なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

CO2ナルコーシス

2020年08月31日 | Weblog

 金曜日に救急外来を診ていた外科医から、慢性閉塞性肺疾患の増悪の84歳男性の診療依頼が来た。

 熱中症の89歳女性と100歳女性を入院させようとしていた時だった。内科の若い先生が6月にその患者さんを入院で診ていたので、入院治療を頼んだ。

 普段は在宅酸素療法で酸素2L/分を吸入していた。画像を確認すると、胸部X線・CTで右肺背側に軽度の浸潤影を認めるくらいだったので、そうたいしたことはないかと思っていた。若い先生から、CO2ナルコーシスです、と連絡がきた。意識は傾眠状態でぼんやりしているという。

 血液ガスで、PaO2 88.0・PaCO2 88.7・pH 7.239と呼吸性アシドーシスだった。NPPVを付けましょうかといわれたが、これは付けるしかない。

 当院に来てからも、別の患者さんでNPPVを使用しているので、慣れてはいるようだ。V60で治療が開始された。

 今日の血液ガスは、PaO2 94.0・PaCO2 54.6・pH 7.400と改善している。IPAP 8cmHO・EPAP 4cmH2O・FiO2 0.3なので、あとは離脱できるかどうかになる。

 救急隊搬入時に酸素5L/分で来ていた。これは酸素飽和度を低めで許容するように伝えておかないと、よかれと思って酸素濃度を上昇させてかえって悪化させてしまう。

 

 

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肺腺癌・癌性胸膜炎

2020年08月30日 | Weblog

 木曜日に地域の基幹病院緩和ケア科から、肺腺癌・癌性胸膜炎の80歳男性が転院してきた。

 7月下旬に当院に救急搬入された。確か、救急当番の外科医に相談された(という記憶がある)。左胸水た大量に貯留していて、発熱はなく、炎症反応にも乏しかった。ふだん通院していない方で、2015年の胸部X線があるが、特に異常はない。CEAは正常域でCA19-9 が1917(<37)と高値だった。

 肺炎胸膜炎・膿胸ではなく、癌性胸膜炎だろう。行うとすれば胸腔穿刺を行って胸水の精査となる。胸腔ドレーン挿入から胸膜癒着術に進むかもしれない。最初から呼吸器内科に依頼した方がいいので基幹病院への紹介を勧めた。

 先方では胸水細胞診で腺癌を証明して、肺腺癌・癌性胸膜炎と診断された。しかし年齢もあるが認知症で精神科病院に通院していたので、治療の適応なしと判断されていた。

 緩和ケア科に転科していた。といっても、鎮痛薬としてはアセトアミノフェンとトラマドールの屯用程度で、あまり治療としてやることがない。(ホスピスではなく、約2週間の入院で癌性疼痛の調整をしているので、長期入院はできない)

 家族に退院の話がされたが、認知症で在宅介護が難しいとすぐの退院は希望しなかった。それで紹介元でもある当院に、緩和ケア科の先生から転院の依頼が来たという経緯だった。

 転院の時に来ていた長男と相談した。患者さん本人は退院したがっている。通常ならば、いったん退院してできるだけ家庭生活を続けて、入院が必要になった時に再入院してもらう。

 認知症でどれほど困っていたかわからないが、やはり退院して在宅でみるのは難しいという。1か月患者さんが自宅にいない期間があり、家族としては楽だったのかもしれない。

 外出・外泊(一泊)ならはできるというので、1~2週間病院で経過をみてから(リハビリもする)決めることにした。

 長くても今年いっぱいの予後といわれたそうだ。予後予測のしにくい形だが、癌性心膜炎に進行すると急変の可能性がある。

 

 

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培養結果の解釈

2020年08月29日 | Weblog

 先月の半ばに97歳女性が嘔吐して食べられなくなって入院した。食道裂孔ヘルニアがあり、そのためかと思われた。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が担当して、点滴して嚥下訓練を開始していた。少しずつは食べられるようになっていたが、手ねt気も続けていた。

 日曜日に高熱が出現して、担当医が病院にきて検査を行った。胸部X線で右肺に軽度に肺炎と思われる陰影を認めた。きちんと教科書通りに、入院患者発熱時の培養検査として血液培養2セット・尿培養・喀痰培養を提出した。嚥下訓練をしていたので、誤嚥性肺炎としてスルバシリン(ABPC/SBT)を開始していた。

 翌日には解熱していたので、肺炎が軽快していると判断していた。ところが細菌検査室から連絡があり、血液培養2セットからグラム陽性球菌が検出されたという。

 抗菌薬をバンコマイシンにしますか、と相談された。グラム陽性球菌なので、通常は連鎖球菌・ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌のMSSAかMRSA、またはコアグラーゼ陰性ブドウ球菌CNS)・腸球菌(faecalisかfecium)になる。全部カバーできるのはバンコマイシンになる。しかし、患者さんは解熱して、バイタルも問題なかった。

 中心静脈カテーテルは挿入されていない。末梢の点滴刺入部・血管にも所見はなかった。

 肺炎で血液培養から検出されるのはあまりない。通常は尿路感染・胆道感染だが、それらによる菌血症でグラム陽性球菌はあまりないはずだ。

 尿カテーテルが留置されていて、尿検査は混濁して細菌を認めている。尿路感染症からの菌血症とすれば、尿カテーテル留置からも腸球菌だろうか。

 臨床的に待てるのと、1~2日で菌名が出るので、抗菌薬はそのままもあると伝えた(変更もあるが)。その後も経過順調で、検査値も軽快していた。

 

 培養結果が出た。血液培養2セットからStaphylococcus epidermidis(MRSEが検出された。尿培養からは腸球菌(E.faecalis)と緑膿菌が出た。喀痰培養からはMRSAでおそらく前月の入院歴もあり、定着菌だろう。

 尿培養は留置カテーテル尿のチューブの途中から採取しており、留置の場合はカテーテルを入れ替えて、膀胱内の尿を採取するよう伝えた。尿培養の結果も定着菌だろう(たぶん)。

 血液培養は末梢静脈から採取できず(97歳!)、両側大腿動脈から採取していた。血液培養1セットからのMRSEだとコンタミだろうと判断されるが、2セットから出ると通常は起炎菌と考えるしかなくなる。ではあるが、どうも2セットともコンタミで?。

 診断は誤嚥性肺炎で、スルバシリン(ABPC/SBT)が効いたと考えるのが妥当のようだ。

 

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間質性肺炎の増悪

2020年08月28日 | Weblog

 今週月曜日に、地域の基幹病院呼吸器内科から85歳男性が転院してきた。前月に当院から搬送した患者さんだった。

 7月の連休の前日の夕方に(時間外)、動けなくなったとして当院に救急搬入されていた。外科の救急を診ていたが、ちょうど帰る時に救急室を覗いてみた。

 動けなくなったということで(麻痺はない)、頭部CT・MRIの検査をしていたが、異常はなかった。胸腹部CTで両側肺の陰影が目立っていた。37.8℃の発熱があった。発熱を来す疾患により、もともとADLの悪い高齢者が動けなくなったという経緯だろう。

 細かな蜂巣肺に淡いすりガラス陰影が広がっている。間質性肺炎に見えた。当院では対応できないので、呼吸器内科へ搬送するしかない。

 今どきだと、間質性陰影は新型コロナウイルス感染症による肺炎との鑑別で、嫌がられるだろうと思った。(印象としてはコロナウイルスの場合はきれいなすりガラス陰影で、特発性間質性肺炎は胸膜直下の蜂巣肺+すりガラス陰影で違うようだ。個人の感想です。)

 ただこの患者さんは昨年11月に当院に肺炎で入院した既往があった。消化器科の先生が休日日直の時に診て、そのまま自分で入院治療していた。抗菌薬投与で約1週間治療して軽快退院している。

 その時の胸部CTをみると、もともと間質性肺炎の変化がある。(入院した時は細菌性肺炎の併発だったのだろう)そうだとすると、間質性肺炎の増悪として受けてもらえるかもしれない。

 外科の先生が先方の病院に連絡して、その旨を伝えると、受け入れてもらえた。実際は先方の病院に心筋梗塞や脳梗塞で入院した既往があり、一昨年に撮影した胸部CTで間質性陰影を認めていた。

 ステロイドパルス療法からプレドニン1mg/kg/日で治療が行われて、間質性陰影は軽快した。当初は感染症も考慮して、セフトリアキソン・アジスロマイシンを併用していたが、有意菌は検出されず、中止している。経過中に心不全の悪化で酸素が低下して、利尿薬で改善するというエピソードもあったそうだ。

 プレドニン25mg/日で退院もっていこうとしたら、腰痛で退院できなくなった。整形外科に相談したが、骨折はないとされた。そこで当院に療養転院となったという経緯だった。

 

 転院して来ると、患者さんは元気だったが、両上肢が皮下出血だらけだった。バイアスピリンとワーファリンを内服している。資料情報提供書にワーファリン2㎎/日と記載されていたが、実際は1.5m/日内服で直近で減量したらしい。検査すると、PT6%・PT-INR8.76で、ビタミンK静注から当院で治療が始まった。

 

 

 

 

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非結核性抗酸菌症(Mycobacterium avium)

2020年08月27日 | Weblog

 先週の金曜日に感染管理ナース(ICN)のひとりが、喀痰塗抹で抗酸菌陽性でしたと報告に来た。

 当院にはICNがふたりいるが、それほど仕事はないので、ひとりが感染管理専従で、もうひとりは通常の看護師業務をしている。その日は専従の看護師さんは休みで、病棟を担当しているもうひとりが代行をしていた。

 結核患者が出たと思って慌てていたらしい。入院中の患者さんではなく、外来の患者さんで呼吸器科外来からの検査オーダーだった。患者さんは64歳女性。

 カルテを開いて見ると、非結核性抗酸菌症(NTM)疑いの患者さんで、数年間フォローされていた。たぶんMACだと思うから心配ないと伝えた。呼吸器科の先生(他の病院からバイト)は塗抹検査と培養検査だけオーダーしていたので、PCR検査はどうしますかと訊かれた。型通りに結核菌とMACのPCR検査を追加しておいた。

 今週の火曜日に結果が出て、結核菌PCRは陰性で、Mycobacterium aviumのPCR陽性と出た。予想通りだった。

 画像が残っているのが2011年で、健診で異常陰影を指摘されて受診していた。右中葉と左舌区に陰影を認めている。非結核性抗酸菌症(NTM)疑いで経過観察となった。

 その後、2016年になると少し陰影が増えているが、それほどではない。そのまま経過観察になった。

 そして今回2020年では陰影が明らかに増えている。ただし喀痰はほとんどなく、やっと出した喀痰での検査だった。

 まず診断だが、NTMは「原則2回以上の培養陽性」なので、検査を繰り返すことになる。そして診断確定となった時に、治療開始となるのか、このまま経過観察になるのか。(呼吸器科の外来予約が来月始めに入っている)MACの治療は、「現行の薬物治療は一定の効果があるが限定的であり、根治可能とはいえない」。

 9年間の経過を見て興味深かった、という話。

 

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骨髄異形成症候群(MDS)

2020年08月26日 | Weblog

 汎血球減少で再生不良貧血として治療されてきた80歳男性のその後。

 

 再生不良性貧血として蛋白同化ステロイドのブリモボラン(メテノロン酢酸エステル)が処方されていたが、しだいに貧血が目立つようになってきた。

 そもそも診断された経緯がわからなくなっていた。当院は18年前に新築されたが、その前の病院の時からの診断で、それまで担当していた先生はほとんどカルテ記載がない(当初担当したのはさらに別の先生らしい)。

 骨髄検査をしているかどうかも不明だったが、患者さん本人は骨髄検査で痛かったという記憶があり、おそらく一度は受けている。たまたま血液専門医がいた時期なので、その時点での診断としては妥当なのだろう。

 

 改めて専門医に評価してもらうために、がんセンター血液内科に紹介した。受診そのものを渋っていたが、奥さんの説得もあって行く気になった。受診した後も予定された骨髄検査を受けたくないと言っていたが、方針がたたないのでぜひ受けるよう勧めた。

 火曜日にがんセンターからの診療情報提供書を持って受診した。Hb6.6g/dlだが、本人は元気だった。貧血からくる両下腿浮腫も、利尿薬少量内服で軽減している。

 骨髄検査の結果は低形成髄で、質的評価が困難な面もあるが、再生不良性貧血よりも骨髄異形成症候群MDS(低リスク)と考えられるという。今後は適宜輸血を含めた支持療法継続になるが、本人と家族の希望もあり、貴院で治療継続をお願いします、とあった。

 MDS低リスクだと、骨髄不全(血球減少)の治療が中心になる。といっても、白血球輸血はないわけで(G-CSFもなくはないが)、血小板輸血も現実的には無理だ。赤血球輸血(濃厚赤血球)が中心になる。

 輸血が頻回になると、鉄キレート療法の適応になる。まだ濃厚赤血球4単位を入れただけなので、まだ大丈夫だが。感染症を併発した時の治療に難渋することになるか。

 プリモボランはおそらく、この患者さんには一定期間効果があったという経過なのだろう(MDS自体には保険適応はないが)。

 

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クリニックからの診療継続依頼

2020年08月25日 | Weblog

 昨日内科再来に内科クリニックから72歳男性が紹介されてきた。

 8月初めにクリニックを受診した時に、「このやろう!」から始まってクリニックの先生を罵倒したとあった。今年の初めから不信を露わにすることが増えていたそうだ。

 患者さんとの信頼関係が破綻している。ついては7月の当院に入院したが、その時の担当医を信頼しているので、当院でみてほしい、とあった。

 担当医は内科の若い先生(自治医科大学卒後3年目の義務年限中の先生)だったが、トレーニングとして内科新患を担当してもらっているが、内科再来は担当していない。地域医療連携室としても、トラブルになりそうな患者さんなので当方にもってきていた。

 7月の入院中は相談されていなかったが、著しい腎機能障害を認めたことから、若い先生は腎臓内科医(大学病院から4か月交代で来ている)に相談していた。経過は以下の通り。

7月21日に食欲不振・下痢でクリニックを受診して、外来で点滴を行ったが、その日のうちに当院へ紹介されていた。著しい腎機能障害(BUN 47.3mg/dl・血清クレアチニン7.24mg/dl、尿蛋白+・尿潜血+)と炎症反応上昇(白血球10500・CRP19.7mg/dl)を認めた。 

 下痢をして食事摂取できていないので、脱水症による急性腎前性腎不全の可能性がある。感染性腸炎と関連して腎機能障害が起きている可能性、下痢と別に急速進行性糸球体腎炎(PRGN)が起きている可能性が考えられた(腎臓内科医にカルテ記載による)。

 まずはRPGNなどの腎疾患の外注検査を提出して(結果は全部陰性)、点滴による脱水症の治療が開始された。血清クレアチニンが翌日には4.62mg/dl、6日目には0.91mg/dlと一気に改善して、脱水症による腎前性腎不全だった。

 便培養で病原性大腸菌が検出されて(毒素は陰性)、診断は感染性腸炎と確定した。症状は消失して食事摂取良好となり、炎症反応も6日目にCRP1.0mg/dlと一気に改善していた。経過は順調そのものだった。

 

 ふだんの病気は高血圧症・肺気腫で、平地歩行をゆっくり歩行する分には支障がないらしい。されどんな人が入ってくるかと思ったが、奥さんと一緒に診察室に入ってきた。本人は不機嫌そうな感じであまりは話はしない。若い先生は内科再来は診ていないので、当方の担当になるが、それでいいかと確認した。奥さんが先生でいいです、と答えた。

 内科クリニックの処方をちょっとだけ調整したが、ほぼ同様の処方を継続とした。当院では慢性疾患の場合、最低2か月分の処方になる。

 その日は内科再来の最後に連携室で入れていたので、簡単な診察だけで終わった。この患者さんは認知機能はどのくらいで、どういうキャラクターなのだろうか。(クリニックの先生は患者さんともめるような人ではない、と思う。たぶん。)

 4年前に当院で頭部CTを行っていて、明らかな脳血管障害はなく、(側頭葉内側を含めて)脳委縮は目立つようではなかった。機嫌を損ねないように、少しずつ認知機能の評価をしていくことになる。

 

 

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肝膿瘍

2020年08月24日 | Weblog

 先週土曜日は内科日直だった。病院に来ると先日の当直医(他院からバイト)が、早朝に受診した62歳男性の診察をしていると看護師さんから連絡がきた。当直の先生がコロナウイルスの抗原検査が必要と言っています、ということだった。

 患者さんはその前の週末に、泊りがけで県内の観光地に出かけていた。夜に高熱が出て、地元の病院を受診した。検査の内容が記載されたものしか持っていなかったが、胸部X線・血液検査を受けていた。

 入院するか訊かれたが、地元の病院(当市の隣町)を受診すると言って、そのまま家族といっしょに自宅に帰宅していた。

 週明けの月曜日の夜間に、当院の救急外来を受診していた。症状は発熱だけで見た目は特に重症感もないので、アセトアミノフェンのみ処方されて、日中に受診するよう言われていた。

 

 外来に診に行くと、ちょうど胸部CTの検査が始まるところだった。技師さんに言って、不明熱なので胸腹部でとってもらうことにした。両側肺に異常はなかったが、肝臓内に腫瘤性病変があった。腹部にその他の異常はなかった。 

 発熱以外の症状が乏しい経過なので、肝膿瘍が疑われた。血液検査は採血したばかりでまだ出ていない。腎機能を確認して、造影CTを行うことにした。30分くらいで、生化学の結果が出て、腎機能は問題なかった。

 造影CTでは低濃度域の周囲が造影されて、肝膿瘍に矛盾しない。腸管や胆道系に異常はないので、機序は不明だった。

 

 化膿性肝膿瘍でこの大きさだと、ドレナージを要する。当院の体制では対応できないので、地域の基幹病院にお願いすることにした。連絡すると、受け入れ可能とのことで、ありがたく救急搬送させてもらった。

 診察では腹部は平坦・軟で、明らかな圧痛はなかった。右上腹部を叩打するとちょっと響くとは言っていた。病変がわかってからの診察なので、響くだろうと思ってやっているので、所見としてとっていいかどうか。これは画像がないと、診断はできない。CTの面目躍如ということになった。

 

 

 

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硬膜下血腫

2020年08月23日 | Weblog

 こちらも水曜日の内科新患で内科の若い先生が診た症例。

 

 7月末の日曜日の早朝に、106歳の男性が転倒して頭部打撲・切傷で救急外来を受診した。日当直で大学病院から来ている外科医が対応した。

 頭部CTで両側の硬膜下血種(ほぼ水腫)を認めた。2008年に頭部MRIの画像が残っていて、その時からあるとして、経過観察となった。

 その後、尿失禁するようになり、受け答えがおかしい(?)として市内の医院を受診して当院に紹介された。それなりに会話はできて、食事摂取も問題ない。

 人と場所はわかるが、日時はわかっていなかった。これは見当識障害なのか認知力の問題なのか。また尿失禁も以前からあり、程度が進んだと判断していいのか。

 頭部CTを取り直したが、CT像は前回と同様だった。両側の硬膜下水腫があるが、左は淡く血種になっている。これは打撲前にはなかったのかもしれない。

 相談されたが、大至急脳外科搬送というほどではないようだ。地域の基幹病院脳外科に翌日紹介(検査終了時は昼過ぎだった)でもいいかな、と伝えた。

 家族の希望で、息子夫婦の家から近い病院を希望されたので、そちらに紹介となった。脳外科のことはわからないが、開頭手術ではなく、五苓散で経過をみるのだろうか。(106歳だと必要があっても開頭手術の適応はないか)

 

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心不全(AF・OMI)

2020年08月22日 | Weblog

 水曜日に内科の若い先生が内科新患を診ていた。85歳男性が「手足がむくむ」という訴えで受診した。

 地域の基幹病院循環器内科に通院していて、5年前に急性心筋梗塞で入院した既往がある。慢性心房細動があり、主訴を聞いただけで心不全の増悪と判断される。

 処方は降圧薬(ARB・Ca拮抗薬・αβ遮断薬)・利尿薬(アゾセミド15㎎)・スタチンにDOACが出ていた。

 胸部X線・CTで両側胸水貯留を認めた。心電図は心拍数70台/分の心房細動。心エコーでEFは65%と案外良好だった。心不全として当院の循環器科に回していた。

 順か気かで入院治療を勧めたところ、通院している基幹病院に入院したいと希望されたので、電話で連絡してそのまま向かってもらったのだった。

 腹水も中等度貯留しているのは、心不全だけでいいのかとは思った。血清アルブミンは3.0g/dlで若干低いが、よくわからない。

 

 どうして当院を受診したのかと思った。患者さんが通院している病院に「足がむくんでいるので受診したい」と連絡したところ、「足を高くして、塩分を控えるように」と言われたそうだ。う~ん男前(女性医師)。

 

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