なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

結核の会議

2019年11月30日 | Weblog

 木曜日の夜に、県庁で結核の会議があって行ってきた。佐々木結花先生の特別講演があるので聴きたかった。

 

 日本の結核患者数は次第に減少はして、高齢者結核の割合が増加している。若年者では多くが外国出生者で、要するに日本に留学で就労できている外国人だ。

 健診を受けないで入国しているので、日本でした病院で健診を受けて診断書がないと入国できないようにする計画があるそうだ(まだしてない)。できたとしても、不法就労者は抜け落ちてしまう。

 高齢者の結核はわかりにくい(診断が難しい)。高齢者結核は呼吸器症状が少なく、発熱・倦怠感・食欲不振などの非特異的な症状を呈する。高齢ほど(結核を想起する)空洞のない病変が多い。高齢者は他の呼吸器疾患による呼吸器症状が元々あるので、結核の症状と気づかれない。

 気管・気管支結核は診断が難しい(肺野に陰影がない)。気管支鏡検査で白苔病変を認めるが、CTでも指摘できることがあるので読影でチェックする。

 肺結核と非結核性抗酸菌症(NTM)は同一患者にも生じる。結核だけと思ったらNTMもある、NTMだけと思ったら結核もあるので、ひとつ診断しても併発を否定しない。

 結核を発症しやすい疾患の患者さんに注意する。糖尿病で血糖コントロールが悪いと結核になりやすい。ステロイドなどの免疫抑制剤の治療を受けている患者さんは要注意。吸入ステロイド使用で結核・NTMが増加する。

 検痰は良い痰(膿性痰)を1ml以上とること。入院時に脱水症で良い痰が出ないこともあり、再検する。検痰は3回行う。(採痰の指導の仕方は、ロッシュのホームページなどに載っている)

 結核菌数が、10の5乗で喀痰塗抹が陽性になり、10の4乗でPCRが陽性になり、10の2乗で液体培地でが陽性になる。行った検査が結核菌数のどのくらいだと陽性になるかを意識すること。喀痰塗抹が陰性、PCRが陰性で結核ではないと隔離を解除した後に、液体培地で結核菌が検出されることもある。

 IGRAはwindow期で陰性になることもあり、そもそも陽性にならない人もいる(佐々木先生も暴露を受けてて、BCG陽性になるが、IGRAは陰性と)。陽性陰性の境界に相当する人では、陽性になったり陰性になったりする。IGRAの結果を過信しないこと。

 第一人者の話は迫力がある。キャラクターの問題かもしれないけど。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

るい痩・肝機能障害

2019年11月29日 | Weblog

 昨日内科医院から50歳女性がるい痩で紹介されてきた。内科新患担当は大学病院から来ている先生だった。5月ごろから体重が減少して診療情報提供書には25Kgの減少とある。

 先週の初めに医院を受診した時の検査結果があり、貧血はなく腎機能障害は軽度(体重からみれば中等度くらい?)だったが、肝機能障害が目立った(AST 619・ALT 164・LDH 442)。

 新患の先生から、入院が必要ですと連絡がきた。話を訊いてだけで、まだ特に検査はしていなかったので、外来で一般的な検査と画像検査を入れてもらうことにした。

 末梢静脈から点滴が困難になった患者さん(前立腺癌・多発性骨転移+誤嚥性肺炎の90歳男性)にCVカテーテルを緊急で入れるところだった。CV管理の高齢者のノルアドレナリンの調整もあり、内科の別の先生に検査結果をみてもらうよう依頼した。

 話を聞いた時は、膵癌・肝転移などを想定したが、肝機能障害が目立ちすぎか。るい痩そのものによる肝機能障害は経験がなく、わからない。

 午後になって検査結果を確認すると、AST 8610・ALT 5320・LDH 2062・ALP 1753・γ-GTP 97・総ビリルビン2.6と著しい肝機能障害を認めた。炎症反応は陰性で、他は脱水傾向の結果ではあるが、それほどのものはない。胸腹部CTはやせすぎていて(脂肪がないので)読影し難いが、閉塞性黄疸ではないようだ。

 劇症肝炎相当の肝機能障害ということで、地域の基幹病院消化器内科の肝臓専門医に紹介になった。この症例は当院で扱うのは無理だが、紹介された病院ではどう治療するのだろうか。Refeeding症候群に注意して慎重に輸液をするとして、ステロイドを使う?。見当がつかない。

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

糖尿病教育入院

2019年11月28日 | Weblog

 72歳女性が糖尿病の血糖コントロール不良で、内科クリニックから当院の糖尿病外来(大学病院糖尿病代謝科からバイト)に紹介されてきていた。8月末から2か月通院して、HbA1c11.6%が10.8%になった。

 経口血糖降下薬だけではこれ以上の改善は難しいということで、糖尿病教育入院を依頼された。少し認知症があり、独身の息子さんと二人暮らしだった。息子さんは、服薬管理を任せるのは無理ではないか、というのが病棟看護師さんの意見だった。

 外来の先生と相談して、まず持効型インスリンを追加するBOT(Basal supported oral therapy)で開始することになった。

 経口薬は、糖尿病がグリメピリド2mg/日・DPP4阻害薬とSGLT2阻害薬の合剤・メトホルミン2000mg/日・α-GI(ボグリボース0.9mg/日)、それに脂質異常症がアトルバスタチンとエゼチニブの合剤(アトーゼット)だった。

 持効型インスリンのトレシーバ3単位から開始した。数日して低血糖傾向になり、1日半続いたので、グルコース5%の点滴を半日使用した。外来と同じ処方で数日みてからでもよかった、と反省した。

 おそらく低血糖の一番の原因になる、SU薬のグリメピリドを中止した(トレシーバも中止)。良好な血糖が続き、メトホルミン2000mg/日は小柄な患者さんに多すぎると思われて、1000mg/日にした。

 外来で血糖コントロールが悪いのは服薬管理の問題(ちゃんと指示通りに内服していない)と思われたので、コンプライアンスの悪いボグリボースも中止した。

 結局、DPP4阻害薬・SGLT2阻害薬・メトホルミン1000mg/日で良好な血糖値になった。できれば処方を一包化して1日1回の服薬にしたいが、メトホルミンはやはり朝夕になってしまう。とりあえず低血糖になりにくい処方にはなった。

 入院予定の1か月になるので、今週末に退院することになった。外来で少し診てもらって、血糖コントロールが悪い時は、半年後くらいにまた教育入院にしてもらう。

 「そこが知りたい!糖尿病診療ハンドブック」は2年おきに改訂されて、現在第4版になっている。初版から購入してきたが、糖尿病の本はこれがベストだ。

 

ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック Ver.4

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

急性白血病

2019年11月27日 | Weblog

 火曜日に、内科新患を診ていた若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が相談にきた。55歳男性が息切れで受診して、著明な貧血(Hb5.4g/dl)を認めたという。

 7月の職場健診の結果をもってきていて、Hb14g/dlと正常域だった。白血球22000と上昇して、分画では当初リンパ球の比率が上昇していた。血小板2.6万と減少していた。

 白血球分画を目視で依頼していた。検査室に行くと血液担当の検査技師さんがちょうど鏡検していて、芽球を多数認めるという。骨髄芽球と赤芽球を認めて、赤芽球の方が比率が高かった。肝機能障害を認めて、LDHが2034と特異的に高い。これは血球由来だろう。急性白血病のうち、赤白血病だろうか。

 患者さんは隣の市から自分で車を運転してひとりで来ていた。発熱もあるので、感染症を併発している可能性がある。早急に血液内科に紹介する必要がある。

 当院からだとがんセンター血液内科に紹介しているが、すぐに対応できないこともあった。まずがんセンターに連絡して、ダメなら専攻医のホスト病院である医療センターの血液内科に連絡することにした。幸いがんセンターで午後から診てもらえることになった(ベットも用意すると)。

 若い先生は初期研修の時に血液内科は回らなかったそうで、専攻医のスケジュールでも血液内科は入っていないという。当院だと急性白血病は1年にひとり来るかどうかという頻度だ。末梢血に芽球が出ていないで汎血球減少だけだとわかりにくいが、芽球があれば診断に問題はない。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

椎間関節の偽痛風?

2019年11月26日 | Weblog

 1週間前の先週の水曜日に89歳女性が隣町の病院から紹介されてきた。3日前から腰痛があり、前日から動けなくなったという。39℃の発熱があり、血液検査の結果、白血球12900・CRP18.4と炎症反応上昇があったので、内科紹介となった。

 内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が診察して、相談された。少し発疹があって、虫刺されの後もあったので、ツツガムシ病でしょうかという。皮膚科でも診てもらったが、これは刺し口とは言えず、ただの虫刺されと言われた。

 当市の隣町とその隣町から年に数人ツツガムシ病の患者さんが受診している。皮膚科医は11月と○○町の組み合わせはツツガムシ病を考えますと言っていた。が、今回は違いますということだった。

 胸部線・CTで間質性肺炎を認めたが、呼吸器症状はない。尿混濁はまったくなかった。若い先生はツツガムシ病を否定できないということで、ミノマイシンで経過をみることになった。

 バイタルは発熱以外は特に問題がなく(比較的徐脈ではある)、患者さんは元気だった。血液培養2セットを提出していたので、まあそれで1~2日経過をみるのもあるかと思った。

 発熱が続き、金曜日の検査でも炎症反応はまったくの横ばいだった。若い先生は、どうしましょうかという。改めて診察すると右肩が痛くて上肢を上げにくい。両膝も痛いようだが、関節炎というほどの所見はなかった。その日は血沈もみていて、100と高値だった。

 リウマチ性多発筋痛症の症状とは言い難いし、巨細胞性動脈炎を併発しないと、ここまで高熱にはならない(頭痛はない)。検査値上は骨髄腫らしくはなかった。

 腰痛は続いていて、化膿性脊椎炎の疑いもあるが、血液培養は陰性だった(まだ中間報告)。胸腰椎MRIで確認してもらうと、腰椎の椎間関節周囲のT2脂肪抑制で高信号を認めた。 

 抗菌薬で経過をみるか(使用するとすれば培養結果が出るまではセフトリアキソン)、結晶誘発性関節炎(偽痛風)疑いとしてNSAIDで経過をみるかと思われた。週末なので、併用で経過をみるのもあるが、患者さんは比較的元気なので、NSAIDで経過をみたいという。

 週末から解熱して、月曜日の検査では白血球7600・CRP11.0と軽快していた。投与したのはNSAID(セレコックス)だけなので、NSAIDが効く炎症ということになる。患者さんは右肩もよくなったし、腰痛もよくなって、ベット上の動きは楽になり、歩行もできるようになった。

 数か月前に椎間関節の偽痛風か、という患者さんがいたが、この方もそうなのだろうか。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ツツガムシ病

2019年11月25日 | Weblog

 隣町の病院からツツガムシ病疑いで76歳男性が紹介されてきた。

 2週間前から39℃の発熱が続いていた。体幹・四肢に発疹もあった。先週同病院を受診して、内服の第3世代セフェム系抗菌薬が処方されていた(忽那先生のDU=だいたいウンコ)。

 左腋窩に刺し口と判断される病変があるが、すでに黒色痂皮ではなく、経過が長いためのようだ。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が対応して、皮膚科医にも診てもらったが、まあこれは刺し口でいいんでしょう、ということだった。

 白血球5400、CRP6.2mg/dl。AST 94・ALT 32・LDH 483と肝機能障害を認めたが、CK 508と上昇していてAST/ALT比が高いので、骨格筋由来のようだ。

 胸部X線・CTで両側肺に明らかな肺気腫像があり、軽度に浸潤影ととれなくもない部分(胸膜下で網状なので、感染ではないかも)がある。痰はないが、咳が少しある。

 ツツガムシ病としてミノマイシン投与で経過をみることになった。今日も39℃の発熱があるが、他のバイタルはさほどの問題はなかった。ADL自立なので、病棟のナースステーションから遠くの病室に入院となった。

 

 今日は96歳女性にCVカテーテルを右内頚静脈から入れ直した。右大腿静脈から入れていたが、カテーテル関連血流感染を来して、抜去していた。血液培養2セットからCNSが検出されて、バンコマイシンを使用した。じっとしてはいないので、ベテラン看護師さんに首と両手をぐいっと抑えてもらった。療養型病床へ転院するための条件(高カロリー輸液か経管栄養)を整える必要があった。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Monteggia脱臼骨折

2019年11月24日 | Weblog

 火曜日の早朝に7歳女児が骨折で入院した。左尺骨骨折で、橈骨骨頭脱臼を伴っていた。モンテジアMonteggia脱臼骨折というそうで、これは初めて見た。

 脱臼も伴っていることに注意する骨折ということだ。橈骨頭の徒手整復が可能な場合は保存療法になるようだが、今回は手術になっていた。

 内科としては、ひとり当直の時に、X線で少なくとも骨折を見逃すことはなさそうなので(後は整形外科にまかせるから)大丈夫かな、というところ。

 術前の麻酔科医の説明の時に、父親がヒステリックに騒いだらしく、患者さんのカルテ上に要注意のチェックが付いていた。

 

 今度の週末に学会で名古屋に出かける。名古屋はあまり行ったことがない。値段は高いが、金山駅のすぐ前にあって夜に着いてもすぐわかりそうなANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋にホテルを変更した。

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

外科は緊急手術

2019年11月23日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。土曜日の午前中は開業の先生方が診療しているので、あまり受診はないが、今日は祝日なので当番医しか診療していない。受診数が多いのを覚悟していたが、当番医が内科小児科クリニック(内科医と小児科医の夫婦)なので、そちらを受診したのか、今のところ受診数は少な目ですんでいる。

 精神遅滞があり、施設に入所している64歳女性が、朝からの発熱・痰がらみ(施設でのSpO2も低下)で受診した。

 副腎の手術歴があり、慢性服腎不全でコートリルを内服している。感染症の発症で、副腎不全の増悪を来すのが、これまでの通例だった。今日は意識障害の程度は軽度だった。ただし肺炎は両側肺にあり、軽度ではなかった。

 入院で、抗菌薬投与とステロイド点滴静注を開始した。

 

 救急外来に出ていると、当直(看護)師長さんに外科のトップの先生から連絡が入った。当番の麻酔科医に連絡をとりたいとい内容だった。5日前に他院の泌尿器科から転院してきていた79歳男性が緊急手術になるそうだ。

 この患者さんは前立腺癌で治療していたが、治療抵抗性になり、当院で主に緩和ケア継続の目的だった。転院してすぐから前立腺癌の直腸浸潤により内腔狭窄をきたして、腸閉塞になった。

 保存的に経過をみたかったらしいが、CTで腹水貯留も認めて、手術と要すると判断していた。術式はS状結腸人工肛門造設だった。多発性骨転移・多発性肝転移もあり、胸水も貯留している。かなり厳しそうで、主治医の先生は土日の休みはなくなるのだろう。本当にお疲れ様です。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネフローゼ症候群

2019年11月22日 | Weblog

 昨日大学病院腎臓内科の先生から連絡が来て、当院から紹介したネフローゼ症候群の患者さん(64歳女性)の転院をお願いできますかと訊かれた。患者さん側の希望もあったようだが、ベットがいっぱいでということだった。

 明日でも大丈夫ですかといわれたので、空いていますからどうぞ、と答えた。ADL自立の患者さんは、介護度の高い内科病棟では大歓迎だった。

 当院に腎臓内科外来と透析のバイトに来ているので、大学病院腎臓内科医が週2回はいることになる。処方の調整はこちらでしますという。当院でベットだけお貸しするような形になる。さっそく今日転院してきた。

 思い返せば10月半ばから浮腫があったようだが、はっきり下腿浮腫を自覚したのは10月末だった。大腿部まで進行して、自称「ぞうさんの足」だった。

 心不全ではということで、当院の循環器科の外来を受診した。検査の結果、尿蛋白強陽性・低蛋白血症(血清蛋白5.2g/dl・血清アルブミン1.8g/dl)を認めて、ネフローゼ症候群が疑われた。腎臓内科外来を受診して、精査のため大学病院紹介となった(自分の科に連れて行く形)。

 大学病院で腎生検が行われて、膜性腎症と診断された。プレドニン50mg/日(0.8-0.9mg/kg)が1週間前から開始されている。しばらくは同量で継続になるが、そこから漸減を開始するとしても相当かかる。この時期だと年末には退院を希望されるので、プレドニンの量よりは、そちらの事情で退院が決まるかもしれない。

 抗核抗体が80倍でSLEの基準を満たすのでSLEかもしれないと記載されていた。分類基準のどこを満たすのかわからないのと、80倍は有意な値ではないとも思われたが、専門医がいうのでそういうことにする。

 糖尿病はDPP4阻害薬とメトホルミンで治療されていて、HbA1c7.3%なので、プレドニン使用で血糖高値になると予想される。インスリン強化療法になるだろう。BUN13.0mg/dl・血清クレアチニン0.64mg/dl・eGFR71)だが、メトホルミンはいいのか。まだ下腿浮腫は目立ち、利尿薬の処方はなかったが使用してもいいのか。まあ、処方はいじらないけど。

 

 大学病院のベットがいっぱいの時に、ベットを貸して当院で治療してもらうという形はありかもしれない。大学病院の近くにある病院は、外科医局の関連病院で、常勤医も赴任しているし、ふだんからバイトにも行っていた。大学病院で手術がいっぱいになると、その病院に患者さんを入院させて、大学から医師が手術に行っていた。

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上下肢痛のはずが

2019年11月21日 | Weblog

 午前中は救急当番だった。さっそく救急隊から搬入依頼が来た。認知症の87歳女性が昨日転倒して、今日は左上下肢を痛がっていて、動けないという。骨折かと思われた。

 搬入時、左上腕の腫脹があるが、骨折ほどの痛みはないようだ。左股関節部も痛がったが、動かしてみると骨折はないようで侵奪上は打撲程度かと判断された。

 単純X線で左上腕骨・大腿骨に骨折は認めなかった。ヒビ程度だとわからないので、CTで確認することにした。胸部X線で左肺に腫瘤様の陰影があり、肺癌疑いもあった。

 胸腹部CTで確認すると、上腕骨・大腿骨に骨折はなかった。左上葉の陰影は腫瘤様というよりは浸潤影かもしれない。胸部単純X線でわからなかったが、右下葉に明らかな浸潤影がある。

 白血球21800、CRP13.1mg/dlと上昇していた。CK2096と上昇して、トイレ付近で倒れた時の打撲と、その後家族が発見するまで同じ姿勢でいたせいだろう。筋肉の障害を差し引いても肝機能障害もあった(脂肪肝もある)。

 認知症で自宅内で這って、あるいはつかまって移動していた。昨日はトイレの前で倒れて、左半身を打撲した。排尿が間に合わず、尿失禁もした。その後昨日はそれなりに動いていたそうだ(骨折ではない)。今朝になって起きてこないの家族が見にいくと、左上下肢の痛み(打撲・挫滅?)を訴えて、動けないと言った。

 肺炎があると家族に伝えると、そういえば1週間くらい前から咳が出て、痰が絡んでいうようだったという。発熱はなかった(搬入時も)。

 喀痰培養は黄土色のねばねばした良質な痰がとれて、肺炎球菌尿中抗原が陽性だった。要するに肺炎球菌肺炎で体調不良になって、(中腰程度から)転倒したということのようだ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする