なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

MRSA肺炎?

2022年07月02日 | Weblog

 5月31日に記載した85歳男性のその後。

 がんセンターで肺癌の手術を受けて(治癒)、その後は間質性肺炎でHOT(在宅酸素療法)が導入されていた。当院の呼吸器外来(バイトで来ている他院の先生担当)に紹介されて外来通院していた。

 5月に肺炎で入院して、幸いに軽快した。家族がもう少しリハビリをしてから自宅退院にという希望があった。5月28日にポータブルトイレに移動しようとして転倒した。左大腿骨転子部骨折を来していた。

 肺疾患があり、手術適応はなさそうに思われたが、入院中に骨折を来したので、整形外科医に紹介する必要があった。家族が診療情報提供書と画像(CD)を持って、地域の基幹病院整形外科外来を受診した。意外にも転院して手術予定となり、6月3日に転院となった。

 当方は忙しくてすっかり忘れていたが、病棟看護師長さんは、術後はすぐに当院に戻って来るはずが、なかなか来ないと思っていたそうだ。

 

 先週末に基幹病院の整形外科ではなく、呼吸器内科の先生から連絡があり、転院をお願いしたいということだった。転院後に肺炎を来して、手術はなし(保存的に経過観察)になっていた。

 整形外科で肺炎に治療を開始したが(SBT/ABPC→LVFX)、思わしくなく、6月9日には呼吸器内科に転科となって、抗菌薬を変更して(TAZ/PIPC)、ネーザルハイフローを使用していた。

 肺炎増悪・転科時の喀痰培養でMRSAが検出されたため、MRSA肺炎として6月14日からバンコマイシン(VCM)に変更されていた。変更後に改善したという判断されたようだ。

 診療情報提供書をみると、6月10日CRP30.51から6月14日5.98、6月17日1.94となっている。検査値だけからみれば、ゾシン(TAZ/PIPC)が効いたようもみえる。

 家族には、「薬剤耐性菌のMRSA肺炎で軽快したものの、治り切ってはいない。さらに治療継続が必要なので当院に転院してもらう」と説明されていた。

 転院後はとりあえず、バンコマイシンを継続して経過をみることにした。右内頚静脈からCVカテーテルが挿入されていたが、トリプルルーメンのうち2つが詰まっていた。(入れてもらってラッキーと思ったので、がっかりした)

 病棟の看護師さんから入れ替えてほしいと言われた。抜いてすぐ再挿入もできないので、まず抜去して末梢静脈で数日(できれば1週間)頑張ってもらうことにした。慢性腎臓病があり、バンコマイシン(1g/日)のトラフ値もオーバーしていたので量を調整した。

 胸部CTをみると、右肺下葉背側の浸潤影は軽快していたが、胸水(胸膜炎?)は増量していた。

 MRSAは定着菌と思わエる。転院後に喀痰培養を提出すると、MRSAとCandidaが検出されて、広域抗菌薬使用後の像だ。

 

 

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