木曜日の午前中は救急当番だったが、午後の当番は午前中に救急搬入された食道癌の患者さんを担当してくれた外科医だった。
意識障害(見当識障害)のある78歳男性が救急搬入された。胸部X線・胸腹部CT・血液検査が行われて、左肺に軽度の肺炎像があり、炎症反応の上昇もあった。そこで別の内科の先生が呼ばれた。
この患者さんは地元の町にある小規模の病院に、高血圧症・糖尿病・脳梗塞後遺症で通院していた。6日前から繰り返し嘔吐するようになり、2日前とその日の午前中にその病院を受診している(病院にCTあり)。血液検査とX線検査(たぶん嘔吐なので腹部)で異常なしと言われた。
午後になって意識がおかしいと家族が救急要請した。その病院と地域の基幹病院が受け入れできず、当院に搬入された。(当院では最近「どこどこの病院で断られて当院に救急搬入」と、搬入の経緯を記載する傾向がある)
内科の先生は脳梗塞の既往と軽度の意識障害があることから、脳梗塞再発を疑って頭部MRIをオーダーした。結果は脳梗塞ではなくて、脳出血というか脳室内出血があった。順序が逆になるが、改めて頭部CTを行うと、間違いなく出血だった。幸いに脳外科のある基幹病院で引き受けてくれて、救急搬送できた。
繰り返す嘔吐で、腹部に所見ががなければ、腹部以外の病気を考えるという例になるのだろう。頭重感くらいなのと意識障害もあり、患者さんが頭痛を訴えていない。頭痛・嘔吐なら必ず頭部CTを行うはずだ。
個人的には、脳梗塞疑いで頭部MRIを行う予定の患者さんでも頭部CTから始めることにしている。亜急性の経過の脳出血だと。間違うことがあるから。当院ではCTでもMRIでもすぐに検査できるという恵まれた環境にある。
脳外科の処置は脳室ドレナージ?、保存的にみてからドレナージを考慮?。