なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性心筋梗塞

2024年04月23日 | 循環器疾患

 4月22日(月)の午後1時半に、予約外で受診した患者さんを診に行った。外来の看護師さんが患者搬送の話をしていた。

 訊いてみると、その日内科外来にきていた先生(大学病院から)が、急性心筋梗塞の患者さんを地域の基幹病院循環器内科へ救急車同乗で送って行ったという。

 

 畑仕事をしていた69歳男性が正午ごろに突然胸痛が発症した。痛みは左前胸部から左頸部に放散して冷汗もあった。30分後には当院に駆け込んできたことになる。

 バイタルは、血圧107/74mmHg・心拍数47/分・呼吸数14回/分・酸素飽和度100%(室内気)・体温35.6℃だった。心電図ではⅡ・Ⅲ・aVFで典型的なST上昇を呈していた。(鏡面像として、Ⅰ・aVLでST低下になっていた)右冠動脈なので徐脈を呈している。

 担当した先生は循環器内科なので、心エコーも行って下壁のhypokinesisを確認していた。計測なしで、左室の動きだけをみていた。

 

 発症30分後でも、(波形として)きれいなST上昇を呈したことになる。

 発症超早期だとST上昇がまだ出現せず、T波増高(hyperacute T)を呈する。テキストや実際の症例で胸部誘導ではhyperacute Tを見たことはあるが、下壁梗塞のⅡ・Ⅲ・aVFではST上昇しか見たことはない。前壁中隔梗塞と下壁梗塞では違うのだろうか。

 

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心肺停止

2024年04月22日 | 循環器疾患

 4月18日(木)は当直だった。隣町の救急隊から、心肺停止の70歳代前半の男性の搬入依頼がきた。

 その町の町立病院に糖尿病で通院しているそうだ。そこは常勤医3名の病院で、時間外の救急はほとんどとっていない。その日も真っ先に連絡したが、対応できないといわれていた。

 地域の基幹病院に連絡したが、満床で断られていた。(心肺停止は)どこで診てもいっしだから、ともいわれたそうだ。あとは遠方の病院になっていしまうので当院で受けることにした。

 後で家族から聞いたところでは、その日は大動脈解離術後の妻の大学病院受診日で、患者さんと娘が付き添って受診してきた。自宅に戻ったのは午後7時ごろで、3人とも疲れていた。

 患者さんは車の中で嘔気を訴えていたが、自宅に戻ってから嘔吐してそのまま意識を失って倒れた。胸痛や頭痛は訴えなかったという。冷汗の有無はわからないようだ。呼びかけても反応がなく、呼吸が止まっていたので娘さんが救急要請した。

 救急隊到着時、心肺停止(心静止)だった。心肺蘇生術が開始されたが、まったく反応がなかった。救急車内に搬入して、自動式心臓マッサージ器の装着とラリンゲ(ア)ルチューブによる人工呼吸を開始した。

 当院到着時、心肺停止(心静止)・瞳孔散大・対光反射なしだった。血糖は230mg/dLで問題なかった。

 点滴を入れて、アドレナリンを使用したが、まったく反応はなかった。30分経過したところで、家族に説明して心肺蘇生術を中止して死亡を確認した。

 Autopsy imagingとして頭部CT・胸腹部CTを行った。頭部CTは異常がなかった。胸腹部CTでは大動脈と冠動脈の石灰化が目立った。肺うっ血は急性循環不全を示唆しているかもしれないが、長時間の自動式心臓マッサージの影響がある。嘔吐後だが、気道に食物などはなかった。

 心疾患による急死と判断された。致死的不整脈の可能性も否定はできないが、冠動脈の石灰化からは急性心筋梗塞(左の主幹部?)の可能性が高いか。

 

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頻脈性心房細動

2024年03月30日 | 循環器疾患

 高血圧症・糖尿病・大動脈弁閉鎖不全症で通院している74歳女性が、数日前?からの労作時息切れで受診した。両下腿に中等度の浮腫がある。酸素飽和度は98~99%(室内気)だった。

 前回の心電図検査では正常洞調律で上室性期外収縮がちょっとだけ入っていた。心エコー検査(週1回他院から心エコーのできる検査技師さんが来ている)、EFは60%台で大動脈弁閉鎖不全症があった。あまり行きたがらないが、循環器内科のあるところで評価して欲しいと思っていた。

 この方は現在は禁煙しているが、以前は喫煙していた。喘息症状を伴うこともあり、Asthma+COPD=ACO相当だった。3剤の合剤(ICS+LABA+LAMA)のテリルジー吸入をしていて最近は喘鳴を聞かない。

 診察すると、不整脈の頻脈だった。心電図で確認すると、頻脈性心房細動(心拍数140~180)だった。動悸を訊いても、ないという。もっぱら息切れを訴えた。

 血管確保をして、ベラパミル注を行うと心拍数は100前後/分になった。ビソノテープ(ビソプロロール)4mgを貼付した。心拍数は80~100/分になった。

 入院で経過を見ましょうと伝えると、入院はできないという。COPDの夫の世話があるというが、自分の問題として入院してくないらしい。利尿薬・DOACを内服してもらって、処置室で経過をみることにしたが、起き上がって周囲をきゅろきょろ見ている。

 もう1回胸部X線と心電図を検査して、心房細動のままだが、心拍数80~100/分で(安静時だが)安定している。胸部X線はやや軽減か。

 改めて入院を勧めたが、結局帰宅することになった(自分で車を運転して来ていた)。必ず翌日受診することを約束して帰った。

 

 この患者さんの夫はCOPDの増悪で入院したが、喫煙したくて数日で退院してしまった。隠し持っていたタバコを看護師さんに取り上げられたのが気に入らないらしい。

 在宅酸素療法の適応だが、拒否している。在宅酸素で喫煙されても怖いので、そのままになっている。

 

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肺炎、心不全

2024年03月25日 | 循環器疾患

 3月25日(月)の早朝に93歳男性が呼吸困難で受診した。施設に入所しているので、施設車での救急外来受診だった。

 胸部X線・CTで両側肺に胸水・肺水腫と浸潤影を認めた。肺炎・心不全ということになるが、比率は心不全>肺炎?。

 この患者さんは糖尿病外来と泌尿器科外来に通院していた。3年前の2021年5月に、泌尿器科から内科外来に紹介されてきて診察した。

 両下腿~足の浮腫を泌尿器科外来で訴えていた。血液検査で貧血(Hb 8g/dL、MCV72.1)があったので内科に回した、という経緯だった。

 胸部X線で両側肺に軽度の胸水を認めた。鉄欠乏性貧血で消化管悪性腫瘍が疑われたが、胸腹部CTでは明らかな腫瘍は認めなかった。

 鉄剤投与と一時的な利尿薬内服で、貧血と胸水は軽快した。内視鏡検査は受けたくないといっていて、家族も何か見つかっても治療(外科手術)の対象にならないと思うのでけっこうです、といってた。

 何度か話をして、上部消化管内視鏡検査は受けたが、異常はなかった。下部消化管内視鏡検査はやりません、ということで結腸癌の有無は保留となった。

 その後通院していた糖尿病外来がなくなったので、糖尿病薬も出すようになった。一人暮らしで別居の娘さんの介護を受けていたが、施設に入所となった。

 2024年2月に、1か月前から食欲不振があったといわれた(外来2か月処方だった)。食欲がやっと戻って来てから受診したことになる、

 胸部X線で両側胸水も軽度にあったが、貧血はなかった。心電図で以前にはなかった、V3-5のT波逆転を認めた。部位としては前壁側壁になるが、おそらく心筋梗塞を来して、心不全状態が出てきたものと推定された。バイタルは問題なく、入院させたくないという。利尿薬内服を開始すると、胸水は軽快した。

 

 3月24日(日)の当直だった内科の先生が対応して、入院させていた。抗菌薬と利尿薬注が開始された。ちなみに、この患者さんは当方の小学校の時の担任の先生。

 

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急性心筋梗塞

2023年12月04日 | 循環器疾患

 11月29日(水)の当直の時に、午後5時半に搬入された呼吸困難の患者さん(肺炎による慢性閉塞性肺疾患増悪)を診ていると、別の内科の先生(もともとは消化器外科医)が救急室に顔を出した。

 後で訊くと、急性心筋梗塞の患者さんを地域の基幹病院循環器内科へ救急搬送してきて、その戻りだった。

 

 72歳女性がその日の午後3時に胸痛と背部痛を訴えて、外来を受診していた。前日の夜間から始まって、眠れなかったそうだが、朝まで我慢していた。

 午前8時過ぎに市内の内科クリニックを受診して、採血検査後に上部消化管内視鏡検査が予約された(1月に)。受診時にどういう訴え方をしたのかわからない。嘔気があるとも訴えたらしい。

 別居の妹さんに当院受診を勧められて、午後に当院に来たという経緯だった。ふだんは眼科医院に通院しているだけで、内科系の通院はない。

 心電図でV1-4に明らかなST上昇を認めた。血液検査では白血球7200・CRP0.3だった。トロポニンIが20728.5と著明に増加している。CK 2128・CK-MB 274・AST 173・LDH 721と筋原性酵素が全部上昇している。(受診した内科クリニックは末梢血・CRPは迅速で出て、生化学は外注のはず)

 胸部X線ではなく、胸部CTを検査していた(大動脈解離の鑑別か)。心嚢液が軽度に目立つ。単純CTだが大動脈解離はなかった。明らかな心不全の所見はない。

 検査後に救急室に移動して、点滴・酸素吸入を開始した。来院時は血圧が100ちょっとだったが、その後99/71mmHg、91/68mmHgと低下している。酸素飽和度は97%(室内気)だったが、顔色不良・末梢冷感を認めた。

 救急隊にそのまま搬送依頼というわけにいかず、先生も同乗しての搬送となった。先方の病院には無事着いて、当院に戻って救急室にちょっと顔を出した、というところだった。

 

 この先生は11月いっぱいで当院を辞めて、関東圏の病院に移ることになる。その日は勤務最終日だった。

 翌30日は挨拶周りをして、お昼には病院を出られた。200床弱の病院の院長先生になられる。世代交代が進んでいない病院でなかなか、と言っていた。持ち前の明るい人懐こい性格で、きっと何とかやっていかれるのだろう。

 

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