なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

全身浮腫その後

2024年05月24日 | 腎疾患

 5月23日(木)病棟で電子カルテを見ていると、「お世話になりました」と患者さんが病棟看護師さんに挨拶して退院するところだった。

 4月19日に記載した全身浮腫の患者さんだった。4月17日に40歳代後半の女性が当院内科外来を受診したが、全身浮腫で著しい腎機能障害(血清クレアチニン9.59mg/dL)を認めた。

 市内の内科医院に糖尿病で通院していて、HbA1c8.4%と血糖コントロールは良くないが、血清クレアチニンは1mg/dL程度(尿蛋白は3+)だった。急性上気道炎症状(咽頭痛)や下痢が続いていたことが、急性増悪のきっかけになったと考えられた。

 利尿薬の投与では無理と判断されて、カテーテルを挿入して緊急透析となった。その後、地域の基幹病院血管外科の先生に依頼して透析用のシャント造設が行われた。3日間転院となって造設後はすぐに当院に戻った。

 今週からシャントを使用しての透析となり、カテーテルは抜去された。

 

 ちょうど担当していた腎臓内科の若い先生がいて、経緯を教えてくれた。入院した時は助かるかどうかという病状だったが、うまくいってよかったという。基幹病院との連携もうまくいっていて、最近は血管外科の先生といい関係ができているという。

 透析のシャントは造設後2週間は使用できないそうで、今週やっと使用できるようになり、維持透析の見込みがついたので退院になったのだった。

 入院時にASO高値が見られて溶連菌感染が関与したかもしれないこと、下痢が続いていて腎前性の要素があったことはわかるが、緊急透析で腎機能が戻るかもしれないという期待は外れたといっていた。(胸部X線は左が4月17日、右が5月20日)

 

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全身浮腫

2024年04月19日 | 腎疾患

 4月17日(水)の午後に救急室で発熱外来をみていた。すると、救急担当の看護師さんたちが、今から腎臓内科の先生が緊急透析になる患者さんのカテーテルを入れる、と慌てていた。

 患者さんは48歳女性で糖尿病で市内の内科医院に通院していた。4月3日に風邪症状があり、医院から処方を受けていた。その10日後から身体のむくみが出現して、同院で利尿薬の処方を受けたが効かなかった。

 その日は息苦しさもあり、当院を受診した。全身の浮腫があった。胸腹部CTで肺うっ血・胸水・腹水貯留を認めた。皮下の浮腫も目立つ。血清クレアチニンが9.19mg/dLと著明に上昇していた。

 外来で診た内科の先生が、腎臓内科の若い先生に診療を依頼して、緊急透析となった。

 

 10年前に流産で産婦人科に入院した際に、糖尿病を指摘された。HbA1c10.6%で、内科に糖尿病治療が依頼されて当方が担当した。当時はHbA1cの表記が、JDSとNGSPの両者でされていて、過渡期だったようだ。(懐かしい)

 DPP4阻害薬から開始して、メトホルミンの追加、SU薬の少量追加(グリクラジド20mg)で、いったんHbAc1は6.7%まで改善した。そこから、HbA1cが7.2→7.8→8.1%と上昇していた。(当時はSGLT2阻害薬・GLP1受容体作動薬はなく、この3種が標準治療)

 インスリンの話などをしたのかもしれないが、当院の電子カルテは2016年からなのでわからない。(検査のオーダリングだけできた)1年ちょっと通院して中断していた。(市内の開業医の先生に紹介はしていない)

 こちらの診療が気に入らなかったのか、現在通院している内科医院は定評のある先生なので(最近代替わりした)、そちらがいいと思って通院先を替えたのかもしれない。

 2019年にたまたま尿管結石で当院を受診した時は血清クレアチニン0.73mg/dLで、2023年10月医院での血清クレアチニンは0.97mg/dLで尿蛋白(3+)だった。糖尿病性腎症はしだいに進行していたが、今回は急激に悪化している。

 腎臓内科の先生はacute on chronicと表現していた。急激な悪化の引き金は何だろう。回復の可能性はあるのだろうか。

 

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