なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

完全房室ブロック

2020年10月31日 | Weblog

 木曜日に地域の基幹病院循環器内科から87歳女性が、リハビリ目的で転院してきた。

 

 昨年6月に内科医院で行った心電図で不整脈を認めて、ホルター心電図では房室ブロックと140/分の頻拍発作があった。精査依頼で当院の循環器科に紹介された。

 ふだんの心電図では正常洞調律で完全左脚ブロックを認めたが、こちらで行ったホルター心電図では有意な所見はなく、また心エコーで大動脈狭窄を認めたが、経過観察でフォローとなった。

 何度か循環器科に受診したが、今年の春にあとは通院している内科医院で診てもらうことを希望されて、いったん終診となった。

 

 今月初めの日曜日の夜に、10日前からのめまい・倦怠感を訴えて、当院の救急外来を受診した。当直は大学病院からバイトで来ている外科医だった(夜間は全科当直になる)。

 心電図で2:1ブロックを認めて、血液検査では貧血(Hb7g/dl台)もあった。当院の夜間・休日は対応力がないため、当直医は基幹病院へ紹介した。

 先方の循環器内科に入院してすぐから、完全房室ブロックとTorsades de pointes(TdP)の発作を繰り返したそうだ。こわいこわい。心臓ペースメーカー植え込み術が行われた(DDD)。

 貧血に関しては、消化器内科できっちりと上部・下部消化管内視鏡検査・腹部エコー・腹部CTが行われたが、消化管出血を来す病変は指摘できなかった。貧血は鉄剤で改善している。小腸病変が隠れているのかもしれない。

 

 年齢を考慮すると、家族から施設入所を希望されるかと思ったが、患者さんは元気でリハビリでしだいに動きが良くなり始めていた。2~4週間のリハビリ継続で自宅退院できそうだ。

 循環器科への転院でいいはずだが、おとなの事情で内科に回ってくる。当院循環器科のトップの先生と先方の病院とはあまり関係がない。当院の循環器科のその下の先生は、出身大学が同じである先方のトップの先生とは仲良しだ。心不全がやっと軽快したような患者さんは、さすがに増悪の可能性があるので、その先生に頼んで循環器科扱いにしてもらうが、今回はペースメーカーが入ったので安定しているから内科でも大丈夫?。

 当方としては、2:1ブロックの房室ブロックの心電図を見られてよかった(だけ?)。

 

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貧血

2020年10月30日 | Weblog

 昨日内科医院から貧血の81歳女性が紹介されてきた。内科の若い先生に担当したもらった。

 9月初めの血液検査でHb9.3g/dlの貧血を認めていた。HCVは106.0で正球性から軽度大球性になる。当院の放射線科に胸腹部CTが依頼されたが有意な異常はなかった。その後は自院で上部消化管内視鏡検査をするつもりだったとある。

 昨日の血液検査再検でHb5.3g/dlと急激に下がったため、慌てて(たぶん)当院に紹介してきたという経緯だった。

 MCVからみて、急性出血あるいは溶血になるが、どちらも否定的だった。直腸指診で異常はなかった(タール便・血便なし)。

 白血球は5000~6000、血小板30万で正常域にある。白血球分画で芽球はなく、リンパ球の比率が60~70%だった。若い先生も骨髄の問題でしょうかと言っていたが、骨髄異形成症候群が疑われた。

 入院で輸血を行うことにしていた。ある程度安心できるところまでHbを上げて、後は除外診断として上部・下部内視鏡検査を行うが、消化管出血は否定的なので大腸検査は便潜血2回で代用してもいいかもしれない。

 鑑別として、血清鉄・フェリチンやビタミンB12なども提出するが、前者は正常以上だった(ビタミンは外注)。

 その後は骨髄疾患(骨髄異形成症候群)疑いとして、がんセンター血液内科の外来に紹介することになる。

 

 昨日は保健所が行う、「季節性インフルエンザ流行に備えた体制整備に関する説明会」に出てきた。行政上の連絡だから院長先生が出ればいいんじゃないかと思ったが、いっしょに出なさいということだった。

 クリニックでコロナの検査をしているところも都市部ではあるという話だったが、郡部では難しいだろう。インフルエンザとコロナの検査は、結局地域の基幹病院や当院で引き受けることになる。

 発熱外来受診者がある程度少なければ対応できるが、クリニックからの紹介が殺到すると破綻してしまう。

 

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胸椎圧迫骨折

2020年10月29日 | Weblog

 昨日は内科再来を診ていたが、予約の最後に見慣れない名前があった。上背部痛で前日に外科に入院した患者さん(95歳女性)で、外科医からの診察依頼だった。

 

 当院は4月から整形外科の常勤医が不在になった。大学病院の整形外科から週2回外来応援に来ていて、週1回リウマチ外来担当の先生も来ているが、常勤ではないので入院の主治医にならない。 

 回復期リハビリ病棟に紹介される骨折術後の患者さんなど、整形外科疾患の患者さんは常勤の外科医が担当することになっていた。主には外科のトップの先生が担当している。

 

 この患者さんは、上背部痛で地域の基幹病院の救急外来を受診して、診察した整形外科所属の若い先生が診察していた。胸腹部CT(骨条件)を施行していた。胸椎・腰椎に圧迫骨折がある。

 ケアハウスに入所していて、痛みで動けないため入院が必要になる。満床で入院させられないため、当院に入院依頼が来たという経緯だった。診療情報提供書には、「画像上今回の疼痛の原因になるような明らかな原因はありません」、と記載されていた。

 以前この外科の先生から診察依頼があって、リウマチ性多発筋痛症(PMR)だった患者さんがいた。これではありませんか、という紹介だった。

 外科の病棟に患者さんを診に行った。年齢は超高齢(90歳以上は超高齢になる)だが、認知症はなく、はきはきとした会話ができる。痛みは胸椎下部に相当する。叩打痛はなかった。安静時は治まっているが、寝たり起きたりすると痛い。特にひねるような動作をすると特に痛いそうだ。尻もちをついた、転倒したという外傷の既往はなかった。突然に近いような急な発症だそうだ。

 両肩・上腕近位部・大腿近位部の症状はなく、血液検査で炎症反応は陰性なので、PMRでは(まったく)ない。殿部~下肢に及ぶような症状もなかった。

 普通に圧迫骨折でいいようだ。先方のCTで多発性の胸椎腰椎圧迫骨折があり、陳旧性とされていたが、圧迫骨折の新旧はCTではわからない。胸腰椎をMRIで診てもらうことにした。MRI担当の放射線技師さんに連絡すると、午前中はいっぱいだが、午後なら入れるという。

 MRIの脂肪抑制T2強調画像で第9胸椎に高信号を認めた。陳旧性胸腰椎圧迫骨折に、また新規の圧迫骨折が加わったということだった。

 やっぱり整形外科領域はMRIに限る。Dr.MRIは頼りになるのだった。放射線技師さんは画像を見慣れているので、どうだったと訊くと、ありますねとあっさり答えてくれた。こちらも頼りになる。

 

 

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急性膵炎

2020年10月28日 | Weblog

 昨日の火曜日に、内科新患を診ていた若い先生から、腹痛で受診した48歳男性を相談された。

 

 一昨日の日曜日の夜(午後11時ごろ)から腹痛が続いていた。部位は臍部の右下から右下腹部だった。月曜日に内科新患(大学病院からのバイトの先生担当)を受診した。

 内臓脂肪の多い腹部で所見が取りにくい。圧痛はあるが、腹膜刺激症状はないと判断された。腹部X線では異常がなく(腹部単純での判断は無理)、白血球14700・CRP1.1と炎症の初期像を呈していた。

 肝機能障害があるが、血清アミラーゼは正常域だった。虫垂炎・腸炎・胆嚢炎が疑われるという記載があった。痛みは落ち着いているということで、抗菌薬内服で経過観察とされた。

 

 その後も腹痛が続き、翌日の火曜日に受診したという経緯だった。遠慮がちな患者さんで夜間に再受診することもなく、我慢していたようだ。

 血液検査では、白血球15700・CRP26.7と炎症反応が上昇したいた。若い先生が腹部単純CTを撮影して、膵頭部が腫脹しているように見えると放射線技師さんから指摘されていた。膵頭部周囲の脂肪織に炎症像があり、右下腹部の上行結腸まで及んでいた。

 肝臓は著明な脂肪肝を呈していたが、胆道系に異常は認めなかった。血清アミラーゼは正常域だった。何故上がらないのだろうか。

 アルコール摂取を訊くと、ビールを少し飲むが、ここ1週間は飲んでいないという。肝機能障害は過栄養性の脂肪肝で説明がつく。糖尿病(HbA1c7.8%)もあり、健診で脂肪肝とともに指摘されていたようだが、現在休職中で治療は受けていない。

 造影CTを追加した。膵頭部は腫脹して、十二指腸の水平脚の壁肥厚と拡張を認めて、その後腹膜側にも炎症像がある。

 腹痛は月曜日の方が強く感じたという。立派な腹部で所見が取りにくく、腹膜刺激症状と言い難いが、歩くと腹部に響くので腹膜刺激症状ありなのだろう。

 入院して保存的治療で経過をみて治まるのかもしれないが、原因がわからないのと、年齢が比較的若いので、専門医のそろった病院で診てもらう方がよいと判断された(消化器科医にも相談したが、紹介した方がいい言われた)。

 

 別の若い先生の中心静脈カテーテル挿入の立ち合いなどもあり、外来担当の先生に地域の基幹病院消化器内科に連絡するよう伝えた。

 その後、連絡がきて、ベット満床で受け入れできないと言われましたという。別の病院に当たるよう3か所の病院を教えた。その先生(内科専攻医)のホスト病院である医療センターにも連絡したが、現在膵疾患をみる体制が弱く、大学病院にお願いしていると言われたそうだ。結局大学病院で診てもらえることになりましたと、報告がきた。

 大学病院は大袈裟かなあとも思った。消化器科医のここから悪化して来るはずという意見もあるので、急性期はお願いした方がいいのだろう。もし保存的治療で軽快してくれば、その後は当院ですぐに引き取ります。

 

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再燃した肺炎・胸膜炎

2020年10月27日 | Weblog

 今月中旬に、42歳女性が発熱・右胸痛(吸気時の胸膜痛)で内科クリニックから紹介された。その日は土曜日で、内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が日直をしていた。

 胸部X線・CTで右胸水を認めて、白血球11900・CRP21.6と炎症反応上昇もあった。経過は3日間なので、入院して急性の胸膜炎としてセフトリアキソンで治療を開始していた。喀痰はまったく出なかった。尿中抗原検査は肺炎球菌もレジオネラも陰性だった。

 入院後はすぐに解熱して、翌々日には炎症反応も白血球6500・CRP14.2と軽快していた。セフトリアキソンは5日間使用して、退院後はパセトシン(ABPC)内服とした。

 

 先週の木曜日の午後に発熱・右胸痛(吸気時の胸膜痛)で内科外来を受診した。入院時に主治医だった若い先生が外来からの連絡で診察した。

 胸部X線だけだが、胸水貯留が同程度あるくらいだった(と見えた)。白血球10600・CRP4.6と上昇していた。どうしましょうかと相談された。(肺炎球菌抗原を再検していたが陰性だった)

 入院治療期間が5日間と短すぎる気はしたが、抗菌薬内服にして継続している。起炎菌が不明ではあるが、悪い対応ではない。

 抗菌薬内服をオーグメンチン・サワシリンのオグサワ(当院はサワシリンではなくパセトシンだが)にして、5日後にフォローとした。

 レボフロキサシンにすべきか迷ったが、その時は治りにくい胸膜炎という認識だったので、翌週呼吸器外来(大学病院から)の先生に相談するまで、結核に効いてしまうレボフロキサシンは避けた。

 

 土曜日の当方が日直をしている時に発熱・右側胸部痛が続くとして再受診した。白血球11200・CRP22.0と炎症反応がぐっと上昇した。木曜日は再発・再燃したばかりでの受診と判断される。

 入院治療になるので、胸部CTで確認することにした(木曜は年齢を考慮してCTは避けていた)。思いがけず、右肺の上葉(S2)に浸潤影を認めた。胸水も増加していた。木曜日の胸部X線を確認したが、その部位の浸潤影は指摘し難い。

 やはり痰はまったく出ず、培養ができなかった。前回入院時のセフトリアキソンを再開して経過をみることにした。入院後は37℃台の微熱が続いたが、食欲は良好だった。

 今日は解熱していた。白血球4500・CRP9.7と炎症反応も軽減している。セフトリアキソンが普通に効いている。

 若い先生が呼吸器科外来に来ている先生に訊いたところ、胸膜炎だと長めの抗菌薬投与が必要、と言われたそうだ。それにしても培養を出せていないので起炎菌が不明だが、何菌なのだろうか(定型肺炎のどれかだと思うが)。

 

 

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造影CTまでしてしまった

2020年10月26日 | Weblog

 土曜日の日直の時に、内科医院から92歳女性が紹介されてきた。今月は症状は数日前からの息切れと食欲不振だった。

 ずいぶん若い時に肺結核で右上葉切除術を受けていた。それ以外には心疾患・肺疾患はなく、高血圧症・脂質異常症で通院していた。施設に入所していて、施設職員が連れてきた。

 酸素飽和度は97%(室内気)で安静時には低酸素血症はない。体温36.7℃で悪寒もなかったが、年齢を考慮すると平熱よりは高くこの患者さんにとっては微熱相当だったのだろう。

 胸部X線、心電図は(肺切除以外)異常なかった。貧血もない。両下腿に浮腫を認めたが、左右均等で、圧痛はない。深部静脈血栓症とはいえない。

 血液検査で白血球13000・CRP29.9と炎症反応上昇があったのが意外だった。Dダイマー3.4でちょっと上昇していた。尿混濁があり、そのまま解釈すれば尿路感染症(急性腎盂腎炎)になる。

 今月初めに同医院からやはり息切れで内科外来に紹介されてきた。胸部X線・心電図・血液検査でこれといった異常がなく、経過観察としてした。

 心肺疾患としては肺血栓塞栓症(慢性?)しか残らない。やりすぎかもしれないが造影CTを行った。結果として、肺血栓塞栓症はなかった(末梢動脈の慢性肺血栓塞栓症は完全には否定できないが、それにしても酸素飽和度が良すぎる。

 息切れの原因は保留として、尿路感染症はあると判断するしかなかった。年齢を考慮すれば、入院で抗菌薬投与になる。

 患者さんは元気で(認知症はなく、しっかりしている)、入院する気はまったくなかった。責任者である姪に来てもらった(患者さんは独身ずっとだった)。姪と施設職員の説得でしぶしぶ入院を承諾した。

 入院した夜に38.8℃の発熱があり、感染症らしさが出てきた。セフトリアキソンで今日は解熱しているが、食欲はまだ出ないようだ。

 

 

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ダウン症候群

2020年10月25日 | Weblog

 昨日土曜日は内科日直をしていた。ダウン症候群の40歳男性が高熱(39℃)で受診した。家族(両親)が車で連れてきたが、発熱外来扱いになるので、そのまま車で待ってもらっていた。本人は症状を表現できない。黄色の鼻汁が出ているが、咳はないそうだ。

 

 当院の発熱外来は、まずインフルエンザ迅速試験と新型コロナウイルス抗原検査を行って、その後に血液・尿検査、画像検査を行うことにいつの間にかなっている。

 当地域は新型コロナウイルス感染者はまだ10名に満たない。発熱外来受診者で濃厚接触者はまずいない。それでも検査できる以上は検査するという方針になっている。(疑陽性・偽陰性があるので、それほど信頼できる検査ではないが)

 内科診断学を無視した形だが、なにしろコロナは症状の有無や症状そのものでも鑑別はできない。病院のローカルルールなので、当方もそれに従っている。

 

 予想通り両者ともに陰性で、血液検査・画像検査を行った。胸部X線・CTで肺炎を認め、炎症反応も上昇していた。入院すると、両親(母親)が付き添うことになる。食事摂取はできるので外来で何とかならないかということだったが、酸素飽和度93%(室内気)で、入院が好ましい。

 個室代は免除するしかないかと思ったが、重症個室が1室空いていたので、そこに入院とした(重症加算がつくので、個室代はない)。両親も高齢になってきたので、付き添いは疲れると思う。

 

 この患者さんは現在循環器科の外来に通院している。当院は18年前に新築移転していて、その時から循環器科に通院している記録がある(旧病院の時からの通院だったはず)。心房中隔欠損症・肺高血圧症があり、処方はジギタリス製剤のみだった。

 数年前に当院の循環器科が一時的になくなった(開業と転勤)。市内に開業した先生は、自分の外来通院者のほぼ全員に自分のクリニック宛の紹介状を書いていたが、この患者さんはそのままにしていたので、内科外来で処方を継続していた。

 3年前に両側肺炎で入院した。酸素10L/分でも酸素飽和度が上がらず、通常は高次医療機関に搬送だが、家族と相談して、当院でできるだけの治療をすることになった。幸いに肺炎は軽快して、退院することができた。

 退院後は内科外来に通院していたが、その後に循環器科医が赴任して診療科が再開したので、そちらに戻した。循環器科の外来を診ている先生は熱心に検査を入れているが、この患者さんはほとんど検査を入れていなかった。

 画像検査はまあまあできるが、血液検査はかなりいやがるので、両親と看護師さん数名で対応しないと難しいのだった。

 

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CRP高値

2020年10月24日 | Weblog

 水曜日は内科の若い先生が当直だった。8月に急性肺炎で入院した65歳男性が発熱で受診して、また肺炎を認めた。

 8月に入院した時は内科の別の先生が担当していて、抗菌薬はゾシン(PIPC/TAZ)を使用していた。肺炎として重症というよりも、喘息でプレドニンが処方されていることを気にしたのかもしれない。

 胸部X線・CTでは、右下葉背側に斑状影が散布した陰影を認めている。低酸素血症をきたすような病変ではなかった。

 その割に、白血球は10900は普通の所見だが、CRPがなんと46.9とかなりの高値を呈していた。CRP高値がそのまま重症を示唆することはないことにはなっている。しかし、数日で肺炎の広範な陰影が出てくるのではないか、肺炎以外にも何か炎症性疾患が併発しているのではないか、と心配になる。

 若い先生は前回入院時に使用していたということで?、ゾシンで開始していた。入院後は解熱して食事摂取も良好だった。単に予想よりもCRPは上昇していたというだけになりそうだ。

 

 この患者さんは、もともと内科医院に喘息で通院していた。夜間休日に喘息発作がひどい時だけ、何度か当院の救急外来を受診していた。ステロイド(デカドロン)を投与して喘鳴が軽減すると、入院したくないといって帰宅していった。(プレドニン内服を3日分持たせた)

 受診報告をすると、内科医院の先生からは定期的に通院していないことなどを記載した返事が来ていた。

 

 3年前、当院の外科に甲状腺機能亢進などで入院した(当時甲状腺外科を診る医師が、2名いた)。抗TSH受容体抗体は陰性で、抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体が陽性で、マーカー上は橋本病だった。

 亜急性甲状腺炎なども含めて、検索・治療したらしいが、はっきりしなかったようだ。メルカゾールを短期間投与して、その後甲状腺機能は正常化していた。現在もほぼ正常域にある。

 外科入院時に、喘息の治療で呼吸器科外来(大学病院からのバイト)に紹介されて、その後は当院の呼吸器科外来に通院していた。

 喘息の治療として先々月からプレドニン30mg/日が開始されて、今回入院時も25mg/日処方されている。ステロイド依存としてもこれだけの量が必要なのだろうか。担当医はいつも相談している頼りにしている先生で、考えがあってのはずだが、よくわからない。

 

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末梢静脈からの血流感染症

2020年10月23日 | Weblog

 今月半ばに64歳男性が食欲不振・ふらつきで受診して、再入院していた。

 

 5月に入院した時は、勤め先の社長が解雇を告げるために家を訪問して、動けなくなっているのを発見したという経緯だった。コロナの影響で自宅待機となっていたが、1か月家でほとんど食べず、水ばかり飲んでいたそうだ。内科の若い先生が担当した。

 もともと下痢しやすいが(過敏性腸症候群下痢型か)、水ばかり飲んでいたので、下痢が続いた。血清カリウムが1.8mEq/Lと著しい低カリウム血症(腎前性腎不全も)もあった。大酒家だが、酒も買えないので肝機能はほぼ正常だった。

 入院後は点滴とカリウム補正を行って、順調に改善した。要は食事が提供されれば、普通に食べられるのだった。生活保護に申請・認定をして1か月ちょっといて退院した。

 

 今回は血清カリウム3.1で低カリウム血症は軽度だった。生活保護でお金があり、日本酒を飲んでいたため、アルコール性肝障害を認めた。点滴で経過をみて、すぐに食事摂取できるようになった。

 今週始めに突然40℃の発熱があり、悪寒(戦慄も?)もあった。今回も同じ若い先生が担当していて、血液培養2セットなど培養を提出した。

 抗菌薬について相談された。肺炎はなく、尿路感染症・胆道感染症も否定的だった。関節炎・皮膚軟部組織感染症らしさもない。肝臓画像上は脂肪肝で肝硬変とはいえず、腹水もない。心雑音もない。発熱以外のバイタルは安定していた。

 病室に患者さんを診に行ったが、アセリオ点滴静注で解熱していて、普通に会話もできる。末梢静脈からの点滴で刺入部に痛みや発赤はない。

 重症感がないので、院内感染としてはカルバペネムやゾシン(PIPC/TAZ)を入れる感じではなかった。セフトリアキソンで治療を開始して、培養待ちとした。

 抗菌薬開始後に解熱して、経過は良好だった。病棟の看護師さんが、右前腕の肘関節近くから入っている点滴の刺入部が腫脹しているのに気付いた。差し替えとして、そこのサーフロー針を抜去したが、刺入部周囲が発赤して硬くなっていた。痛くなかったのかと訊いても、そういえば痛いようなとのんびりした返事が返ってきた。

 血液培養2セットから表皮ブドウ球菌が検出された。通常、表皮ブドウ球菌などのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌はほとんど(90%)がメチシリン耐性(MRCNS)で、バンコマイシンを使用することになるが、今回の菌は耐性ではなかった。ペニシリンはR(耐性)だが、セフェム系は普通にS(感受性あり)。

 結果的には、末梢カテーテル(穿刺針だが)関連血流感染症だった。末梢の点滴でも刺入部からの感染に注意と言われているが、大抵は漏れてしまうので、抜去・差し替えになり、あまり問題にならないだけなのだろう。

 今日も病室に診に行った。抜去した部位はまだ発赤が残っていたが、元気だった。 

 

 水曜日から、感染症学会・化学療法学会の(東日本)合同学会をwebで視聴している。時々音声が途切れたりはするが、問題なく見れる。

 医局で見ているので、若い先生から相談されたり、病室から呼ばれたりして途切れ途切れにはなる。会議は学会web参加中ということで免除してもらった(ちょうどCOVID-19のセッションだった)。

 

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またジェイゾロフト2例

2020年10月22日 | Weblog

 1週間前に食欲不振で87歳男性が入院した。ふだんはCOPD(慢性肺気腫)で外来通院している。先月肺炎で入院して退院したばかりだった(担当医は他の先生)。

 まったく食べられないわけではない。患者さん本人は入院希望だった。家庭で介護している奥さんも疲れて入院させてほしいというので、入院とした。

 点滴500mlを1日2本入れて、半分くらいは食べていた。点滴は1日1本に減らして、そのままやめる予定だった。食事摂取量の問題というより、うつ気分が問題だった。

 抗うつ薬を開始することにして、いつものジェイゾロフト25mgにした。抗うつ効果が出るまでは1~2週間かかるが、投与した翌日から表情が良くなった。もともと不眠症でレンドルミン(ブロチゾラム)を飲んでいるが、ジェイゾロフトを飲んだ日は良く眠れたという。精神安定作用はすぐに出るようだ。

 25mgで2週間継続して、そのままの量で継続するか50mg/日に増量するか決めるが、そのままで行けそうだ。

 

 DPP4阻害薬で類天疱瘡を来して皮膚科に入院していた83歳男性は、DPP4阻害薬の中止とプレドニン投与で、皮疹はかなり軽快していた。

 プレドニンは漸減中止になっていたが、食欲不振が続いた。希望もあって上部消化管内視鏡検査も行ったが、有意な異常はなかった(萎縮性胃炎はある)。

 この患者さんもうつ気分が続いている印象を受ける。(プレドニンの副作用もある?)皮膚科で点滴をしていたが、食欲は回復しなかった。

 ジェイゾロフト25mg/日を開始して経過をみることにした。翌日病室に行くと、食事摂取量はさほど変わらないが、表情が良くなったような気がした。話しぶりも良くなった(活気が出た)気がするか、こちらの気のせい?。

 抗うつ作用がすぐに出るわけではないが、やはり精神安定作用が心気症の部分には早めに効くかもしれない。

 

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