なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

COPDの増悪

2024年07月10日 | 呼吸器疾患

 7月9日(火)の朝に前日当直だった先生から、在宅酸素のCOPD患者さんを入院させました、といわれた。外来に通院している93歳男性だった。4年前から慢性閉塞性肺疾患(COPD)で在宅酸素療法(HOT)を導入している。

 

 4年前の1月3日に当番医のクリニックから連絡があり、肺炎として紹介された。酸素飽和度が70%台だったが、自宅の車で受診してきた。ふだんから低酸素があり、慣れているのだろう。

 インフルエンザの迅速検査でA型陽性と出た。胸部X線・CTで肺気腫像と肺炎像を認めた。酸素吸入に、ラピアクタ点滴静注・抗菌薬投与(セフトリアキソン)・ステロイド短期投与で軽快治癒した。

 以前から労作時(歩行時)に息切れがしていた。安静時は酸素飽和度が90%と保つが、歩行時には低下して息切れが生じる。最初は嫌がっていたが、在宅酸素療法を導入することに同意した。(安静時酸素1L/分、労作時3L/分)

 外来に来ると、楽になったと喜んでいた。肺炎によるCOPDの増悪で入院してくると思われたが、案外問題なく過ごしていた。

 右下葉の肺炎を来した時は、家族の勧めを聞かずに受診を渋っていた。やっと外来に来たが、入院は嫌がった。在宅酸素なので酸素吸入量は増量できる。食欲はあり、病院に来てからは車いすに乗せられていたが、外来の待合から診察室には歩いて入って来た。

 抗菌薬内服で開始して(初日はセフトリアキソンを点滴静注した)、数日みて思わしくないときは入院としたが、1週間で軽快した。

 

 今回の胸部CTを見ると、下葉背側は腫瘤様にも見える。肺炎・COPD増悪の治療をして再検しないと確定し難いが(浸潤影であれば軽減)。

 入院後は食事摂取も良く、COPD増悪自体は乗り越えられそうだ。

 

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重症肺炎

2024年07月01日 | 呼吸器疾患

 6月28日(金)に発熱・呼吸困難の74歳男性が救急搬入された。酸素15L/分でも酸素飽和度が89~90%だった。血圧は110と保っていたが、心拍数が120/分・呼吸数40/分と上昇している。

 コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性で、救急室に搬入して検査が行われた。その日の救急は外科の非常勤医が診ていた(入院があれば常勤医に連絡)。

 患者さんは一人暮らしだった。6月22日(土)に屋外で草むしりを4時間くらい行った。その後から38℃の発熱があり、24日(月)にかかりつけのクリニックを受診した。発熱以外の訴えがなかったらしく、熱中症といわれたそうだ。

 その後も39℃の発熱が持続して、しだいに体動困難となった。26日(水)には連絡を受けた弟夫婦が訪れたが、受診にはいたらなかった。そして28日(金)に動けなくなって、救急要請となった。

 

 胸部X線・CTで左肺全体に浸潤影が広がっていて、右下肺下葉背側にもあった。

 血液検査では白血球19200・CRP45.1と著明な炎症反応の上昇を認めた。肝機能障害(AST 233・ALT 92・LDH 527)・高CK血症( 3312)があり、腎機能も悪化していた(血清クレアチニン1.47)。検査はしていないが、レジオネラの可能性もあるか。

 患者さんはそれまでADL完全自立していた方で、救命しなければならない。気管挿管・人工呼吸管理が必要な病状なので、できれば専門医(集中治療科・呼吸器内科)のいる病院への搬送が必要だった。

 担当した先生はすぐに地域の基幹病院の呼吸器内科に搬送しようとしたが、受け入れ困難だった。県内有数の市立病院に連絡すると、救急車では間に合わないのでドクターヘリ搬送で受けるという。

 数10分でドクターヘリが到着して、救急室から駐車場まで運んで、無事に搭乗・出発した。ドクターは大学病院か医療センターの救急医が載っているはずだ。

 

 当院は駐車場内にヘリコプターが発着できるが、当院からの搬送というのはほぼない。大抵は地域の救急車が当院の駐車場まで運んで、県庁所在地から来たドクターヘリに乗せ換えて搬送というものだ。

 

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血痰・肺出血?

2024年06月28日 | 呼吸器疾患

 6月24日(月)に市内の内科クリニックから58歳男性が紹介されてきた。気管支喘息で通院しているが、6月17日に喘息発作があり、短期間プレドニン少量を処方していた。血痰が続くということでの紹介だった。微熱(37.4℃)もあった。

 受診後に訊いてみると、喘鳴はないが、胸が苦しい感じがするという(酸素飽和度は正常域)。聴診でも喘鳴はなく、喘息専門の先生がchest tightnessと表現するものかもしれない。

 血痰ということだったが、痰は透明か淡黄色で、線状に血液が混じることがあるということだった。肥満があり、後で行った血液検査と画像で脂肪肝を認めた。睡眠時無呼吸の検査をしたことがあるが、該当はしなかったそうだ。

 胸部X線で右肺にすりガラス陰影が散在している。胸部CTで右肺の主に上葉・中葉にすりガラス陰影が散在していて、一部は浸潤影様になっているのが確認された。

 血液検査では白血球8100(ふだんより上昇)・CRP5.1と炎症反応の上昇は軽度だった。入院は経済的な問題もあり、したくないという。

 外来で点滴をしながら、喀痰が出たら喀痰培養(一般細菌と抗酸菌)を出そうとしたが、案外出なかった。提出をあきらめてセフトリアキソンの点滴静注を行った。抗菌薬を内服で出して、喘息の内服薬(クリニックの治療は吸入のみ)を追加した。

 3日後の27日(木)に来てもらったが、解熱して炎症反応も軽減していた。痰自体が出なくなっているという。chest tightnessはまだある。そのまま抗菌薬内服で外来治療継続とした。

 放射線科も読影レポートは「右肺にすりガラス陰影を認め、出血成分と思われる。診断:肺出血」となっていた。一側の陰影であり、感染症としての陰影かと思ったが、出血そのものなのだろうか。オーダーのコメントに血痰とは書いたが、喀血ではないので、そこまでの出血ではないと判断していたが。

 

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肺癌(小細胞癌)の転移疑い

2024年06月23日 | 呼吸器疾患

 6月7日に記載した肝転移・骨転移の62歳男性のその後。がんセンターに紹介して、受診報告をいただいた。

 「縦隔~腹腔リンパ節腫大と多発性肺・肝・骨転移を認めます。肺野には明らかな原発巣は認めませんが、pro GRPが7256と高値で小細胞肺癌の可能性は高いと思います。また盲腸部の壁肥厚があり、消化器内科の先生にもご高診いただきましたが、回盲部癌の可能性が高いとのことでした。

 痛み(頸部痛)の原因になっている第2頚椎転移については、呼吸停止の恐れがあり、絶対安静が必要という判断で整形外科に緊急入院となりました。」

 と記載されていた。

 頸椎カラーを付けて、当院受診の翌日に自宅の車で受診してもらったが、そのまま救急搬送にした方が良かったのかもしれない。(実際は、がんセンターは即日紹介入院は難しいか)

 

 当院に紹介した市内のクリニックの先生からは、翌週に黄疸の患者さんが紹介されて、翌日医療センター紹介となった。2週続けて大物の紹介があり、6月17日にも同じ先生から患者紹介の連絡が入って、ちょっと驚いた。

 今度は何だろうと思ったが、回転性めまいのBPPVの患者さんでほっとした。

 

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肺癌

2024年06月21日 | 呼吸器疾患

 6月17日(月)に、食道癌術後で外科外来に通院している82歳男性が内科を受診した。右上葉肺癌で経過観察となっている。

 

 2016年に食道癌で胸腔鏡下食道切除術・胃管再検を受けていた。食道癌の再発はなかった。

 2022年11月に術後フォローのCTで肺癌疑いの小腫瘤を認めた。呼吸器内科を受診したが、もともと肺気腫もあり、手術は難しいとされた。(素人目にはできそうな気もするが)

 2023年5月に左上葉に浸潤影を認めて、呼吸器科外来(非常勤)で器質化肺炎と診断された。経過観察となったが、発熱・炎症反応の上昇があり、内科に入院した。呼吸器外来に来てもらっている先生と相談して、プレドニン投与を行い軽快した。その時の右上葉肺癌は少し増大していた。

 2023年11月外科外来で行った胸部CTでは腫瘤が漸増していた。2024年6月11日にも外科外来で胸部CTを行っていて、今回はさらに増大して通常よりも右側を走行する食道(胃管)に浸潤しているかもしれない。

 

 6月17日は飲み込みが悪い、食事摂取が低下している、ということだった。発熱はなく、点滴と血液検査をした。炎症反応の有意な上昇はない。

 入院を希望されるかと思ったが、入院はしたくないという。心気症・うつ的な方だが、案外生活にこだわりがある。栄養剤(エンシュアリキッド)を処方してみた。通院している外科医の外来で相談してもらうことにした。(悪化して入院になった時は診るように外科医から頼まれている)

 

 

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永久気管孔

2024年06月10日 | 呼吸器疾患

 6月6日(木)に地域の基幹病院整形外科から左大腿骨頸部骨折の66歳男性が当院回復期リハビリ病棟に転院してきた。

 昨年度からの整形外科再開設から、リハビリ病棟に骨折術後の患者さんの入院が増えている(脳血管障害よりも多くなった)。大抵は高齢者で内科疾患の合併が多く、主治医は整形外科だが、内科も担当医として入ることになっている。

 この患者さんは整形外科医が、リハビリの指示は出すが、主治医は内科にしてほしいと希望された。主治医整形外科でも、実質は内科医が治療となることが多いので、これまでの方式でいいと思ったが、下記の事情でいやだったのだろう。

 

 10年前に下咽頭癌の手術を医療センターで受けて、永久気管孔がある。今年の2月に喀痰による閉塞で(一時的に窒息して)肺炎で基幹病院呼吸器内科に入院していた。

 今回も入院時(か直後)に右下葉肺炎があり、呼吸器内科が肺炎の治療をしていた。ABPC/SBT投与で軽快治癒したとある。喀痰が絡む時はネブラーザー吸入と喀痰吸引をお願いしますとなっていた。

 気管と食道は分離しているので誤嚥ということはないはずだが、前頸部に大きな孔ができていて、気道粘膜の乾燥から喀痰に血液が混じることもあるそうだ。気管自体の脆弱性と感染を防御すべき上気道の働きがないことから肺炎を来してしまうのだろう。(食道発声で会話は可能)

 

 もともと車椅子生活で手術してもADL改善が見込まれないことと、肺炎併発で術後に全身状態が悪化する可能性があることから、手術はせず保存的治療となっていた。

 先方の整形外科で荷重の指示を出していたが、当院の整形外科医の見解では、そもそも骨癒合が得られず偽関節になると見込まれ、荷重の指示も違う(強すぎる)ということらしい。まあリハビリの指示はお任せになる。

 

 この患者さんは2017年に脳出血(右被殻出血)を来して、基幹病院脳神経外科で血腫除去術を受けている。その後当院の回復期リハビリ病棟に転院してきたので、今回が2回目7年ぶりになる。

 60歳代で当院としては若い患者さんだが(80歳代、90歳代が中心なので)、さまざまな疾患を経てきているのだった。

 

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誤嚥性肺炎

2024年06月09日 | 呼吸器疾患

 5月28日に施設入所中の73歳男性が誤嚥性肺炎で入院した。新任の先生が担当して入院となった。

 脳梗塞とクモ膜下出血の既往があった。頭部CTで慢性硬膜下水腫を呈していて、脳室が圧排されていたが、これは保存的に経過をみるしかないようだ。

 胸部X線・CTで右下葉背側に浸潤影を呈していて、誤嚥性肺炎と判断された。当院としては誤嚥性肺炎は一番多い入院病名だが、抗菌薬はセファゾリンを使用していたので、ちょっと気になっていた。間違いではないかもしれないが、通常使用することはない。

 入院後にどうなったかと経過をみると、問題なく軽快治癒していた。もともと発熱がなかったが、酸素吸入も中止となり、炎症反応も軽快した。(白血球17500→7400、CRP7.4→1.1)陰影も軽減している。食事摂取もできるようになった。

 経過順調でセファゾリンでもいけるということになっていて、ちょっと驚いた。では使用するかというと、しないと思う。アンピシリン/スルバクタムをもっぱら使用しているが、当院はセフトリアキソン(口腔内嫌気性菌にも効く)を使用することが多い。

 

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肝転移、骨転移

2024年06月07日 | 呼吸器疾患

 6月5日(水)に市内のクリニックの先生から肝機能障害・食欲不振の患者さん(60歳代前半の男性)を診てほしいと連絡が入った。

 肝機能障害があり、特にLDHの上昇が目立つので癌が疑われる、という。地域の基幹病院に連絡したが、肝臓専門医が退職していないということで断られたそうだ。肝臓癌や転移性肝癌は当院では診れないので、検査だけして高次医療機関に紹介することになるが、来てもらうことにした。

 

 3週間くらい前から嘔気が続き、食事摂取低下・倦怠感が続いていた。水分はとれて、果物やパン・ヨーグルトなどは食べられるという。

 症状が出た2日後に市内のクリニックを受診したが、異常なしといわれたそうだ。当院受診時でも胸部・腹部に異常がなく、表在リンパ節も触知しないので、診察だけでは異常を指摘できない。

 その9日後に今回紹介してきた別のクリニックを受診した。高血圧症を指摘されて、降圧薬が処方されて、胃腸薬も処方された。当院紹介となった日は、食欲不振が続いていると家族から連絡が入って、肝機能障害を確認したようだ。

 

 5日前から右頸部の痛みがあり、続いている。両上肢の脱力やしびれはなかった。(CT撮影後に訊いたが、右骨盤部にも痛みがあった)首にタオルを巻いていて、安定させようとしている。

 点滴を開始して血液検査を提出した。検査室からCEAが1500以上の高値ですと連絡が入った(希釈して3876と判明)。CA19-9 とAFPは正常域だった。

 肝機能障害があり(AST 144・ALT 43・LDH 1192・ALP 447・γ-GTP 592)、確かにLDHの上昇が目立つ。Dダイマーが18.2と上昇していたが、塞栓症を来したようには見えない。胸部X線で左肺門部に腫瘤を認めた。

 頸部から腹部までの造影CTを行った。左肺門部の腫瘤は腫大したリンパ節が一塊になっているようにも見える。原発ではないかもしれない。

 肝臓全体に大小の腫瘤があった。これは転移で間違いない。膵臓・腹部大動脈周囲のリンパ節腫脹もある。

 右骨盤(腸骨)に溶骨性変化があり、周囲の軟部組織が腫脹している。上位頚椎の右側も変形して異常だった。右頸部の痛みも骨転移かもしれない。

 盲腸も壁肥厚があるが、腫瘍とはいいきれない。消化器科医に相談したが、やはり否定できないが腫瘍とは決め難いという。肺門部の腫瘤がリンパ節腫脹で原発巣でない可能性があるが、骨転移があると消化器癌よりは肺癌を考えたい。

 妻に病状を説明して、本人に検査結果をそのまま伝えることの了解を得た。患者さんに説明したが、案外淡々としていた。事の重大性を把握していない印象もあった(重大なことと思いたくない?)。

 がんセンター紹介を同意してもらった。連絡すると翌日の外来受診が可能だった。診療科をどうするか迷ったが、肺癌疑いで呼吸器内科にした。診療情報提供書には肺原発ではない時は、院内でのご高配をお願いしますと記載した。

 呼吸器内科、消化器内科での検討になると思うが、頸椎の問題があると、それよりも整形外科の対応が優先されるか。整形外科の先生に相談して、頚椎カラーをつけてもらうことにした。

 

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過呼吸

2024年06月02日 | 呼吸器疾患

 5月29日(水)の当直の時に、30日(木)午前0時過ぎに市内の救急隊から搬入依頼が来た。17歳女性が、頻回の嘔吐・めまい・手のしびれがあるという。

 手のしびれというのは過呼吸なのかと思った。この時間の搬入だと朝までのコースになりそうだが、来てもらうことにした。

 学校が終わった後、県庁所在地にあるスタジオでダンス(ヒップホップ)の練習をしていた。最近大会があるので、頻回に練習があって相当に疲れていたらしい。

 練習直後から嘔気があり、電車の中で、また当地に着いてからも計10回くらい嘔吐していた(食物と胃液)。母親が駅まで車で迎えに行ったが、症状が続くので駅から救急要請したという経緯だった。

 救急隊は意識JCSで10といっていたが、それはないだろう。実際搬入時は閉眼していたが、問いかけると薄目をあけて、首を動かしたり小声で答えることはできる。

 胸部聴診は異常がなく、腹部は平坦・軟で圧痛もなかった。手のしびれはまだあるというが、呼吸数は10回前後で過呼吸ではなかった。

 点滴と採血を出すので、静脈血ガス分析も追加した。PaCO2 27.3mmHg・pH 7.49と呼吸性アルカローシスはまだあった。搬入後は嘔吐はなかったが、嘔気があるというので点滴とメトクラピラミド(プリンペラン)注だけ行った。

 過呼吸で夢中になっていればヒドロキシジン(アタラックスP)の点滴静注をしようかと思ったが、そのまま経過をみた。母親付き添いで朝まで点滴室にいてもらうことにしたが、少し寝られたようだ。

 午前8時に見に行くと、ふらつきもなくトイレまで行けたそうで、すっきりした顔だった。点滴を抜いて帰宅とした。当院としてはこのくらいの受診がちょうどいい。

 

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誤嚥したばかりの肺炎

2024年05月21日 | 呼吸器疾患

 5月18日(土)の当直の時に、午後5時半過ぎに救急要請が入った(午後5時15分で日直と交代)。

 施設に入所している96歳男性の血圧低下、酸素飽和度低下だった。昼食後に何度か食残を嘔吐していた。そのまま様子を見ていたが、しだいに酸素飽和度が低下して、血圧も低下したために救急要請していた。

 酸素吸入は6L/分で行っていた。血圧が60mmHg台と低下しているので、救急隊が点滴をしましょうかという。点滴をお願いしたが、これは後で後悔した。(救命士に対する医療行為の指示は、地域の基幹病院から出ることになっている。)

 搬入されると末梢血管が虚脱して、点滴が入らない。血管が見えそうな2か所は救命士が試みて失敗していた。若い当直の看護師が点滴できず、残っていた日直の看護師も手伝ったが、なかなか入らない。

 エコーを持ってきて、CVカテーテルラインを入れようと大腿静脈を見始めると、手術室の看護師さんが感触だけでうまく入れた。点滴を全開で入れて、90mmHgになったところで、画像検査を行った。

 両側肺野にまだ淡い浸潤影が広がっていた。誤嚥性肺炎の初期像だった。

 その後、病棟に上がるといったん100mmHgまで上がった血圧が70mmHgになったりして、輸液の調整を行ったりした。翌日には搬入時虚脱していた末梢血管が見えるようになって来た。(別の部位に点滴を入れ替えていた)

 

 施設から病院搬入まで15分くらいなので、救急車を停めた状態で点滴をしてもらうより、そのまま病院にっ直行で来てもらえばよかった。(救命士の点滴は上手ではない。)

 今度いわれた時は、穿刺しやすい血管が5か所くらいあったら、1~2回は点滴を試みていいとしよう。点滴が困難そうな血管しかなく、1回で入れる自信がない時はそのまますぐ病院に来てもらう。

 トレーニングは救命士同士でやるので、点滴困難な高齢者や肥満者ではやっていない。まして血圧低下で血管虚脱の患者さんなどは場数を踏まないと難しい。

 救命士は点滴の実習で病院に来る。看護師さんは何か所か点滴できる血管のある患者さんだと、(失敗してもいいので)救命士にやってもらうが、難しそうな時はさせない。(もちろんショックの患者さんではトレーニングどころではないのでさせない。)

 

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