なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心電図と心不全の講演

2015年02月28日 | Weblog

 今日はフクダ電子メディカルの創業75周年記念の講演会に行ってきた。心電図のセミナーでは、電気軸と起電力の話で、主に虚血性変化と心室肥大の読み方だった。心不全のセミナーでは薬物療法(ACE阻害薬・β遮断薬・利尿薬)とデバイス治療(CRT・ICD)の話だった。

 心臓再同期療法cardiac resynchroization therapy(CRT)は右心室と左心室の収縮を同期させて、駆出率を高める治療だが、心室頻拍や心室細動を伴う時は、defibrillatorの機能をもつCRT-Dにする。心房細動を併発して心不全増悪を来たす時は、房室結節をアブレーションしてしまう。弁膜症があれば、弁置換術などを行う。もう専門医の世界で訳がわからなくなっている。

  

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深夜食堂

2015年02月27日 | Weblog

 予約していたテレビ東京のTVドラマ「深夜食堂」のDVDボックスが今週届いて3日間楽しんだ。3シリーズ目なので、主役の小林薫さんと不破万作さんら常連の出演者が楽しそうに演じている。小林薫さんの出ている「深夜食堂」と「ナニワ金融道」のDVDを続けて見たことがある。深夜食堂の少し無口なマスターとナニワ金融道の調子のいい富田を演じているのを見ると、本当にうまいものだとと思う。深夜食堂は原作の漫画も全部もっている。

 今週心不全で循環器科に入院した60歳代女性は、Ⅱ・Ⅲ・aVFと胸部誘導でQSパターンを呈していて、1か月前に胸痛があったという既往歴から、急性心筋梗塞からの心不全かと思われた。血圧が100前後・脈拍は120くらいで、循環器科で治療しても血行動態は改善しなかった。心臓センターのある専門病院へ搬送された。その後PCPSを施行して、心臓カテーテル検査をしたところ、冠動脈は有意な異常がなかったそうだ。結局、急性心筋炎という診断になったという。危ない危ない。送ってよかった。

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フルティフォーム(エアゾル)

2015年02月26日 | Weblog

 今日の製薬メーカー説明会はキョーリン製薬の吸入ステロイド+β刺激薬合剤のフルティフォームだった。吸入ステロイドはフルチカゾンで、β刺激薬はホルモテロールなので、アドエアとシムビコートの斜めの組み合わせのような薬剤になる。1~5μmの粒子が多く、末梢気道まで到達する割合が多いのがウリだ。

 エアゾルなので吸入力が弱い高齢者でも吸いやすい。ただ、ワンプッシュと吸気をうまく同期できない可能性がある。スペーサーがあると吸入しやすいが、エアロチャンバーは本格的過ぎて使いにくい。以前、吸入ステロイドのキュバールに簡単なスペーサーが付いてきて、使いやすかった。その後、薬品におまけとしてのスペーサーをつけるのが禁止されたため、なくなってしまった。100円ショップでエアゾル用の付属品として売ってくれないだろうか。

 以前、米国ではほとんどがエアゾルで、ドライパウダーはあまり使用されていないという話を聞いた気がする。個人的にはエアゾルの方が好きだ。

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腎梗塞ーコメントへの御返事

2015年02月25日 | Weblog

 1月26日の「腎梗塞」に、「CVA tendernessはありましたか」というご質問をいただきました。(2月22日質問に気づきました)

 CVA tendernessはありません。最初は腎尿路結石を疑っていましたが、そもそも尿管結石では50歳以上での初発はあまりないし、痛みが何時間も持続することもないのでした。それまで、心房細動がなければ腎梗塞や脾梗塞はないだろうという認識でいましたが、動脈硬化性でも可能性はあることを再認識しました。画像を貼付します。

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タケが好きな武田薬品ータケキャブ

2015年02月24日 | Weblog

 先月に消化器科・内科で武田薬品のカリウム競合型アシッドブロッカー(P-CAB)・タケキャブの説明会があった。先週は医局全体で同じくタケキャブの説明会があった。発売されたら消化器科ではすぐに院内採用にすると言ってた。今週はタケキャブの大規模な講演会がある。

 「既存のPPIのプロトンポンプ阻害作用は酸による活性化が必要」、「既存のPPIは酸性環境下では不安定なため、分泌細管に長く留まれない」という。そうだったのか。なんだか、これまでのPPIに対する信頼が減ってしまう気がする。

 発売1年後までは長期処方ができないので、爆発的な処方にはならないと思うが、長期処方可能になれば、これ一色になってしまうのだろうか。逆流性食道炎への効果やピロリ菌の除菌率も高いというし。

 それにしても、武田薬品は自社製品に「タケ」をつけるのが好きだ。抗菌薬のタケスリン、先行PPIのタケプロン。ACE阻害薬のアデカットはAdecutだが、ローマ字表記にするとADEKATでTAKEDAの反対からの読みだと聞いたが、本当だろうか。

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膵癌・閉塞性黄疸

2015年02月23日 | Weblog

 午後に91歳男性が内科外来に来た。明らかな黄疸だった。今年になってから食欲が落ちているという。体重減少があるが、測定していないので正確にはわからない。妻が昨年老人保健施設に入所して、一人暮らしだった。1週間前に知人に黄疸を指摘されたが、受診したのは今日だった。

 腹部エコー、腹部造影CT、さらにMRCPと一気に検査した。消化器科医に画像を見てもらって検討した。総胆管・肝内胆管、それに主膵管が著明に拡張している。膵頭部に腫瘍があり、周囲の血管に浸潤していた。十二指腸水平脚にも浸潤しているようだ。総胆管は膵内胆管での圧排だけではなく、腫瘍浸潤があるのだろう。CA19-9は一万を越えている。診断は3時間でつき、膵頭部癌・閉塞性黄疸だった。

 手術はできない。抗がん剤の適応もないだろう。治療は胆道ドレナージだが、乳頭部からかのアプローチができるかどうか。まずこの患者さんは小柄で、腰が曲がっている(認知症はなくて、年齢を考慮すればしっかりしている)。十二指腸が周囲の圧排のためか大分変位している。明日、上部内視鏡検査を行って、十二指腸下行脚にうまく挿入できるかどうか、乳頭周囲に癌の浸潤がなく処置ができそうかどうかを確認して、乳頭からのアプローチができそうであれば、専門の病院と相談することにした(当院ではできない)。PTCDは当院外科で行っているが、今日相談したところでは、乳頭からの処置でという返事だった。肝内胆管の拡張の程度から見て、PTCDは充分可能と判断される。

 首都圏に住む息子さんに電話して、病状を伝えた。最初重症度が伝わらなかったようなので、胆道感染から敗血症性ショックになることなど、急変の可能性があることを伝えると、明日来てくれることになった。何の処置をするにしても家族の同意がないとできない。紹介のしようもなくなる。

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今日は休みー「漢方水先案内」

2015年02月22日 | Weblog

 今日(日曜日)は丸一日休み。昨日も休みだったが、内科学会地方会講演会に出た。内容は、白血病の治療、C型肝炎の治療、特発性肺線維症の治療、心不全の治療、慢性腎臓病だった。5つあれば2つくらいおもしろければいいという思いで聴いていた。収穫は白血病の治療についてまとめて聴けたこと。「白血病は要するに後天性の遺伝子異常である」、なるほど。最新の治療についてもざっと知ることができた。毎年5月に高校の看護科で「血液・骨髄疾患」の講義をしているが、なかなか血液学のいい本がなくて困っている。

 あとは、それほど面白い講演はなかった。心不全で、HFrEFはヘフレフでHFpEFはヘフペフと呼ぶ(読み方が案外わからない)というのがわかったくらい。「腎うっ血」という考え方があることも、今回初めて知った。今年は呼吸器学会に行ってみようかと思っている。専門外でも基本的なことを学べるセッションもある。学会参加費が17000円と高いのは意外だった。

 書店の医学書コーナーで「漢方水先案内」という本(医学書院のシリーズケアをひらくの新刊)を見つけた。医学書院のホームページで見て、興味を持っていた。そういえば、聖路加国際病院に漢方をやっている若い先生がいたというのは、ぼんやりと知っていた。立ち読みして、これは買いだと判断してさっそく購入した。テキストというよりは副読本だが、楽しみだ。

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副腎不全

2015年02月21日 | Weblog

 一昨日の夕方に搬入された59歳女性はこれまで副腎不全で年に1回の割で入院していた。もともとは軽度の精神遅滞(身の回りのことはできる)があり、肥満の糖尿病患者として地元の病院に通院していた。何かのきっかけで副腎腫瘍が発見されて、大学病院で手術を受けた。その後、副腎ホルモンの補充療法(コートリル内服)を受けていた。当地の精神障害者施設に入所したことで、当地で治療を受けている(クリニックから処方)。

 施設に入所しているので、薬の管理はきちんとしていて飲み忘れなどはないが、年に1回の割で急性副腎不全で入院していた。症状は低体温になり、動けなくなるというものだった。原因は明らかな感染症もなく、よくわからなかった。ソルコーテウの点滴静注を4~5日するとすっかり元気になり、漸減中止して通常の内服だけでも問題ない状態になって退院した。

 何度目かの入院時に、ホルモン補充で他の症状は軽快したのに洞性徐脈(40/分未満)が続いた。横臥していると元気だが、起き上がるとめまいがした。洞不全症候群だった。循環器科で心臓ペースメーカー植え込み術を受けた。通常のリードではうまくペーシングできず、心筋に埋め込むようなリードを要したと後で聞いた。

 救急外来で最初に診たのは、現在麻酔科で研修中の内科医だった。32℃の低体温で動けなくなったという症状で搬入されたが、初めてなので面喰ったらしい。「副腎不全で入退院を繰り返しているですよ」と教えると納得していた。そういう事情が分からなければ診断がつくかどうかわからないと言っていた。確かにその通りだ。昨年はめずらしく入院していなかった。今回も悪化の原因はわからない。入院してソルコーテフの点滴数回行うと、翌日には体温も36℃台に上がって、食事を完食していた・

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心房粗動

2015年02月20日 | Weblog

 昨夕に86歳男性が当院を受診した。前立腺癌で県立がんセンター泌尿器科に通院していて、3か月に1回のホルモン療法を受けていた。通院も大変とのことで、昨日受診した際に、今後は院泌尿器科に通院する様に言われて、紹介状を持たされた。ところが、診療が終わってがんセンターの駐車場にいた時に、ふらふらとして倒れてしまった。いつからかはわからないが、下肢の軽度浮腫と動悸があった。がんセンターに戻ると、かかりつけの病院を聞かれて、当院の受診歴があると答えると、そのまま当院を受診するようにと指示された。

 当院の内科外来に飛び込みの形で受診した。がんセンターから電話で連絡をもらうか、それに関する紹介状があればよかったが、直接行って受診するようにという指示だけだったので、最初に診た若い内科の先生もちょっと困っていた。

 心電図では規則的な頻拍で180/分だった。12誘導心電図で鋸歯状波があるように見える。心房粗動なのかと思ったが、診てくれた循環器科医も言い切れないという。ワソラン1A静注で、明らかな鋸歯状波だった。心房粗動の2:1伝導から4:1伝導まで不規則に出現して、その後に洞調律になった。ただ、P波の形がそれぞれ違うので、洞結節から心房のさまざまな部位からの刺激によるらしい。

 胸部X線・CTでは両側胸水があるが、軽度よりの中等度どいうところ(どんな量だ)。肺うっ血~肺水腫は目立たない。室内気でも酸素飽和度は下がっていない。発熱があって、他の原因もなさそうなので、気道感染症によるものと判断される。現在は禁煙しているが、喫煙歴が長く、両側肺に明らかな気腫性変化を認める。もともと肺性心があるのかもしれないが、心房粗動による心不全症状としていいようだ。

 不整脈が治まってしまったので、内科で入院となった。セフトリアキソン点滴静注で経過をみることにした。循環器科処方として、メインテート(0.625mg)2錠・ダイアート(30mg)1錠・イグザレルト(10mg)1錠が出た。今朝また頻拍が目立ち、ワソラン1Aが点滴静注された。内服にワソラン2錠分2を追加して、それでも頻拍になる時にワソラン注追加とした。(循環器科の病棟に入院させていた)

 結局、1)COPD+気道感染症、2)心房粗動+うっ血性心不全、3)前立腺癌となる。

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さあはじめよう!心電図

2015年02月19日 | Weblog

  「さあはじめよう!心電図」樅山幸彦著(医学出版)を読み返している。初心者向けの本だが、良くまとまっている。研修医にお勧めだ。他科の医師には必要最小限の症例があり、案外知らない冠動脈と心電図変化についても記載してある。

 今日は夕方から慢性副腎不全の急性増悪の女性と、COPDに肺炎併発+心房粗動の男性が入院して、指示出しなどに今までかかってしまった。

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