なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

間質性肺炎、縦隔気腫

2024年03月03日 | 間質性肺炎・器質化肺炎

 2月5日に記載した間質性肺炎の83歳女性のその後。

 入院後にプレドニンの増量と抗菌薬投与を行うと、炎症反応はすみやかに改善した。白血球20500→9600→12300、CRP16.4→0.9→0.3(2月1日→2月7日→2月14日、白血球数はステロイドの影響が出る)。

 どちらかというと細菌性肺炎併発の影響が大きいと考えられた。少し経過をみてからと思っていたが、プレドニン増量の影響か元気になって、入院1週間後から退院を希望された。

 どこまでいい状態が続くかわからないので、家族に小康状態で退院の希望が強いのでいったん退院にしたいと伝えた。2週間後に呼吸器外来の予約を入れたが、悪化時はすぐに再入院で診ることにした。

 数日前から調子が悪く、労作時の(自宅内で少し動くくらい)息切れと食欲不振で、2月29日の予約日に受診した。酸素飽和度92%(室内気)で、白血球21900・CRP7.5と炎症反応が上昇していた。

 胸部X線で明らかに陰影が増加していたが、縦隔気腫と皮下気腫も認めた。左肺の陰影の、それも浸潤影が目立つので、細菌性肺炎の併発の影響が大きいかもしれない。

 即再入院として、酸素吸入と抗菌薬投与を開始した。今回は厳しいかもしれない。

 

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間質性肺炎

2024年02月05日 | 間質性肺炎・器質化肺炎

 2月1日(木)に呼吸器外来に来ている先生から入院依頼があった。間質性肺炎で診ている83歳女性で、間質性肺炎の増悪と細菌性肺炎の併発が疑われた。

 

 この患者さんは2018年に膝関節症の手術で当院の整形外科(当時)に入院した。入院時検査としての胸部X線で陰影があり、胸部CTで間質性肺炎があった。

 呼吸器外来に紹介された。呼吸器センターのある病院から、当院呼吸器外来に非常勤で来てもらっている先生が担当していた。2019年に自分の病院に紹介して、気管支鏡検査(TBLB)でUIPと診断された。

 プレドニン20mg/日で治療が開始された。プレドニンを漸減して、2020年からタクロリムス1mg/日が追加された。(その後2mg/日、体重が40kg弱)また、2021年にはステロイド糖尿病で血糖コントロールが悪化して、自分の病院の糖尿科に紹介して、治療を調整していた。

 昨年当院で外来応援を減らした時期に、ちょうどこの先生が開業する時期に重なった。呼吸器外来は、長年大学病院から来てもらっている今の先生の外来だけになった。この患者さんもそちらに回されていた。

 

 昨年12月の胸部X線と比較すると、陰影が明らかに増加している。(左が2023年12月、右が今回)

 胸部CTを見ると、間質性陰影(すりガラス様・網状陰影)が増加と浸潤影がある。

 間質性肺炎の増悪に対してプレドニン増量、細菌性肺炎の併発に対して抗菌薬を投与して経過をみてほしいということだった。

 

 それ以外にも問題があった。肺癌の鑑別のためか腫瘍マーカーを提出されていて、CEAは正常域だったが、CA19-9 が高値(1100)だった。ここまで高いとさすがに膵癌・結腸癌が疑われる。(肝胆道系の異常はない)

 

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間質性肺炎

2024年01月23日 | 間質性肺炎・器質化肺炎

 1月18日(木)午前中の救急当番の時に、体動困難・食欲不振の95歳男性が救急搬入された。この患者さんは1月13日に同様の症状で救急搬入されていた。肺炎として入院したが、認知症の不穏がひどく15日に退院になっていた。

 1月13日(土)は日当直が外部のバイトの先生だった。会ったことはなく詳しくは知らないが、内科専門医の専攻医か、それが終わって各分野の専門医コースのはずだ。東京の超有名病院に在籍していて(大学は当地)、月に1回バイトに来ている。

 搬入されたこの患者さんを両側肺炎として入院にした。内科当番は別の先生で、翌14日の日曜日に病棟に診に来ている。抗菌薬(スルバシリンABPC/SBT)が開始されていた。

 認知症の不穏がひどくて、15日月曜には退院にした。炎症反応は搬入時により軽減していて、抗菌薬が効いたような経過だった。退院時の内服抗菌薬は、なぜかオグサワ(AMPC/CVA+AMPC)ではなくてクラリスロマイシンにしていた。

 外注検査でKL-6を提出していたので、間質性肺炎も考慮していたのかもしれない。KL=6は上昇していた。

 18日に再度胸部CTで確認したが、最初に搬入された14日の画像と同じだった。炎症反応もその時の値に戻っている(白血球13400・CRP18.7)。

 画像上は間質性肺炎に見えるので、ちょうど呼吸器科外来に来ていた先生に相談した。間質性肺炎でしょう、といわれた。プレドニン30mg/日で治療開始とした。

 鑑別として薬剤性と非定型肺炎を上げられた。前者は新規薬剤また被疑薬らしい処方がないことから否定的だった。後者は否定できないが、抗菌薬(使用するとすればレボフロキサシン)を併用しないほうが、診断のためにもいいといわれた。(クラリスロマイシンが効かなかったことは参考になるか)

 

 この患者さんは総胆管結石・急性胆管炎で3回当院に搬入されて、その都度搬送している。2回は地域の基幹病院消化器内科で、1回はそちらが受け入れできずに県庁所在地の専門病院になっていた。今回も総胆管結石を認めたが、総胆管上部にあり、肝機能障害がないことから今のところ悪さはしていない。

 その時の胸部CTでは肺病変は下葉背側にわずかな間質性陰影があり、今回は増悪と判断された。

 入院後はさっそく不穏がひどく、体幹抑制はまた行うが、向精神薬を数種類併用することにした。最近、間質性肺炎をよく見る。

 

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間質性肺炎

2024年01月20日 | 間質性肺炎・器質化肺炎

 1月6日に記載した間質性肺炎の92歳女性のその後。

 1月4日に発熱で受診して、間質性肺炎の増悪を認めた。ちょうど呼吸器外来に専門医(大学病院から)が来ていたので相談した。IPFの増悪だと厳しいと言われた(9割はダメ)。

 年齢と小柄な身長を考慮してプレドニン30mg/日注(0.75mg/日になる)を開始した。間質性肺炎に細菌性肺炎併発による悪化も否定はできないので、保険のために抗菌薬(セフトリアキソン)の併用した。

 ステロイドの影響か食欲不振は改善した。プレドニンとセフトリアキソンを継続していたが、セフトリアキソンは1週間で中止した。

 入院日は、白血球11300・CRP18.8と高値だったが、6日目の検査では白血球9600・CRP0.8と改善していた(白血球はステロイドの影響)。改善の程度が良すぎるような気もした。

 1月17日に胸部CT再検と血液検査を行った。CTでは間質性陰影(するガラス陰影+網状陰影)が軽減していた。含気がよくなっている。白血球15900・CRP0.1とさらに改善した。

 細菌性肺炎の併発の部分が良くなってというより、間質性肺炎自体が改善しているように見える。

 

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間質性肺炎

2024年01月16日 | 間質性肺炎・器質化肺炎

 1月14日(日)は内科の当番に入っていた。といっても、日直当直医が対応して(その日は日直消化器科医、当直小児科医)、内科入院があった時に担当になる。入院の連絡はなかった(消化器科で1名入院)。

 

 15日月曜に、14日の救急外来を受診した患者さんを確認していた。日直の消化器科医は、昨年末に続いて、また酸素吸入10L/分の患者さんを診ていた。

 患者さんは75歳男性で、関節リウマチ・間質性肺炎でリウマチ膠原病外来(大学病院からの応援医師担当、隔週)に通院している。前日までは何ともなく、その日から急に呼吸困難になって救急搬入された。酸素吸入10L/分で飽和度90%を保っていた。

 1月10日にリウマチ膠原病外来を定期受診していて、炎症反応の上昇があった(白血球はふだん5000の前後のところ9600、CRPがふだん1~3のところ7.0)。リウマチ症状には変化がなく、経過をみることにしていた。実際は間質性肺炎の悪化を示唆していた可能性がある。

 胸部CTで両側肺に胸膜下からの網状影が目立つ。

 2023年9月に胸部単純X線を施行していて、その時から下葉に間質性陰影が目立っていて、それと比べるとそれほどではないようにも見えた。消化器科医もその点は増悪としてよいか迷ったらしい。DOACを継続していたが、深部静脈血栓症の既往がある。

 しかし、2022年9月の胸部CTでは肺野には十分に含気がある。それと比較すると、今回はやはり網状影は増加していて、さらに両肺野全体が白っぽく見える。やはり間質性肺炎の増悪でいいのだろう。

 

 リウマチ膠原病外来に大学病院から専門医に来てもらうのは助かるが、原疾患や併発疾患が増悪した時には診てもらえない(大学病院で対応するのはまれ)。その点は困ってしまう。

 今回の患者さんはリウマチで地域の基幹病院にも通院していた既往があり、現在も前立腺癌で通院している。

 

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間質性肺炎

2024年01月06日 | 間質性肺炎・器質化肺炎

 1月4日に発熱外来を92歳女性が受診した。症状は数日前からの鼻汁・咽頭痛・咳・発熱で、それだけ見れば上気道炎だった。コロナとインフルエンザの迅速試験は陰性だった。年齢だけでも精査の多少になるが、この患者さんは間質性肺炎があった。

 

 2013年2月に長引く咳で胸部X線・CTを撮影すると、間質性変化を認めた。地域の基幹病院呼吸器内科の外来に紹介した。

 当時でも82歳なので、一度診て戻されるかもしれないと思いながらの紹介だった。(家族が予後についての説明を受けるだけでも紹介の甲斐はある)定期的な経過観察となり、3か月に1回通院継続となっていた。

 高血圧症当院にも3か月に1回通院していたが、2022年9月に高齢で通院も大変なので(実際は家族が連れて行くだけ)、あとは貴院で経過をみるようにということだった。送られてきたCD画像では、間質性変化は漸増して肺全体に及んでいた。年齢を考えると元気だった。

 

 1月4日の血液検査では白血球11300・CRP18.8と高値で、LDHが254と有意に上昇していた。胸部X線・CTで両側の網状影とすりガラス陰影を認めた。

 呼吸器外来に来ていた先生に、COVID-19の79歳男性に続いて相談した。間質性肺炎の増悪のようだが、細菌性肺炎の併発も否定できないということだった。

 

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