なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

内視鏡は週明けに

2012年03月31日 | Weblog
 30歳台半ばの女性。甲状腺機能低下症で通院している。昨夜腹痛と嘔吐で救急外来を受診して、点滴とブスコパン注で症状がいったん軽減して帰宅した。朝方嘔吐を繰り返しているうちに血性のものが吐物に混じって再受診した。当直医がマロリーワイス症候群疑いとして入院にした。今日病院に来て診察すると、腹痛と嘔吐はおさまっていた。採血の結果ははぼ正常値で、点滴とPPI静注で経過をみることにした。水分のみ可として、週明けに内視鏡検査の予定とした。そもそも腹痛と嘔吐の原因は何だったのか。下痢はないので胃腸炎とはいえない。

 80歳台後半の女性。認知症で施設に入所していた。大腿骨遠位端骨折で今月初めに整形外科に入院して手術をうけていた。今朝嘔吐した後に、意識レベルが低下して発熱もあった。救急搬入されて、日直医が検査した。頭部CT・MRIは脳委縮のみで、脳出血・脳梗塞はない。胸部X線で明らかな肺炎はない。もっとも嘔吐で誤嚥して可能性はある。神経因性膀胱で尿カテーテルが留置されていて、尿路感染症と思われた。入院と、話しかけると一言返事はする。点滴と抗生剤で経過をみることにした。
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RS3PE?

2012年03月30日 | Weblog
60歳台後半の男性。アルコール性膵炎で数回の入院歴がある。高血圧症で通院している内科開業医から両下肢の浮腫で、紹介された。外来で診察した消化器科医から連絡が来て、肝硬変ではないし、心不全でもないし、原因がわからないとという。
 外来に行ってみると、確かに両側の手足がむくんでいた。腹部は膨満しているが、腹水ではなくて肥満そのものだ。1週間前から両肩と両側大腿の痛みがあり、動きが悪くなっていた。リウマチ性多発筋痛症と思われた。下肢の浮腫を伴っているということはRS3PEが疑われた。炎症反応の上昇が軽度過ぎる気がしたが、ほかに思いつかない。とりあえず、プレドニン内服少量(10mg/日)で1週間経過をみることにした。
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いったい何だろう

2012年03月29日 | Weblog
 50歳台後半の男性。精神遅滞と肢体不自由があり、施設に入所している。四肢が拘縮していて、日常生活は全介助を要する。以前は胃潰瘍で入退院を繰り返していたが、胃酸分泌抑制薬がどんどん良くなってから、入院しなくなっていた。薬の進歩を体現しているような人だった。
 一昨日、朝から上腹部痛・嘔気・発熱が続いて、施設の職員が車椅子で連れてきた。下痢はしていない。簡単な会話は可能で、ある程度自覚症状を表現できて、腹部所見はとれた。上腹部正中に圧痛があるが、腹膜炎の所見はなし。採血すると炎症反応が軽度から中等度に上昇している。肝機能障害はなく、血清アミラーゼは正常域だった。腹部エコーは軽度の脂肪肝のみ。腹部CTでこれといった所見はない。虫垂炎でも結腸憩室炎でもない。胃の病変で発熱はないと思ったが、上部消化管内視鏡検査も行った。食道下端の粘膜が白濁していて軽度の食道炎の所見だが、胃・十二指腸は異常なかった。
 結局原因ははっきりしなかった。水様便があれば感染性胃腸炎といいたいところだが、とにかく下痢がない。入院して、点滴・抗生剤(投与の根拠はと言われると困るが)・PPI静注で経過をみていたが、今日は症状がほとんど消失していた。何だかわかわなくても治ればよしとするしかないようだ。
 外来や病棟の古い(失礼)看護師さんたちは、以前何度も入院していたこの患者さんをよく知っていた。看護師さんから「久しぶりだねえ」「前と比べると太ったねえ」などと声をかけられて、喜んでいた。

 80歳台前半の男性。重症の両側肺炎で入院して、きびしいと思われたが、肺炎は軽快治癒した。しかし認知症で嚥下できず、寝たきり状態になっている。やせて骨と皮になっている。よくこんな状態まで自宅でみていたものだと思う。座位にすると脳循環が低下して、反応がなくなり目をとじていしまう。夜間病棟看護師が見回ると、呼吸が止まっていないか心配になる。ほとんど老衰で、経管栄養にもなじまないだろうと判断された。家族で相談して、今後の対応策を選んでもらうことにした。
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しばらく入院で

2012年03月26日 | Weblog
 70歳台後半の男性。肺炎で入院した、かかりつけの病院で肺結核と診断された。結核病棟のある病院(他県)へ紹介入院となり、3か月後に排菌しなくなったので退院になった。
 かかりつけの病院の医師と患者の娘との間で、もめたらしい。その娘というのは大学病院の看護師をしているそうで、担当医を怒らせるようなことを言ったのだろうと思ってしまう(中年の大学病院の看護師と聞いていい印象をもたないのは偏見ですが)。
 退院後は、その病院には行きたくないというので、呼吸器科のある基幹病院の呼吸器科の外来通院となった。外来受診時に状態が悪そうに見えたらしく、そのまま入院となった。しかし入院させてみると、認知症で勝手に歩き回って、食欲も良好で入院させるほどではないとわかった。入院を継続したいという家族の希望もあり、当院へ入院依頼がきて、転院となった。
 数か月寝込んで下肢の筋力低下があるのに、認知症があり、一人で歩き出してしまう。転倒すれば大腿骨頸部骨折を起こしそうだ。やむなくベットに体幹抑制され、一見ふつうにベットに寝ているあるいは座っているが、じつは動けないという状態で過ごしていた。施設で十分なのだが、排菌していないとはいっても肺結核の薬を飲んでいると受け入れる施設もなさそうだ。家族も自宅に引き取る気がない。抗結核剤がやめられるまで、入院にするしかない見込みだ。
 
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よけいなことは言わない

2012年03月23日 | Weblog
 50歳台前半の女性。自分より10歳以上若い男性と温泉ホテルに来ていた。けんかになって、その男性は先に帰ってしまったそうだ。ヤケになって焼酎をかなり飲んで、嘔吐し始め、過呼吸になった。症状が続き、早朝当院に救急搬入された。
 大学からバイトに来ていた当直医が診察して、点滴と安定剤静注を行っていた。その先生が帰る前に申し送りを受けていたが、下に述べる患者さんの対応があったので、午前10時すぎに診察した。夫が来ていた。まだ嘔気があり、嘔吐しているとまた過呼吸になってしまう。当地の方ではないので、お互いに入院は避けたいところだ。点滴と安定剤を追加して夕方まで外来で経過をみることにした。外来処置室の看護師が上記の事情をコソコソと話してくれた。まあ、病院としてはよけいなことは言わないで、症状が落ち着いて帰ってくれればいいと思う。

 70歳台後半の女性。昨夜の夕食後に心窩部痛と嘔吐が出現して、症状が治まらないため救急要請した。今日の午前0時すぎに当院に搬入された。採血で肝機能障害を認め、入院後に発熱もあった。当直医が一通りの治療をしていて、朝に申し送りを聞いた。
 20年以上前に胆嚢結石症で手術を受けている。腹腔鏡下出術ではなく、通常の開腹手術だった。3年前に総胆管結石で、胆道系の内視鏡治療が上手な専門病院に紹介されて、内視鏡的乳頭切開術と結石除去術を受けていた。腹部エコーで総胆管と肝内胆管が拡張して総胆管内に結石を認めた。腹部造影CTでも拡張した総胆管内に2個の結石が描出された。乳頭切開していても総胆管胆石が再発したということになる。胆管炎を起こしているので早急に結石除去の処置が必要だ。3年前に内視鏡治療をしたもらった病院に連絡したところ、快く引き受けてくれたので、ありがたく搬送した。
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受け入れたくない理由は

2012年03月22日 | Weblog
 70歳台後半の男性。離婚して妻子とは何10年もかかわりがない。ひとり暮らしで、兄弟姉妹などの親族が時々世話をしていた。数日前から動けなくなって、昨日親族が救急要請した。搬入先をあたったが、どの病院も救急とはいえないことなどを理由に受け入れてくれなかったそうだ。そのまま救急隊はいったん帰った(そんなこともあるんだ)。今日また救急要請して、当院に受け入れ要請がきた。午前中の救急当番をしていて、事情は察しがついたが、受け入れることにした。
 搬入時、意識は清明だが、認知症がある。連れてきた親族の名前もわからない。脳梗塞後遺症があるが、麻痺のためというよりは、次第に動かなくなったためと、ちゃんと食事してないため、筋肉が萎縮して廃用症候群になっていた。打撲したのか、低温やけどでもしたのか下肢に傷が何か所もある。ずっと入浴していないのだろうと思われた。一通り検査したが、高血圧症の治療を中断していたため血圧は高いが、それ以外は異常がなかった。治療というよりは介護も問題で、暖かい食事と入浴と暖かいベットが状態を改善するのに一番効果があるのだろう。
 入院後は病院の食事を完食した。ソーシャルワーカーに連絡して、介護保険の手続きを進めてもらうことにした。廃用症候群のリハビリをしながら、施設入所まで病院で過ごすことになる。町役場(住所は隣町)に連絡して、もっと早く福祉サービスにつなげればよいのにと思うが、だれが責任を負うかということもあり、食べ物を差し入れるくらいでここまで来てしまったのだろう。
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脳出血、肺炎、吐血など

2012年03月21日 | Weblog
 昨日は当直だった。インフルエンザB型で発熱の患者さんが何人か来た。最初の救急車は50歳台半ばの女性。もともと軽い精神遅滞があり、グループホームで同じ知的障害のある人たちと共同生活をしていた。施設職員が見回ったところ、浴室前で倒れているのを発見した。意識が低下して呼名に応じないため救急要請した。開眼はしているが、発語がない。高血圧症と糖尿病で内科クリニックに通院しているので、血糖を測定したが、134と正常で低血糖ではない。右半身が麻痺しているようだ。頭部CTで左被殻に脳出血を認めた。脳外科医に連絡して、画像を転送した。それほど大きな出血ではないため手術適応はなく、保存的にみるそうだ。脳外科で入院になった。
 
 次は90歳台前半の女性で認知症がある。もともと非結核性抗酸菌症で健診センター付属の診療所に通院していた。先月にも肺炎(細菌性肺炎の合併)で当地域の基幹病院呼吸器科に入院している。救急隊がその病院に連絡したところ、他の救急対応で受けられないと断られた。その他の病院も受け入れられず、当院へ搬入依頼がきたので来てもらうことにした。気腫性変化の目立つ肺で左肺に浸潤影と胸水を認めた。血液ガスでは低酸素血症と高炭酸ガス血症がある。酸素マスクを手で払いのけてしまうので、ある程度抑制が必要だ。家族と相談して、人工呼吸まではしないとういう方針で入院とした。助からないかと思われるが、できる範囲で治療してみる。
 
 次に、昨日から吐血(コーヒー残差様の嘔吐)が続いて、血圧が測定困難という80歳台前半の女性が搬入された。逆流性食道炎で内科クリニックからPPIが処方されている。また認知症で精神科から抗精神薬も処方されていた。点滴を開始して血圧は70から90になった。採血で貧血はごく軽度だが、昨日から飲み食いしていないので脱水症になっているから、点滴をして再検するともう少し貧血は目立ってくるだろう。オメプラール注で少し経過をみると嘔吐は落ち着いた。入院として翌朝内視鏡とした。
 翌朝も血圧は90から100で、無尿になっている。急性腎前性腎不全だろうが、高齢なので大量点滴もためらわれ、慎重に点滴量を調整する必要がある。水疱性ラ音も肺全体で聴取され、胸部X線でまだ明らかな誤嚥性肺炎の浸潤影はないが(肺うっ血・胸水もなし)、何度も吐血していたので、誤嚥はしているはずだ。誤嚥性肺炎の治療も入院時から開始していたが、継続とする。

 午前1時半に頭痛を訴える高校生男子が救急搬入された。祖父がなくなって、葬儀のことがいろいろあったので、疲れてはいたらしい。神経学的所見はないようだ。これまでこのような頭痛はなかったという。安易に頭部CTを撮るのはどうかという問題があるが、検査しないと両親が納得しないので、すぐに行った。異常はなかった。同年齢で動静脈奇形やもやもや病によるくも膜下出血・脳出血の経験がある。外来で点滴をして休ませていたら良くなった。

 午前4時に昨日夕方から下腹部痛が間欠的に続く40歳台半ばの女性が受診した。右結腸憩室炎で結腸切除の既往があり、その後3回癒着性イレウスで入院していた。昨年末にも入院している。下腹部が軽度に膨満していて、腹部X線で前回の入院時ほどではないがニボー像を認めた。腹部造影CTで小腸が拡張して消化液がけっこう貯留している。右下腹部の小腸の一部が浮腫性に肥厚していた。外科医に相談して、外科入院となった。

 当直が終わって、午前中は内科再来をみて、午後は救急当番になる。忙しいので、入院患者は病状に変化のある2名を診るのがやっとだ。
 
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必ずパスする試験

2012年03月20日 | Weblog
 今日は病院の当直なので、午後から病院に出てきた。そろそろ血液病の勉強をする時期になった。病院の医師が手分けして、高校の看護科の講義を担当している。循環器科医が循環器の話をするように専門分野であれば簡単だが、私の担当は前任者から引き継いだ血液疾患だ。鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血、特発性血小板減少性紫斑病などのコモンなものは日常的に診ているが、白血病や悪性リンパ腫の治療などは専門医に紹介するだけで自分で治療することはない。
 専門でもない分野を教えるのは気が引ける。講義が終われば試験をしなければならないが、試験で落としては申し訳ないという思いがある。重要な項目だけにしぼって、将来役立つことだけを覚えてもらい、試験はちょっと勉強すれば必ずパスできる問題(国家試験を改変)を出している。
 
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水がしたたるほどの浮腫

2012年03月19日 | Weblog
 70歳台後半の女性。糖尿病で内科医院に通院していた。以前から軽度の下腿浮腫はあったそうだが、今月になって急激に下腿浮腫が悪化して、水疱を形成していた。ところどころ水疱が破れて体液が滴っていた。低蛋白血症で尿蛋白が20g/日以上出ている計算になる。BUNと血清クレアチニンは正常域で、糖尿病腎症だけかもしれないが、原発性糸球体疾患の併発も疑われた。
 透析室に行って腎臓内科医に相談したが、腎生検をして評価する必要があるとのことで、腎センターを持つ専門病院の先生に連絡してもらった。すぐに来てくださいという返事が来て、さっそく紹介状を書いた。

 80歳台後半男性。慢性閉塞性肺疾患で呼吸器科に通院していた。呼吸器科がなくなって、自宅は隣の市にあるので、近くの開業医へ紹介状が出されていたが、そのまま当院の内科へ通院している。タバコは1日10本すっていて、やめる気はない。やせた小柄な植木屋で、耳が遠い。今日は風が強くて2回帽子(ハンチング)が飛ばされたという話を何度も繰り返していた。使い捨てカイロを取り出して腹巻に貼ってから帰って行った。タバコをやめたほうがいいとは言うが、怒ったりはしない外来なので、気に入られているらしい。
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今日は休み

2012年03月17日 | Weblog
 久しぶりに土日が休み(3日後の春分の日は当直)になった。3月14日に出た村川先生の循環器治療薬ファイル第2版を買ってきて読み始めた。土日で半分までは読み進めたい。一度地元医師会の講演会で村川先生を呼んでほしい。
 昔のNHK大河ドラマ花神のDVDをアマゾンで購入したので、さっそく見始めた。総集編で510分。出演している俳優が若い若い。すでに亡くなった俳優さんもいる。
 昨年は震災の影響で、年3回は行っている全国規模の学会に1回しか行けなかった。今年は4月の消化器病学会(東京)と5月の糖尿病学会(横浜)に行こう。病院から出る学会出張費は年2回分なので、化学療法学会の抗菌薬セミナーと秋の学会は自費で行くことになる。
 などなど、今日は病院から電話もこないので、ゆっくりしている。
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