なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

閉塞性腎盂腎炎

2024年03月27日 | 泌尿器科疾患

 3月26日(火)の午前中に医院からの紹介患者さんの腹部CTを入れた。各科から緊急のCTがいっぺんに入って、かなり待たされることになった。

 

 泌尿器科(非常勤医師)は、内科医院から紹介の76歳女性のCTを依頼していた。6年前に左尿管結石による腎盂腎炎で地域の基幹病院の泌尿器科に紹介した既往がある。尿管ステントを留置してその後、ESWLが行われた。

 今回は、3日前の3月23日から発熱と左背部痛があったが土日なので我慢していたらしい。3月25日(月)に内科医院を受診して、26日当院泌尿器科紹介となった。(泌尿器科は非常勤で火・水・金の週3回)

 3日経過していたが、幸い発熱以外のバイタルは問題なかった。白血球9800・CRP12.7と炎症反応が上昇して、尿検査は白血球>100/HPF・細菌(3+)だった。

 も急性腎盂腎炎だが、また左尿管結石からの閉塞性腎盂腎炎だった。左腎は腎盂の鋳型状に結石があった。また基幹病院へ紹介となった。

 

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尿管結石

2024年02月21日 | 泌尿器科疾患

 2月17日(土)の当直の時に、午前中に救急搬入された尿管結石の患者さん(45歳女性)が嘔気が続いて再受診したい、と連絡が入った。疼痛はないそうだ。来てもらって点滴・制吐剤の投与を行うことにした。

 その日朝食後にトイレにいった後に出てこないので、母親が見にいくと、うつぶせに倒れていて、左腰部を抑えて苦しんでいた。救急要請して当院に搬入された。

 当院の呼吸器外来(大学病院からの応援医師担当)に気管支喘息で通院している。別の病院の精神科にも統合失調症で通院している。(雰囲気はBPD様)

 日直は別の内科の先生だったが、患者さんがベット上で転げまわるように痛がった、と記載していた。点滴を入れて、鎮痛薬を使用した。ソセゴン(ペンタゾシン)15mg筋注、アセリオ注(アセトアミノフェン)1000mg点滴静注、そしてソセゴン15mg静注と使用して疼痛が軽減した。

 胸腹部CTで左尿管の腎盂から出てすぐのところに結石を認めた。大きさ的には自然排石を期待できるものだった。他には異常所見はない。症状とも合致する。

 尿管結石を判明してからジクロフェナク座薬50mgも使用していた。気管支喘息はあるが、NSAIDsは大丈夫な方だった。疼痛軽快して帰宅した。

 

 帰宅してから、午後3時にまた同様の疼痛があり、ジクロフェナク座薬を使用して軽快していた。ただその後から嘔気が続いて食事がとれないという。朝からずっと食べていないといっていた。

 腹部所見は特に異常なかった。点滴とプリンペラン(メトクロプラミド)静注をした。他の患者さんたちを診て忙しかったので、次に診にいったときには点滴が終わりかけていた。嘔気は治まっていて、あっさり帰宅となった。

 

 日直の先生が市内の泌尿器科宛に診療情報提供書(画像のCD付き)を持たせていたので、2月19日に受診していた。結石はやはり自然排石を期待できるので、経過をみて1か月後となったそうだ。

 2月20日(火)は午前5時にまた左腰部痛が発症して、ジクロフェナク座薬でいったん治まった。午前7時にまた痛んで当院救急外来を受診していた。当直だった整形外科医がアセリオ注を行って、腹部CT・血液検査・尿検査をオーダーした。

 午前中の救急当番だったので、申し送られた。尿検査は当然だが血尿を認めた。CTで見ると、尿管結石は初診時より数cmだけ下がっていた。

 尿管結石がちょっとだけ動いたの画像で確認することは珍しい。検査結果が出て診に行った時には症状は軽快していて、そのまま帰宅とした。

 

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敗血症性ショック

2024年01月24日 | 泌尿器科疾患

 1月17日(水)の当直の時に、施設入所中の83歳男性が救急搬入された。

 日中から発熱があり、施設を運営している市内の病院(同じ法人)を受診していた。点滴を受けたそうだが、詳しくはわからない。発熱だけで呼吸器症状はなかった。もっとも認知症の要介護状態なので、訴えは把握しがたいか。そちらの病院は時間外対応はほとんどできない。

 救急隊の搬入依頼の時は、40℃の高熱と血圧低下(70台)ということだった。肺炎というよりは尿路感染症・胆道感染症かもしれないと思った。

 血圧は搬入時にも70台で、急速に輸液を開始した。一時は98mmHgくらいになった。胸腹部CTを行うと、肺炎像はなかった。右腎は水腎症を呈していて、尿管結石があった。両側腎盂内と膀胱内にも結石がある。

 尿管結石による閉塞性腎盂腎炎で、敗血症性ショックと判断される。泌尿器科救急になるので、泌尿器科常勤のいる病院への搬送が好ましい。

 地域の基幹病院に連絡したが、満床でだめだった。だめもとで県庁所在地の県内有数の市立病院にも連絡してみたが、やはり満床でだめだった。他も厳しいのだろう。

 いったん家族に説明することにした。家族といっても、独身で妻子はいないので、甥が責任者になっていた。なんでも患者さんは高齢になって他県から急に戻ってきたのだという。他に頼める親戚もないので、(仕方なく)面倒をみているということだった。

 病状を説明して、当院でできるだけの治療はするが、とお話した。それでいい、ということだった。

 夜間は検査技師がいないので、血液培養はとっておいていいが、他の培養は技師がいる時になる。末梢静脈が虚脱して点滴がやっとだったので、血液培養2セットは動脈から採取した。

 施設入所者なので第4世代セフェムで治療を開始した。多めの輸液(ただし心房細動・心不全あり)とノルアドレナリン持続静注でどれだけ反応するか。

 翌日までは血圧低値が続いて、乏尿にもなったが、翌々日から解熱して血圧が安定してきた(100~120)。輸液の調整とノルアドレナリンの漸減・中止を行い、22日(月)には尿も出始めて小康状態となった。

 胸腹部CTの再検で確認すると、右尿管結石は自然排石していた。それは良かったが、両側肺に胸水貯留があり、浸潤影を伴っているようだ。

 今度は誤嚥性肺炎の治療(抗菌薬をゾシンに変更)と心不全の治療(ループ利尿薬と抗アルダクトン薬の静注)も開始した。(その後、尿培養でProteus mirabilis ESBLが検出されて、メロペネムに変更)

 

 当院の第4世代セフェムは、セフォゾプラン(ファーストシン)が入っている。これの入荷が難しく、今週初めから処方停止となった。(2月は入荷できるらしい)といって、本来の第4世代であるセフェピム(マキシピームのジェネリック)も入荷は困難らしい。

 院内発症や尿カテーテル留置例の尿路感染症など、緑膿菌などのいわゆるSPACEをカバーして嫌気性菌まではカバーしなくていい場合は、セフェム系第4世代を使用する。それがないとなると、代替薬としてはゾシンかカルバペネムになってしまう。

 

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