なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

2週間目のCOVID-19

2022年07月03日 | Weblog

 木曜日にCOVID-19のクラスターが発生した施設(知的障害者施設)から、77歳女性が入院してきた。6月16日に発熱で発症して、翌日の検査で診断された。入院したのは発症15日目になる。

 入所者50名のうち罹患しなかったのが3名だけで、職員を含めて50名以上のクラスターだった。ひとりでホテル療養は困難な入所者で、全員病院に入院も困難だった。保健所の指導で、基本的には施設内でみることになり、発熱が続いたりと病状的に施設でみられない患者さんだけ入院の方針となった。

 

 この患者さんは3日目には解熱して、そのまま施設内でみていた。経過をみると時々37℃台の発熱はあった。13日目に38.0℃の発熱があり、14日目に40.0℃の高熱が出たために、入院依頼となった。

 もともと基本的なADLは自立している方で、これまでの同施設からの入院患者さんに比べれば普通に会話ができる。その日の朝も38℃の発熱があったが、ぐったりしている様子はなかった。酸素飽和度は97%(室内気)と問題なかった。

 胸部CTで肺炎像はなかった。胆嚢結石が3個あるが、胆嚢炎の所見はなかった。慢性的に水腎症を認めるという既往があり、尿路感染症(急性腎盂腎炎)の併発を疑っていたが、両側腎臓の辺縁毛羽立ち・周囲脂肪織の炎症像(有意な画像所見ではないともいわれているが)はなかった。

 CVA叩打痛をみようとしたが、背部はどこを(軽く)叩いても痛いと言われてしまう。末梢静脈のみえやすい方で、点滴もしやすく、血液培養もとりやすくて助かった。

 血液検査では、白血球6400・リンパ球16.5%・単球12.5%、CRP2.2だった。Dダイマーが1.4とごく軽度に上昇しているが、血清フェリチン・LDHは正常域だった。何だか、COVID-19に罹患したばかりの検査所見のようだった。2日前から細菌感染が併発したようでもない。

 その日はちょうど呼吸器外来に、大学病院感染症内科の先生が来ていたので、また相談した。6月25日に記載した患者さんを相談した先生だった。

 やはり細菌感染併発というよりは、COVID-19の炎症が遷延している状態でしょう、という。培養(血液培養2セット・尿培養)を提出した上で、ステロイドで経過をみることになった。体重が40kgなので、またデキサメサゾン4mg/日を5日間、2mg/日を5日間とした。

 大学病院に入院した若いCOVID-19の患者さんで、退院後に発熱して、炎症遷延として治療したことがあるそうだ。この年齢でも炎症遷延があるんですねえ、と言われた。

 

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