なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

うっ滞性皮膚炎に感染

2024年04月05日 | 皮膚疾患

 4月1日新患担当の先生(外部の先生)が病院に遅れて来ることになり、再来担当の当方に回ってきた。

 左下腿の熱感・腫脹を訴える55歳男性だった。2023年2月に下腿の蜂窩織炎で半年入院治療を受けた。2023年10月半ばに下肢の蜂窩織炎で受診した時は外来治療だった。今回が3回目になる。

 蜂窩織炎といっても、桃色っぽい発赤・浮腫状の腫脹が境界不明瞭に広がるあの蜂窩織炎ではなかった。両下腿は黒褐色のざらざらとした盛り上がった湿疹局面を形成している。左下腿は前面の8割、右下腿は前面の5割がそうなっている。

 右下腿の中心部は自壊して膿が出ていた(絆創膏が貼ってある)。本人の訴えとしては、悪いのは左下腿で、確かに左下腿の方が体積が増加していて熱感を感じる。

 最初の入院の時は白血球18900・CRP27.7から、2回目の外来治療の時は白血球20100・CRP8.4からの治療開始だった。

 2回目の時は希望での外来治療だったようだ。今回も入院する気はなく、外来で点滴をしてほしいという希望だった。2回とも抗菌薬の点滴静注としてはセフトリアキソンを使用している。

 この皮膚が黒褐色になっているのは、うっ滞性皮膚炎が皮膚血管のうっ血から出血を来して、組織内にヘモジデリンが沈着することで生じて来る(皮膚科の本)。

 

 うっ血性皮膚炎に根本的な治療があるのかわからないが、皮膚科で評価してもらう必要がある。(これまで皮膚科で診たことはなかった)皮膚科に紹介した。

 後で聞くと、うっ滞性皮膚炎を基盤にした細菌感染症(蜂窩織炎)で、その治療をした後に一度血管外科(他院)に紹介する予定、といわれた。

 身長174cm・体重100kg弱という巨漢で、その体重も影響しているが、トラックドライバーという職業も関連するともいっていた(長時間の座位)。

 血液検査は白血球7100・CRP3.7でこれまででは一番軽度の値だった。セフトリアキソンの点滴静注とその後は経口抗菌薬(セファレキシン=ケフレックス)を使用していた。

 再発を繰り返さない方策を考える必要があるが、減量はきっと有効だろう。長時間の座位の回避は難しいだろうが、意識して下肢挙上を行うことはできるか。明らかな静脈瘤はないが、血管外科としては何か処置があるのだろうか。

 

 ネット上にあった画像。これよりもっと広範で色調もきつかった。

下肢静脈瘤 | 市立池田病院

 

 

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腹壁(臍部)の蜂窩織炎

2023年09月10日 | 皮膚疾患

 木曜日の当直の時に、54歳男性の救急搬入依頼が来た。その日の午前中に当院の外科外来(大学病院外科から応援)を受診していた。臍部の皮膚軟部組織感染症で治療を受けたという。

 その部位の痛みがひどくて救急要請したという。統合失調症で精神科病院に通院しているという情報もあった。

 外科の常勤医は現在不在で外科処置を要する入院はとれない。日中に当院で診ているので、断れないが、診て見ないとわからない。局所麻酔下に小切開したが膿は出なかったと記載されている。

 

 救急搬入後にトイレに行きたいといって、歩いて行けたので、病状として悪化しているわけではなさそうだ。皮膚表面からは発赤・腫脹していて硬結に勝っているが、膿瘍はない。

 体温が37.4℃で、皮膚幹部組織感染症によるが、当直の看護師さんはコロナの検査を用意していた。(発熱患者は発熱外来扱いとなり、呼吸器症状がなくてもコロナの検査から入る)結果は陰性。

 点滴を入れて時間外でできる検査(試験紙使用の簡易検査)を行うと、白血球12500・CRP2.1と炎症反応は上昇している。内科医院に高血圧症・糖尿病・脂質異常症で通院している。それぞれ1剤ずつ内服していて、HbA1cは6.5%ということだった。

 化膿巣の広がりを見るためにCTを行った。表面から見るよりは現局していた。腹筋まで波及はしているようだ。

 外科外来では抗菌薬の内服(オグサワ=オーグメンチン+サワシリン)が処方されていたが、鎮痛薬の処方はなかった。アセリオ注を行うと痛みは軽快した。

 入院して抗菌薬投与を行うか訊いてみると、入院はしたくないという。帰宅になるので、抗菌薬点滴静注はセフトリアキソンにした。カロナール500mg錠3錠分3を処方した。

 外科外来では有事再来としていたが、翌朝の状態で症状が強い時は外科外来をその日に受診すること、症状が軽快しても翌週の外科外来(月曜はないので火曜日)に受診するよう伝えた。(火曜日は元当院常勤医)

 翌金曜日は受診していなかったので、痛みは自制可だったのだろうか。

 

 検査結果が出るまでの間に統合失調症のことを訊いた。市内の精神科病院に通院していた。当然だが若い時の発症で、何度か治療を中断して病状が悪化したという。今は一生ものの病気と認識していて、きちんと通院している。

 高血圧症も糖尿病も治して終わりではないので、一生もので同じことですと伝えると、妙に納得していた。

 

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