なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺癌の自然経過

2015年03月31日 | Weblog

 93歳女性が救急搬入された。先週の木曜日(5日前)に転倒して、腰痛を訴えて夜間受診していた。腰椎圧迫骨折はなく、NSAID内服で経過観察となった。もともと介助してやっと立位になるくらいのADLだが、動けなくなって今日救急要請となった。両膝痛を訴えて、整形外科が呼ばれたが、膝関節は変形性の所見があるが、問題になるほどの腫脹はなかった。血液検査で炎症反応上昇があり、内科に診察依頼がきた。炎症反応が上昇しているから内科というのも変だが、まあ何か内科で診るような病気でしょうということだろう。

 名前に聞き覚えがあった。自分が診たのは2008年(86歳)で右中葉に小さな帯状の陰影があり、その周囲にスリガラス様の陰影があった。放射線科の読影所見は肺炎に一致するcompatible with pneamoniaとあった。この時の入院では、抗菌薬投与(セフトリアキソン)で解熱軽快して検査値も改善したので、退院とした。抗酸菌の塗抹検査は陰性だが、培養で抗酸菌陽性でMycobacterium aviumだった。退院後に外来で経過をみたが、変化がないので紹介先の医院に報告書を書いて、症状がある時や胸部X線で変化がある時にまた紹介して下さいとした。

 2009年、その医院が娘さんに代替わりした時期だと思うが、当院の内科を受診して降圧薬などの処方が継続となった。外来で担当した当時当院内科にいた先生が市内で開業することになり、その患者さんを自分のクリニックに紹介とした(自分宛ての紹介状を書いている)。

 2012年にその先生が胸部X線で右下肺(中葉)の腫瘤に気付き、胸部CTを当院放射線科に依頼した。右中葉に3cmの腫瘤があり、放射線科の読影は肺癌疑いだった。その内科クリニックから基幹病院呼吸器科に紹介になったが、この時90歳だったので気管支鏡検査もあえて行わず、肺癌としてそのまま経過を見る方針となった。

  今回は7cmの腫瘤になっていた。周囲のスリガラス様の陰影は肺炎(閉塞性ではない)と思われた。入院して抗菌薬投与で経過をみることにした。少量の胸水はあるが、肺炎を治して退院に持っていきたい。結局2008年から肺癌の自然経過をみたことになる。

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意外な展開

2015年03月30日 | Weblog

 昨日診た、頸部痛で整形外科に入院した80歳代男性は意外な展開になった。まず朝に昨日提出した血液培養2セットからグラム陰性桿菌が検出されたと細菌検査室から連絡が入った。頸部痛はまだあるが、昨日よりは少し軽減していた。ふだんは消化器科医が外来で診ている患者さんで、今日整形外科医からその消化器科医に主治医をお願いされたそうだ。まず頸椎MRIで化膿性の病変を確認することにしたが、特に化膿巣はなかった。

 グラム陰性桿菌ということで、胆道系・尿路系かということになった。尿所見は感染を示唆するものではなかったが、尿培養も提出した。セフトリアキソンで治療を開始した。今日も血液検査を提出すると、入院時にはなかった肝機能障害があった。血清ビリルビンも上昇していて、黄疸を呈していた。感染巣、特に膿瘍を確認するために頸部から腹部まで造影CTを行った。胆嚢はやや腫大して結石が1個あり、総胆管内に結石を数個認めた。管内胆管も軽度だが拡張している。抗菌薬は菌血症で胆道感染ということで、カルバペネムに変更された。

 セレコックス内服にボルタレン坐薬が使用されたこともあるが、今日は解熱していた。解熱したためか患者の受け答えも昨日よりいい。バイタルも安定している。当院では胆道系に結石や腫瘍による閉塞があると、内視鏡的胆道ドレナージができる病院へ転送になるが、明日MRCPを行ってから連絡することになった。(後日の経過 翌日のMRCPで総胆管結石確定)

 昨日の夜に施設に入所している102歳女性が意識障害(開眼せず、痛み刺激で手を動かす)で救急搬入された。頭部CTではっきりしなかったが脳幹部梗塞が疑われた。この方は身寄りが遠い親戚の方になる。当直医は麻酔科を研修している先生(呼吸器科)だったが、悪化時はDNRの方針としていた。バイタルは安定しているが、意識障害の程度は同じだった。

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今日は日直

2015年03月29日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。受診数が10名ほどで、少なかった。市内の当番医が比較的若い先生の内科クリニックなので、そちらを受診しているのかもしれない。救急搬入もなかった。

 97歳女性が嘔吐が続いて受診した。一昨年に内科医院の紹介で当院外来を受診した。CTで右肺に被包化された肺膿瘍を認めた。認知症があって、入院で抗菌薬投与するのが困難と思われた。食欲も良好で、酸素飽和度も正常域だったので、アベロックス200mg内服で経過をみた。軽度に上昇していた炎症反応も改善して、いったん治療中止としていた。

 今日もCTで確認したが、一昨年と特に変わりはなかった。病変自体は固定してしまったようだ。腹部は腸管が浮腫状だったが、それ以外には特に異常を認めない。受診時に排便していて、オムツを開けてみると泥状便が多量に出ていた。微熱と炎症反応の軽度上昇を認めた。おそらく感染性胃腸炎の症状だろうと判断された。家族の希望もあり、入院で点滴することになった。

 その他には、27歳男性が片頭痛で受診した。左眼の奥が痛いという。中学生のころからの片頭痛で、頭痛の前には視野の一部が見えにくくなるという症状が先行する。いつもは数時間で治まるが、今日はいつもより持続時間が長いので受診したという。頭痛の部位と性状はいつもと同じ。嘔気もしてちょっと嘔吐したそうだ。点滴とプリンペランの静注をして、イミグランを皮下注した。院内にあるトリプタン製剤は、ずっとイミグランのままで、その後に出た製剤に変更されていなかった。院外処方だと神経内科では違う薬を処方している。今後相談して、変更することにしよう。この患者さんは3年前まで、当院の消化器科に潰瘍性大腸炎で通院していて、アサコールで軽快した。大腸検査もする内科クリニックに紹介となっていたが、症状がないので今は全然行っていないという。UCの症状はないというが。

 昨日頸部痛で整形外科に80歳代男性が入院した。外科系の日直医(大学からの応援医師)が入院させていた。整形外科の土日当番は大学の整形外科医で、入院がある時のみ対応する約束になっていた。今日になって入院時になかった38℃の発熱があり、病棟からその先生に電話連絡が行った。病院にいる先生に言って、点滴とインフルエンザの検査を出してほしいと指示がきた。今日は内科は私、外科は大学の外科医が日直をしていたが、私の方に病棟から依頼が来た。

 昨日の血液検査を見ると、白血球数増加とCRP17と上昇している。右頸部痛で首が動かせないという。右上腕を動かすと頸部に電撃痛が走る。意識は清明。最初頸椎偽痛風かと思ったが、通院している当院消化器科の処方に腰痛に対するセレコックスが入っていて、入院してからも継続になっている。それでも偽痛風発作を起こす可能性はあるだろうが、先週のこともあり化膿性?と思った。指示の点滴を出して、指示はなかったが血液培養2セットをとりあえず出しておいた。MRIによる頸椎精査は明日整形外科で行ってもらおう。

 

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研修医向けですが

2015年03月28日 | Weblog

 研修医向けの「レジデント」を、役立ちそうな特集の時だけ購入している。2012年8月号は「リウマチと間違えやすい疾患・似た疾患」。リウマチ性多発筋痛症やRS3PE症候群などもいいが、意外に変形性関節症の項が役に立つ。変形性関節症の骨変化と、それに関節リウマチが併発した場合や結晶性関節炎との鑑別などが載っている。X線像の鑑別はもう少し画像がほしいところだ。実は「月刊レジデントノート」は案外役に立たない。連載をまとめた単行本が出た時と興味のある別冊のみ購入している。 

 化膿性脊椎炎(腰椎)の77歳男性は、心エコー(経胸壁)で弁の疣贅はなかったが、細菌の血流への侵入路が不明だった。アルコール性肝障害はすでに肝硬変になっていると判断される。診療科としては整形外科の扱いになったが、抗菌薬の使用など内科でも継続してかかわることになる。

 昨日外科(血管外科)に60歳代男性が糖尿病性壊疽で入院した。糖尿病で市内の内科クリニックに通院していた。一昨年はHbA1cが6%台だったというが、入院時は8.7%だった。処方はジャヌビア50mgのみで、まだまだ処方は追加できる余地がある。入院後、抗菌薬投与で経過をみるが、足指の切断になるそうだ。手術が終わるまではインスリン強化療法にして、その後糖尿病薬のみにもっていく方針とした。肥満があり、入院による食事療法の遵守だけでも血糖が改善する見込みがある。最終的な処方は、ジャヌビア+メトグルコ+グルファストを想定している。

 今日、水上健先生の一般向け著書の最新刊「100歳まで生きる腸の強化書」を買ってきた。「腸ゆらしマッサージ」を中心に書いていて、たぶんこれまでの著書も内容は同じだと思う。外来で診ている患者さんはほとんどが高齢者なので、なかなか処方薬以外のアプローチは困難ではあるが。それにしても、便秘の治療は、酸化マグネシウム+刺激性下剤という雑な治療になっている。アミティーザもわずかしか使っていない。漢方薬をもう少し使ってみようかと思っていたくらいだ。

 

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大学病院へ転院

2015年03月27日 | Weblog

 消化器科医が診ている黄疸・発熱の50歳代男性はなかなか改善しなかった。当初の肝機能障害(胆道系優位)と血清アミラーゼ上昇から、画像上胆道系の拡張がないので、総胆管結石の陥頓・自然排石を考えていたが、どうも違う。発熱は続き、頭痛(意識清明で髄膜刺激症状なし)・腹痛(腹部は軟)・嘔気が続いた。

 トランスアミナーゼは正常化して、胆道系酵素も入院時より低下してきた。黄疸だけが強くなっている。血清アミラーゼは正常化した。炎症反応は横ばいか漸増だった。抗菌薬は最初にスルペラゾンで、その後はメロペネムに変更していた。感染症は感染症だが、ふつうの細菌感染症ではないのかもしれないと思い始めた。

 主治医が困って大学病院から応援に来ている感染症科の偉い先生に相談したところ、その講座のある先生と相談するよう指示された。電話で相談して、一昨日から抗菌薬を追加(クラビットとアミカシンの指示)することになった。そして今日大学病院の感染症科に転院となった。大学病院の消化器科の先生とも相談しないとと言っていたそうだ。感染症科はコンサルテーションだけでベットを持っていないと思っていたが、今は入院も診るのだった。リケッチアなどの特殊な感染症とか血管炎やリンパ腫も鑑別に上がるのだろうか。さっぱりわからない。皮疹・関節痛はない。優れた総合診療医(ドクターGに出てくるような)に見せれば、一発診断になるのかもという話が出た。

 この消化器科の先生は、もうひとり肝機能障害で入院した30歳代後半の女性を診ている。こちらはA型・B型・C型(E型は結果がまだ来ない)肝炎は陰性だった。自己免疫性肝炎を想定していたが、抗核抗体が陰性だった(自己免疫性肝炎は否定できない)。プレドニン30mg/日を使っているが、AST・ALT500~600の肝機能障害は変わらなかった。EBVとCMVの検査は提出していないので否定はできない。

 こちらは今日大学病院から週1回応援に来ている消化器内科・肝臓グループの先生に相談した。やはり自己免疫性肝炎だろうと言われたそうだ。来週大学病院へ転院して肝生検をする予定となった。自己免疫性肝炎と決まればステロイドパルスを行うらしい。その後はプレドニン50~60mg/日からの漸減だろう。凝固系検査で問題はないので(優位差は微妙だが入院時より軽快)、転院までプレドニン30mg/日で継続することになった。

 私は単なる聞き役だったが、主治医としては難しくて抱えきれない患者さんについて話をするだけでも気がまぎれるのかもしれない。個人で診るというよりも、病院全体で考えるのが大事だとは思う。3人寄れば文殊の知恵とはならず、一緒に頭を抱えるだけというのが実態だが。

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肝硬変・肝細胞癌

2015年03月26日 | Weblog

 基幹病院消化器科で経過をみていた88歳男性が腹痛・嘔吐で受診した。原因のわからない肝硬変に肝細胞癌を併発していたが、高齢で治療困難のため癌に対する治療はしていない。当院内科の若い先生の祖父で、昨年も肺炎で当院に入院している。

 腹部CTで昨年にはなかった軽度から中等度腹水を認めた。肝周囲の腹水は一部濃度上昇があり出血と判断された。肝細胞癌の破裂ではないか。血圧はふだん140mmHg程度だが、今日は100mmHg。血液検査ではHbが前回の14g/dlから11g/dlになっている。白血球数増加がある。発熱はなく、35℃台なのはむしろ低下しているのかもしれない。

 吐物は主に胃液で茶褐色だという。胃食道静脈瘤の有無が検査されているかどうかはわからない。性状からは静脈瘤の破裂ではなく、腹痛に伴う嘔吐で胃粘膜からびらん性出血がある程度ではないかと思われた。

 消化器科医とも相談したが、点滴・抗菌薬・PPI静注で経過をみて、血圧・貧血が低下すれば輸血を考慮することにした。行うとすれば、肝動脈インターベンションだが、そこまでは希望しないという(孫である主治医の判断)。放射線科医に依頼すれば当院でもできることはできる。抗菌薬は誤嚥している可能性があるのと、原発性細菌性腹膜炎を考えての投与だ。

 昨日の夕方、その消化器科医が救急当番だった。40歳代の男性が救急搬入された。統合失調症があるらしい。自宅内で這って動いていたが、そのうち動けなくなっていたそうだ。といって麻痺があるというわけではない。一人暮らしで食事をほとんど摂っていなかった(お金の問題か)。筋原性酵素が上昇して、両膝には擦過創があり特に右膝周囲には蜂窩織炎があった。入院で診るしかない。たぶん食事摂取が一番の治療になりそうだ。

 その後、8歳男児がスキーで後頭部を打撲して運ばれた。頭部CTで後頭骨に骨折があり、頭蓋内にエアがわずかに入っていた。少量だが急性硬膜下血腫もある。基幹病院脳神経外科に連絡すると受け入れてくれて、搬送となった。

 この2人の患者さんが同時に搬入されたので、その先生が内科クリニックからの92歳女性の搬送依頼を受けられず、私が担当することになった。数日前から食事摂取が低下していた。今日そのクリニックを受診したが、動けなくなっていて(もともと自宅内を歩行器で少し歩くくらい)、嘔吐もしたための搬送だった。両側胸水貯留・肺うっ血・水腫もあるが、Hbが5g/dlと低下していた。直腸指診では普通便が付着してきて、血便・タール便はなかった。

 この患者さんは一昨年も貧血で消化器科に入院していた。鉄欠乏性貧血でHbが6g/dlだった。上部消化管は食道炎のみ。CTで明らかな腫瘤はなく、下部消化管内視鏡検査まではしなかった。輸血(濃厚赤血球4単位)のみして退院になっていた。退院時には鉄剤が処方されたが、内科クリニックでは投与していなかった。入院として、利尿薬少量と鉄剤の静注を開始した。今日・明日と濃厚赤血球を2単位ずつ入れる。消化管の精査は改めて考えることにした。腫瘍マーカーはCEA軽度上昇、CA19-9正常域、CA125中等度上昇だった。

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化膿性脊椎炎

2015年03月25日 | Weblog

 アルコール性肝障害と高血圧症で内科外来に通院している77歳男性は、もともと腰痛症(腰部脊椎間狭窄症・椎間板ヘルニア)があった。今月になってから腰痛が悪化して、2週間前に整形外科を受診した。腰椎X線の検査を受けて、NSAIDとトラマールが処方された。1週間後に疼痛が改善せず、トラムセットとリリカが処方された。昨日の早朝に歩行できなくなり、救急搬入された。

 当直医は麻酔科研修をしている若い先生だった。リリカの副作用疑いで整形外科に入院した。しかし血液検査で炎症反応上昇と肝機能障害(これは元々ある)があって、整形外科医から内科に転科となった。

 炎症反応上昇は2週間前の整形外科受診時からあった。2週間の経過で、程度はあまり変わっていない。その頃から熱っぽい感じはあったそうだが、正確に体温測定はしていなかった。入院時には38℃の発熱があった。

 発熱・腰痛・炎症反応上昇ということで、化膿性脊椎炎を疑った。昨日腰椎MRIを撮ろうとしたら、MRIが故障していてできなかった。まず血液培養2セットと尿培養(神経因性膀胱あり)を提出した。胸部X線・胸腹部CTで肺炎はなかった。胆道感染はない。尿所見は沈査で白血球数が軽度に上昇して細菌(+)だった(導尿)。CTの矢状断でL4に溶骨像があり、読影レポートにはMRI検査を勧めるとあった。

 今日腰椎MRIを撮ると、L4とL3に脂肪抑制T2強調画像で高信号を認めて、読影レポートには化膿性脊椎炎に一致するとあった。整形外科外来で診たのは若い先生だったが、明日は整形外科の上の先生にも相談することにした。

 明日大学病院循環器科から応援医師が来て心エコー検査をする予定なので、当院の循環器科医に相談して明日の検査に入れてもらった。明らかな心雑音はないが、心臓弁の疣贅の有無をみておきたい。入院後はセフトリアキソンで治療を開始して、翌日からは解熱している。化膿性脊椎炎だと黄色ブドウ球菌が多いので、セファメジンにするべきかもしれないが、血液培養の結果が出るまでは、そのまま継続することにした。

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黄疸・発熱

2015年03月24日 | Weblog

 今朝、消化器科医に黄疸・発熱で入院している50歳代男性について談された。症状は黄疸・発熱で軽度の右季肋部痛(消失)もあった。検査では肝機能障害、血清アミラーゼ上昇、炎症反応上昇がある。肝機能異常はAST・ALT上昇はごく軽度で、γ-GTP・ALPの胆道系酵素の上昇が目立ち、総ビリルビンが7(直接ビリルビン)まで上昇した。腹部エコー・CTでは胆嚢全体の壁肥厚(どちらかというと急性肝炎様)があるが、胆道系の拡張はない。MRCPでも胆道系拡張なし・腫瘍結石なしを確認していた。

 総胆管結石が自然排石した所見のように思われる。胆道感染として入院後にスルペラゾン点滴静注を開始していたが、発熱が続き、黄疸も少しずつ進行した。抗菌薬をチエナムに変更したという。

 総胆管結石の一時的な陥頓と、その後の自然排石だと、もう少し順調な臨床症状と検査値の改善がみられるはずだが、どうも変だという。知り合いの肝臓専門医に電話で相談したら、重症感染症(敗血症)に伴う肝障害ではと言われたそうだ。一時抗菌薬を止めて、あるいは翌日の抗菌薬投与前に血液培養を取るべきか、炎症巣の検索のため全身のMRI拡散強調画像をとるべきか(これは今日撮った)と悩んでいた。

 しかし血清アミラーゼの上昇(その後軽減してきた、膵炎の画像所見はない)考えると、元の原因はやはり肝胆道系だったはずだ。幸い昨夜から解熱傾向にある。一時的な胆道閉塞からの胆道感染が軽快したのでは?

 この患者さんは獣医さんで、何か変な感染症ではないかと言われたが、よくわかりません。いろいろ騒いで、結局原因は不明だが、なんとなく治ったというパターンもあるが、どうなるか。主治医は気持ちの悪い1週間を過ごすことになる。

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甲状腺機能低下症

2015年03月23日 | Weblog

 土曜日は内科の若い先生が日直をして、60歳女性が浮腫(粘液水腫)と倦怠感で救急搬入された。まさに粘液水腫顔貌でむくんで眉毛はなく、声も低音だった。FT3・FT4は感度以下でTSHの上昇を認めた。この方は20年前に甲状腺の手術を受けていた。手術したのは、そこの外科が甲状腺で有名な総合病院だった。著明な心拡大があり、心嚢液貯留が目立った。ただし血圧は200/110mmHgと高血圧を呈していた。低カリウム血症と筋原性酵素の上昇もあった。入院して、甲状腺ホルモン薬が少量から開始された。

 今日その患者さんの話を聞いて、病棟に見に行った。頸部の手術痕は7cmくらいある。Basedw病だったのかと聞いたが、わからないそうだ。癌とは聞いていないという。入院時のCTで甲状腺が残っているのかどうか判断できなかった。術後に甲状腺薬の補充を受けていたかどうかもはっきりしない。20年前だと記録が残っていないだろうが、地域医療連携室を通じて問い合わせてみることにした。血圧と低カリウムの問題もあり、主治医にとっては内分泌の勉強になる。(わかったら教えてね)

 今日当地の基幹病院呼吸器科から転院するはずだった、塵肺・間質性肺炎の患者さんは昨日の日曜日に亡くなったと連絡があった。喀痰排出が困難という話だったので急変だったのかもしれない。当院に転院してその日に急変の可能性もあったようだ。

 肺炎のCT像の講演を聴いた、大分大学放射線科の岡田文人先生が「画像診断」に寄稿した号を取り寄せた。呼吸器感染症の画像がもう少しわかるようになりたい。

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一応土日休み

2015年03月22日 | Weblog

 水曜日に近くの小規模病院から食欲不振・体重減少で紹介された88歳男性は、腹部造影CTで肝彎曲に腫瘍を認めた。その日消化器科の若い先生に担当してもらって入院した。翌日の上部内視鏡検査は異常なし。翌々日の金曜日に大腸内視鏡検査が行われたが、内腔の狭窄は予想よりひどかった。腸閉塞には至っていないが、早急に外科に相談することになった。部分的に腹水がある。明らかな肺転移・肝転移はなかった。開腹して切除できないとしたら回腸瘻にするのだろうか。そのままCV管理のみになるかもしれない。

 土日休みだが、病院から電話がきて、誤嚥性肺炎の高齢者が発作性頻拍になったり、糖尿病教育入院の女性のインスリン注射量をちょっと間違えたりと報告がきた。別の90歳代男性(誤嚥性肺炎)は週末厳しいと思われたが、持ちこたえている。月曜には、基幹病院呼吸器科から塵肺・間質性肺炎の患者さんが転院してくる予定だ。退院の見込みはないという話だ。大学病院血液内科の先生から、悪性リンパ腫(緩和ケアのみ)で粟粒結核の患者さん(排菌はしてないそうだ)の転院が可能かと問い合わせがきていた。紹介状を地域医療連携室宛てにFAXしてもらってから検討させてもらうことにした。

 BSフジの「フロンティアドクター」は矢島知治先生が監修と思ったら、ご本人が出演されていた。主役のドクターは水上健先生。大腸内視鏡の浸水法は聞いたことがあった。大腸内視鏡挿入法の特集で、工夫のひとつとして載っていた(著書としてはないと思う)。薬物を使用しない便秘の治療として、「腸ゆらしマッサージ法」を行っていた。なるほど、やってみようと思ったが、何かに記載があるのだろうか。

 丸善ジュンク堂で、以前からほしかった山口仲美先生の「擬音・擬態語辞典」3800円+税(講談社)を買ってきた。オノマトペの本。診療についてのインターネットアンケートでもらった図書カード4000円分を使う(マメに答えて稼いでいる)。

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