なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

中葉症候群

2017年02月28日 | Weblog

 昨年から断続的に肺炎として治療していた85歳女性を、地域の基幹病院呼吸器科に紹介していた。返事は「中葉症候群で経過観察」だった。下葉にも陰影があったので、部位的には「誤嚥性肺炎が疑われる」ということだった。昨日当院内科外来に来て、案外年齢なりに元気だったが、食事摂取量は相変わらず少ないようだ。

 中葉(舌区)症候群は名前は有名だが、あまり成書に記載がない気がする。男女比は1:4で女性に多いそうだ。感染症としては、非結核性抗酸菌症(NTM)、慢性副鼻腔炎、気管支肺結核があり、その他は肺炎球菌などの一般細菌による炎症性変化の可能性があるという。

 NTMと慢性副鼻腔炎の多くは、中葉と舌区の両側に陰影がみられ、NTMは右上葉に、慢性副鼻腔炎は下葉にも陰影がみられる。気管支肺結核は中葉か舌区のいずれかに陰影を認め、両側に陰影を認めることはない。その他の中葉症候群でも同様で、特に中葉のみの陰影が多い。

 さてこの高齢女性は、子供の時から蓄膿症(慢性副鼻腔炎)があり、後鼻漏もあるそうだ。陰影は右側だけで片側だが、下葉に陰影を伴っていることは一致する。耳鼻咽喉科紹介として、喀痰の抗酸菌塗抹を繰り返すことにする。外来で抗菌薬を使う必要がある時は、キノロンを避けて、オグサワ(オーグメンチン+サワシリン)で行こう。

 

 

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「人類最強の糖質制限論」

2017年02月27日 | Weblog

 土日は江部康二先生の「人類最強の糖質制限論」を読み返していた(人類最強は出版社でインパクトを狙って付けたのだろう)。22の章に細かく分かれていて、要するにというまとめがなく、重要なことが各所に散らばって記載されているので、案外わかりにくい。

 高雄病院のスーパー糖質制限食のエネルギー産生栄養素バランスは、糖質12%・たんぱく質32%・脂質56%の比率。糖質を制限する分、カロリー摂取を減らさないようにタンパク質と脂質をしっかりとる。

 血糖 血糖を上げるのは糖質のみで、脂質とタンパク質は血糖に直接影響を与えない。(日本糖尿病学会は、血糖に影響を及ぼすのは主に炭水化物(糖質)ですが、脂質とタンパク質も影響を及ぼします。根拠はないそうだ。)

 食後に血糖値が上昇すると、インスリン(肥満ホルモン)が大量に追加分泌される(高インスリン血症)。血糖は筋肉に取り込まれ、余ると血糖はグリコーゲンとなって筋肉と肝臓の細胞に蓄えられる(肝臓は70~80gまで、筋肉は200~300gまで)。さらに余った血糖は脂肪細胞で中性脂肪に合成されて体脂肪となる(つまり太る)。糖質制限では、食後の血糖値が上がりにくく、肥満モルモンであるインスリンの追加分泌が起こりにくいので痩せやすくなる。

 カロリー 糖質制限食は糖質を制限するだけで、カロリーは制限しなくていいが、いくらでも食べていいというわけではない。1日に必要なカロリーは、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の「推定エネルギー必要量」が目安になる。性別・年代・身体活動レベルで別れているが、概ね男性2500Kcal/日前後、女性2000Kcal/日前後。

 タンパク質 糖質制限食ではタンパク質の摂取量が2.0g/Kg以上になるが、「日本人の食事摂取基準」には、「タンパク質の耐容上限量を設定する根拠がないため設定しない」とあり、。タンパク質のとりすぎは心配ない。タンパク質が不足すると、筋肉が落ちやすく、基礎代謝と消費カロリーが下がって太りやすくなる。

 脂質 自分の活動量に見合ったカロリーの上限を超えない限り、脂質の摂り過ぎだけで太ることはない。コレステロールは肝臓で80%が作られているので、食事はコレステロール値に影響を与えない。

 健常人は糖質1g当り血糖値が0.5~1.0mg/dl上昇し、2型糖尿病では糖質1g当り血糖値が3mg/dl上昇する。食後2時間の血糖値が140mg/dlを越えると血管にダメージが及ぶ。健常人も糖質制限を行うべき。

 運動の主要なエネルギー源は糖質と脂質。糖質は血液中に血糖として5g、筋肉と肝臓にグリコーゲンとして300g(1200Kcal)ほどしか蓄えられない。脂質は体脂肪として数十Kg(11万7000Kcal、体重65Kg体脂肪率20%として)蓄えている。体は脂質をメインのエネルギー源にしている。

 とりあえず、こんなところか。自分はどうかというと、山田悟先生のゆるやかな糖質制限を目指しているが、実際はもっとゆるやか。山田先生も講演会で自分はもっとゆるやかな糖質制限と言っていた。

 病棟のインフルエンザ患者発生は、金曜日の病棟看護師さん1名が今のところ最後で、昨日高齢男性が発熱したが、誤嚥性肺炎のようだ。今週末で入院制限・面会制限を解除できるか。

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インフルエンザその後

2017年02月24日 | Weblog

 ひとつの病棟内での職員と入院患者さん(5名)のインフルエンザ発症が10名を越えたので、保健所に届け出た。といって、保健所から視察に来るというものでもないようだ。病棟の出入りは家族のみにして、新規の入院はなしにしていたが、結局病棟の出入りは職員だけになった(家族も出入り禁止)。

 ダウン症の30歳代男性には、両親が付き添っていたが、付き添わないと精神的に不安定になるので、付き添いは中止できない(他の付き添いは自宅に帰ってもらった)。付き添いは父親だけにして継続とした。消化器科に癌の精査で入院していた患者さんは、手術前に外泊したいという希望があったが、待機手術なのでむしろいったん退院して、直接手術前に外科病棟に入院してもらうことにした。

 インフルエンザに罹患した患者さんの同室者と、職員(医師・看護師・リハビリスタッフ)にタミフル予防投与を行っている。症状をマスクしてしまうので、罹ったのを自覚しないで勤務するのではという声もあったが、やらざるを得ない。費用は1人4000円×人数分になる。

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何か食べたらしい~異食による腸閉塞

2017年02月23日 | Weblog

 一昨日の夜間に施設入所中の20歳代後半の男性(精神遅滞)が、嘔吐・腹部膨満で救急外来を受診した。腹部X線(立位)でNiveauを認め、腹部CTで小腸が全体的に拡張していた。内科当番だったので、当直医から連絡が来たが、腸閉塞は外科で診ているので、当番の外科医にお願いしてもらった。手術既往がないというので、絞扼性が疑われた。ただし、その後で下痢が始まって結局胃腸炎だったという場倍があるので、ちょっと気が引けた。

 翌朝に画像を確認すると、胃から回盲部まで腸管が拡張していて、上行結腸は虚脱していた。放射線科の読影でも狭窄部は指摘できないとあった。胃内に食物が大量にあり、腹痛の訴えがほとんどないので、減圧のチューブなしで一晩経過をみたらしい。

 後で担当になった外科医に話を訊くと、患者さんは以前から布などの食物以外のものを食べることがあるそうだ。翌日になってから、排便があり、その中に何か白い塊があった。付き添いの母親がそのまま流してしまったので何だったかは確認できなかった。(下水菅が詰まる心配があるが大丈夫だった) 

 今回も丸めた布を食べたのではないかという。それが、画像では確認できなかったが、回盲部で一時的に詰まって、物理的に腸閉塞をきたしたようだ。うまく自然に排出されてよかった。詰まったままだったら、開腹手術になるところだ。

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インフルエンザ

2017年02月22日 | Weblog

 ひとつの病棟内で、看護師さん/看護助手さん、入院患者さんが複数インフルエンザに罹患している。病棟に入院させないようにして、面会者も制限している。来週までに治まるといいが。看護師さんたちは、子供からお母さんが移ったという家族内感染だ。患者さんたちは家族に罹患者がいたという人もいるが、あとは病棟での感染が疑われる。なんとか一桁台で押さえたい。

 

 内科地方会教育講演会 秋田大学消化器内科・飯島克則先生の講演「ヘリコバクター・ピロリ陰性時代の上部消化管疾患」

 ヘリコバクター・ピロリ(Hp)感染で、10~20%に消化性潰瘍、2~3%に胃癌が発生する。Hp感染による胃炎には、1)前庭部優位胃炎(酸分泌が保たれる、欧米に多い)と、2)胃体部優位胃炎(酸分泌が抑制される、日本に多い)がある。

 胃癌のうち、Hp陰性胃癌は0.66%と少ない。Hp陰性胃癌として、胃噴門部癌(非噴門部癌と生物学的に違う)が増加する、また胃底腺型胃癌が進行癌に進展するかどうかは不明という。

 Hpによる消化性潰瘍が減少し、消化性潰瘍は減少している。それでも消化性潰瘍の半数はいまだHp感染による。約30~40%を低用量アスピリンを含むNSAIDsによる薬剤性潰瘍。Hp感染、NSAIDsによらない原因不明の潰瘍(特発性潰瘍)の割合が世界的に増加している。

 薬剤性潰瘍(低用量アスピリンを含むNSAIDs起因性潰瘍)のリスクファクターは、1)胃十二指腸潰瘍(特に出血性潰瘍)の既往、2)高齢、3)低用量アスピリンとNSAIDsの併用、4)低用量アスピリンまたはNSAIDsと抗血小板薬、抗凝固薬、ステロイド薬との併用。

 特発性潰瘍は10%程度で、過去のHp感染と関連性のある潰瘍(Hp除菌後に潰瘍発生、胃粘膜萎縮が高度でHpの既感染疑い)を除くと5%程度。要因は、1)高齢(PGの低下)、2)肝硬変、3)その他の全身性疾患、4)精神的ストレス。PPIによる維持療法継続で対処する(有効でないとの報告も)。

 Hp除菌により、逆流性食道炎の増加から、バレット食道、バレット腺癌(食道腺癌)が増加すると予想される。(これはしょうがない)

 せっせとHpを除菌しましょう。

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左房内血栓

2017年02月21日 | Weblog

 昨日80歳代前半の女性が腹痛でクリニックから消化器科に紹介された。腹部CTのオーダーを出して、結果を診たところで予定の大腸検査があるので、すぐには対応できなかった(現在一人消化器状態)。当方に連絡が来て、「肺動脈血栓らしい。大腸検査の間診ていてほしい」ということだった。

 もともと心房細動で抗凝固薬(NOAC)が処方されていたが、先月に不正性器出血で婦人かを受診して、抗凝固薬を一時休薬となっていた。モニター心電図を見ると、心拍がregularに見えた。心電図を確認すると、鋸歯状波様だが、よくよく見ると心拍はirreguarで、心房粗細動というところらしい利尿薬が処方されていたが、BNP1700と上昇している。大動脈弁置換術の既往があった。

 造影CTを見ると、肺動脈内に血栓はない。拡張した左房内~左心耳内に大きな血栓が陰影欠損を呈していた。これが飛んだら被害甚大だろう。元々認知症で施設入所中の方だが、明らかな麻痺はなく、神経症状としては(正確さに欠くが)なさそうだった。上腸間膜動脈など腹部の血管が閉塞してはいないようだ。右外腸骨動脈が閉塞していたが、その末梢に血流があり、慢性の閉塞で側副血管から流れているという判断になった。血栓については、他の問題がなければ開胸での摘出になるらしい。現在も消化管出血が疑われていて、抗凝固薬の投与もどうするか判断が難しい。

 胆嚢結石はないが、胆嚢が腫大していて、血流に乏しい。これも症状の把握が難しいが、右季肋部に圧痛があると判断された(右季肋部を圧迫した時だけ手で払いのけるから)。胆嚢動脈の虚血が疑われた。

 患者さんのADLは終日臥症状態(要は寝たきり状態で短時間の車いす移乗は何とか可能)で、認知症があり病状説明しても理解できない。以前の心エコーでEF20%台と評価されていて、外科で直腸脱と指弾されていたが、手術は見合わせになっていた。認知症がない時の自己意志だが、輸血拒否の方だった。心臓手術をしたのは、他県の大学病院で、その条件で手術したそうだ。(夫婦がそうだが、お子さんたちはそうではない) 血栓についても、胆嚢についても、保存的に経過を見るしかないということになった。

 消化器科・内科・外科・循環器科と計7名の医師がかかわって、誰が診るかという問題になったが、胆嚢炎?ということで外科の一番上の先生が診ることになった。

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完全房室ブロック

2017年02月20日 | Weblog

 内科新患の先生(大学病院からの応援=バイト)から96歳男性の心不全患者さんがいると連絡が来た。心電図で完全房室ブロック(wide QRS)を呈していた。心拍数は36/分。4か月前からめまいがして、動きにくくなっていた。もともと元気でそれまでは自由に歩いていたらしい。難聴もなく、はきはきとしゃべる。認知症はない。

 BNPが1100と上昇して、両側胸水貯留が軽度にあった。SpO2は96%(室内気)。循環器科医に相談して、心エコーで見てもらうと、下壁の動きが若干悪いかもということだったが、概ね問題はなかった。心臓血管外科医が週1回来る日(大学病院で手術を受けた患者さんたちのフォロー)だったので、ペースメーカー植え込みについて相談したが、今週は都合がつかないので難しいと言われたという。

 心エコー検査の時に咳をしていたのが気になっていたが、心不全症状が進行してきたので、結局心臓血管センターのある病院に紹介となった。息子さん(といっても60歳代)を呼んで治療について相談したら、息子さんは「うーん、年だし・・・」と迷ったが、ご本人は「ペースメーカー治療を受ける」ときっぱり言ったそうだ。ペースメーカー植え込み術を受けて100歳超まで行きそうだ。

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インフルエンザがらみ

2017年02月19日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。他の先生が担当している誤嚥性肺炎の高齢者を看取ったり(DNR)、高熱を呈した入院患者さんのインフルエンザの検査を出したりしていた。内科入院は3名。

 92歳男性が高熱で受診した。奥さんは施設入所中で、施設を経営している病院に肺炎で入院している。子供はいないので、甥夫婦が世話していた。9年前に胆管癌の手術を医療センターで受けて、その後何度か急性胆管炎で入院したが、一昨年からは入院していなかった。

 高熱で咳もあり、インフルエンザ迅速試験でA型陽性と出た。炎症反応が上昇して肝機能障害もあった。胸部X線・胸腹部CTで明らかな肺炎像はない。肝内胆管は以前からのPneumobiliaを認める。インフルエンザの影響は不明だが、胆道感染も起こしているようだ。92歳の一人暮らしで、インフルエンザだけでも入院になるので、当然そのまま入院になった。

 81歳女性が嘔気・腹痛・下痢・発熱で受診した。この方は4年前にS状結腸癌の手術を当院外科で受けている。肺転移・リンパ節転移があり、全身状態は落ちてきていた。下痢はふだんからあるという。腹部は平坦・軟で右下腹部に軽度に圧痛があるようだが、触っているうちに痛くない?と言われた。直腸指診を行うと、暗赤色の便を認めた。腹部造影CTを見ると、上行結腸の多発性憩室があり、上行結腸~横行結腸内の便塊の濃度が上昇していて、上行結腸からの出血を示すようだ。憩室炎・憩室出血として入院にした。

 内科外来に糖尿病腎症・ネフローゼ症候群で通院している47歳男性が、陰嚢の腫脹で受診した。下肢の浮腫が悪化して入院を勧めていたが、拒否していた。また足潰瘍で皮膚科から入院を勧められていたが、これも拒否していた。入院すると、飲酒と喫煙ができなくなる。今日は歩くと陰部が擦れてひどいので、入院するという。血清クレアチニンは2.8mg/dlくらい。いずれ血血液透析にはなるが、その前に除水目的での導入が必要かもしれない。糖尿病以外の腎疾患の鑑別もあり、一度腎センターのある専門病院に紹介したいが、行く気はなさそうだ。

 

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内科学会・地方会教育講演会

2017年02月18日 | Weblog

。 今日は内科の地方会。通常は午後の教育講演会にしか出ないが、午前中の教育セミナー「頭部MRI読影の基本」(福島医大神経内科・井口正寛先生)も聴いた。5つの講演があったが、三森先生の話が聴きたかった。

「蚊媒介感染症」聖マリアンナ医科大学・國島広之先生。

 原虫はマラリア、ウイルスはデング熱・黄熱・日本脳炎・ジカ熱・チクングニア熱、線虫はフィラリア。楽しく聴いたが内容はあまり覚えていない。忽那先生の本を読み返そう。

「心不全」国立循環器病研究センター・北風政史先生。

 急性心不全と慢性心不全、収縮機能障害と拡張機能障害を区別する。急性心不全は、CS1(血圧>140mmHg)・CS2(血圧100~140mmHg)・CS3(血圧<100mmHg)に分けられる(血圧は受診時の血圧)。Noria-Stevenson分類は、Warm&Dry(A)・Cold&Dry(L)・Warm&Wet(B)・Cold&Wet(C)。うっ血は右心不全で、低灌流は左心不全。予後はA>L>B>Cの順で良い。

 心収縮機能の保たれたHFpEF(ヘフペフ、さらにペフ)と低下したHFrEF(ヘフレフ、さらにレフ)に分けられる。前者は最近増加して、後者は減少している。両者の予後は同じとされていたが、最近はHFpEFは改善しているが、HFpEFは改善していない。心拡張機能にかかわるのは、高血圧症・糖尿病・肥満・脂質異常症・運動量低下・加齢。HFpEFの予後悪化は、血清アルブミン低下・心胸郭比増加・収縮期血圧低下。

「膠原病の診断」岩手県立中央病院・三森明夫先生。

 不明熱で紹介された症例の中に、膠原病でないものとして、感染症と悪性リンパ腫(特に血管内リンパ腫)がある。感染症といっても、血液培養陰性で局所症状もなく、感染巣も起炎菌もわからない。DICなど重篤な病状では待てないので、抗菌薬治療を開始する。膠原病の可能性をほぼ完全に除外しているので、抗菌薬が奏効するそうだ。悪性リンパ腫はとにかく組織診を行う。

 膠原病の診断で重要なこと。1.血管炎の診断は診断基準に頼れない。たとえば高安動脈炎の診断基準を満たすのは、病状が進行してから。初期診断にはCT・MRI・PETなど画像で行う。ANCA陽性は、感染症でも悪性リンパ腫でもある。 2.強皮症・シェーグレン症候群は熱性疾患ではない。発熱があれば、それは唾液腺の腫脹・疼痛、間質性肺炎の急性期、偶発症としての感染症か悪性リンパ腫が原因。3.ベーチェット病は診断基準を満たすときにのみベーチェット病とする。4.SLEは分類基準を必ず満たす。ACRの分類基準はよくできていて、基準を満たさなければSLEではない。したがって、SLEが不明熱になることはない。

 膠原病以外で抗核抗体陽性になるのは、癌・加齢・慢性炎症・ウイルス感染など。役に立つ自己抗体は、抗dDNA抗体・抗Sm抗体(SLE)、抗SSA抗体(SLE、シェーグレン症候群)、抗RNP抗体(MCTD、SLE、強皮症)。

 

 

 

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高齢者の肺炎が続く

2017年02月17日 | Weblog

 相変わらず高齢者の肺炎の入院が多い。昨夜もひとり入院したが、今日の日中に3名の入院があり、内科で手分けして診ている。当方の担当は80歳代半ばの男性で、認知症で神経内科外来に通院していた(介護タクシーで)。ふだんから唸るだけで発語はないそうだ。前回は下部消化管出血で消化器科に入院したが、出血は治まったので、あえて内視鏡検査はしなかったとサマリーに記載されている。ムセながら食べているそうで、肺炎治癒後の嚥下訓練でつまづきそうだ。

 こちらは80歳代後半の男性で、インフルエンザに罹患していた。細菌感染併発による肺炎か混合性の肺炎かわからないが、全肺野に陰影があり、この方が一番重症だ。

 

  こちらは80歳代前半の女性だが、胸部単純X線では肺炎像がわかりにくい。高齢者の肺炎(疑いも)はCTが必須だ。

 

 最初の肺炎の患者さんは、昨日当直だった外科医が午前7時過ぎに救急要請を受けたもので、同時期に腸閉塞の80歳代半ばの男性も診ていた。以前癒着性の腸閉塞で入院して保存的に治癒した方で、その先生の外来に通院していた(今日が外来日だった)。今回は腹水貯留があって、絞扼性が疑われるそうだ。外科外来を済ませてからの手術になるので大変だ(24時間以上の勤務)。腹部CTで狭窄部位が指摘できる。

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