なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

トランコロン

2024年02月04日 | 商品名

 2月2日(金)の昼過ぎに消化器科の外来に行った。脳梗塞で入院した79歳男性の内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の相談だった。

 

 外来ブースは看護師さんの作業スペースが真ん中にあり、その左右に診察室が並んでいる。まだ診察中だったので、消化器科の患者リストを見てみると、紹介患者の中に16歳男性がいた。すでに診察は終えて処方が出ていた。

 16歳の紹介は何だろうと思って確認すると、下痢型過敏性腸症候群で、市内の内科医院からの紹介だった。患者さんが小学校のころに、当院の小児科医が処方した内容を出したが、思わしくないので紹介したという経緯だった。

 患者さんは心因性非けいれん性発作で小児科に2回入院していた。下痢型過敏性腸症候群としての処方もされていた。トランコロン(メペンゾラート臭化物)が就寝前処方になっていたのは、夜間に腹痛が多かったのだろうか。

 症状は腹痛と下痢で2時間くらいトイレにこもってしまう、と記載されていた。学校生活にも支障をきたしているようだ。

 それにしてもトランコロンは久しぶりに聞く懐かしい薬品名だった。過敏性症候群の腹痛で使用する。鎮痙作用により腸の異常な運動を抑え、腹痛を改善させる。当方も若い時に処方していたことがあるが、最近はまったくない。(若い患者さんを診察することがない)

 消化器科医の処方は、イリボー(5μg)1錠分1、トランコロン(7.5mg)3錠・ミヤBM錠3錠分3、腹痛時のアセトアミノフェン屯用だった。

 簡単には、下痢型過敏性腸症候群だとイリボー、便秘型過敏性症候群だとリンゼスになる。どちらでも使用できるコロネル、セレキノンもあるが、効き方が良く分からない薬ではある(動きすぎは抑える、動かない時は動かす?)。あとは抗不安薬・抗うつ薬などだろう。

 トランコロンはtrancolonで、tran(s)越えて・超えて+colon結腸だろうか。音の響きがかわいい。

 14日分処方していたが、数回経過をみて、ある程度症状が軽快したところで紹介先に戻すのだろう。

 

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ガーグルベース

2023年10月22日 | 商品名

 10月26日に感染管理の院内勉強会があり、そこで講演をすることになっている。事務から、外部講師の招聘はお金がかかるので、自前で行うようにといわれていた。

 今回は石川県加賀市で開業されている永田理希(ながたりき)先生の著書をもとにして、「シン・かぜ診療」の話をする。

 永田先生は、うがいもトローチもかぜ予防・治療に効果がないと述べている(正確には効果があるというエビデンスはない)。

 かぜのウイルスは鼻咽頭から入って来るので、口腔内を消毒・洗浄してもあまり意味はない。インフルエンザウイルスは粘膜に付着すると、20分で細胞内に入り込む。これを防止しようとすると、20分おきにしなければならない。

 そもそも粘膜に対して消毒薬を使用するのは、粘膜を痛めて、(感染防止に役立つ)常在菌に影響が出てしまう。

 

 ところで、病棟でうがいというより口腔ケアをする時や嘔吐の時に使用している、通称「ガーグルベース」とはどういう意味かと気になった。

 検索をしてみると、あの倉原優先生の「呼吸器内科医」が出てきた。「ガーグルベース」か「ガーグルベースン」か、という題で記事を載せられていた。(2013年6月19日付け)

 英語だとgargle basinで、一般名は「ガーグルベースン」になる。ガーグルgargleは「うがい」で、ベースンbasin(正確にはベイスン)は「たらい」や「盆」にという意味だ。

 製造している大手メーカーのアイエスケー株式会社では、一般名として「口腔衛生汚物受小型ベースン」と記載していて、商品名は「ガーグルベース」にしている。経緯は不明だが、日本では「ベースン」に(耳)馴染みがなかったのため、「ベース」としたのではないか、ということだった。

 つまり、ガーグルベースンは一般名で、ガーグルベースは商品名、なのだった。

 

あしかメディ ガーグルベース 10個入 うがい受け 汚物入れ 口腔ケアに N10027

コメント (1)
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