施設待ちで入院していた90歳女性は、先週水曜日から発熱が出没し始めた。胸部X線・CTで両側肺に空洞を有する病変と粒状影を認めた。週末から肺炎として抗菌薬(SBT/ABPC)を開始していたが、1日1回高熱が出るのは変わらなかった。
気付くのがちょっと遅いのだが、今週になって抗酸菌塗抹を提出すると、陽性だった(ガフキー2号)。喀痰は自力で出ないので、吸引して喀痰として提出したが、正確にはちょっぴりの喀痰と大量の唾液だった。個室管理にして結核菌PCRの結果を待っていたが、今朝陽性と報告が来た。明日結核病棟のある病院に転院させてもらうことになった。
今日、呼吸器外来に来ていた抗酸菌感染に詳しい先生に画像を見てもらうと、「結核ですね。血行性に行っていますね。」と言われた。要するに粟粒結核ということだ。 粟粒結核は、「結核菌が全身性に血行性播種して、2臓器に以上に粟粒大の結核病巣がびまん性に散布した病態」なので、正確には骨髄生検や肝生検で確認する必要がある。空洞を有する一番大きな病巣から血行性に播種したのだろうか。
先週末に結核菌の検査を出していれば、今週初めには診断が付いていたはずだ。1月に初めに転院した時の入院時検査の胸部X線に、後から見れば陰影が小さくあった。その時に気付いて精査していればさらによかった。転院後6週間は潜在性に一見何事もなく経過していたわけで、この辺が結核の曲者ぶり?。
年齢的に若いころに結核の暴露はあったと推定される。数年前から基幹病院の消化器内科に自己免疫性肝炎で通院して、プレドニン内服を継続していた。昨年10月に肝炎が増悪してから大量のステロイドが投与必要だったので、それが再燃に影響したのだろう。紹介元の病院の感染管理室には結核発症を報告した。保健所では3か月前までさかのぼって調査するらしい。