なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺胞出血

2022年07月30日 | Weblog

 金曜日の午前中に腎臓内科の先生(木曜日の当直)から、外来で診ている患者さんが朝方肺胞出血で入院したと報告があった。午前3時ごろに血痰が出て、呼吸困難感も訴えて救急搬入されていた。

 胸部X線・CTを確認すると、左肺全体に陰影が広がっていた。右肺にも背側に軽度に陰影がある。酸素吸入2L/分で酸素飽和度97%だった。

 心房細動で内服しているDOACによる肺胞出血なので、中止していますと言われた。リウマチ膠原病の外注検査も提出しているが、DOACによるものでしょうという。同様の症例の経験があり、落ち着いたものだった。

 

 88歳の男性で、糖尿病で通院していたが、2017年に胃癌が見つかった。早期胃癌で胃内複数箇所に癌があった。高齢で心房細動・心不全もある。

 内視鏡治療できないか、心臓血管センター・消化器病センターのある専門病院に紹介となった。内視鏡治療は困難で、胃全摘術になった。術後に食欲不振が続いて大分痩せたが、何とか回復した。体重減少で、それまで使用していたインスリンは不要となっていた。

 

 昨年も肺胞出血がありましたが、と言われたが、すぐに思い出せなかった。昨年1月に、血痰で呼吸器外来を受診していた。短期間地域の基幹病院の呼吸器内科の若い先生が外来応援に来ている時だった。

 胸部X線・CTで右肺野に淡い陰影が散在している。肺炎に伴う血痰と判断されたようで、外来で抗菌薬投与で経過をみるが内服しているDOACを中止していいかと訊かれて、中止して下さいと返答していた。

 1週間後に軽快して、その後も1か月程度DOACを中止して、再開していたのだった。DOACによる肺胞出血とは認識していなかった。放射線科の読影レポートでは、「肺胞出血」となっていたが、血痰の情報と画像だけで判断できる?。(このくらいだと、肺胞出血と判断しても、いったん中止後に再開としたかもしれない)

 

 今後DOACはどうしましょうかといわれた。今回のような派手な肺胞出血を来すようでは、軽快後も再開はできない。家族に血栓塞栓症のリスクを説明して、抗凝固薬中止とする方針でいこうということになった。

 3か月交代で大学病院腎臓内科から来てもらっている若い先生だが、できるなあと思った。

 

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