なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

専門医共通講習

2018年09月30日 | Weblog

 内科専門医の専攻医を派遣してもらっている医療センターから、日本専門医機構認定「専門医共通講習」の受講申込書が来ていた。

 案内には、「専門医共通講習とは専門医資格更新のために必要となる講習です。専門医の資格更新のために、すべての専門医が、医療倫理医療安全感染対策の受講を必須とされており、5年間で各1単位以上の取得が必要となります」、とあった。

 専攻医である若い先生に訊いたところ、急に決まったようですが専攻医にはマストなので僕たちも出ます、ということだった。内科学会ホームページにもなさそうだし、専門医機構というところが(独自に)始めたもののようだ。

 とりあえず出ることにして、先々週の火曜日夕方午後4時に病院を出て行ってみた。十分余裕があるはずが、道路が混んでいて午後6時開始に何とか間に合った。他の病院の先生方も来ていて、見知った顔もあった。1施設10名までとなっていたが、3名来ていた病院がひとつで、あとは1病院1名すつで全部で10名くらいが参加した。医療センターからは専攻医以外にも多数参加していた。例のヘルシンキ宣言など医療倫理の話を1時間聴いて、受講証をいただいて帰ってきた。10月の医療安全、11月の感染対策も行く予定。

 当地域の基幹病院でも、専門医共通講習の話が出ていた。今後は基幹病院クラスでそれぞれに開催するのかもしれない。でも全部の専門医の必須とするとかなり大変なことになりそうだ。

 将来どうかるかわからないが、とりあえず始まった専門医研修に関連したこと、なのだろう。1時間話を聴いても実質的には役に立たないので、やりましたという形だけのものになる。院内の感染管理委員会と倫理委員会の委員長になっているが、これも形だけ仰せつかっているだけで(医師数が極端に少ないので、いろいろ兼任している)、特に詳しくはない。

 

 

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「高齢者糖尿病治療ガイド」

2018年09月29日 | Weblog

 どこの製薬会社か忘れてしまったが、2か月くらい前に「糖尿病治療ガイド2018-2019」と「高齢者糖尿病治療ガイド2018」をもらった。小規模な講演会とかで配った残りだろうか。

 糖尿病ガイドは数年に1回購入しているが、2018-2019も丸善で見て、食事療法がカロリー制限だけなので、まだ変わらないなあと思って購入しなかった。糖尿病の本は年に2-3冊は購入する。

 薬物療法は各薬剤が羅列してあるだけで、順位付けをしていない。順位付けをすることはエビデンスとして出せないので難しいとは思う。専門医の個人的な意見でいいので、こうすべきだと記載してほしい。

 ガイドと私見を交えると、

1.ビグアナイド薬(メトグルコ)

 新規では使用しない。75歳以前から使用されていれば、継続してもいいことにはなっている。実際は、ある程度血糖コントロールが良ければ、あるいは多少高くても許容範囲なら中止する。継続するとしても、1000mg/日以上で使用していれば、500mg/日の初期量に減量している。

2.チアゾリジン薬(アクトス)

 新規では使用しない。75歳以前から使用されていれば、継続することはあるが、普通は中止する。高齢者でなくても、最近新規で使用することはない。

3.スルホニル尿素薬(SU薬)

 新規では基本的には使用しない。75歳以前から使用されていれば中止する。HbA1cが9~10%だと、やむなく減量して継続することもある。グリクラジド(グリミクロン)だと10~20mg/日まで(20mgのHAを0.5錠か1錠/日)、アマリールだと0.5mg/日までになる。処方するのは気持ちが悪い(個人の感想です)。

4.速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

 服薬回数の問題もあり、使用しない。

5.DPP4阻害薬

 第一選択であり、可能ならこれだけにしたい。どれを使用するかという問題がある。基本的にはそれまで使用されていた薬剤を継続する。新規ならトラゼンタが無難かもしれない(個人の感想です)

6.α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

 服薬回数と腹部症状の問題があり、使用していない。75歳以前から使用されていても、可能なら中止する。

7.SGLT2阻害薬

 これは悩む。肥満で体力のある高齢者には使用している。やせ~普通体形だとあまり使用していない。

8.インスリン

 DPP4阻害薬を使用してHbA1c9~10%だと、インスリン注射が可能ならば(患者さん本人か、家族が)、持効型を少量(4~10単位/日)使用している。製剤はトレシーバを使う。

 緩徐進行1型糖尿病(あるいは抗GAD抗体は陰性だが、実態は緩徐進行1型相当も)で自己インスリンが枯渇している患者さんでは、インスリン強化療法が必要になる。頻回注射が困難な時は、やむなく持効型だけになることもある。

9.GLP1受容体作動薬

 高齢者以外の肥満2型と糖尿病ではトルリシティ注を使用している。生理的な量をはるかに上回る量を入れて本当に大丈夫かというのはある。高齢者での評価は正直よくわからない。ガイドには「食欲低下や体重減少作用は、高齢者では負の作用をもたらし得るため注意が必要」と記載されている。肥満で体力のある高齢者では使えるのかもしれない。

 

 結局、DPP4阻害薬を使用して、可能ならそれだけで継続する。それでHbA1cが7.0%以下なら最高。7%台ならばそのまま継続する。認知症ならば、8%台でもそのまま(それだけで)継続する。

 HbA1c9~10%だと、インスリン注が可能ならば持効型を少量を追加する。インスリン注ができなければ、SU薬をごく少量(グリミクロン10mgで開始して、20mgまでは増量している)追加している。しかしSU薬の処方はとにかく気持ちが悪い。肥満で体力がある高齢者ではDPP4阻害薬にSGLT2阻害薬の追加もあるか。

 

 

 

 

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外科医頑張る

2018年09月28日 | Weblog

 昨日の当直は外科医だった。当方だったら専門病院に搬送したかもしれない2名の患者さんを入院させていた。

 昨日の午後7時過ぎに、46歳男性が胸焼けするような胸痛・喉が締め付けられるような痛みで救急搬入された。心電図・心原性酵素で明らかに急性心筋梗塞を示唆する所見が得られないとして、入院で経過をみていた。検査してうちに症状は軽減している。

 患者さんは身長180cm・体重130Kgの巨漢で、高血圧症・糖尿病・脂質異常症で内科医院に通院していた。受診時の心電図では、V1-3がpoor r wave progression様で、Ⅰ・aVL・V6でST低下を認めた。急性冠症候群で救急搬送したくなる。

 朝には症状が消失して、コンサルトされた循環器科で再検したが、心電図波形は同じで、心原性酵素の上昇はなかった。心エコー検査で心筋の動きは正常だった(前壁のOMIではなかった)。心電図で心室性期外収縮(単発)があったので、ホルター心電図も行われた。患者さんの退院希望があり、二トロール頓用を持って退院になった。

 こういうのは緊急心カテの適応はないのだろうか。一昨年までいた別の循環器科医は、午前中に忙しい外来があるので、緊急で心臓CTを行なってから判断していた。この患者さんは血清クレアチニン1.37mg/dlとCKDもあり、やりにくいか。

 

 朝方の午前4時過ぎに重度の喘息発作で41歳女性が救急搬入された。別の病院(150床くらいの私立病院)に気管支喘息で通院していた。ふだんは発作時の吸入で治まるらしいが、今回はだめだった。 

 搬入時、血圧70/50で、酸素吸入10L/分でも酸素飽和度が80%前後だった。搬入時は全身をこわばらせて、眼球上転していたそうだ。ステロイド点滴静注とアドレナリン皮下注を行って、アンビュバックで補助呼吸をした。血圧は上昇して一時的に200になったが、その後正常化した。治療に反応して、酸素4L/分で酸素飽和度100%と呼吸状態も改善していた。

 こちらは午前8時半になってから、かかりつけの病院の主治医に電話で相談した(当院に呼吸器科はない)。そこは呼吸器科が2名いるが、夜間休日の救急には対応していない。病院車で迎えに来てくれることになり、転院して行った。危機は乗り越えているので、通常の喘息発作の治療で何とかなるのだろう。

 

 それにしても、2名とも外科ICUに入院させた外科医はよく自分で診たものだ。朝になったら専門医に依頼したり、送るつもりでいたので、朝までしのげればという気持ちだったとは思うが。

 内科医の当方としては、前者はACS疑いで即救急搬送している。後者はとりあえずの治療をして、反応をみて決める。重度の喘息発作だと、気管挿管は意識下・呼吸苦で難しく、呼吸管理も十分な吸気を確保するのは難しいはずだ。たぶん2回くらい経験したことがあるが、自信はない。気管挿管したら、これまた即救急搬送する。

 

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脾臓の石灰化

2018年09月27日 | Weblog

 午前2時前に病院から電話が来た。入院した85歳男性が心停止になったという。当直医(整形外科医)が心肺蘇生をしてくれたが、反応がなく、家族が来たところで死亡確認していた。

 内科クリニックに通院していたが、6年前から慢性閉塞性肺疾患・慢性呼吸不全で在宅酸素療法が開始された。今回は7月に肺炎をきっかけに、COPD増悪・心不全併発で地域の基幹病院呼吸器内科に搬送入院となった。気管挿管はしない・NPPVまではする・心肺停止時はDNRという条件で治療が開始されて、何とか落ち着いた。

 ひとり暮らしだったが、入院ですっかり廃用症候群となり、自宅での生活に戻れなかった。今月初めに当院に転院してきた。リハビリをして在宅に戻るためということだったが、到底在宅は無理だった。在宅酸素も受け入れる施設入所を考えていたが、痰がらみで急に酸素飽和度が低下したりするので、療養型病床のある病院への転院を目指すことになった。認知症の不穏に精神薬も必要だった。

 前日の日中はそれほど変わりなく、発熱もなかった。痰のつまりから酸素飽和度が低下して回復できなかったか、虚血性心疾患の発症で急変したのかどちらかだろう。後者の方で死亡診断書を作成した。

 

 今日の午前中は救急当番だった。消化器科に糖尿病で通院している82歳女性が下痢・嘔吐ということで救急搬入された。

 朝7時の血糖が70mg/dlと低かったが、最近はそのくらいの低値が続いていて、朝食をとるので低血糖用のブドウ糖は摂取しなかったそうだ。便秘だったので朝食前に冷水・トマトジュースを飲んで、キウイを食べた(自己流の便秘対応策)。それが効いたのか、便が出たが水様便になった。その後嘔気もして嘔吐した。消化器症状は低血糖のためと思って、ブドウ糖を摂取しようとしたが、嘔気でできず、救急要請したといい経緯だった。

 搬入時は血糖122mg/dlだった。意識清明で腹部症状は治まっていた。血液検査は血糖以外(HbA1c7.5%)は異常がない。胸腹部の単純X線を撮影した(立位でできた)。胃のツブツブがあり、胃内のものに見えて、放射線技師さんから何を食べたんでしょうかと言われた。

 右CPA angleが鈍だったのもあり、胸腹部CTで確認した。胃ではなくて脾臓の石灰化だった。腹腔内・縦隔にも石灰化があり、陳旧性結核性腹膜炎と思われた。現在活動性の病変はないようだ。

 糖尿病の処方はDPP4阻害薬(トラゼンタ)とライゾデク注10単位(夕)だった。一番血糖が高くなる食事の前に入れることになっているが、夕のライゾデクは心配になる。以前はトレシーバを使用していて、途中で変更になっていた。インスリンの使用で、HbA1cは8%が7.5%になったようだ。80歳代だとDPP4阻害薬以外に安心して使える薬がない。

 最近はずっと朝に低血糖になっているというので、ライゾデク10単位(トレシーバ分は7単位)をトレシーバ4単位に変えることにした。水分と食事もとれるようになり、入院はしたくないと帰宅を希望した。

 脾臓の石灰化があったというだけの話。

 

 

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APTT延長

2018年09月26日 | Weblog

 外科医からAPTT延長の患者さんのことで相談された。S状結腸癌の68歳女性だった。

 その患者さんは大腸癌健診で便潜血陽性で二次検査となった。当院の消化器科で大腸内視鏡検査を行ってS状結腸癌と診断された。平坦な隆起で中心にびらんを形成している。腹部造影CTでは病変を指摘できないくらいの大きさだった。2型進行癌とも言い難い。消化器科医はSM深部へ浸潤していて、内視鏡治療の適応はないと判断していた。

 術前検査で唯一ひっかかったのが、APTT延長だった。67.5秒(25~33)で、再検しても72.3秒だった。出血症状・血栓症状は何もない。PTは正常域でFDP・Dダイマーも正常域だった。麻酔科医が追加検査を指示していたが、内科にも訊いてみたという経緯だった。

 これはどれほどの意味がある異常値なのだろうか。最初に思ったのは、あまり意味がないんじゃないかだった。しかし実際に手術する外科医としては気持ち悪いだろう(手術中に出血がコントロールできなくなったらと考えてしまう)。

 第Ⅷ因子・Ⅸ因子、第Ⅷ因子インヒビター、ループスアンチコアグラントなどの外注検査が提出されたので、その結果をみてから考えることにした。

 当方では、後天性血友病の患者さん(高齢女性。認知症があり、地域包括ケア病棟で施設待ち)が入院している。この患者さんはS状結腸癌が契機となって、後天性血友病が発症していた。

 最終的には、一度他院の血液内科外来に紹介してコメントをもらうということになりそうだ。

 

 金沢大学血液内科で,血栓止血学について記載している。以下はその一部。

APTTが延長する出血性疾患は、

1)血友病A友病B(deficiency)
2)von Willebrand病(deficiency)
3)後天性血友病(inhibitor)(第VIII因子インヒビター)
4)ビタミンK欠乏症(deficiency)
5)その他

APTTが延長する血栓性疾患
は、

1)ループスアンチコアグラント(inhibitor):抗リン脂質抗体症候群の診断に抗カルジオリピン抗体とともに不可欠です。
2)先天性XII因子欠損症(deficiency)
3)その他

 臨床に直結する血栓止血学

 

 医学書院の記事には、「PT,APTTともに重要な止血のスクリーニング検査ですが,試験管内で行う検査であり,生体内での凝固能を正確に反映するものではないことを忘れてはなりません。特にAPTTが延長している場合でも,その原因が第VIII因子と第IX因子の大幅な低下(20%未満)でない限り,大きな出血を起こすことはないと考えられます。」とあった。

 

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慢性硬膜下血腫

2018年09月25日 | Weblog

 今日は内科新患の担当する先生がいないので、再来を見ながら自分で診るしかない。連休明けで受診が多いかと思われたが、予想よりは少なかった。施設から紹介の患者さんもいたが、午後3時には何とか終わった。

 そのうちのひとり、88歳女性が娘さんに連れられて受診した。普段入浴はひとりでしていたそうだが、昨日は浴槽から上がれなくなって同居してる娘さんを呼んだ。2階にいた娘さんがやっと気づいて浴室に見に行った。娘さん夫婦が二人がかりでやっと浴槽からあげた。四肢の脱力があったという話だが、正確には半身なのか四肢なのか両下肢なのかわからない。

 今日はどうですかと訊くと、ほとんど普段の状態に戻っているという。意識清明で難聴はあるが普通に会話ができる。以前からの足の痛みを訴え始めるので、娘さんにそれは前からでしょうと言われていた。

 車いすに座っていたが、上肢の左右差はなかった。介助して横臥させて、また起こしたりしたが、88歳だとこのくらいかと思うくらいには動いていた。

 当初は一過性虚血発作で半身に軽度の麻痺が出て、それが回復したのかと思った。頭部CTよりは頭部MRIでみる方がいいと判断した。放射線科に訊いてみると、予約の患者さんがいるのですぐにはできないが、待っていればできるということだった。

 他の患者さんの検査結果を見ていると、放射線科の技師さんから連絡がきた。硬膜下血腫があるが、MRIはある程度で切り上げて、CTにしましょうかという。頭部CTにすればよかったと思いながら、そうしてもらった。いつもは脳梗塞疑いでも、まず頭部CTで出血がないか確認して(すでに梗塞巣が出現しているかどうかの確認も)、それから頭部MRIにしている。今日は最初からMRIにしてしまった。

 CT室に行くと、ちょうどCTが終わったところだった、改めて娘さんに訊いてみると、1週間前から動きが鈍くなっていたらしい(年齢のわりにすいすい動いていたことになる)。その時でも患者さんは問いかけにハキハキ答えていたが、やはり1週間前からいつもより応答が鈍い感じはしていたそうだ。頭部打撲は患者さんも娘さんもわからないという。

 基幹病院の脳外科医に連絡すると、家族の車ではなく救急搬送する様にという指示だったので、ありがたく搬送させてもらった。この症状の経緯で、昨日悪化したのは、慢性硬膜下血腫に新規の出血が加わったと判断するのだろうか。血腫のうち、前頭葉のところはCTで白く(高濃度に)写っている。

 

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HE4、ROMA

2018年09月24日 | Weblog

 内科の若い先生が卵巣癌・癌性腹膜炎の91歳女性を診ている。昨年は別の先生が急性腎盂腎炎の治療をしていた。今回も急性腎盂腎炎疑いで内科医院から紹介されていた。検査の結果、今回は感染症だけではなかった。

 画像では両側卵巣の腫瘍(左卵巣腫瘍が腫大して右卵巣に接触?)が描出されて、腹水もあった。腫瘍マーカーはCA125が4725と上昇していた。CA125といっしょにHE4・ROMAも提出されていたが、これは知らなかった。産婦人科の先生に訊くと、保険収載されたので院内の検査項目にさっそく入れたそうだ。

 CA125と、ヒト精巣上体蛋白4(human epididymis protein 4:HE4)を組み合わせて卵巣悪性腫瘍推定値(Risk of Ovarian Malignancy Algorithm:ROMA)が算出される。感度の高いCA125(特異度が低い)と特異度の高いHE4の特徴を生かして、卵巣悪性腫瘍の推定に有用ということだ。ROMAは閉経前と閉経後では違う値になる。

 この患者さんはCA125が4725、HE4が7634で、ROMA(閉経後)が99.9(<23.5)と上昇していた。治療は対症療法で、DNRの方針になった。婦人科では診ないので、そのまま内科で最期まで診る。 

 

 高齢者が食欲不振で受診した時、男性ではCEA・CA19-9・PSAを、女性ではCEA・CA19-9・CA125を3点セットで出している(肺癌疑いは別のセット)。悪性リンパ腫を疑うときは可溶性IL2受容体抗体も提出する(外注)。

 

 

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脳梗塞

2018年09月23日 | Weblog

 木曜日の夕方に、前日からしゃべりにくくなったという72歳男性がクリニックから紹介されてきた。意識清明で麻痺はなく、感覚障害もなかった。嚥下障害もない。充分に聞き取れるくらいの軽度の構語障害だった。

 検査を一通り入れて、結果が出るのは時間外になるので、神経内科医に検査結果を診てもらうよう声をかけた(当院は神経内科1名で時間外には対応していないので、ちょっと待っていてもらった)。洞調律で心房細動はない。高血圧症と虚血性心疾患?で、降圧薬と抗血小板薬(バイアスピリン)が処方されていた。ポツンとラクナ梗塞が出るだろうと予想された。

 頭部MRIで左放線冠に1㎝の細長い形態の脳梗塞を認めた。両側基底核と左視床に複数の陳旧性ラクナ梗塞があるが、有意な症状はなかったようだ。神経内科で入院して、オザグレルとエダラボンの点滴静注が開始された。

 神経解剖と画像を結び付けた本でわかりやすいものを探しているが、なかなかないものだ。PT向けの本の方がいいものがある。側脳室天井レベルで「ハの字」に見える側脳室の脇に放線冠があり、そこで中心前回の各部位からの神経線維が1本になる。放線冠は、腹側(顔側)から顔面・上肢・体幹・下肢の順序で神経線維が並んでいる。この患者さんでは顔面に相当する。

「放線冠とは」の画像検索結果

 

 

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ALSOK

2018年09月22日 | Weblog

 昨日の当直は外部の先生(バイト)だった。午前0時過ぎに呼吸困難の92歳女性が救急搬入されて、両側肺炎があるという。酸素6L/分投与で酸素飽和度が保たれていた。

 当面の指示を出してもらって、午前9時に病院にき来た。病室(重症個室)に行くと、ちゃんと会話はできて、認知症はなさそうだ。ふだん通院しているクリニックから降圧薬3種類と抗凝固薬(イグザレルト)が処方されていた。心電図は正常洞調律で、発作性心房細動なのかもしれない。糖尿病薬も3種類出ていた。

 白血球数増加・CRP上昇がある。BNPは高値だが、現在心不全の影響が強く出ているとはいえない。迅速検査で尿中肺炎球菌抗原が陽性だった。肺炎球菌ワクチンは受けているが、23価でカバーしていない肺炎球菌かもしれない。セフトリアキソンが開始されていたので、継続することにした。

 この方は山間の町でひとり暮らしをしている。真夜中に呼吸困難となって、ALSOKのボタンを押していた。駆けつけたALSOKの方が家族に連絡して、救急要請となった。朝方までそのままだと危なかったかもしれない。これはALSOKの高齢者向け緊急通報で、「HOME ALSOK みまもりサポート」だ。月額2940円で、これで助かれば安いもの。

 この会社は綜合警備保障で、ALSOKはALways Security OKの略だが、これは英語としては正しいのか。ちなみに当院の警備はセコム。

 

 

 

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DBS

2018年09月21日 | Weblog

 パーキンソン病の70歳男性が、誤嚥性肺炎で入院していた。内科の若い先生(地域医療研修の専攻医)が担当して、肺炎は軽快していた。入院時の胸部X線・CTでは随伴性胸水を伴った(胸腔穿刺で膿胸は否定)右肺炎があり、軽快後も瘢痕を残している。

 パーキンソン病は大学病院神経内科(他県)に通院していた。wearing offとdyskinesiaが起こって、レボドパ製剤の調整が困難で、DBSを施行されていた。

 DBSはDeep brain Stimulation脳深部刺激療法。左右の胸部に埋め込んだ神経刺激装置から脳深部に挿入したリードへケーブルでつながっている。電気的に高頻度刺激を行って、目標とする神経核の活動を抑制するそうだ。知らないで見ると、「あれ、この患者さんは心臓ペースメーカーがふたつある」と言ってしまいそうだ。

 すでにADLは寝たきり状態で、嚥下訓練を行ったが、経口摂取はできないと判断された。主治医が大学病院に問い合わせたところ、「胃瘻造設が妥当でしょう」、という返事が来た。要するに、もう大学病院で診ても仕方ないのでそちらでよろしく、ということだった。まあ、神経内科医が腕を振るってADL改善をはかる時期ではない。後は誤嚥性肺炎との戦いになる。

 そこで消化器科医(当院は1名のみ)と当方の胃瘻造設コンビが、今週内視鏡的胃瘻造設(PEG)を行った。家族の希望で、療養型病床をもつ脳神経疾患の病院へ紹介転院の予定となった。DBSは入っているし、抗パ薬の調整もあるので、ちょっと遠方にはなるが好ましい選択だと思う。担当の専攻医は将来神経内科志望なので、いい経験になったかもしれない。

 以上、DBSを初めて見ました、というお話しでした。

 頭部CTで見ると、結構脳組織を壊しているように見える(確立された治療法です)。発症が14年前だから、初老期からパーキンソン病で苦しんできたことになる。

 

 

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