なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

B群溶連菌の尿路感染症・菌血症

2022年07月16日 | Weblog

 脳出血で地域の基幹病院から転院してきた89歳女性は、当院に来てから高カロリー輸液を開始していた。

 通常は2~3か月くらいに入院で、病状が安定していれば療養型病床のある病院にお願いしている。家族が療養型病床の面接に行ったが、面会のことなどで気に入らないことがあり、転院拒否となった。

 カテーテル関連血流感染症でカテーテルを抜去して、入れ替えたりしていた。尿路感染症の治療をしたりと、単純に点滴をするだけではなく、手をかけていかないと維持できない。

 

 先々週に発熱があり、尿が混濁しているという報告もあって、尿路感染症が疑われた。しかしCVカテーテルが挿入されているので、血液培養2セットと尿培養の提出が必要になる。

 前回の尿培養では、大腸菌とB群溶連菌が検出されていた。それに合わせて、セフトリアキソンで開始したが、翌日には解熱した。尿感染症でよさそうだ、後は培養の結果待ちだ、と一安心していた。

 

 血液培養提出の4本中3本からグラム陽性球菌が検出された、と報告がきた。菌名確定まではもう少しかかる。グラム陽性球菌だとカテーテル関連血流感染症が疑われる。実際、前回はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が検出されて、カテーテルを抜去している。

 その時は微熱が続いていたが、今回ははっきりと解熱している。前回の尿培養でB群溶連菌が検出されているので、それかもしれない。

 グラム陽性球菌で菌名不明の時は、正しくはグラム陽性球菌フルカバーのバンコマイシン使用になる。しかし今回はそのままで待てると判断しした。セフトリアキソン投与でも発熱があれば、すぐにバンコマイシンに切り替えることにして経過をみていた。発熱はなかった。

 血液培養2セットと尿培養からB群溶連菌が検出されたので、同菌による尿路感染症・菌血症と確定した。今回はCVカテーテルを抜去しなくて済むようだ。

 

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