なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

偽性アルドステロン症

2023年01月31日 | Weblog

 腎臓内科の若い先生に「すみません、あの患者さん、偽性アルドステロン症でした」といわれた。院内クラスターでCOVID-19に罹患した91歳女性のことだった。

 昨年12月に右大腿骨転子部骨折の手術を受けて、術後に当院の回復期リハビリ病棟に転院している。現在、外科・整形外科の入院をみる医師はいない。諸事情があり、整形外科の分は医師が大学の応援を含めて3名の腎臓内科で担当していた。

 院内クラスターはリハビリ病棟で発生した。この患者さんも微熱があり、コロナのPCR検査を行うと陽性だった。感染病棟が満床だったので、数日そのままリハビリ病棟で過ごしてから感染病棟に転棟していた。

 症状は微熱程度で食欲低下などもなく、クラスターの患者さんたちの中では、あまり手のかからない診る方としては大変助かる患者さんだった。

 

 先方の病院から、補中益気湯が処方されていた(3包分3)。おそらく体力回復を期待しての処方だろう。それに、芍薬甘草湯1包も処方されていた。普通は夜間のこむら返りでの処方だが、何故か朝分1になっていた。

 転院してからもそれらは継続されていた。転院時の血清カリウムは3.5で正常下限だった。コロナ罹患時の検査で2.1まで低下していた。

 転院後に血圧高値が続いて、それまでのアムロジピン2.5mgが5mgに、さらに5mg朝夕2回に漸増されていた。対症的に診ていたが、コロナ罹患(コロナに対する検査)がきっかけで気づいたということだった。甘草を含有する漢方薬2剤➡血圧上昇・低カリウム血症➡偽性アルドステロン症、ということ。

 ただこの患者さんはスピロノラクトンも処方されて継続していた。予防にはならない?。

 

 

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心不全・肺炎

2023年01月30日 | Weblog

 84歳男性が1月初めからの両下肢浮腫で受診した。内科に糖尿病・高血圧症で、神経内科にパーキンソン病で通院している。

 心電図は、それまでになかった心房細動を認めた(心拍数は正常域)。胸部X線・CTで両側肺に胸水貯留があるが、肺炎と判断される浸潤影も散在している。

 胸水の貯留の仕方が心不全というより肺炎・胸膜炎なのかもしれないが、両側下腿に著明な浮腫があり、上肢にも軽度に認めた。

 白血球8500(ふだんは6000台)・CRP2.5で炎症反応上昇は比較的軽度だった。BNP171で心不全を示唆するが、著明ではない。酸素飽和度は88~91%(室内気)で酸素2L/分を開始した。血圧は120/70前後で保たれている。

 これまでなかった症状なので、受け入れ可能であれば専門医に紹介することにした。しかし心不全メインか肺炎メインかで循環器内科か呼吸器内科になるか分かれてしまう。浮腫が著明なので循環器内科紹介とした。

 地域の基幹病院に連絡すると、他の病院から連絡が入っていてすぐには取り次げないといわれた。2例続けてだと、難しいかと思われたが、その後連絡が入って、受けれてもらえた。

 院内で担当が呼吸器内科になるようでしたら、申し訳ありません。

 

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コロナ+細菌感染

2023年01月29日 | Weblog

 回復期リハビリ病棟で7名の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が発生した。そのうちまず5名を感染病棟に転棟させた。

 後から判明した同室の2名は、感染病棟に空ベットがなく、数日そのままリハビリ病棟で治療を開始することにした(週末に感染病棟へ転棟)。

 2名とも微熱程度で呼吸器症状もさほど目立たなかった。通常ならばそれほど気にしないかもしれない微熱を気にして、コロナの検査をしたら陽性だった、という経緯だった。

 感染管理で来てもらっている感染症科の先生に伺ったところでは、「軽症でも院内感染の場合はレムデシビルを3日間入れています」というコメントがあり、レムデシビルを開始した。(病院の責任なので最善の治療をする、ということ)

 そのうちの1名(84歳女性)が翌日に39℃の高熱となった。酸素飽和度の低下もなく、診察した限りでは呼吸に問題はない。看護師さんから最近尿混濁が目立つ(オムツから)という報告があった。

 尿検査・尿培養を提出すると、確かに尿混濁(WBC>100/HPF・細菌+++)だった。高齢女性なので、無症候性細菌尿・膿尿があるので、尿路感染症は除外診断になる。

 

 一般病棟にいるので、ポータブルX線の撮影がやりにくい(感染病棟には専用の器械が入っている)。臨床的には肺炎らしくなく、肝機能障害もないので胆道感染症も否定的だ。

 尿路感染症として抗菌薬(入院なので第4世代セフェム)を開始すると、翌日には解熱した。たぶん尿路でいいのだろう。

 

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near CPA

2023年01月28日 | Weblog

 昨日記載した窒息しかけたの93歳女性の診療情報提供書に、「ショートステイ先でおやつのワッフルを誤嚥窒息し、near CPAの状態で救急要請されました」とあった。

 「near CPA」は何となく雰囲気はわかるが、正確にはどういう状態なのか。

 

 日本救急学会によると、

来院時心肺停止

 医療機関へ来院時に、心機能、肺機能のいずれかまたは両方が停止した状態を来院時心肺停止(cardiopulmonary arrest on arrival: CPAOA)と定義する。病院搬入までの心肺蘇生法の有無は問わない。

 心肺停止の診断は、①深昏睡、② 自発呼吸消失、③頸動脈(乳児は上腕動脈)拍動消失、④心電図モニター上、心静止(asystole)、心室細動(VF: ventricular fibrillation)、無脈性心室頻拍(pulseless VT: ventricular tachycardia)または無脈性電気活動(PEA: pulseless electrical activity)の4項目による。

 古くは、DOA (dead on arrival)という用語が用いられていた。以下、関連する用語を整理する。

 院外心肺停止(out-of-hospital cardiopulmonary arrest)医療機関外で心機能、肺機能のいずれか、または両方が停止した状態。

 来院直後心肺停止(cardiopulmonary arrest immediately after arrival)(CPAAA):医療機関へ来院直後に心、肺機能のいずれかまたは両方が停止した状態。“near DOA”という用語は使用しない。

 

 near CPAというのはない?(上記のCPAAA相当?)。

 「心停止、呼吸停止のいずれか」、といっても、「呼吸停止して、心臓は動いている」ことはあるが、「心停止して、呼吸している」ことはない。心肺停止は心停止ということ。

 

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窒息しかけた

2023年01月27日 | Weblog

 木曜日に地域の基幹病院救急科から93歳女性が転院してきた(救急車での転送)。内科の別の先生が受けていたが、名前に見覚えがあった。

 

 2018年に基幹病院で脳腫瘍(左前頭葉円蓋部髄膜腫)と診断されて、手術は医療センター脳外科に紹介されて受けている。術後、心房細動からの心原性脳塞栓症も来した。(当院の神経内科に転院してリハビリをしていた)

 2019年1月に、インフルエンザに罹患して喘息重積発作を来した時に当方が担当した。その後同じ年に、心房細動・心不全で当院循環器科(当時はあった)に入院している。

 心不全で入院した時から、ICS/LABAの吸入が中止されていて、2020年に喘息重積発作でまた入院して当方が担当した。予想よりステロイド全身投与が長くなったが、何とか治まった。その後はICS/LABAは継続されていた(らしい)。

 

 今回はショートステイ先でおやつのワッフルを食べようとして窒息しかけたそうだ。気管挿管・人工呼吸器管理となったが、翌日には抜管できている。(1月22日の胸部X線)

 1月24日の胸部X線を見ると、心不全になっている。送られた画像を確認していると、後ろにいた腎臓内科の若い先生に、随分輸液が多かったんでしょうね、と言われた。輸液の問題か病状の問題かわからないが。

 1月26日当院に転院してきた時に、担当の先生が胸腹部CTで確認していたが、やはり両側胸水が目立っていた。

 

 以前喘息重積発作で入院した時は、まだ喘鳴が残っていても、「楽になってなんでもない」と言っていた。ふだんから軽度にあるので気にならないのか、理解力の問題なのかわからないが、明るいおばあさんだった。

 

 

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無疱疹性帯状疱疹?

2023年01月26日 | Weblog

 昨年の12月21日に、リウマチ性多発筋痛症(PMR)で通院している90歳代の女性が、予約外で内科外来を受診した。2日前からの左側胸部から背部にかけてのビリビリした痛みを訴えた。

 (PMRとしてプレドニン5mg/日を内服していた。内科クリニックから出ていたビスホスホネート製剤で顎骨壊死になった貴重な患者さんで、薬剤中止で軽快した。)

 服を脱いでもらったが、発疹はない。痛みの性状と部位からは帯状疱疹が疑われる。その日のうちか翌日に帯状疱疹の発疹が出てくるかもしれない。

 胸部X線・心電図は異常がなかった。ビリビリする断続的な痛みで症状は合っている。整形外科から下肢痛で痛み止め(トラマドール+アセトアミノフェン)がもともと出ていた。

 発疹が出たらすぐに来てください(確認してから抗ウイルス薬開始)というのもあるが、痛みがひどいという。とりあえず抗ウイルス薬を開始して、発疹が出たら見せに来てもらうことにした。(ファムビル500mg1日1回)

 

 その後受診はなく、定期の予約日の昨日(1月25日)受診した。その後どうだったのかと訊くと、数日で治まったので再受診はしなかったそうだ。証拠はないが、臨床的には無疱疹性帯状疱疹でいいようだ。

 

 

 

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薬もワクチンもだめ

2023年01月25日 | Weblog

 火曜日に保健所からの依頼で、COVID-19罹患者の外来アセスメントがあった。患者さんは75歳男性で、発症7日目でまだ発熱が続いていた。

 酸素飽和度などバイタルは問題なかった。体温は37℃台だった。対応したナース(ICN)の報告では、動きはよかったそうだ。

 胸部CTでコロナらしいすりガラス陰影が散在していた。

 

 この患者さんは鎮痛薬や抗菌薬でアナフィラキシーショックになったことがあるそうで、薬は何も飲みたくないという。コロナの薬もいりませんと言って帰った。

 鎮痛薬というのは名前を憶えていないが、NSAIDsなのだろう。今回診断した病院からカロナール(アセトアミノフェン)が処方されたが、それも飲んでいない。抗菌薬はセファレキシン(ケフレックス)とセファクラル(ケフラール)でなったということで、本当らしい。

 コロナとして入院してもレムデシビルは拒否されるだろう。デキサメサゾンでも拒否されそうだ。抗菌薬も拒否されるとしたら、治療は酸素吸入と点滴くらいか。

 

 ワクチンをしていないと、オミクロン株でもコロナ肺炎を認める印象がある。

 

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10年診ている

2023年01月24日 | Weblog

 2週間前に、糖尿病で通院している73歳男性の血糖が急に上昇していた。DPP4阻害薬とSU薬ごく少量(グリクラジド10mg)で、HbA1cが7%台前半だったが、その日はHbA1c10.3%で随時血糖が486mg/dlだった。(SGLT2阻害薬は腎症S-c1.42mg/dlがあり、使用で悪化して血液濃縮した)

 患者さん自身は特に変わりがないという。脳梗塞の既往がある一人暮らしで、妹さんに連れて来てもらっていた。入院で血糖コントロールをすることにした。

 ちょうど10年前に関東圏から当地に戻って来ていた。検査技師をしていたが、定年になり地元に戻ったのだった。高血圧症の治療継続で循環器科を受診したが、HbA1c11.1%と高値で内科に回されて、入院となった。

 インスリン強化療法を行って血糖は軽快して、退院時には持効型インスリンは中止して、超速効型インスリン少量になった。外来で診ているうちにインスリンは中止となり、経口血糖降下薬のみとなった。

 

 その後脳梗塞(ラクナ梗塞)で入院したこともあった。抗血小板薬が継続となっていたが、一昨年に出血性胃潰瘍で地域の基幹病院消化器内科に入院した。抗血小板薬が休止となっていた。

 そろそろ抗血小板薬を再開(P-CAB併用)を勧めたが、出血性胃潰瘍で懲りたのか、ずっと飲みたくないといっていた。するとラクナ梗塞が再発して、脳神経内科に入院となった。退院後は抗血小板薬を継続となった(PPIではなく、P-CAB併用で)。

 

 今回もインスリン食前皮下注で開始して、持効型インスリン少量も追加した。入院時に提出したCペプチドは5.52ng/mlと十分出ていた。CTで診て、膵癌をはじめとする悪性腫瘍はなさそうだ。

 悪化した原因がはっきりしないが、今回もインスリンは休止になるかもしれない。一人暮らしで早く退院する理由もないというので、1か月の入院でHbA1cの低下を確認して退院にすることにした。

 他科他院入院の期間もあるが、10年間診ていたことになるなあ、と感慨深い。使用する糖尿病薬としては、DPP4阻害薬+持効型インスリンより、GLP1受容体作動薬注のほうがいいか。

 

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NASHからの肝硬変らしい

2023年01月23日 | Weblog

 先週末は金曜・土曜が内科の当番だったが、特に入院の連絡はなかった。

 土曜日は大学病院の整形外科の若い先生が日当直だった。日中は発熱外来があるので、コロナ疑いの患者さんを一度に5名ずつ来院してもらって、それを何クールか行っている。看護師さんにいわれるままに始めたと思うが、最近はすっかり慣れたようだ。

 どんな患者さんが来院していたが確認していたが、その中に消化器科の外来に通院している肝硬変の90歳男性がいた(発熱外来ではない、普通の救急外来の方で救急搬入)。

 

 朝からぼおっとしていて反応が鈍いので、家族が心配で救急要請していた。2019年に肝性脳症で入院歴がある。食事にかかる時間が長く、トイレで水を流さないなどもあり、ふだん違う言動だった。家族としては、「あの時と同じ」ということだった。

 たしかに血液検査で血清アンモニアがふだんより高かった。消化器科で行った以前の点滴を入れて、治療を開始していた(肝不全用のアミノレバンのジェネリック)。

 点滴が終わることには反応が良くなったとして、月曜日に消化器科の外来予約もあることから帰宅としていた。翌日曜日の受診はなく、月曜日の今日外来を受診していた。

 

 この患者さんは2014年に、肝機能障害で内科クリニックから当院消化器科の外来に紹介された。電子カルテ以前なので紹介はわからないが、当時消化器科に在籍していた若い先生が担当していた。

 肝機能障害を来すようなアルコール摂取はなく、B型C型肝炎やANA/AMAは陰性だった。腹部エコーで脂肪肝の所見があり、脂肪肝(NAFLD)として報告していた。

 2019年に肝性脳症でまた消化器科に紹介になって、そこからは当院に通院しいている。受診時のCTで肝硬変の所見を認める。

 その後腹水貯留が出現して、利尿薬の投与で肝性脳症が悪化したりという経過だった。肝機能検査障害は軽度で推移していて、炎症は継続しているようだ。

  

 バイト医としては稼ぎに来ているわけだが、月に何度か総合診療を行うことになるので、結果的に実力がつくと思う(総合診療のできる整形外科医?)。

 

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頚椎症性脊髄症

2023年01月22日 | Weblog

 コロナのクラスターが発生した回復期リハビリ病棟に、外来でリウマチ性多発筋痛症(PMR)で診ていた患者さん(85歳男性)がリハビリ転院していた。

 

 2021年2月から歩行に支障がでるようになり、整形外科に通院していたが、改善しなかった。3月から発熱もあり、上下肢(帯)の痛みと朝のこわばり(2時間)が進行していた。

 4月初めに当院内科を受診して診察したが、経過からはPMRと判断された。入院してプレドニン15mg/日から開始して症状は軽快した。

 退院後に外来でプレドニンを漸減していたが、9mg/日まで漸減したところで再燃した。その時に手足の浮腫も併発していて、RS3PEと判断された。プレドニン増量で症状軽快して、その後はゆっくりと漸減していた。

 

 両手足の脱力としびれ・知覚低下も軽度にあり、通院している整形外科クリニックで頚髄症と診断されているという話だった。

 2022年5月に当院で頚髄のMRIを撮影してみて、確かに頚髄症はあった。整形外科では悪化した時は紹介になるといわれていた。

 10月に両上下肢の脱力としびれが悪化して、当院に緊急搬入された。内科の若い先生が担当して、頚髄症の悪化を認めた。大学病院から整形外科外来に来ている先生に相談して、地域の基幹病院整形外科に転院搬送となっていた。

 C3-6の椎弓切除術が行われて、その後当院にリハビリ転院していたのだった。別の病棟にいると案外気づかないものだ。

 

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