なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

痰が詰まった

2024年02月12日 | 誤嚥性肺炎

 2月9日(金)に腎臓内科の先生にパーキンソン病の治療について相談された。相談というよりも自分の判断を確認するために訊いてみたということのようだ。

 

 患者さんはパーキンソン病で当院の脳神経内科外来(大学病院からの応援医師担当)に通院していた。処方はパーキンソン病の処方がほぼフルで入っている。認知症もあり、認知症薬と抗精神薬も出ていた。

 1月14日(日)に肺炎で救急要請して、地域の基幹病院に搬入されていた。酸素10L/分でも酸素飽和度が90%未満で、たぶん最初に当院に依頼が来たはずだが、対応困難ということで断ったのかもしれない。

 両側肺、特に右肺の浸潤影が広範に広がっていた(誤嚥性肺炎)。気管挿管・人工呼吸ではなく、NPPVで対応していた。2週間の抗菌薬投与でしだいに軽快して、ネーザルハイフローを経由して、酸素量が漸減されて、酸素吸入から離脱できたとある。

 経口摂取は困難で、経鼻胃管による経管栄養が行われていた。その状態で当院に2月7日転院してきた。リハビリ・療養転院は内科系医師が順番に受けている。

 聴覚言語療法士による嚥下評価から始まったが、喀痰が多く、頻回の吸引を要していた。2月9日に担当医が診察した後に、痰が詰まったらしく、呼吸停止状態になった。

 すぐに気管挿管・人工呼吸が開始された。自発呼吸はあるが、抜管するとまた痰が詰まる可能性があり、連休明けの気管切開を考慮しているという。

 

 訊かれたのは、パーキンソン病の治療(点滴静注への変更)だったが、実際は先方の病院での対応が記載されていた。レボドパ製剤の点滴静注(ドパストン注)と ドパミンアゴニストの貼付剤が使用されていた、とある。

 点滴は末梢からだが、CVカテーテルを挿入して高カロリー輸液に切り替えていくという。経鼻胃管はそのままにして、薬剤投与だけ行うようだ。すでに関節拘縮があり、はたしてこの病状で大量のパーキンソン薬の投与はどれほど効果があるのだろう、と思ったらしい。

  

 急性期病棟はかなりの入院数のところに、COVID-19の患者さんと人工呼吸の患者さんをみるので、週末は大変だった。(地域の基幹病院は、当院なりの集中治療しているような患者さんばかりでなので、職員数は多いとしてもさらに大変なのだろう)

 

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誤嚥性肺炎

2023年11月14日 | 誤嚥性肺炎

 11月10日(金)は当直だった。翌11日(土)の午前8時前に市内の救急隊から搬入依頼がきた。

 糖尿病・高血圧症・ラクナ梗塞で市内のクリニックに通院している85歳女性が、嘔吐して動けないという。救急車に収容して体温を測定すると38℃あった。咳はしていない。酸素飽和度が90%(室内気)で酸素吸入を開始していた。

 明らかな呼吸器症状はないが、肺炎だろうか。来てもらうことにした。

 コロナ、インフルエンザの迅速検査は陰性だった。胸部X線・CTで確認すると、両側肺の背側(上葉~下葉)にすりガラス陰影と浸潤影が混じったような陰影があった。

 嘔吐したのは両側肺炎による体調不良のためだろう。昨日夕方から調子が悪いと本人も言っていたそうだ。

 時間外なので、血液検査は簡易検査になるが、白血球18400・CRP4.2と上昇していた。CRPからみて昨日からのイベントだろうか。

 酸素吸入3L/分で飽和度は97%まで上昇した。認知症はなさそうで、普通に会話できた。午前9時過ぎには外来の処置が終了して、病棟に上げるばかりになったから、大至急の処置になる。(午前中に用事があったので急いでいた)

 11月13日(月)には解熱して、酸素吸入は2L/分に減量されていた。聴覚言語療法士(ST)に診てもらうと、嚥下調整食4からでいけます、といわれた。

 画像からは誤嚥性肺炎に見えるが、嚥下障害はないのだろうか。糖尿病薬は休止していたが、降圧薬は内服できれば継続にしていた。

 「絶食にして、内服薬は内服できれば継続」という指示を出してしまうが、「誤嚥性肺炎の患者さんに錠剤を飲ませるのは、ピーナツを丸のみにして下さいというのと同じ」、と誤嚥性肺炎の本に書いてあった。

 

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