なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

感染経路2か所

2020年12月31日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。12月31日に日直をして1月1日まで病院にいるのは、もう10年以上になる。

 29日にまた新型コロナウイルス感染症の21歳女性が入院した。その日は内科の別の先生が日直で、保健所から依頼されるコロナのPCR検査をお願いしていた。またコロナの入院があった時は、入院の手続きをしてもらうようにしていた。

 これで当院の新型コロナウイルス感染症の入院は23人目になる。県内の一番多く入院を診ている病院は数百人になるはずで、それに比べれば微々たる人数ではある。大阪のコロナ専門病院では千人単位で診ているのかもしれない。

 この患者さんは、12月20日に友人と温泉に出かけたが、その中に新型コロナの患者さんが出ていた。濃厚接触者としての検査は受けていなかった。さらに仕事先(スナック)にも新型コロナの患者さんが出ていた。

 ご本人も12月27日から咽頭痛・鼻汁・頭痛・発熱(37℃台)の症状が出た。28日にPCR検査を受けて、29日に陽性と判明したという経緯だった。嗅覚・味覚障害もある。

 感染経路として2か所が考えられるというのは初めてのケースで、感染が広まっていることを示していた。

 

 3月までは今の体制で、少ないながらも地域で発生した新型コロナの患者さんの入院治療と、保健所依頼のPCR検査(行政検査)を続けることになる。4月以降は病院自体の存続があやうく、対応できるかどうかは不明としている。

 3月までに医局にある医学書を整理しておく必要がある。あまり使われていないロッカー内にこれまで購入した本を全部入れていた。数年見ていない本は今後使用することはないはずなので、どんどん捨てていこう。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビタミンB1欠乏

2020年12月30日 | Weblog

 宮田靖志先生の「プライマリケアの現場で役に立つ さらに!一発診断100」(文光堂)を読んでいた。「一発診断」の3冊目の本になる。

 その中に、ビタミンB1による「脚気心(症例20)」と「下腿浮腫(症例82)」の症例が載っている。

 

 前者は、30歳代男性で両下腿浮腫としびれ、労作時の息切れで受診した。食事は白米のみという偏食傾向があった。脚気心は、ビタミンB1欠乏による末梢血管拡張と高心拍性心不全をきたす疾患。下肢有意の感覚障害と腱反射の消失で、ビタミンB1欠乏が疑われた。

 「ビタミンB1の投与が唯一有効な治療法で、利尿薬の使用はビタミンB1の尿中排泄を促進するため、かえって心不全を増悪させてしまう可能性がある。

 

 後者は、両下腿浮腫で受診した68歳女性で、ひとり暮らしで3食はしっかり摂取しているが、偏食傾向がある。近医から利尿薬を処方されたが改善がなく、悪化していた。

 腱反射の消失からビタミンB1欠乏が疑われた。ビタミンB1投与により、浮腫は速やかに改善している。(浮腫の原因として、心・腎・肝・内分泌・薬剤性・低アルブミンは否定されている)

 「利尿薬はビタミンB1の排泄を促進するため、心不全で入院中の患者3人に1人がビタミンB1欠乏といわれている。適切な心不全管理をしているのも関わらず、浮腫の改善が乏しい場合は、ビタミンB1の血中濃度を測定してみる。

 両者とも程度の違いだけで病態としては同じことなのだろう。

 

 普段ビタミンB1のことをあまり意識していないが、もっとビタミンや微量元素の不足を考えておく必要がある、と反省した。

 

さらに!一発診断100 (プライマリケアの現場で役立つ)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺炎でいい?

2020年12月29日 | Weblog

 糖尿病で外来通院している80歳女性が、今月始めに受診した時に、排尿時痛と吸気時の胸痛を訴えた。発熱はなかった。

 白血球12500・CRP9.8と炎症反応が上昇してた。尿混濁があり、胸部X線で左肺中肺野に浸潤影を認めた。尿路感染症+肺炎として入院を勧めたが、自宅に介護する夫がいるのでできないという。

 外来でレボフロキサシン内服で治療したところ、排尿痛は消失して、胸痛も軽減した。白血球7400・CRP1.2と炎症反応は軽快していた。尿培養ではKlebsiella pneumoniaeが検出された。喀痰は出なくて培養できなかった。

 側方に広がる浸潤影が軽快したようではあるが、左肺門部が腫瘤様に見える。胸部CTで確認することにした。

 炎症像でいいのか、腫瘤があるのか、わからなくなった。炎症反応が軽快したという点では肺炎でいいのか。最初に受診した時に胸部CTを確認しておけば、比較ができてよかったのかもしれない。

 地域の基幹病院呼吸器内科に紹介して、診てもらうことにした。放射線科の読影レポートは肺膿瘍疑いになっていた。炎症が遷延しているだけなのか。最初から発熱がなかったのはどういうことなのか。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大腸癌・肝転移

2020年12月28日 | Weblog

 1週間前の月曜日に、食欲不振の98歳女性が内科クリニックから紹介されて受診した。ケアハウスに入所している方だった。内科の若い先生が診察して、腹部CTで盲腸に腫瘤影があり、肝内に多発性に転移巣を認めた。

 腫瘍マーカーは最初振り切れていて測定できなかったが(>と表示された)、後日希釈して結果を出していた。CEAが2321・CA19-9が34455と出た。

 通常ならば大腸内視鏡を行って生検で診断を確定するが、この場合はなしでいいと思われた。手術も抗癌剤治療もできないので、緩和ケアだけになる。

 家族にお話して、入院で経過をみるが、病状悪化時はDNARの方針となった。まず末梢静脈からの500ml×2本と、胆道感染疑いで抗菌薬が開始された。受診時に発熱があったが、1週間の投与で解熱している。

 予後が1~3か月で半年持たせるのは難しいと予想される。ステロイドの適応だが、糖尿病があるので使用し難い(感染症併発だとさらに)。

 いったん抗菌薬は中止して、点滴で年明けまで経過をみることになった。少しでも経口摂取できるといいが、数口程度だった。大腸腫瘍の増大から腸閉塞にならないといいが。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

硬膜下血種

2020年12月27日 | Weblog

 金曜日に県庁所在地にある県内有数の市立病院から78歳男性が転院してきた。

 徐脈頻脈症候群疑いで当院循環器科に、高血圧症・痛風で当院内科に通院していた。病院に来ると陽気にふるまっていた。印象としては、「家族や人に言うことはきかない、頑固な酒とたばこの人」だった。

 下腿浮腫が出現するようになり、心臓そのものというよりは慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺性心の症状と判断された。それがきっかけで喫煙はやめたが、飲酒は続けていた。肝機能検査で常にγ-GTPだけが高値だった。

 今年の9月に転倒して、頭蓋内出血をきたした。当院救急外来からの紹介で、地域の基幹病院に入院した。診療情報提供書の返事には、外傷性くも膜下出血・慢性硬膜下血種・脳出血・脳挫傷と派手な病名が並んでいたが、保存的に経過をみて軽快していた。不整脈由来なのか、酒に酔っただけなのか不明だった。

 その後、飲酒しては転倒することを繰り返したそうだ。息子さん(患者さんと二人暮らし)がいっしょに病院にきて、禁酒するよう説得してほしいと言われた。

 飲酒により転倒して頭蓋内出血をきたしたこともあり、禁酒が必要とお話した。やめます、とは言ったが、息子さんにはどれほど効果があるかわからないと伝えた。その後、認知症の症状で困ると息子さんが地域医療相談室に連絡がきていた。病状を確認しないとわからないが、本人に受診の意志がなかった。

 12月半ばに動けなくなって、救急搬入された。当直の腎臓内科医(4か月交代で大学から来ている)が診察して、慢性硬膜下血種に急性の出血が加わったような頭部CT像だった。

 脳外科のある病院へ搬送しようとしたが、血液検査でBUN100・血清クレアチニン2.24と腎機能障害を認めて、さらに血清カリウムが8.6と著明に上昇していた。心電図では洞調律ではあるが、明らかなテント上T波を認めていた。頭蓋内疾患だけではないので、より高次医療機関へとなって、上記の病院に搬送していた。

 幸いに保存的治療で軽快したが、経口摂取は進まなかった。そちらの病院も新型コロナウイルス感染症に対応する中心的な病院でとくかくベットを開けたいということで、当院に転院依頼がきた。

 すぐに引き取ることにしたが、転院直前に誤嚥性肺炎を来していったん延期になった。その2日後に解熱したのでと転院依頼がきて、当院で誤嚥性肺炎の治療を継続することにした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナウイルスの肺炎

2020年12月26日 | Weblog

 木曜日と金曜日に、また新型コロナウイルス感染症の患者さんが入院した。

 

 木曜日入院した64歳女性は農家の方だった。夫と息子の3人家族で、他の2人はPCR陰性だった。感染経路不明になる。12月15日に発熱して、12月23日に地元の町立病院でPCR検査を受けて24日陽性と判明した。その病院でPCR検査をしているのは知らなかった。おそらく唾液でのPCRと思われた。

 入院してきた時点で発症10日目になる。発熱が続いているというので、肺炎は間違いなくあるだろうと思った。来院して胸部CTを行うと、右肺下肺野背側にすりガラス陰影を認めた。放射線室でCT画像を見た時は、デキサメサゾンを使用するつもりだった。

 患者さんは意外に元気で、酸素飽和度97~98%(室内気)だった。血液検査では白血球5900・CRP2.3と予想より炎症反応は低かった。体温は前日が38℃でその日は37℃前半に下がって来ていた。

 翌日まで経過をみて、薬剤使用を考慮することした。今のところ、中等症Ⅰ相当として、そのままデキサメサゾンを使用しないで経過をみている。

 

 金曜日に入院した68歳女性は、月曜日に入院した35歳女性がバイトをしている居酒屋のお客だった(常連なのですぐに連絡がいったそうだ)。濃厚接触者として前日の木曜日にPCR検査を受けて陽性と判明した。すでに水曜日から発熱(微熱)があり、咳も出ていた。(バイトの女性は、店内ではマスクはしていなかったと言っていた)

 65歳以上で糖尿病で通院していたので、保健所ですぐに入院してきた。糖尿病の処方はDPP4阻害薬・α-GI・メトホルミンでHbA1c7.2%程度らしい。入院中の血糖測定はしなくてもよさそうだ。

 胸部CTで右肺下葉背側にすりガラス様陰影を認めた。白血球4900・CRP2.9と軽度の炎症反応がある。酸素飽和度97~98%(室内気)。高熱が続いているわけではないので、このまま経過をみるが、順調の治るかどうかは、1週間経過してみないとわからない。

 胸部CTのすりガラス陰影は、辺縁がぼさぼさした感じがするのと、水平断でみるとこんもりと盛り上がったような形をしているのが特徴のようだ。

 

 県庁所在地で発生した患者さんも入院させられないかと、打診が院長に入ったそうだ。ベットがいっぱいではなく、各病院が届け出ている数に達していなくても、人手の問題で断るからだろう。

 当地域は当院と基幹病院しかコロナの入院施設がない。基幹病院は救急搬入が多く、実際はコロナにはできるだけ対応したくない方針になっている。当地域を管轄する保健所は当院頼みなので、他の地域の患者を引き受けて、当地域の患者を受けられなくなるのを危惧している。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

陰嚢膿瘍

2020年12月25日 | Weblog

 地域の基幹病院消化器内科から当院に転院してきたアルコール性肝硬変の69歳男性。腰椎圧迫骨折があり、リハビリ目的での転院だったが、一人暮らしで在宅生活はできないので、実際は施設待ちの入院だった。

 尿閉で尿カテーテルが留置された状態で来て、いったん抜去してみたが、自尿がなく再挿入になっていた。前立腺肥大は目立たず、腰椎圧迫骨折の程度がひどく、脊髄の障害も疑われた。

 今週初めから発熱があり、留置カテーテル尿なので評価が難しいが、尿路感染症と判断された。白血球16700・CRP10.1と炎症反応の上昇を認めた。

 前回の尿培養でEnterococcus faecalisfaeciumKlebsiella pneumoniaeが検出されていたので、スルバシリン(ABPC/SBT)で開始した。尿カテーテルを入れ替えて再度提出した尿培養ではEnterococcus faecalisとKlebsiella pneumoniaeだった。スルバシリンに感受性があり、軽快するはずだった。

 昨日の木曜日の午前中に悪寒がきて、39℃の高熱になった。そして陰嚢部に痛みを訴えた。改めて陰嚢を診察すると全体に腫脹して、圧痛著明だった。色調は発赤ではなく、若干紫がかった?黒色。訊くと数日前からは痛かったそうだ。

 肺炎や腹部の膿瘍疑いで、胸腹部CTを撮影して、幸い陰嚢も含まれていた。全体に腫脹して内部に低濃度の貯留物がある。時刻は11時過ぎだった。当院の泌尿器科は全部非常勤医で、その日は午前中だけの診察だった。

 泌尿器科外来に行って事情をお話して、病室で診察してもらった。陰嚢穿刺で膿が引けて、膿瘍貯留と判断された。小切開をすると膿が流れ出てきた。絞り出して、生食で洗浄すると陰嚢の大きさは半分近くに小さくなった。ドレーンが留置された。

 留置カテーテルが影響して、精巣上体炎から膿瘍化したのではないか、と言われた。留置カテーテルは抜去して、間欠導尿で経過をみるようにと指示された。

 昨日は高熱が続いたが、今日は解熱していた。CTで両側背側に誤嚥性肺炎を疑う陰影もあったので、陰嚢膿瘍と合わせて抗菌薬投与を継続することになる。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナの肺炎像(軽度)

2020年12月24日 | Weblog

 現在、新型コロナウイルス感染症の30歳代女性2名が入院している。いずれも胸部CTで軽度の肺炎像を認めるが、特に治療しないで(ウイルス薬、ステロイド)、対称的に経過をみるだけにしている。

 

 38歳女性は12月15日に頭痛・呼吸困難感(あくまで「感」)で発症して、翌日に嗅覚・味覚障害が出現した。受診した病院で新型コロナウイルスの抗原検査を受けて陽性となった。発熱はなかった。頭痛の訴えがあったが、もともと頭痛持ちでもある。

 県の入院優先度判断スコアではまったく入院の適応には該当しない。ホテル療養相当になるはずだが(東京なら自宅療養だろう)、当地域は発症者が少ないので?、保健所から入院依頼がきた。

 精神遅滞のある人たちのデイケア施設に勤務しているので、濃厚接触者の健診を2日に分けて行ったが、陽性者は幸い出なかった。患者さん自身の感染経路は不明だった。

 胸部CTで左下葉に淡いすりガラス陰影を認めた。特徴をあえていうならば、「胸膜直下の陰影ではない」になる。白血球3700・CRP0.1と、白血球減少を認めるが炎症反応は陰性。「発症後10日経過・症状軽快後3日経過」で退院予定だ。

 

 35歳女性は12月19日に咽頭痛で発症した。22日に発熱・頭痛・咳があり、受診した病院で新型コロナウイルスの抗原検査を受けて陽性と判明した。その日のうちに保健所から入院依頼がきた。歯科医院で歯科助手をしているが、居酒屋でバイトもしているそうだ。

 胸部CTで右肺の胸膜直下に陰影を認め、左肺の3か所にも同様の陰影がごく軽度に認めた。特徴は、「浸潤影様の陰影」になる。白血球3700・リンパ球12.5%・CRP0.1と、白血球減少・リンパ球減少を認めるが、炎症反応陰性だった。陰影からは通常の肺炎も鑑別に上がるが、炎症反応からみてコロナの陰影でいいのだろう。

 入院した日の夕方に39℃の高熱となり、看護師さんはびっくりしたようだが、炎症反応の結果を知っていたのでアセトアミノフェンだけで経過をみた。翌日には解熱していた。

 

 Yahooニュースで忽那賢志先生が新型コロナウイルス感染症の情報を提供している。感染症の専門家の先生方が多数マスコミに出ているが、信頼できる情報としてはやはり忽那先生になる。いつのまにか、かわいいイラストが付いていた。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

全身浮腫

2020年12月23日 | Weblog

 昨日の内科新患を全身浮腫の91歳男性が受診した。担当していた内科の若い先生から相談された。

 神経内科外来に脳梗塞後遺症で通院していた。血液検査でHb9g/dl程度の貧血が続いていて、MCVは110台だった。白血球数は正常上限で推移している。血小板増加があり、50万台から100万を越えたこともあった。

 鉄剤・ビタミンB12 ・葉酸が処方されていたが、それぞれが減少していたわけではなく、反応して貧血が改善していたわけでもない。貧血があるが、原因がわからなかったのだろう。一見すると骨髄疾患を疑う経過だった。

 すでにある程度検査していた。浮腫の原因としてはまず心・腎・肝・甲状腺だが、心不全・腎不全・肝不全でもなく、甲状腺機能も正常だった。

 血清総蛋白が6.2g/dl・血清アルブミンが2.9g/dlと低下していて、これまでの経過からみて急激にではないが低下している。尿蛋白(2+)で、定量を追加してもらうと4.06g/gCrだった。ネフローゼ症候群になっているのだろうか。

 腎機能は正常でCRP0.1と炎症反応も陰性なので、急速進行性糸球体腎炎やANCA関連ではないようだ。骨髄腫の有無を診るために、血清と尿の免疫電気泳動を追加してもらうことにした。

 患者さん自身はもともと体格がよく、食欲良好で元気だった。利尿薬を処方して、次回予約を入れて経過をみてもらうことにした。

 年末にかかるこの時期なので12月28日に再受診してもらおうと思ったが、家族はできれば年明けにしてほしいという。処方は2週間出すが、浮腫が悪化する時は28日に受診するよう伝えた。

 貧血について、もう少し前に相談されていたら、血液内科紹介をお勧めしていた。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

間質性肺炎・肺癌

2020年12月22日 | Weblog

 12月5日(土)の日直の時に、パーキンソン病で神経内科外来に通院している81歳男性が発熱で救急搬入された。両側肺に間質性肺炎像があり、右肺に斑状影が散在していた。右肺に腫瘤影もあった。

 10月に腰椎圧迫骨折を来して、その後は自宅で静養していた。腰痛があり、少しだけ座位にして食事をしていたそうだ。誤嚥性肺炎として抗菌薬(ABPC・SBT)を投与して、肺炎は解熱軽快した。

 KL6が1550と高値で間質性肺炎を示唆していた。リウマチ膠原病は否定的で、特発性間質性肺炎と判断された。右肺の腫瘍は肺癌でいいようだ(腺癌のマーカーは軽度高値程度だったが)。

 腰痛が10月に発症した腰椎圧迫骨折の症状とすると、長すぎると思われた。腰椎のMRIを撮影すると、頸椎C7・腰椎L5・L4棘突起・腸骨(左右)に転移巣を認めた。肺癌・骨転移による症状だった。(オーダーは胸腰椎MRIだったが、放射線科技師さんが頸椎から撮影してくれていた)

 病状から気管支鏡の精査や治療の対象にはならないと思われたが、一度は専門医の診てもらって方針を決めてもらう必要がある。退院して、地域の基幹病院呼吸器内科の外来に紹介することにした。

 病院には来ていないが、娘さんは北関東の大学病院で看護師をしている。病状説明の時には、奥さんがケアマネージャーと来ていたが、娘さんには報告しているそうだ。

 入院時からDダイマー高値が続いていて、明らかな血栓症は指摘できないので、腫瘍そのものによる変化と推定された。今回画像で判明した以上に転移が進んでいるようだ。奥さんには最後の正月になるので、自宅で過ごしましょうとお話した。

 「特発性間質性肺炎は肺癌のリスクファクターで、合併する肺癌は末梢型が多く、蜂巣肺部またはその境界部に好発する」ということなので、教科書通りになる。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする