なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

精神科病院に入院

2023年08月31日 | Weblog

 精神科病院から紹介した患者さんが入院したという報告書がFAXで送られてきていた。今年の2月から4月まで脳梗塞で入院していた74歳女性で、認知障害と不穏で在宅介護が困難だった。

 

 市内の内科医院に糖尿病・高血圧症で通院していた。2018年5月に一過性(?)意識消失で当院の神経内科に紹介になった。実際は、SU薬増量後の低血糖だった。

 グリメピリドがそれまでの3mg/日から6mg/日といきなりの増量だった。当時でもグリメピリドは0.5mg錠1錠か1mg錠1錠で使用されていて、0.5mg錠半錠での使用もあった。ずいぶん昔はグリメピリドの3mgが1錠か2錠で使用されていたが、最近はまず見ない。

 同年6月に糖尿病の治療目的で当院内科に紹介されてきた。SU薬・DPP4阻害薬・メトホルミン・α-GIが処方されていて、HbA1cが8%台だった。

 SU薬は減量して、SGLT2阻害薬を追加したが、血糖コントロールは不良であまり変わらなかった。GLP-1受容体作動薬やインスリンの注射は拒否されて、教育入院も拒否なので、治療の工夫が難しかった。

 血糖コントロールが良くない話をすると、ちょっとがっかりした様子を見せる。かといって変更の提案に同意はせず、ささっと帰っていった。後から思えば、認知力自体が低下してきていたと思われる。

 

 2023年2月10日に視野障害(同名半盲)と軽度の左不全半身麻痺で、夫と娘といっしょに受診した。(夫とふたり暮らしで娘は別居)いつもひとりで診察室に入って来ていて、家族はその時初めて見た。

 外来を診ていた先生が頭部MRIを行い、右後脳動脈領域の脳梗塞散在とMRAで右後大脳動脈を認めた。梗塞巣が広がっていくものと判断された。

 入院を勧めたが、症状が一時的に少し軽快していたこともあり、入院を拒否された。家族といっしょに説得したが、やはり拒否された。

 金曜日だったので、月曜日には必ず外来に来てもらうことにして、抗血小板薬を開始した。土日も受診可とした。

 症状が進行して2月12日日曜日に受診した。日直だった消化器科医が頭部MRIを再検すると、右後大脳動脈領域に脳梗塞が広がっていた。入院にして翌日までの指示を出していたので、月曜日に引き継いだ。

 麻痺自体は軽度だったが、同名半盲は固定した。それでも家庭でも生活できるくらいのはずだったが、不穏がひどかった。難聴もあるせいで、特に声が大きい。病棟に声が響いてしまい、抗精神薬の投与を要した。

 抗精神薬が少し効きすぎると、ぼんやりとしてしまうので、微調整を要した。脳神経内科医(6月で退職)が、この脳梗塞でここまで認知障害・不穏がひどくなるのかといっていた。(といって他に原因もない)

 自宅退院の希望が強く退院したが、ふたり暮らしの夫は癌で通院治療中だった。夫の予後も問題もあり、精神科病院に入院を希望された。

 市内の病院を受診したが、認知量の入院待ちが多数いて数か月かかるといわれた。その病院のMSWが他の精神科病院に紹介してはといってくれて、そちらに紹介した。

 すぐには入院できないが早期入院の見込み、と返事がきていた。そして今回入院となったのだった。

 

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糖尿病で若い時から

2023年08月30日 | Weblog

 院内でコロナの患者さんが発生した病室に、糖尿病の52歳男性が入院していた。発熱はなくコロナの検査も陰性で、濃厚接触者として経過観察となった。

 現在外来で担当している別の先生がそのまま主治医になっている。現在はHbA1c10.8%で、血糖コントロールは良くないが、以前はもっと高く12~13%だった。

 

 2007年から当院の内科外来に通院していた。当時は36歳。母親が糖尿病で通院していて、2型糖尿病の若年発症ということになる。

 当時いた先生が担当して、処方はグリメピリド(アマリール)・ピオグリタゾン(アクトス)・ブホルミン(ジベトス)だった。ビグアナイドのブホルミンというのが歴史を感じさせるが、担当医が何故か好きで使用していた。

 その先生が移動になって(正確には当院がいやになって辞めた)、2011年から当方が担当になった。DPP4阻害薬(ジャヌビア)が追加になって、ビグアナイドはメトホルミンにしていた。

 2013年に糖尿病教育入院で3週間入院している。外来治療を継続して病院の糖尿病食にしただけで、血糖は改善していた。

 よくよく訊くと、大きなペットボトルのソフトドリンクを飲んでいたことが判明した。夜勤のある仕事をされていたが、食事内容にかなり問題があった。食事は好きなものというか、手に入れやすいもの適当に食べていた。

 2014年からGLP1受容体作動薬(ビクトーザ注)に変更になって、2015年から超速効型インスリンが追加になっていた。

 週1回糖尿病外来に大学病院から来てもらっているが、外来だけでは難しいと思われた。地域の基幹病院に糖尿病専門医が赴任していて、教育入院を宣伝していた。

 2018年に紹介して、教育入院となった。短期間の入院後に、当院の糖尿病外来に逆紹介となった。その後そちらの外来に通院していたが、何故か2022年から内科の若い先生の外来に通院するようになった。

 持効型インスリンを使用していたが、その後持効型と超速効型の配合されたライゾデクの朝夕2回打ちに変更になった。若い先生が移動になり(自治医大の義務年限、県の指示で移動)、現在の先生が外来で担当している。今回は血糖が不安定で、食欲不振で入院になったが、高血糖緊急症というのはないようだ。

 電子カルテで処方をみかえすと、糖尿薬の進歩をみることができるのだった。

 

 血清クレアチニンは0.9mg/dlで、案外腎機能は保っているが、10年後や20年後はどうなるか。

 

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院内でコロナ発生

2023年08月29日 | Weblog

 8月27日に記載した25歳男性のその後。入院時はコロナの迅速試験は陰性だった。

 

 8月28日月曜日に急性期病棟に入院していた82歳男性が発熱(38.0℃)した。その部屋(4人部屋)に入院していた74歳男性も土曜日に38℃台の発熱があり、その日は解熱していた。

 82歳男性は心不全・腎不全で入院していて、その日で入院8日目になる。74歳男性は肺炎・心不全で入院していて、入院13日目になる。入院時は肺炎による発熱があったが、数日で解熱してその後は発熱なしで経過していた。 

 同室者2名が同時期に発熱したということで、コロナの迅速試験が行われた。結果はふたりとも陽性だった。

 

 その時点で感染管理の看護師さんから連絡がきた。当方が担当している(別の部屋に入院)2名の高齢女性もコロナの検査を出してほしいという。

 ひとりは誤嚥性肺炎軽快後で、食事開始後に微熱がだらだら続いている(炎症反応の悪化はなかった)。もう一人は食事摂取ができない高齢女性で尿路感染症で先週末から抗菌薬を開始していた。

 どちらも違うとは思われるが、一応検査を提出した。両者とも陰性だった。

 

 現在は個室に入院している25歳男性は、6日前に入院日はコロナに罹患した2名の患者さんの病室に入った。その後に個室希望が出て移動になった。(認知症の高齢男性といっしょはいやだったのだろう)

 感染管理の看護師さんは、この患者さんがコロナなのではという。担当の腎臓内科の若い先生と患者さん本人に事情を説明して、もう1回コロナの検査を行った。陽性だった。

 入院時の症状は、発熱(高熱)・頭痛・咽頭痛だった。3日で解熱して、先週末は病院の売店に行ったりしていた。検査結果をみると、単球の分画が17.0%とそれらしいところがある。

 事実は同室になった3名の患者さんがコロナ陽性ということで確定はできないが、コロナだったこの患者さんから同室2名が感染した可能性が高い。

 

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S状結腸癌

2023年08月28日 | Weblog

 8月22日に記載した74歳女性は、CEA・CA19-9の著増がった。腺癌がないかと腹部造影CTを見ると、S状結腸に全周性腫脹があった。

 22日に救急外来の時点で上部消化管内視鏡検査を行って、胃噴門部と胃角部に限局性隆起性病変(正常は似ている)があるが、進行胃癌で転移を来すようにはみえない。

 下部消化管内視鏡検査は、幸い疑っているのはS状結腸なので、グリセリン浣腸120mlだけの前処置で検査できそうだった。23日に消化器科医と相談して、検査の少ない25日に大学病院消化器内科の応援医師に依頼することにした。

 直腸からS状結腸にかけて、胃内の隆起性病変と同様の病変が複数あった。そしてCTで疑われたS状結腸に全周性の腫瘍があった。内腔狭窄で内視鏡はそれ以上口側には挿入できない。複数箇所から生検してもらった。

 外注検査のIL2受容体抗体の結果は636(157~474U/mL)とわずかな上昇でしかなかった。腫瘍マーカーからは、悪性リンパ腫ではなく、腺癌だった。

 S状結腸癌が原発で、左鎖骨上窩リンパ節・胃噴門部リンパ節・腹部大動脈周囲リンパ節・腸管膜リンパ節に転移があり、胃内と大腸(S状結腸から直腸)にも転移巣を形成しているということになる。画像上、肝転移・肺転移はない。リンパ行性の転移ということか。

 

 通常だと生検の結果が出てから家族に病状説明を行うが、全身状態が悪すぎて、その余裕はないと思われた。26日土曜日は日直で病院に来るので、その日は発熱外来で忙しいが、合間に家族説明をすることにした。

 病変が数か月前からあったはずだが、おかしいと気づいたのは8月になってからなので、家族にとっては急激な病状の進行となる。納得してもらえないかもしれない。

 とにかく病状が悪すぎるので、会わせたい人にすぐに連絡して面会してもらうことにした。

 そして本日の早朝に急変して亡くなった。当直の別の内科医が死亡確認してくれた(DNAR)。病室に行くと、すでに処置が終わったところだった。

 家族に、予想したよりもさらに進行が速く、申し訳ありません、と伝えた。

 

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夏風邪の何か

2023年08月27日 | Weblog

 8月23日水曜日の当直は腎臓内科の若い先生だった。午後5時過ぎに、隣りの市の救急隊から搬入依頼の電話が入っていた。

 高熱・咽頭痛・頭痛の25歳男性だった。その日の朝から症状があり、発熱以外のバイタルは問題ない。特に既往歴はなかった。(39℃の高熱でびっくりして救急要請した?)

 「今の体制ではコロナだと入院が難しいので」と話していた。急性期病棟は入院数が増えていて、コロナ患者さんの使用を想定した病室にもそれ以外の患者さんが入っている。

 その日は、午前中の内科再来と午後の発熱外来担当だったが、やっと終わって帰った。次の日確認すると、その患者さんは入院になっていた。

 コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。搬入時は時間外で簡易検査を行っているが、発症初日で白血球7400・CRP0.7と炎症反応はごく軽度だった。CVA tenderness陽性で尿路感染症疑いとしていたが、たぶん違うだろう(症状は上気道感染)。血液培養2セットを提出して、セフトリアキソンを開始していた。

 翌日の検査では白血4600・CRP2.1とCRPがちょっと上がっていた。翌日は体温37.6℃で、食欲はあり朝から完食している。

 多分夏風邪の何かなので、髄膜炎はないだろう。アデノウイルスは迅速検査があるので、やってみてもいいかもしれない。(エンテロウイルス属の何かだとわからない)

 基幹病院だと入院にはしない(外来で点滴と検査して帰宅)と思われるが、ADL自立の個室入院で数日で退院するのは当院のような病院としては悪くない。週末に退院するかと思ったが、週明けに退院予定となっていた。

 

 今年の感染管理の院内勉強会は、永田理希先生の著書を解説する予定だ。経費節減のため、外部講師の招聘はできないので、昨年に続いて「この先生を招いたら、こんな話になるだろうシリーズ」になる。

間違いだらけの風邪診療: その薬、本当に効果がありますか? (ちくま新書 1663)

風邪を診るすべての医療従事者のための Phaseで見極める! 小児と成人の風邪の診かた&治しかた

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MRSA、MSSA

2023年08月26日 | カテーテル関連血流感染症

 5月16日に交通外傷(胸椎骨折、右脛骨骨折)で整形外科に入院した86歳女性は、保存的治療を経過をみることなった。

 糖尿病があり、内科で診てほしいといわれて、入院当初からかかわっていた。入院後に食事摂取が進まず、胸部X線・CTで誤嚥性肺炎があるとわかり、内科で抗菌薬点滴静注を行った。

 1か月経過して骨折は安定したとして、6月17日に内科に転科となった。両上肢と首は自由に動かすため、右大腿静脈からCVカテーテルを挿入して、高カロリー輸液を開始した(インスリン混合あり)。そのまま安定すれば、療養型病床のある病院へ転院依頼することになっていた。

 7月14日から高熱・悪寒が出て、カテーテル関連血流感染症が疑われた。バンコマイシンと、尿路感染症疑いもあり、ファーストシン(CZOP)を開始して翌日にはきれいに解熱した。

 どちらかというと尿路感染症かもしれないと思われたが、血液培養2セットからMRSAが検出された。CVカテーテルを抜去したが、バンコマイシン投与後なので、カテーテル先端の培養は陰性だった。

 バンコマイシンは14日間投与したが、途中から軽度の肝機能障害を認めていた。(中止で軽減)左大腿静脈からCVカテーテルを入れ替えた。

 8月11日から高熱が出現して、再度同じ抗菌薬をカテーテルを開始した。連休の初日だったので、培養は提出できなかった。解熱傾向にはあったが、連休明けに確認すると、刺入部から血性浸出物が出ていた。これは明らかに感染を来しており、血液培養を提出して、すぐにカテーテルを抜去した。

 カテーテルから引いた血液は少量しかとれなかったので、一応それも培養に出したが、末梢静脈からも血液培養を2セット提出した(計3セット)。カテーテル先端も培養に提出した。

 カテーテル抜去後は解熱した。前回もバンコマイシン投与で肝機能障害があったが、今回は軽度ではなく高度になっていた。ファーストシンは継続した。まだ培養結果は出ていない。それで発熱が起きた時はMRSA用にテイコプラニンを開始するつもりでいた。幸い解熱したままだった。

 カテーテル先端の培養とカテーテルから引いた静脈血から、今度はMSSAが検出された。感受性は良好だった。ファーストシンも効いていたので、作用の異なる2種類の抗菌薬が入ったことになる。

 CVカテーテルはまた右大腿静脈から入れ替えている。穿刺部位として好ましくないので、次回は上肢と首を抑えてもらって、内頚静脈から入れるしかないかもしれない。

 

 

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間質性肺炎、肺胞出血

2023年08月25日 | 間質性肺炎

 8月24日木曜日の呼吸器外来(大学病院からの応援)に地域の基幹病院呼吸器内科からフォロー依頼の診療情報提供書が来ていた。

 患者さんは現在85歳男性で、当院で血液透析を受けている。2年前の10月に間質性肺炎・肺胞出血として先方の病院に腎臓内科医(大学病院からの応援医師)が紹介していた。

 腎硬化症で血液透析に導入となった患者さんで、当院事務職員の父親だった。もともと胸部X線・CTで両側下肺野の気腫性変化と線状網状影が軽度にあった。

 2年前の5月から血痰が出るようになり、その時点で紹介となっていた。経過観察とされているうちに呼吸困難となり、緊急に再度紹介となった。

 

 その時に随分陰影が広がっているが、治療にどれだけ反応するのか、と思った記憶がある。ステロイドパルス療法からプレドニン1mg/kgが開始されて、軽快していた。

 プレドニンが順調に漸減されて、昨年末には2.5mg/日から休止となって、その後は無治療で経過を見られていた。特にかわりなく、胸部CTでもほどんど陰影が消失していた。当科としては終診とします、ということだった。

 随分と良くなるものだと、関心してしまう。呼吸器外来の先生も、週1回来ているだけなので(増悪しても対応できない)、あとは透析の方で経過をみて、変化があれば紹介して下さいとしていた。

 

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急性肺炎

2023年08月24日 | 急性肺炎

 8月23日水曜日の午後に発熱外来の当番をしていた。迅速検査で5名がコロナ陽性で、1名はインフルエンザA型だった。コロナとインフルエンザのキットなので、インフルエンザと判明する患者さんが散見される。

 若年・中年の患者さんは明らかに上気道症状で重症でなければ、コロナ陽性でもそれ以外(のウイルスかコロナの偽陰性)でも検査と処方だけ行うことが多い。

 高齢者の場合は細菌感染症の可能性があり、迅速検査陰性の後に院内に入ってもらって、胸部X線や血液・尿検査を行っている。

 

 56歳男性はコロナ・インフルエンザ両者陰性だったが、経過が気になった。19日土曜日に咳・痰が始まって市内のクリニックを受診した。21日月曜日に39℃の発熱があったが、22日には解熱したようだったが、夕方には37.5℃あった。

 車に乗っている状態で電話で迅速試験の結果を説明して、症状を訊いた。咳・痰が続いていて、痰は喀出すると黄色・緑色だという。どうも肺炎が疑わしい。

 胸部X線(正面・側面)を撮影すると両側下肺野に軽度だが浸潤影があるようだ。血液検査では白血球12400・CRP13.7となかなかの(中等度の)上昇を呈していた。

 食欲がないというので点滴を開始していたが、セフトリアキソンを点滴静注することにした。会社に訊かないと入院できないというので、その日は帰宅として翌日に来てもらうことにした。

 

 今日は入院の準備をして来院した。昨日は遅くまで仕事をしてある程度片付けてきたという。入院して、そのままセフトリアキソン継続でいくが、前日の検査で肝機能障害を認めていたのが気になった。

 AST 102・ALT 161・ALP 291・γ-GTP 627・総ビリルビン1.5と中等度の肝機能障害だった。今回の肺炎と関係があるかが気になった。

 10年前から健診で肝機能障害を指摘されていたそうだ。受診したクリニックを2回二次検査で受診して、脂肪肝といわれていた。それにしては高いし、胆汁うっ滞もあるようなパターンだった。(20代のころに大きな胆嚢ポリープがあり、胆嚢摘出術を受けている)

 アルコールは週3回くらい、ビール350mlかハイボールを1杯飲むくらいが、お盆のころには数日もっと飲んだという。栄養性脂肪肝+アルコール性肝障害?。

 CKは正常域で、血清ナトリウムも正常域だった。尿中抗原検査は肺炎球菌もレジオネラも陰性だった。前日セフトリアキソンを入れた影響をみたいのと、肝炎の外注検査提出もあるので、肝機能を検査した。前日より少し軽減している(少なくとも悪化はない)。

 肺炎像と肝胆道系確認のため、胸腹部CTも行った。肺炎の浸潤影は右肺下肺野背側、左肺舌区・下肺野背側に軽度にあった。肝胆道系は問題ないと思われる(CTで脂肪肝と言い難い)。

 セフトリアキソンを継続して、週明けに再検予定とした。 

 

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膵頭部癌

2023年08月23日 | 消化器疾患

 8月8日に膵頭部癌の75歳女性が消化器科に入院した。地域の基幹病院緩和ケア科からの転院だった。

 糖尿病で治療していた。血糖コントロールの増悪があり、そこで精査して膵頭部癌が発覚した。閉塞性黄疸に対して胆道ステントが挿入された。

 本来ならば癌化学療法が行われるが、副作用を危惧して希望しなかったというか、拒否したそうだ。緩和ケア科の入院は、癌性疼痛の治療調整を行うだけで、短期間で退院になる。(そもそも癌性疼痛に対する処方もされていなかったが)

 食事もとれるので、自宅退院して病状悪化時に再入院となるところが、脳血管障害の既往がある息子さんが希望されないようだ。患者さんの性格的な問題もあるのだろう。そこで当院に転院の依頼がきた。

 

 患者さんは当院に長年看護師として勤務して定年退職となった方だった。当方が当院に赴任して数年後に退職されたので、面識はある。

 ただ今回の入院でも面会は親族も含めて制限しているそうだ。まだ現役の時にいっしょだった看護スタッフも少数残っているが、面会はどうしたものかと迷っている。

 転院してきてから、当院でもCTを行っているが、膵頭部癌は増大して、肝転移も目立つようになってきた。

 CA19-9は胆汁うっ滞の影響もあり、>12000.0と著明に上昇している。

 

 

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悪性リンパ腫のはずだが

2023年08月22日 | 血液疾患

 朝に前日の当直だった整形外科医から、早朝に外来を受診した74歳女性の診察を依頼された。

 市内のクリニックに高血圧症と糖尿病で通院していた。8月初めから食欲不振となって、しだいに動くのも難しくなっていた。

 心窩部痛を訴えてクリニックを受診したという。その後8月20日日曜日に食欲不振で当院の救急外来を受診している。外来で点滴をして、翌月曜日に内科外来を受診するようにといわれていた(来なかった)。

 整形外科医から、血液検査(簡易検査)では白血球増加と若干の低ナトリウム血症(131)くらいで、CT(頭部・胸腹部)もやっておいたと言われた。脳血管障害の有無と、肺炎の有無を確認したのだろう。

 救急室に行って問診をすると、小声で弱弱しく答えた。左鎖骨上リンパ節の腫脹がある。単純CTでは胃噴門部と腹部大動脈周囲にもリンパ節腫脹がある。胃は噴門部の壁肥厚が疑われたが、はっきりしない。

 造影CTを頸部から腹部まで行った。上記の部位のリンパ節腫脹がはっきりするくらいだった。消化器の検査は外部の先生だったが、件数が少なかったので追加で上部消化管内視鏡検査を入れてもらった。

 胃噴門部と胃角部に隆起性病変があり、特に噴門部の腫瘤は胃癌としては奇異な隆起だった。内視鏡医は悪性リンパ腫でしょうという。2か所から生検してもらった。IL2受容体抗体(外注検査)で確認してくださいともいわれた。

 悪性リンパ腫だと、がんセンター血液内科に紹介になる。しかし今の病状で生検結果を待って、先方の病院の外来受診はできない。

 とりあえず当院に入院してもらって、点滴をしながら、生検結果と外注のIL2受容体抗体の結果を待つことにした。

 院内でまだできる腫瘍マーカーも検査していたが、CEAが321,5・CA19-9 が211.8と高値だった。これだと進行腺癌があることになる。悪性リンパ腫ではないのか。

 

 

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