指すのだろうか。

 

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アルコール性肝硬変

2023年12月17日 | 消化器疾患

 12月14日当直の内科の先生が翌日午前3時過ぎに、当方の患者さんに続いて消化器科の74歳女性の死亡確認をしていた。アルコール性肝硬変・肝性脳症だった、 

 電子カルテで確認すると、2022年10月に同様の食べられない・動けないで入院した際は当方が担当していた。当初、名前と病名を見ても思い出せなかった。入院サマリーを見ても、病気のことだけしか記載していないので、どんな患者さんだったかわらかない。

 何か書いていたような気がして当ブログを確認すると、2022年10月18日と10月23日にこの患者さんのことを記載していた。あの患者だったと思い出した。最初に外来で診た時に、付き添ってきた夫に飲酒の事情を訊いたのも覚えていた。

 

 今回は、9月28日からの入院だが、退院の当てがなくずっと入院継続となっていた。11月半ば過ぎに病棟の患者さんと病棟看護師さん数名がCOVID-19に罹患した(きっかけは職員持ち込み)。その時、4人部屋に2名入院していた消化器科で診ている患者さんがCOVID-19に罹患した。そのうちのひとりだった。

 発熱は2日で治まり、COVID-19罹患による原疾患の悪化は認めなかった。その後も入院継続となっていたが、数日前から誤嚥性肺炎となり、抗菌薬が投与されていた。肺炎自体によってというより、それをきっかけにして全身状態が持たなかったということらしい。

 

 この方は市会議員の娘さんで、それなりにいい職場に就職した(公共放送局の支部)。結婚を機に退職したが、出産後に離婚した。親族から引き継いだスナックを経営することになり、仕事柄飲酒量が増えていった。

 再婚した夫は誠実な方だったが、本人はアルコールはやめられず、アルコール性肝硬変・肝性脳症となった。アルコール依存の治療のために精神科病院を受診していたあたりは、本人の止めたいという気持ちがあったのか、夫の熱意だったのか。

 

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嘔吐が続く

2023年11月30日 | 消化器疾患

 11月28日(火)に他の町の精神科病院から、5日間嘔吐が続く79歳女性が搬送されてきた。

 アルツハイマー型認知症で入院してるが、寝たきり状態で発語もなかった。11月初めから食事をとらせようとしても、口を開かなかったという。

 腹部は少し膨満しているが、割と柔らかい。圧痛としてはとれなかった(表情が変わらない)。下痢はなく、むしろ便秘だった。癌による腸閉塞だと当院では(外科手術ができないので)対応できない。

 CT(当初は単純で、造影も追加)で見ると、胃液が貯留して十二指腸下降脚までガスで拡張している。小腸はほとんど拡張していなかった。大腸はガスで拡張していて、上行結腸の限局性壁肥厚(浮腫状)とS状結腸のある程度長さをもった壁肥厚を認めた。(読影に来ていた非常勤の放射線科の先生に診てもらったが、癌ではありまえせん、と)

 腸閉塞とはいえなかった。上腸間膜動脈症候群も考えたが、有意な十二指腸の締め付けはない。

 経鼻胃管を入れようとしたが、ある程度入ったところで口側がたわんでしまう。めったにないが、透視下で挿入した。すると、黄色の便臭のある消化液が吸引されてきた。これだけ見れば、第腸閉塞による腸閉塞だが、画像上はいえない。

 両側肺に嘔吐の誤嚥による誤嚥性肺炎もある。基幹病院外科に依頼するわけにもいかないので、当院で経過をみることにした。

 その後、経鼻胃管からの吸引液は胃液らしいものになってきた。運よく軽快しても経口摂取はできない病状になっていると思わるが、できる範囲で治療するしかない。

 

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