なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

頭部外傷

2024年03月22日 | 外傷

 3月19日(火)の午前中は救急当番をしていた。昼過ぎに救急隊から交通外傷の救急搬入要請がきた。

 62歳男性が原付バイクに乗っていて、停止していた車に衝突した。スピードは20kmくらいでさほど出していなかったそうだ。後頭部に挫傷がある程度で骨折はないようだという。

 地域の基幹病院の近くだった。搬入依頼をしたところ統合失調症で通院していること、生活保護であることから断られましたという。救急隊の話なので正確にはわからない。(リエゾン担当で精神科医もいる病院)

 

 救急隊としては軽度の外傷で入院にはならないので、外科医のいない当院でも大丈夫と判断していたようだ。話を聞いた限りでは、外来扱いで検査・治療できそうだった。

 搬入されると、右前腕が腫脹して疼痛があり、骨折がある。体幹部には問題がなかった。後頭部に挫傷があったが、止血していて縫合を要さない。

 衝突した前後のことは覚えていないという。薬手帳は常にカバンに入れて持ち歩いているそうで、精神科病院、整形外科(両膝関節)、泌尿器科(排尿障害?)に通院している。

 向精神薬はブロナンセリン(2mg)3錠分3に、クロナゼパム(毎食後と就寝前)・ガバペンチン200mg就寝前もあった。本人の話では、てんかんとはいわれていない。

 

 X線で確認すると、左尺骨骨折があった。ひどくはずれてないか。

 頭部CTでは左前頭葉に1~2cmくらいの血腫があり、脳溝部にも出血がある(クモ膜下相当)。右シルビウス裂にもわずかな血腫があった。

 一人暮らしで、利き手の骨折と軽症だが脳出血もあるので、入院治療になる。念のため午後5時に頭部CTを再検したが、大きな変化はなかった。

 骨折は整形外科で診てもらうと、手術を勧められた。ところが患者さん本人は、手術は怖いのでしたくないという。手術と保存的治療の差異を説明されたが、やはり手術はしたくないということで、ギプス固定となった。

 

 父親は亡くなっていて、母親は認知症で精神科病院に入院している(90歳前後だろう)。兄弟はいるが疎遠で頼めない。仕事先の経営者が病院に来て、この忙しい時にと怒っていた。

 置いて行った名刺を見ると、屋台での飲食店をやっているらしい。桜の時期なので、かき入れ時になるのだろう。何かと面倒はみているのだろうが、きちんと給料が支払われているのかはわからない。

 

コメント
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