なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心原性脳塞栓症

2023年10月17日 | 心原性脳塞栓症

 10月13日に脳血管障害の専門病院から82歳男性が転院してきた。住所は隣の市内だった。

 8月24日の午前5時に自宅の台所で倒れているのを妻が発見して、救急要請をしていた。地域の基幹病院に救急搬入された。

 頭部MRIで右基底核から放線冠の脳梗塞を認めて、MRAで右中大脳動脈M1の閉塞があった。心電図で心房細動を認めて、心原性脳塞栓症と診断された。血栓回収目的で先方の専門病院へ転院搬送されていた。

 脳血管内科で血栓回収が行われたそうだ。しかし右放線冠の梗塞が残り、左半身完全麻痺が残った。経口摂取困難ということでNGチューブ挿入による経管栄養が行われていた。(当院転院時の頭部CT)

 診療情報提供書には、「貴院での回復期リハビリテーションをお願いします」になっていた。当院の回復期リハビリテーション病棟は胃瘻造設による経管栄養は引き受けるが、NGチューブでは受けないそうだ。急性期病棟に入院することになった。

 転院依頼が来た時に、経口摂取は難しく経管栄養継続になる見込みか、地域医療連携室から問い合わせてもらった。現状NGチューブによる経管栄養というだけだった。

 NGチューブによる経管栄養だと、現在は施設でも嫌がって受けてくれない。胃瘻があれば、施設によるが少数の受け入れはある。

 頭の先生しかいないので、胃瘻造設はできない病院だった。胃瘻造設できるかどうかの判断もできないと思われたので、転院後にこちらで判断することにした。

 リハビリといっても完全麻痺が1か月以上変わらないので、狭義のリハビリ(歩行訓練)の適応はない。関節拘縮予防や座位保持できるかの訓練もりっぱなリハビリではあるが。

 

 転院後に誤嚥性肺炎の有無と胃の位置を確認するために、胸腹部CTを行った。胃の腹側に大腸(横行結腸)大きくかぶさっていて、内視鏡的胃瘻造設術は施行できない。

 ただ患者さんは会話可能だった。肺炎もなかった。経口摂取できそうだ。先方の病院では嚥下訓練を何故進めなかったのだろうか。

 言語聴覚士(ST)さんに診てもらうと、これは経口摂取できるということだった。NGチューブを抜去して、昼のみ嚥下調整食3で開始となった。3食摂取できるまで、点滴2本を併用することにした。

 利き手交換は不要なので、座位保持で自力で食事摂取できるようになれればいいが、このまま順調にいくだろうか。

 

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