なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腎前性・腎後性腎不全

2020年01月31日 | Weblog

 水曜日に72歳男性が腰痛で整形外科を受診した。一人暮らしの方で福祉サービスの方が連れてきたのだった。

 整形外科ではそれほどの問題もないと判断されて、対症療法で経過みていいとなった。整形外科で珍しく?血液検査をしていて、腎機能がびっくりするくらい悪かった(その割にはジクロフェナク坐薬を使用していたが)。

 BUN 152mg/dl・血清クレアチニンmg/dlと著明に悪化していた。当院は初診なので、これまでの経過はわからない。ふだんは神経疾患の専門病院にパーキンソン病で通院していた(血液検査を問い合わせた)。

 腎性腎不全そのものならば、腎臓専門病院に救急搬送することになる。

 内科新患を診ていた内科の若い先生といっしょに診察した。腰痛で動けなくなって、10日ほど食事がとれていないそうだ。腎前性の可能性がある。

 胸腹部CTで確認すると、前立腺肥大があり、両側の尿管拡張・水腎症を認めた。腎後性腎不全になる。

 腎性も否定できないが、腎後性腎不全に飲食の減少(脱水)による腎前性腎不全が加わったものとして、当院で尿カテーテル留置・補液で経過をみることにした。

 尿カテーテル留置で2Lの排尿があった。ソルデム1の点滴をして夕方再検すると、血清クレアチニン5.45mg/dlに改善していた。このまま経過をみれば腎機能はさらに改善が見込める。

 この方は独身で独り暮らし。連絡するのは亡くなった妹の夫(義理の兄弟)しかいない。連絡がいって、受診時に来てくれたが、仕事があるので昼前には帰ってしまった。ふだんのADLはふらつきながらも歩行できるというくらいだ。施設入所なども考えながら、経過をみることになる。

 

 今日の午前中は内科再来を診ていたが、地域の基幹病院内科の先生(女性医師)から連絡がきて、慢性腎不全の79歳女性の転院を依頼された。血清クレアチニンが6mg/dlだった。

 内科でリハビリ目的の転院になるが、入院中当院の外科医に透析用のシャント作成も頼みたいという。DPCでどういう扱いになるかわからないが、外科医にも連絡しておきますということだった。

 

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転院2名

2020年01月30日 | Weblog

 せっせと転院を引き受けている。今日は2名の患者さんが転院してきた。

 

 一人は地域の基幹病院消化器内科からで、5年前からアルコール性肝硬変で通院している67歳男性だった。肝性脳症や食道静脈瘤治療(EVL)などで何度か入院していた。

 禁酒していたらしいが、昨年からまた飲酒を開始して、今月初めに肝性脳症の増悪で救急搬入された。回復は難しいと判断されたが、何とか軽快した。経口摂取も介助でできるようになったということだった。

 家族に退院の話がされたが、とうてい自宅では診れないと言われて、先週当方に連絡が来た。大変な患者さんですがよろしいですかと言われた。悪化時はDNARになっています、というので引き受けることにした。精神薬を2種類使用しても不穏があり、血清総ビリルビン10~15mgで推移している。

 今日来てみると、呼名に返答はなかった。バイタルは安定しているが、これでは食事摂取も内服もできない。

 家族はいつ急変してもおかしくないされていたので、予後についての要望はなかった。病院で診てくれればいいという雰囲気だった。最期まで当院で診ることになりそうです、と伝えた。

 家族に食事摂取が難しくなった時は(末梢の)点滴で行けるところまで診ますと伝えたが、もう食事摂取はできない状態で経過するのかもしれない。アミノレバンなどを点滴して経過をみるが、どうなるか。

 

 もう一人は71歳女性で、呼吸器センターのある専門病院から転院してきた。胸腺腫(浸潤しているので悪性)と非結核性抗酸菌症で在宅酸素を導入されていた。今回は細菌性肺炎で呼吸困難となって先方の病院に入院していた。

 高炭酸ガス血症があり、NPPVが行われた。1週間ねばって、やめると呼吸ができなくなるかもしれないと言われて中止されたが、なんとか自発呼吸でいけたそうだ。

 NPPVのマスクの形の湿疹ができていて、すごい顔になっていた。酸素飽和度が2L/分では上がらず、3L~4Lに調整した。痰が絡んで、その絡み具合で飽和度が変化する。

 今回呼ぶ人は全員呼んでくださいという危ない状態を脱したが、今後はもうNPPVもしないことになっていた。細菌性肺炎併発(誤嚥しそうな方だった)や原疾患の悪化を来した時は、酸素の調整・抗菌薬投与などを行うが、治療に反応しない時はDNARの方針としてもらった。

 リハビリをして自宅退院にと記載してあったが、家族はもう自宅でみるつもりはなかった。当院で経過をみて、ものすごくうまくいって長期に維持できるような時は療養型病床に依頼する方針にした。

 

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左下肢蜂窩織炎

2020年01月29日 | Weblog

 月曜日に95歳男性が左下肢の腫脹・疼痛で救急搬入された。救急当番だった内科の若い先生が対応した。内科クリニックに高血圧症・糖尿病・慢性心不全で通院しているが、実際は家族が1か月に1回薬をとりに行っていたそうだ。

 1~2週間前から左足(甲部)が痛くなって、下腿から大腿部への痛みが上行していた。NSAIDを処方されていたが、痛みがひどくなり、その日家族がクリニックに相談に行った。すぐに救急要請して当院に行くようにと言われた。

 左下肢は大腿部から足まで熱感・発赤・腫脹・疼痛があり、少し水疱もあった。下腿から足までは全周性に赤黒色で、大腿部はそれに比べると赤からちょっとピンクっぽい色で発赤は散在している。

 蜂窩織炎から筋膜炎になっている可能性もある。外科と皮膚科(切開・切断は外科の扱い)に相談した。年齢と病状を考慮して切開・切断は難しい(できない)ので、内科で抗菌薬投与で経過をみることになった。

 以前、後天性血友病で左下肢の壊死性筋膜炎疑いで大学病院救急部に搬送した高齢女性がいた。それに匹敵する症例だった。

 血液培養を提出後して入院で抗菌薬を開始した。解熱して、食事摂取は良好だった。会話もできる。これは保存的治療で軽快するのかもしれない。

 細菌検査室から、血液培養2セットでグラム陽性球菌が検出されていると報告が来た。その後A群溶連菌らしい(確定はまだ)と報告が来た。抗菌薬の最適治療ができる。

 病状が軽快するのはいいことだが、病棟看護師さんの話では、家族は重症なのでこれで亡くなると思ったらしい(これまで介護が大変だったが、これで終了かということ)。病院としてはベストを尽くすしかないが。

 

 以前に超高齢女性が何度も肺炎で入院したが、その度に治療に反応して軽快していた。重症で入院した時も軽快したのでお嫁さん(高齢)にその旨を伝えると、また治ったんですか、と言われたことを思い出した。

 

 

 

 

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帯状疱疹

2020年01月28日 | Weblog

 昨日の午後に87歳女性が内科外来を受診した。内科クリニックに右側腹部で受診して、腹部エコーで異常がなく、アセトアミノフェンが処方されていた。

 なんでも2週間前から症状が続いているという。一人暮らしの方で、年齢の割にふだんは元気で過ごしているようだ。ご本人はクリニックを再受診するつもりだったそうだが、知り合いの方が心配して当院に連れて来た。

 嘔気や便通異常はなく、発熱もなかった。痛みは右側腹部に感じる。持続痛ではなく、ごく短い間隔での間欠痛だった。ピリピリ、ビリビリした電気が走るような痛みかと訊くと、そうではないという。

 腹部は平坦・軟で圧痛はなかった。右肋骨弓に沿って3個の発疹があり、中心部は水疱になっていた。左側臥位になってもらうと、背中側には5個の同様の発疹がある。帯状疱疹のようだ。

 皮膚科の扱いになるので、連絡すると診てくれるという。発症から時間が経っているが、抗ウイルス薬は投与するのだろうと思った。

 月曜日で病棟を指示出しが長くかかって、その後夕方からの構成市町の議員さんと病院側との話し合いに出るよう言われていたので出席していた。

 今朝皮膚科医に訊くと、帯状疱疹でいいそうだ。一人暮らしで付き添いの方が心配しているので、入院にしていた。最初患者さんは家で飼っている猫の世話があるのでと、入院をしぶっていたらしい。家族や付き添いの人が入院を希望して、患者さん本人は渋るというのは案外あることだ。まあこのくらいで、どちらかというと社会的な入院にするのは当院の特徴ではあるが。

 

 今日は高血圧症で通院している71歳女性が、左側胸部がチクチクして、押すと痛いと言って外来を受診した。これまで帯状疱疹に2回なっているそうだ。肋骨に沿って電気が走るような痛みで、そこに圧痛があった。皮疹はなかった。

 帯状疱疹の痛みで、おそらく1~2日で発疹が出ると思います、と伝えた。通常は発疹を確認して抗ウイルス薬を処方しているので、とも伝えた。

 ただし、無疱疹性帯状疱疹といって発疹が出ないで経過することもあるので、その時は症状の推移で判断しますと言った。

 余計なことまで言ってしまったかもしれない。患者さんはひどくなる前に薬を下さいと希望した。ちょっと躊躇ったが、結局処方してしまった。

 

 昨日の議員さんとの会合は、院長と管理者が説明していたので、ただ出席して聴いているだけだった。4月から整形外科がなくなることなどを追求されて、苦しい答弁をしていた。

 大学と相談して医師を連れて来るようにしますと答えていた。議員さんは、連れて来るといってもそう簡単にはいかないこと、それよりもむしろ今いる医師がやめないように配慮してほしいと言っていた。案外事情がわかっているのだった。

 来年度は外科系内科系ともに救急対応できるかどうかわからないのと、病院経営自体が財政的に厳しいので、医局の先生方はそうなった時の身の振り方も少し考えながら様子をみている。意見を求められたらそう答えることにしていたが、何も訊かれなかった。

 

 

 

 

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アルコール性が続々と

2020年01月27日 | Weblog

 日曜日に54歳男性がぼんやりして動けなくなって、同居の兄が救急要請した。以前に低血糖を来したことがあり、救急隊が血糖測定すると、37mg/dlと低下していた。グルコース静注をして搬入されたので、搬入時は意識清明になっていた。

 今回は前日から食事摂取量が低下していたそうだ。特に血糖が低下するような治療をうけているわけではない。アルコール性肝硬変があり、低血糖になると回復しがたいようだ。

 日直の循環器科医が入院として、内科当番だった内科の若い先生が主治医になった。翌日までの点滴・ビタミン投与の指示を出してくれいていた。特に問題になる疾患の併発もなく、早めに帰れそうだ。

 アルコール依存症で他県の精神科病院に入院したこともあった。一昨年も同様の低血糖で救急搬入された時は、当方が主治医になった。やはり食事摂取が1~2日低下していた。肺炎を来していたので、入院で肺炎の治療をしたが、入院中には低血糖にならなかった(ちゃんと食べていた)。

 

 今日の午前中は内科の別の先生が救急当番をしていた。アルコール性肝硬変の60歳男性が左下腿の壊疽で救急搬入された。5年前に糖尿病で入院したが、外来治療をすぐに中断していた。血糖704mg/dl・HbA1c13.4%と高血糖状態だった。

 外科医が呼ばれて、治療は下肢切断しかないと説明したが、ご本人が拒否したので内科入院となった。治療をしながら、説得するしかないのだろう(切断しなければ悪化して死亡に至る)。

 

 地域の基幹病院消化器内科から転院の依頼が来ていた。アルコール性肝硬変・肝性脳症の67歳男性でせん妄がひどく、かなりの量の抗精神薬を使っていた。木曜日に当院転院としたが、治療に難渋しそうだ。

 この前入院していたアルコール性肝硬変の患者さんが何とか退院して、その後アルコールがらみの入院はなかった。今週は続々と入院になり、集まる時は集まるものだと思った。

 

 

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ピロリ除菌

2020年01月26日 | Weblog

 先週、病院の人間ドックで上部消化管内視鏡検査を受けた。胃粘膜はびまん性発赤と萎縮があり、ピロリ胃炎の所見だった。過形成性ポリープも散在していた。所見がある時は追加検査(ピロリ菌や胃癌疑いの時の生検)にしていたが、内視鏡医(大学病院からバイト)はしなかった。迅速ウレアーゼ試験をしてもらってよかったのだが。

 金曜日に尿素呼気試験を受けて、ピロリ陽性と出た。年齢的には統計上高確率で陽性であり、予想通りになる。ボノサップセット400(タケキャブ20mg・アモキシシリン750mg・クラリスロマイシン200mgを朝夕内服)で除菌治療をすることにした。

 

 「これでわかるピロリ除菌療法と保険適応 改訂第5版」高橋信一著(南江堂)を読み直してみた。

 ピロリ菌除菌療法の適応疾患

 2000年に胃潰瘍十二指腸潰瘍、2010年に胃MALTリンパ腫自己免疫性血小板減少性紫斑病早期胃癌に対する内視鏡治療後胃、2013年にヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の保険適応が認められた。

 ヘリコバクター・ピロリ菌の感染診断法

 胃内視鏡検査による胃生検材料を用いる方法として、1)迅速ウレアーゼ試験、2)組織鏡検法、3)培養法。胃内視鏡検査によらない方法として、4)血中・尿中のヘリコバクター・ピロリ抗体測定、5)尿素呼気試験、6)便中ヘリコバクター・ピロリ抗原測定

 通常行うのは、内視鏡検査時の迅速ウレアーゼ試験、内視鏡検査をしない時の尿素呼気試験

 診断精度を上げるために、1回の検査が陰性の場合は異なる方法でさらにもう1回検査を行うことができる。2010年から2種類の検査を同時に実施可能となった。

 除菌療法終了後の感染診断法(除菌判定法)

 除菌薬内服終了後4週間以降に行う(ガイドライン)が、実際は8週間以降に行う(除菌終了後60日以上で偽陰性なし。できるだけ遅く行う。)。4)・5)・6)は2つを同時算定可。

 除菌成功例ではさらに診断精度を上げるため、異なる方法でもう1回除菌判定を施行できる。最初の判定より6か月後くらいに行う。

 生検材料を用いる方法はサンプリングエラーの可能性があり、尿素呼気試験または便中ヘリコクター・ピロリ抗原測定を用いる。

 ヘリコバクター・ピロリ菌に対して静菌作用のある薬剤(PPIや抗菌薬)を内服していた場合は、判定偽陰性を避けるために、薬剤内服中止後、少なくとも2週間以上をあけて診断を行う。

 除菌法

 1次除菌

 PPIのランソプラゾール30mg、オメプラゾール20mg、ラベプラゾール10mg、エソメプラゾール20mg、またはボノプラザン20mgに、アモキシシリン750mg、クラリスロマイシン200mgの3剤を1日2回服薬して1週間続ける。(ボノプラザンはP-CAB)

 通常な一番効果的なボノプラザン(タケキャブ)を使用する。ボノサップパック400または800はボノプラザン20mg1錠、アモリンカプセル250mg3錠、クラリス錠200mg1錠(400)か2錠(800)の3剤を組み合わせ、1日1シートを朝夕と1列ずつ内服して1週間続ける。

 2次除菌

 1次除菌が失敗した場合は、経験的に1次除菌後3~6か月後に2次除菌を行う。1次除菌率の低下はクラリスロマイシン耐性菌の増加が原因。2次除菌はPPI+AMPC+MNZ(メトロニダゾール)で行う。メトロニダゾール(フラジール)250mg錠を朝夕で使用する。(適応は2次除菌に限られている)

 ボノピオンパックは、ボノプラザン20mgに、アモキシシリン750mg、メトロニダゾール250mgの3剤を組み合わせ、1日1シートを朝夕と1列ずつ内服して1週間続ける。

 3次除菌

 2次除菌が失敗した場合は、再度内視鏡検を行い、胃生検材料によりヘリコバクター・ピロリ菌の培養と薬剤感受性試験を行う。薬剤感受性をみて感受性を示す適当な薬剤を組み合わせて3次除菌を行う。(保険適応外)

これでわかるピロリ除菌療法と保険適用(改訂第5版)

 

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急変2例

2020年01月25日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。病院に来て早々に、内科の別の先生が施設からの紹介で昨日入院にした84歳女性が心肺停止になったと病棟から連絡が来た。

 経口摂取ができず、経管栄養になっていて、最近頻繁に誤嚥性肺炎で入院を繰り返していた。息子さんが熱心で病状悪化時にDNARではないので、病棟の看護師さんが心肺蘇生術を開始していた。

 アンビューバックから気管挿管による人工呼吸に切り替えた。腰痛の看護師さんが心臓マッサージ(胸骨圧迫)をしていた。アドレナリンを入れて、数十秒自己心拍が出たが、その後は静止になった。

 家族が来たので、いったん病室に入れて説明した後に、心肺蘇生を継続した。30分経過して反応が見られず、また病室に招き入れて、蘇生術を中止せざるを得ないとお話した。アドレナリンの効果かPEAが出るので、少し待って完全に心静止になってから死亡確認をした。

 こちらで全部やっておくつもりだったが、病棟から連絡が行ったので、担当医が病院に駆けつけてきた。この週末は当番がないので休めるはずだったが。

 

 内科の若い先生が月曜に入院にした88歳女性が、意識レベル低下と左半身完全麻痺を来していた。心房細動があり、抗凝固薬を内服していた。入院時には、頭部MRI・MRAで右中大脳動脈が閉塞していて、その領域にラクナ梗塞が散在していた。

 若い先生は今日同僚の結婚式に出席していた。病棟から連絡が行ったが、すぐは出られなかったようで、その後に電話が来た。抗凝固薬投与による出血を気にしていた。頭部CT検査を依頼された。

 入院後は普通に食摂取できて、歩行もできていたようだ。診察すると、問いかけには返答できている。頭部CTで出血はなかったが、右中大脳動脈領域に梗塞巣がすでに描出され始めていた。

 頭部MRI・MRAで確認すると、右中大脳動脈領域全体ではないが、脳梗塞が確定できた。そして予想外だったが、右内頚動脈が描出されていなかった。

 夜間の発症で、発症時間は特定できない。特別な治療の適応もないので、点滴で経過をみることにした。月曜日に頭部CTが予定されていたが、おそらく梗塞巣は拡大するだろう。

 

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腎梗塞・脾梗塞

2020年01月24日 | Weblog

 水曜日に地域の基幹病院脳神経内科から転院してきた75歳男性は、転院日の午後から高熱・悪寒があった。

 血液培養2セットと尿培養を提出したが、翌日のは血液培養からグラム陽性球菌が検出された(菌名確定はまだ)。高熱も続いている。尿路感染症・肺炎は否定的で、カテーテル感染が疑われたので、夕方にCVカテーテルを抜去した。抜去後には解熱していた。後はエンピリック投与の抗菌薬を確定後に変更することになる。

 できれば末梢の点滴で経過をみて、内視鏡的胃瘻造設にする方がいいが、なにしろ105kg(入院前は120Kg)の方なので、胃瘻キットで間に合わない可能性がある。先方で撮影した胸腹部CTがあるので、確認してみた。造影CTが撮られていて、右腎臓に複数個所と脾臓に造影不良域がある。

 診療情報提供書には心房細動による脳血栓塞栓症(出血性脳梗塞)で寝たきり状態にあり、経口摂取は不可能なこと、薄めの高カロリー輸液にしているが、見込みがないので末梢用の輸液への変更でいいこと、のみが記載されていた。

 検査所見もなかったので、経過がわかりにくいが、当院での検査では凝固異常(Dダイマー高値)・肝機能障害・腎機能障害があった。

 推定すると、昨年末に脳血栓塞栓症が発症して、胸腹部CTは年明けに検査している。入院時にはなかったが、その間に血液検査での異常などがあって検査しているはずだ(全失語で自覚症状の表現はできない)。

 体格が良すぎて末梢血管からの点滴が困難かと思ったが、1~2週間くらいは十分いけそうだ。感染症の治療を進めて、可能ならば内視鏡的胃瘻造設術にもっていきたいが、CTで見ると胃の前(腹側に)に横行結腸がどんとあり、これではできない。部位を変更して、CVカテーテルを再挿入しかないかもしれない。 

 腎梗塞も脾梗塞の症例は以前にあったが、両者同時にというのは初めて見る。

 

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帰した肺炎

2020年01月23日 | Weblog

 日曜日は開業医の二代目先生が日直をしていた。84歳男性が発熱で受診して、インフルエンザA型陽性・左下葉肺炎と診断されていた。

 外来でラピアクタ注・セフトリアキソン注を行って、帰宅としていた。セフェム系第3世代の内服薬を処方していたので、肺炎の治療としては心もとない(忽那先生のDUダイタイウンコに相当)。

 かかりつけの診療所(当院の診療圏ではない)を受診するようにという指示だった。月曜日には受診したのか、それとも処方された内服薬がなくなるまで自宅で経過をみるのかはわからない。

 病院としては入院が増えて収益につながることもあるが、年齢的には入院治療が好ましい。

 

 水曜日は外科医が当直だった。救急外来の受診数自体少なく、特に当直帯での入院はなかった。気になったのは、85歳女性で40℃の高熱で救急搬入されていた。

 インフルエンザ迅速検査は陰性で、早期なのでまだ出ないのかもしれないという記載があった。検査では白血球数5000・CRP2.3と軽度に炎症反応が上昇している。

 胸部X線・胸部CTで右中葉に浸潤影があり、「浸潤影か」とは記載されていた。解熱薬処方で帰宅としていた。明日かかりつけの内科医院を受診するようにという指示だった。

 高熱・脱力での救急搬入なので、入院治療が好ましい。軽症肺炎は大歓迎だ。

 

 いずれもその後当院を受診していないが、どうなったのだろうか。どちらの日も内科の若い先生が内科当番だったが、入院の連絡がないので、のんびり過ごせたことになる。

 ここが難しいところで、よほどのことがないと入院させない先生だと、その日の当番としては結果的には助かる。以前おられた脳外科の先生は脳血管障害以外はほぼ全例救急搬入を断わり、外来受診もまず何か処方して帰宅とするので、その日の当番は連絡がなく、楽に過ごせた。(地域医療としてはよろしくない)

 

 

 

 

 

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脳血栓塞栓症(出血性脳梗塞)

2020年01月22日 | Weblog

 地域の基幹病院脳神経内科から、脳血栓塞栓症の75歳男性が転院してきた。

 当院の脳神経内科外来に高血圧症・糖尿病・心房細動で通院していた。高血圧は降圧薬3剤、糖尿病はボグリボース0.6mg/日でHbA1c6.1%程度、心房細動はエリキュース5mg錠2錠朝夕内服で治療していた。

 当院の看護助手さんの父親で、脳血栓塞栓症で入院したと報告を受けた神経内科医は、外来治療がうまくいっていただけにがっかりしたようだ。午後から内科病棟に患者さんを見に来ていた(リハビリ適応がない転院は内科扱い)。

 失語症で発語はできず、嚥下障害で経口摂取はできない。治療は内頸静脈から挿入したCVカテーテルからの、量とカロリー少なめの高カロリー輸液、経鼻胃管からの降圧薬の注入だった。出血性梗塞なので抗凝固薬は中止している。

 抗凝固薬をこのまま中止でいくか、再開するか訊いてみたが、まあそのまま中止かなということだった。ということは、脳血栓塞栓症を始め、血栓塞栓が起きてもしょうがないということになる。

 診療情報提供書には、もう経鼻胃管からの注入も中止の方向で、高カロリー輸液も末梢用の輸液でいい、となっていた。そうもいかないので、高カロリー輸液は継続して、降圧薬は貼付剤に変更できるか調整することにした。

 安定した状態が続けば、療養型病床を目指すことになるが、午後から39℃の高熱があり、さっそく血液培養2セットと尿培養の提出、抗菌薬投与となった。

  

 心房細動で出血性脳梗塞の既往がある場合、抗凝固薬はどうしたらいいのだろうか。

 

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