4月30日内科外来を診ていると、整形外科医から患者さんを紹介したいという連絡が入った。主訴は全身が痛いなので、あの疾患だと見当がつく。
1月下旬から全身の痛みがあった。本人の表現なので、実際は両側の肩・首の痛みと、両側の股関節痛らしい。朝のこわばりもあったようだ。
整骨院を受診したが症状が続いて、2月下旬に当院整形外科外来を受診した。両手の腫脹もあったが、本人は雪かきをしたせいといっていた。
血液検査で白血球15300・CRP9.9と炎症反応の上昇もあった。血沈も出していて亢進していた。リウマトイド因子と抗CCP抗体は陰性だった。
初診時にはNSAIDs(ロキソプロフェン)が処方された。2回目の受診で検査結果を確認して、RS3PEと診断していた。
ロキソプロフェン処方後の検査で炎症反応は横ばいで変化がなかった。ただ処方はNSAIDs継続だった。
その後、4月からプレドニン5mg/日が処方された。両側の肩の痛みは軽減していたが、下肢帯の痛みは軽快せず、蹲踞からの立ち上がりはできなかった。検査では白血球ステロイド投与で上昇するので変わらなかったが、CRPが2.0と軽快していた。
その日の整形外科外来で症状が続くので、治せる人に紹介してほしいと言ったらしい。はっきり言う患者さんだった。
内科外来を受診した時、歩き方や椅子からの立ち上がりは問題ないが、蹲踞からの立ち上がりはできなかった。両肩は割とすんなり挙上できる。両手背の腫脹もあるが、両足の症状はなさそうだった。
リウマチ性多発筋痛症(PMR)でよさそうだ。両手背・足背の圧痕性浮腫を伴うと、RS3PE(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)になる。
PMR mimicな疾患もあるので、通常はステロイド投与前に血液培養を提出している。今回はステロイド投与で部分的に軽快しているので感染症は否定的だった。通常の初期量であるプレドニン15mg/日を開始することにした。
整形外科の先生のPMR・RS3PEに対する理解がよくわからない。これまでもプレドニン5mg/日でやっていたような口ぶりだった。