なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

聴神経腫瘍疑い

2024年04月07日 | 耳鼻咽喉科疾患

 3月下旬に耳鼻咽喉科の先生から相談を受けた。市内の耳鼻咽喉科クリニックから、左顔面神経麻痺の患者さんが紹介されてきたという。

 入院でステロイド大量点滴静注を開始したいが、その患者さんはCOVID-19に罹患してその日が発症後6日目だった。そのまま普通に入院にしていいか、という質問だった。

 個室入院で病棟の看護師さんには、発症後10日まではCOVID-19としての対応をしてもらうことにした。大量のステロイド(プレドニン注2mg/kgから)投与になるので、COVID-19のウイルス生存期間が延びる可能性も危惧された。

 

 症状は顔面神経麻痺だけではなく、難聴とめまいもあった。通常のベル麻痺ではない。内耳神経と顔面神経の両者を巻き込んだ病態になる。

 COVID-19の問題で、通常の聴力検査も未施行での入院となっていた。隔離解除となってから、聴神経腫瘍疑いとして頭部MRIが行われた。すると、左内耳に聴神経腫瘍を疑う腫瘤が描出された。

 脳外科の対象になるので、退院してから地域の基幹病院脳外科の外来受診予定となった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

甲状腺癌

2024年03月28日 | 耳鼻咽喉科疾患

 非常勤で来ている外科の先生から、88歳女性の緩和ケアを頼むといわれた。といってもすぐの入院ではなく、悪化した時に入院で診るというものだった。

 2月8日に抜歯のために歯科医院を受診した。喘鳴(吸気性のStridor)が聞こえたので、治療前に呼吸器科で診てもらうようにと指示された。 

 その日すぐに当院の呼吸器外来を受診した(週1回なのでたまたま曜日が合った)。喘鳴は昨年12月からあったそうだ。右頸部腫瘤を指摘されて、CTで確認した。甲状腺癌だった。

 耳鼻咽喉科に紹介されて、喉頭ファイバーで右声帯麻痺を認めた。さらに外科に紹介された。大学病院や地域の基幹病院では甲状腺癌は外科の扱いになっている。大学病院に紹介された。「何か治療ができるでしょうか」だった。

 大学病院では気管浸潤・総頚動脈浸潤があることから、緩和ケアのみとなった。窒息に備えての気管切開も難しい。

 

 4月半ばに家族だけ受診するので、その時に話をしてほしいといわれた。現状ではできるだけ施設で過ごして、施設でみられなくなったら入院となる。

 ただ呼吸困難になっても酸素吸入しかない。痰が詰まると急変する可能性がある。急変して救急隊が呼ばれると、身体を痛めるだけの心臓マッサージや、さらにはそれ用の機械を付けられて拷問状態になる。(建設機械が地面に杭を打ち込むような状態)

 それは避けませんかという話になるが、納得するかどうかはわからない。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

寝返りでBPPV

2024年02月27日 | 耳鼻咽喉科疾患

 2月25日(日)は日直だった。午後3時過ぎに回転性めまいの78歳女性が救急外来を受診した。救急搬入ではなく、家族が車で送ってきたので、治まってはきているのだろう。

 病院に来てからは、目を閉じて車椅子に座っていた。嘔気を訴えていたので、ストレッチャーに横になってもらって、点滴(と採血)を入れて、プリンペランとメイロン(=おまじない)を静注した。

 少し落ち着いたところで頭部CTを行った。出血はなく、明らかな梗塞巣も指摘できないが、小脳脳幹部はわからない。

 その日の午前2時ごろに発症していた。トイレに行こうと起き上がった時かと思ったが、そうではなかった。寝ていて寝返りを打った時に発症していた。ぐるぐる回る回転性めまいだった。体動時に発症しては治まっての繰り返しだった。

 意識清明で会話は普通にできる。頭痛はなく、耳鳴・難聴もない。麻痺や運動失調はなかった。

 これまで何度か短い時間同様の症状が出たことがあり、様子をみて治っていたそうだ。回転性の要素は軽減したらしいが、浮遊感が続き、嘔気も続くので受診していた。

 良性発作性頭位めまい(BPPV)でいいようだ。検査が終了してから1回嘔吐したこともあり、入院で経過をみることにした。院内のコロナ発生で入院はダメといわれていたが、地域包括ケア病棟に、認知症がないこと治療は点滴だけであることを伝えて、頼み込んで入院にさせてもらった。

 翌日病棟に行くと、すっかり症状は消失してすぐにも退院したいと希望された。症状継続時の耳鼻咽喉科外来受診と頭部MRIはしないことになった。

 昼食を問題なく摂取できるのを確認して午後から退院となった。夫が血液透析で当院に通院していて、その対応がストレスでといっていた。本人の解釈では、今回のめまいもストレスからきたという。耳石の問題で違うけど。

 BPPVの発症誘因は、起床時・寝返りをうつ・上を向く等があるが、圧倒的に起床時(または夜間トイレに起きる)が多い。美容院で洗髪のために頭部を後屈した時に発症して、そのまま美容院から救急搬入というのもあった。

 夜間睡眠中に寝返りを打ったときにBPPVが発症すると、すぐ自覚できるのかという気はするが、すぐわかって覚醒するのだろう。

 

 3連休中に急性期病棟の入院患者8名がコロナ(COVID-19)に罹患して、スタッフ(看護師1名と看護助手2名)も罹患した。週明けの月曜日には新たに看護師2名がコロナと判明した。

 救急の受け入れが当分厳しい状況が続く。整形外科の手術は今週の予定分だけは、そのまま行うことになった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

急性喉頭蓋炎

2023年10月21日 | 耳鼻咽喉科疾患

 10月18日の夕方、入院していた心不全・高血圧症の90歳男性が頻拍発作となり、治療を開始した。その日は当直だったので、何度か病棟に行って治療に対する反応を確認していた。

 

 その日の日中に耳鼻咽喉科で急性喉頭蓋炎の59歳男性を入院させていた。ステロイドと抗菌薬(セフトリアキソン)を開始して、アドレナリン(ボスミン)入りの吸入もしていた。

 患者さんが痰の絡みがとれないと訴えた。入院していた病室(4人部屋)からナースステーションに隣接した集中治療用の病室に移動させて、吸入をしているところだった。

 耳鼻咽喉科のカルテ記載を確認した。10月16日から咽頭痛がひどくなり、18日に市内の耳鼻咽喉科クリニックを受診して、扁桃周囲炎として当院に紹介になっていた。

 喉頭鏡の所見では、右口蓋扁桃の腫脹もあるが、喉頭蓋が肥厚して発赤している。気道狭窄はあるだろうがすぐに閉塞するほどではないように見える(喉頭蓋の評価は自信がないが)。いきなり窒息まではないかと、若干安心した。

 

 翌19日に診療開始時に、耳鼻咽喉科医は再度喉頭鏡で喉頭蓋を観察した。前日より若干の腫脹の進行を見て、気道確保処置の可能性もあるとして、地域の基幹病院耳鼻咽喉科に転院搬送とした。(翌日の金曜日は耳鼻咽喉科医が毎週不在という事情もある)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする