なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

うつ病らしい

2020年03月31日 | Weblog

 昨日の内科再来を、76歳女性が外科の先生からの紹介で受診した。昨年末から、倦怠感や動悸が続いているということだった。

 5年前に甲状腺癌の手術を受けていた(全摘)。補充療法で甲状腺ホルモンは正常域にあり、血清カルシウムも正常だった。他の検査結果でも異常は認めず、画像検査で甲状腺癌の再発はなかった。

 診察室に普通に入って来て、話しぶりもしっかりしていた。術直後から倦怠感はあったそうで、それが昨年末からさらにだるくなったという。だるさは1日中続き、日内変動はない。食欲はあり、体重はむしろ2Kg 増加していた。家庭では家事や草むしりをしているが、くたくたになるという。

 午後10~11時に就寝するが、すぐには寝付けない。いったん寝ても、午前2時にトイレに行って、その後は朝まで眠れない。朝まで布団の中でじっとしていて、午前5時には食事の支度があるので起きる。

 昨年6月にチラーヂンSが25μg減量されたことが原因ではと言っていた。それはホルモン濃度が高くなって減量したもので、減量後は正常域になっている。

 家族は4人で、夫と二人の息子と同居している。娘は結婚して隣町に住んでいるが、症状を話すと精神的なものと言われるそうだ。

 ストレスがあるというので、何がストレスか訊いてみた。息子二人が独身であることと、一人は10年以上無職であることだという。肩こり・頭痛も続いている。

 倦怠感はうつ状態からきているようだ。睡眠薬の投与で経過をみるのもあるが、抗うつ薬の開始で全体的に良くなるのを期待したいと判断した。(また例の)ジェイゾロフト25㎎を処方して、1週間後は副作用のチェックで来てもらうことにした。

 

 今日は私立病院で透析を受けている患者さんが肺炎になって、当院に紹介されてくる。新型コロナウイルス感染症だと病院がつぶれてしまう、と保健所に訴えたそうだ。以前にも誤嚥性肺炎で入院したことがあるというので、同じではないかと思ったが。

 

 

 

 

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蜂窩織炎

2020年03月30日 | Weblog

 地域の基幹病院に通院している82歳男性が、先週の金曜日から発熱が続いているので受診したいと病院に電話した。保健所に連絡するようにと言われたそうだ。保健所から、新型コロナウイルス感染症の検査適応ではないが、と診療依頼された。

 話を聞くと、呼吸器症状はまったくなかった。心臓バイパス手術後で循環器内科に、前立腺癌で泌尿器科に通院しているそうだ。尿路感染症ではないかと思われた。

 診察室で、実は足が腫れていてと両足を出した。両下腿~足の浮腫がある。そして右下腿は発赤・腫脹・熱感があり、痛みもある。一部は自壊して汁が出ていた。蜂窩織炎だった。爪・足白癬があり、細菌感染が起きそうではある。

 浮腫は心不全の症状かと思ったが、心拡大・肺うっ血の所見はなかった。BNPは110くらいだが、ふだんがわからない(紹介ではないので、診療情報提供書はない)。

 いつからの浮腫かと訊くと、昨年から?続いているという。熱が出てからではないのだろう。低アルブミンがあり、それが関係しているのだろうか。DVTも気になるので、エコーを入れることにした。

 発熱が続いて食事摂取量が低下してふらふらしており、入院希望だった。血液培養2セットと尿培養を提出して、セファゾリンで治療を開始した。

 

 土曜日に、amazonに注文していた「援助者必携 はじめての精神科 第3版」が届いていた。ファンである春日武彦先生の著書で、初版・第2版と購入してきた。本のサイズが小さくなって扱いやすくなっている。今回は全面改稿ということで、1週間楽しめそうだ。

 

 

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原因不明の十二指腸狭窄

2020年03月29日 | Weblog

 火曜日に、地域の基幹病院糖尿病科から86歳男性が転院してきた。脳梗塞と糖尿病の既往があり、3月初めに意識障害・低血圧・低体温・代謝性アシドーシス・腎障害で救急搬入されていた。

 入院後は保温・点滴などで症状軽快していた。搬入の数日前から嘔吐が続いて、食事摂取できなかった。CTで十二指腸下行脚の全周性の肥厚を認めた。上部消化管内視鏡検査では、通常の内視鏡は通過できず、経鼻内視鏡は辛うじて通過可能だった。生検では悪性腫瘍は証明されなかった。

 入院後に総胆管拡張・膵酵素上昇があり、総胆管結石による急性胆管炎・急性膵炎が疑われた。抗菌薬投与で軽快したと記載されているが、総胆管結石があるかどうか確定はできなかったようだ。(動いてしまうのでMRCPは不可能)

 脳梗塞(延髄梗塞)後遺症で嚥下自体も障害されていると判定されて、その意味でも経口摂取は中止された。末梢静脈からの点滴で経過をみることになり、それで悪化した時はDNARの方針になっているという。

 十二指腸狭窄が改善されれば経管栄養の可能性もある、高カロリー輸液に切り替えるのも方法としてはあるが、寝たきり状態で踵の褥瘡・全身的な廃用もあり、とある。

 息子さんに方針を確認したが、末梢からの点滴で経過をみるのでいいということだった。転院後、体幹抑制と手の抑制をしても点滴を何度も自己抜去してしまい、看護師さんが困っている(高カロリー輸液の実施は困難)。

 それにしても、この十二指腸狭窄の原因は何なのだろうか。膵頭部癌や下部胆管癌があるが、生検で証明できないだけかとも思ったが、そうでもなさそうだ。可能であれば当院でも上部消化管内視鏡検査を行って、十二指腸下行脚の現状を確認したいが、その機会があるかどうかわからない。

 

 来週は基幹病院から3名の患者さんが転院してくる予定だったが、1名は病状が悪化して取りやめになると連絡が来た(時々あるパターン)。救急部からの症例で、電話で聞いたところでは、敗血症性ショックで治療を開始して間もない時期に連絡してきていた。ほぼ満床なのはわかるが、ちょっと早すぎないか、とは思っていた。

 

 

 

  

 

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石綿肺

2020年03月28日 | Weblog

 月曜日に89歳男性が尿閉で救急搬入されたが、肺病変があり、内科に入院した。救急当番だった内科の若い先生が担当となったが、治療について相談を受けていた。

 胸膜肥厚と石灰化があり、石綿肺と判断された。職業はと訊くと、農家と土建業と答えた。石綿暴露があった可能性があるが、はっきりしないかった。胸水貯留(右>左)があり、右肺S6に腫瘤とも浸潤影とも確定できない病変を認めた。心嚢液貯留も気になる。

 とりあえずスルバシリン(ABPC/SBT)で開始して、木曜日の呼吸器科外来に来ている先生(大学病院から)に相談することにした。

 抗菌薬投与後は、搬入時の白血球12400・CRP9.1が、白血球10600・CRP16.2、さらに白血球6100・CRP6.2と軽快してきた。CRPの動きから見ると、搬入されたのは発症して間がない時期ということになる。

 診てもらうと、やはり腫瘤か浸潤影か鑑別は難しいので、抗菌薬を継続して経過をみてください、ということだった。抗菌薬は約2週間の投与になる見込みだ。来週も経過をみてもらうが、来年度も当院に来てもらえるのはありがたい。特に抗酸菌感染に強い先生であり、いつも相談すると親切丁寧に教えてくれる。

 家族は在宅介護は困難で施設入所を希望している。食事摂取もまずまずできているが、筋力低下で自力でトイレ歩行はできそうもない。

 

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間質性肺炎?

2020年03月27日 | Weblog

 水曜日に隣町の病院(ほとんどが療養型病床)から83歳男性が肺炎で紹介されてきた。別の内科の先生が対応していたが、後で地域の基幹病院呼吸器内科に間質性肺炎として紹介(搬送)したと聞いた。

 もともと慢性肺気腫があるが、すりガラス様陰影が両側肺にびまん性に広がっていた。これは間質性肺炎でいいですよね、搬送ですよね、同意した。

 白血球14500・CRP4.3と炎症反応の上昇がある。LDH311といかにもそれらしいと思った。BNP226と上昇していて(普段は80くらい)、放射線科の読影レポートは肺水腫疑いとあった。どちらかというと胸膜測有意に見えるがどうなのだろうか。(もし心不全なら循環器内科に回してもらえばいいかなというのは、安易な考えだが)

 

 その後、聞いた話だが、基幹病院では新型コロナウイルス感染用のフルPPEで対応したということだった。PCRも提出したが、SARS- CoV2は陰性だったという。そんな大変なことになっていたとは。

 県内の発生は限りなく少ないのと、濃厚接触歴もない田舎町のおじいさんでも考慮する必要があるのだろうか。

 新型コロナウイルスの医学書が4月初めから続々出版されるので、一応amazonで申し込んでいる。

 

 

 

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慢性硬膜下血腫

2020年03月27日 | Weblog

 昨日の午前中は救急当番をしていた。自宅で動けなくなった72歳男性が救急搬入された。

 見たことがある名前だと思ったが、1月から2月にかけて、急性腎不全で入院していた。内科の若い先生が担当して、受診時にBUN150・血清クレアチニン10という値でびっくりした。

 前立腺肥大による腎後性腎不全と脱水症による腎前性腎不全で、点滴と尿カテーテル留置で血清クレアチニン0.8mg/dlまで軽快していた。

 相談された時は腎センターのある専門病院への搬送も考えた。若い先生が、腎後性・腎前性と思うので数時間治療してから判断したいと言った。その日に再検して、腎機能障害の数値が下がりだしたので、当院入院で慎重に経過をみたのだった。

 昨日の救急搬入時は普通に会話ができて、見当識障害もないようだった。右半身の麻痺があり、頭痛の有無を訊くと、最初あるといったが、その後にそれほどでもないと言った。

 脳出血だと脳外科のある病院に搬送になる。バイタルに問題がないので、点滴・採血の前に頭部CTを撮影することにした(CT室は救急室の向いにある)。CTの結果は左慢性硬膜下血腫だった。

 地域の基幹病院脳外科に連絡すると受け入れてもらえたので、救急搬送とした。術後は当院に戻ってくるが、一人暮らしなので施設入所待ちになるのだろう。

 

 昨日の午前中は先方の病院から2名の患者さんが転院してくるので忙しかった。病院は新型コロナウイルス感染の問題で、家族は面会禁止になっているので、その日のうちにそれぞれの家族と今後のことを話しあっておく必要がある。

 一人は食事摂取困難の超高齢女性、もう一人は急性硬膜下血腫後遺症(寝たきり状態・胃瘻造設)で肺炎と尿路感染症を繰り返している女性で、先方ではあまり好まれないような病状ではある。

 午後からは、別の脳外科の先生を含めて3つの診療科から転院依頼があって、来週引き取ることにした。下請け業は盛業。

 

 

 

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多発性骨髄腫(疑い)

2020年03月26日 | Weblog

 火曜日の内科新患に背部痛の79歳男性が紹介されてきた。その日の新患担当だった内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が診察した。

 1月初めから(2か月以上前)背部痛があり、整形外科クリニックに紹介したが、X線では異常がないとされた。アセトアミノフェンで経過をみていたが、疼痛が増悪したための紹介だった。

 発熱はなく、白血球5200・CRP0.8と炎症反応はわずかな上昇のみだった。しかし検査室から赤血球の連銭形成ありと報告があった。血清総蛋白10.1g/dl・血清アルブミン3.7g/dlとグロブリン値亢進を示唆する結果だった。

 院内で免疫グロブリンも測定できるので、追加するとIgA3734と著明に上昇していた(IgG・IgMは正常域)。胸腹部CTでは、腰椎の横突起に腫瘤による溶骨の所見があった。(背部痛は同部位ではないが)

 若い先生から相談したいと連絡が来たが、ちょうど消化器科の先生と内視鏡的胃瘻造設をするところだったので、後でと答えた。

 他の仕事もあったので、その後に若い先生に訊くと、多発性骨髄腫疑いとしてがんセンターに紹介としていた。患者さんは普通に歩いて外来を受診しており、全身状態もそう悪くないという。外注の血清免疫電気泳動を提出してM蛋白を証明してから紹介してもいいかとは思った。でも診断はまず間違いないので、当院でぐすぐずしているよりさっと紹介するのが正解かもしれない。

 

 若い先生は水曜日までで1年間の当院の地域医療研修を終了した。初期研修を修了して3年目で当院に来てもらった(県の指示)。自治医大出身なので、内科専攻医のうち2年間は県の指示で県内の自治体病院に出向になる。来年度はホスト病院である医療センターで過ごし、専攻医3年目はまた別の自治体病院に出向する。

 自治医大出身・医療センターで初期研修というコースで、3年目としての診療でかなりのことができているので優秀だった。研修中に病院の女性事務職員と結婚したので、その点でも記憶に残る先生だ。

 

 

 

 

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アナフィラキシー

2020年03月25日 | Weblog

  今日は内科再来を診ていた。高血圧症・咳喘息で通院している70歳女性が予約外で受診された。

 昨日夫と一緒にお出かけをして、昼食にしらすのパスタとサラダを食べた。サラダにはにんじんのドレッシングがかかっていたが、それには果物が混じってたようだという。

 食べ終わって15~30分くらいでめまい・ふらつきを自覚した。冷汗もあった。ふらふらしながらも1時間かけて当地の自宅まで(車で)戻ってきた。

 のどの違和感が続いたが、喘鳴や呼吸困難まではいかなかったそうだ。体温測定すると35℃以下だった。血圧は100で、ふだんの130前後から見て下がっていた。発症時はもっと低下していたのだろう。病院に行こうか迷ったが、結局そのまま自宅で安静にして次第に軽快した。

 今日はのどの違和感は消失して、朝は慎重にお粥だけを食べたという。血圧は140台だった。まだ調子が悪いというが、会話は普通にしていて、動きも問題なかった。

 この患者さんは、リンゴ・梨・サクランボ・生エビを食べると喉の違和感が生じるので、普段は避けている。蕁麻疹がでることもある。母親も子供(娘さん)も喘息があり、アレルギーの家系だが、ご本人は喘鳴を自覚したことはない。

 ただ咳が続き、特に夜間から早朝にかけて咳がひどくなる。県内有数の総合病院で喘息としてかどうかわからないが、テオドールの処方を受けていた。13年前から当院で降圧薬の処方を開始したが(他院からの継続)、次の年からは咳も当院で治療したいと希望された。咳喘息(としかいいようがない)として吸入ステロイドを開始して、使用前よりは症状が軽減していた。

 何度聞いても喘鳴を自覚しないといい、咳がひどいと受診した際にも喘鳴は聴取しなかった。咳がひどくて食事もとれなくなり入院したこともあったが、喘鳴はなかった。胸部X線・CTで異常を認めず、炎症反応の上昇もなかった。(ふだんのスパイロは正常域)喘息重積発作に準じた治療でしだいに軽快して退院した。

 その後も咳がひどくなって、ステロイドを短期に使用して軽快していた。地域の基幹病院呼吸器内科の先生に紹介したこともあったが、あまり関心をもたれなかったようだ。そちらの対応でいいんじゃないですか、という返事だった。

 症状が軽快して受診した理由は、また同じことが起きないかと心配になること、孫がエピペンの処方を受けているので自分もどうかということだった。詳細はわからないが、お孫さんはアナフィラキシーショックをきたしたのだろう。

 今回のエピソードは食事性(たぶん果物)のアナフィラキシーショックに準じるものとしていいようだ。エピペンを処方した。もしエピペンを使用するようなエピソードがあった時は、必ず病院を受診(救急要請でよい)するよう伝えた。

 

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久しぶりの慢性膵炎・糖尿病

2020年03月24日 | Weblog

 昨日、62歳女性が発熱で内科新患(大学病院からバイト)を受診した。尿路感染症と糖尿病の悪化で入院治療が必要と判断された。内科の若い先生に依頼がいって入院させていた。病棟にいる時に、入院になった患者さんの名前を見て、どこかで見たようなと思ったがすぐにはわからなかった。

 退院サマリーで入院履歴を確認して思い出した。10年前(53歳時)に膝の半月板損傷で整形外科を受診して、手術を要すると判断されたが、未治療の糖尿病があり、HbA1cが11%台だった。いったん内科に入院して、血糖コントロールがついてから手術をすることになった。

 普通の糖尿病とは違い、膵臓全体に石灰化を認め、アルコール性の慢性膵炎だった。つまり膵性糖尿病になる。そうなるとグルカゴン低下もあって低血糖になりやすいので、その点に注意を要した。インスリン強化療法を行って、血糖コントロールがついてから整形外科で手術を受けた。

 退院後に通院はしていたが、次の年に血糖コントロール不良で糖尿病教育入院となった。さらにその後は少し通院したが、治療を中断していた。

 3年前に発熱で外来を受診した時は、右膿胸を呈していた。胸腔ドレナージを要するので、地域の基幹病院呼吸器内科に紹介した。入院中に同院の糖尿病代謝科で治療を受けて(中断して5年後)、インスリン強化療法が再開された。

 退院後は当院の糖尿病外来(大学病院から)に紹介された。診察記事に、胸腔ドレーンを挿入した部位が少し痛いという記載がある。2回通院したが、すぐに治療を中断していた。

 そして3年ぶりの今回だが、HbA1cは11.3%だった。神経因性膀胱で軽度の両側尿管拡張・水腎症を伴っている。以前は間欠自己導尿をしていた。またインスリン強化療法が開始された。若い先生は今週いっぱいで内科専攻医のホスト病院に戻るので、その後は当方が引き継ぐことになる。

 

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抗凝固薬・抗血小板薬の功罪

2020年03月23日 | Weblog

 自己免疫性肝炎・ステロイド糖尿病で通院している87歳女性は、施設に入所している。施設から家族が連れてきていたが、今は施設も不要不急な家族の面会は控えてもらっているそうだ。

 今日は患者さん本人が(病気がうつる心配があるので)病院に行きたくないと言っている、また施設も外出させたくない、ということで家族が薬だけ取りに来た。

 この患者さんは先日血便が続いて入院した。寝たきり状態で、大腸検査も受けたくないので腹部CT検査だけだが、S状結腸~下行結腸の壁肥厚などから虚血性腸炎と思われた。貧血の進行で2日間輸血をした(濃厚赤血球400ずつ)。

 2年前に左下肢深部静脈血栓症で入院して、その後も内服していたは抗凝固薬を中止とした。血便は治まったが、抗凝固薬を中止していても全身の皮下出血が目立ち、家族と相談してそのまま中止することにした。寝たきり状態なので深部静脈血栓症が再発する可能性が高いが、その時はその時で判断することにした。

 老年期うつ病で食欲不振と厭世的な発言が続いて入院したこともある。大分いいのかとも思っていたが、血便で入院して軽快退院する時も、早く死にたいと言っていた(口癖ではある)。

 

 今日内科再来を受診するはずだった、88歳男性は予約キャンセルになっていた。脳出血で地域の基幹病院に入院したそうだ。この患者さんは脳梗塞後遺症・症候性てんかんで、抗血小板薬(抗てんかん薬も)を処方していた。今回はそれが裏目に出た(出血の助長)ことになる。

 一人暮らしで娘さんが時々訪問して生活していた。身体の動きはよくないが、もともと料理人だったので材料があれば食事を作るのに困らないと言っていた。

 急性期を乗り切ったら、リハビリあるいは療養のために当院に転院してくるはずだが、どの程度の症状なのだろうか。

 

 

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