なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

97歳新型コロナウイルス感染症~デキサメサゾン使用後

2021年03月31日 | Weblog

 3月22日に新型コロナウイルス感染症で入院した97歳のその後。

 入院した時点で1週間発熱が続いていた。両側肺野にすりガラス陰影を認めた。酸素飽和度は94%以上で酸素吸入はまだ不要だったので、程度としては中等症Ⅰになる。

 発症後1週間は経過しているので、デキサメサゾンの投与はできる(早期投与はウイルス増殖を助長)。そのまま経過をみるのもあるかと思ったが、発熱が続いていることと、炎症反応が予想より上昇していたこともあり、投与することにした(6mg/日)。

 白血球4100(リンパ球6.5%)・CRP19.2で、CRP10くらいかと思っていたので、びっくりした。Dダイマー2.2・血清フェリチン1053・LDH251とコロナらしい異常値を呈した。

 翌日から解熱して、ステロイドなので入院時の食欲不振も軽快した。500mlの点滴は中止して、デキサメサゾンと抗菌薬(セフトリアキソン)だけの投与とした。

 今日で投与10日目となり、デキサメサゾンは中止とした。発症から2週間以上経過していたが、そのまま感染病棟から退院にする予定だった。

 当院の感染病棟は4名までだが、保健所から新規入院をお願いしたいと依頼が来て、この患者さんは地域包括ケア病棟に移動してもらうことにした。

 感染病棟と違って、通常の病室に代わって、患者さんは喜んでいた。PPEフル装備のスタッフではなく、通常の催事かるマスクの看護師さんが来るので、気持ちが落ち着いたようだ。

 この患者さんは一人暮らしだった。ケアマネージャーが濃厚接触者の自宅待機期間明けに迎えに来ること、ヘルパーさんの訪問開始の都合などがあり、退院は来週末になっている。

 胸部CTで確認したが、すりガラス陰影はまだ残っていた。CRPは0.4まで下がったが、コロナに特徴的な検査項目は低下したもののまだ異常値を呈している。

  

 新型コロナの入院治療をする病院を退院可能となっても、介護の都合などでできない高齢の患者さんがいる。その場合は、療養を引き受ける病院に転院にしているようだ。

 当院はもともと後方支援病院のような病院なので、感染病棟から一般病棟(地域包括ケア病棟)に移して、退院を待つのはいいようだ。(転院の手続きも面倒)

 

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脳梗塞で搬入された新型コロナ

2021年03月30日 | Weblog

 昨日内科クリニックから69歳男性が脳梗塞疑いで救急搬入された。冠動脈PCIの既往があり、その後心房細動にもなっていて、抗血小板薬と抗凝固薬を内服していた。

 頭部MRIで右中大脳動脈領域の脳梗塞を認めた。心房細動があることから心原性脳塞栓という診断になる。(抗凝固薬を内服していること、発症が突発ではないこと、MRAで脳動脈の狭窄が目立つことから、血栓症も否定できない)

 当院に紹介されたのは、地域の基幹病院の脳神経内科が院内のコロナ発生で受け入れを中止している影響がある。このくらいならば当院でも、というところだった。

 入院時検査として胸部X線を撮影すると、両側肺野にもやもやと陰影が広がっていた。

 発熱はなく、酸素飽和度は94%(室内気)程度で、呼吸器症状は訴えていなかった。胸部CTで確認することになった。すると、両側肺野にすりガラス陰影が広がっていた。どうみても、新型コロナウイルス感染症の肺炎像に見える。

 抗原検査が行われて、救急外来を診ていた内科の先生が相談に来た。画像は確かにコロナだった。抗原検査の結果が出て、陰性だった。

 発熱外来で念のため的な検査としては抗原検査をしているが、疑わしい時には院内に入れたPCR検査(行政検査よりは感度が低い)をすることになっている。さっそく出してもらった。

 保健所から依頼のPCR検査を15件することになっていたので、院内のPCR検査で陰性ならそちらも提出する予定とした。70分くらいで院内のPCR検査がコロナ陽性と出た。

 

 新型コロナの病床は現在4床で運営中で(看護師さんを2名ずつしか出せないため)、4名入院している。脳梗塞もあり、できれば高次医療機関で診てもらいたいので、保健所から県のコロナ本部に連絡してもらった。

 病床がひっ迫して受け入れは困難だった。当院のコロナ病棟に入院している患者さんのうち、発症から感染性がなくなっている96歳女性を一般病棟に移動させて、この患者さんを入れることにした。

 

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たまたま副腎腺腫(疑い)

2021年03月29日 | Weblog

 先週の土曜日は日直だった。発熱の50歳男性が受診して、発熱外来扱いになった。

 その日の午前中から発熱・悪寒があり、左背部痛と排尿痛を訴えた。症状からは尿路感染症が疑われるが、通常50歳の男性では、膀胱炎・腎盂腎炎は何か尿路系に基礎疾患がないと起きない。

 コロナとインフルエンザの検査陰性後に、通常の血液・尿検査を行った。白血球12400・CRP2.5と炎症反応上昇があり、尿沈渣は赤血球1-4/HPF・白血球50-99/HPF・細菌(+)だった。

 左背部痛はCVAの下の方で、どちらの部位にも叩打痛は認めなかった。尿管結石による閉塞性腎盂腎炎の可能性もあり、CTで確認したが、尿管には結石がなかった(左腎結石はあった)。

 尿路感染症(膀胱炎+腎盂腎炎)として抗菌薬投与で経過をみることにした。入院は希望せず、外来治療(その日は点滴静注で、翌日から内服)として、軽快しない時には入院考慮とした。

 日曜日には来院していないので、軽快したのだろうか。

 

 思いがけず、左副腎の2つの結節性病変があった。放射線科の読影レポートでは腺腫疑いとされた。高血圧症もない患者さんだが、次回は副腎ホルモンもチェックする。

 

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院内でコロナ

2021年03月28日 | Weblog

 3月25日に新型コロナウイルス感染症で入院した94歳女性は、3月4日から14日まで地域の基幹病院の脳神経内科に脳梗塞で入院していた。

 家族5人がコロナに感染していて、この方は症状が咳だけで発熱はないが、超高齢なので入院となった。(まあ確かに、自立していない94歳をホテル療養というわけにはいかない)

 保健所の調査では、3月15日から咳が出始めた、となっていた。その日を発症日とするといわれて、違うのではないかと思った。県庁所在地から患者さんの居住している町に、孫とその子供(ひ孫)がやってきたりしているので、そこから家族内にうつったものだろうと考えていた。

 白血球4100・CRP0.2と炎症反応にほとんど問題はないが、胸部CTでは両側肺野特に左肺にごく淡いすりガラス陰影が散在している。いかにもコロナらしい。治療というより、介護しながら10日間預かって退院にする予定とした。

 3月15日が発症日ならば、入院した時点で発熱がなく咳も軽度なので、すぐに退院にしていいことになってしまう。実際は家族内で症状が出始めた3月20日前後が発症なのだろうから、そのあたりからの日数で退院を決めることにしていた。

 

 3月15日が発症日となり、保健所ではこの患者さんが入院していた先方の病院の同室者を濃厚接触者としてPCR検査を行った。すると予想に反して陽性と出た。

 そうなると、この2名の患者さんは入院中に感染したことになる。入院していた病棟の入退院を一時止めることになった。同室者だけでなく、病院のスタッフのPCR検査も行うのだろう。当院にいるコロナの患者さんは先方の病院で罹患した後に自宅に戻って、家族内にコロナが広まったことになる(?)。

 

 同じ3月15日に、基幹病院の脳神経内科に入院していた89歳女性が、当院にリハビリ目的で転院していた(他の内科に先生が担当)。

 この患者さんも同室だったので、当院で個室管理としてPCR検査を行ったが、結果は陰性だった。14日間その状態で経過をみることになった。(最初大部屋に入ったので、同室者も移動なしで経過観察になった)

 

 入院していたのは呼吸器内科・脳神経内科病棟だった。その病棟はいったん入退院停止となった。来週から再来週にかけて、(リハビリあるいは療養目的で)当院に転院予定の患者さんが数名いたが、いったんキャンセルになるそうだ。

 地域の救急医療の要(かなめ)となる病院なので、影響は大きい。最小限の休止で済むことを願うばかりだ。

 

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梅毒血清反応

2021年03月27日 | Weblog

 今週始めに50歳代後半の男性が、昨年入院した際の検査のことで苦情を言いに来ていた。

 透析のためのシャント造設で入院していた(1泊2日)。血管外科の先生が担当したが、移動になってすでにいない。他の外科の先生の対応となるが、面会する前に帰ってしまった。

 外科外来の看護師長さんが対応して事情を聞いた。昨年慢性腎不全の悪化で、すぐには透析にはならないが、近い将来の透析準備のためのシャント造設だった。

 他の病院で梅毒反応が陽性と指摘された。当院入院時の結果かどうだったのかという。結果は、RPR陽性(4倍)・TPHA陽性で、梅毒罹患者になる。

 担当医が説明したかどうかは不明だった。記載がないので、見逃したのだろうか。手術依頼書に記載するので見たはずだが、確かめられない。陽性であれば、これまでは泌尿器科や内科に治療について相談されていた。うっかりしたのか。

 検査結果のコピーを患者さんに渡しているはずだが、検査の意味までは記載されてないので、数値や(+)だけ見てもわからないだろう。改めて、検査陽性と伝えて検査結果のコピーをお渡しした。

 検査で陽性だったのに説明がなかった、入院中の病院の対応も気にいらなかった、と言って(正確には怒鳴って)帰ってしまった。

 無症状であれば、RPR16倍以上で届け出になり、8倍以上で治療対象となっている。今回の場合4倍なので、経過観察・再検とするか、いったんはペニシリンで規定の治療開始かだが。

 おそらく陽性を指摘されたのは居住している町内の泌尿器科(透析施設)なので、そちらで対応してくれるだろう。

 

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やはり肺結核

2021年03月26日 | Weblog

 先々週、検査技師さんから他の病院に入院している家族(姑の80歳代女性)のことで相談された。

 1月に腰椎圧迫骨折で入院したが、その後から発熱が続いているそうだ。原因不明ではなく、肺に陰影があり、何らかの肺炎には違いない。その病院には呼吸器科医もいて、大学病院の呼吸器内科からも診療に来ていた。

 発熱が続いていて、このご時世なので面会もできない。大学病院の先生と相談して、なんと肺生検をすることになった。

 しかし特異的な所見は得られずに、原因不明のままだった。発熱が続いていて、食事摂取もできないらしい。当院に転院させたいがどうでしょうか、という。

 当院には呼吸器内科医はいない。大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生に相談はできるが、通常の検査・治療で軽快しないのであれば、呼吸器内科のいる病院が望ましい。

 当院に来たから、診断・治療がうまくできて軽快する保証はない、と伝えた。それでもいいと言われたが、当然改善することは期待しているはずで、悪化すれば不満が残る。

 

 担当医から診療情報提供書が送られてきた。突然の転院希望で、と記載していた(まあ機嫌は損ねるだろう)。肺に粟粒影とあるが、粟粒影というからには結核を想定している?。

 通常の抗菌薬に反応しない肺炎ということになると、結核などの感染症や間質性肺炎などの免疫系の疾患になる。通常の細菌性肺炎で1か月以上発熱が続けば、悪化してとてももたないだろう。状況的には肺結核が疑われる。

 当院に転院するのであれば、個室管理でN95マスクで、喀痰あるいは胃液の抗酸菌塗抹・PCR・培養を繰り返すことになる。急性期病棟の個室を準備していた。

 昨日感染病棟に新規のCOVID-19の入院があり、感染管理ナースといっしょにいるところに、その検査技師さんがやってきた。先方の病院で喀痰の抗酸菌塗抹をしてガフキー1号と出たが、そのまま転院でいいか、という。そうであれば、結核菌のPCR検査を提出しているはずだから、その結果をみてからにしましょうと答えた。

 その後また連絡がきて、PCR陽性と判明したと病院から連絡が入ったそうだ。そうなれば県内の結核病棟をもつ病院に転院になるので、当院に来ることはない。腰痛の原因も、案外結核性脊椎炎なのかもしれない。

 

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関節炎?カテ感染?

2021年03月25日 | Weblog

 内科の若い先生が担当していた93歳女性のその後。

 発熱で受診して、感染源が不明だった。胸水貯留があり、肺炎・胸膜炎疑いで治療を開始した。胆嚢内に結石があり、当初は胆嚢炎の所見がはっきりしなかったが、次第に胆嚢壁肥厚・debrisの貯留が明らかになり、急性胆嚢炎と確定した。

 外科と相談したが、ラパ胆嚢などの手術は難しく、胆嚢ドレナージ(PTGBD)も手術前提の処置なので施行し難いと言われた。抗菌薬投与で保存的に治療するしかない。

 ゾシン(PIPC/TAZ)で開始したが、発熱が続き炎症反応も軽快しなかった。ゾシンとどれほど違いがあるかわからないが、メロペネム(MEPM)に変更した。メロペネムが効いたのか、投与期間の問題か、幸いに軽快してきた。

 絶食が長期間継続となっていたので、大腿静脈からCVカテーテルを挿入して、高カロリー輸液にしていた。胆嚢炎の軽快後に、食事摂取による悪化は心配されたが、もう食事を出して経過をみるしかないので食事開始とした。

 今週は若い先生が、次の勤務先への引っ越し作業もあり有給休暇に入ったので、当方が引き継いだ。月曜日から発熱があり、右膝関節の熱感・腫脹もあった。

 関節炎ならばNSAIDsで経過をみられるが、39℃の高熱と悪寒(・戦慄?)もあり、血液培養提出後にCVカテーテルを抜去した。

 幸いに食事摂取できて、短期間ならば末梢静脈からの点滴もできる。胆嚢炎が再燃で悪化して、また長期の絶食・点滴になる時はCVカテーテルを再挿入すればいい。

 NSAIDs投与とカテーテル抜去を同時に行ったので、どちらが効いたか確定できないが、その後は解熱している。全身状態からみて、カテーテル関連血流感染ではなく、関節炎だったような気はする。

 

 それにしても、感染病棟に入院している新型コロナの96歳女性・97歳女性といい、ここまで生きている超高齢女性は丈夫なものだ(肉体的なエリートさん、と呼んでいる)。

 

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95歳脳梗塞・消化管出血

2021年03月24日 | Weblog

 先々週、地域の基幹病院呼吸器内科から95歳男性が転院してきた。誤嚥性肺炎で入院して、肺炎自体は軽快したが、嚥下訓練を行った結果、ゼリー少量くらいが嚥下できるかどうかだった。

 超高齢者であり、末梢の点滴で経過をみて、嚥下訓練は無理のない程度に継続となっていると伝えられた。実際に転院してくると、その5日前から嚥下訓練は中止になっていた。

 脳の情報(嚥下障害の原因)はなかったので、頭部CTを行った。多発性ラクナ梗塞はあるが、大きなものではない。部位的に症状が出るところだったのか。

 先方と同じ方針で経過をみていいのかと家族に相談すると、長くは生きてほしいが、痛みを伴う処置はしないでほしいということだった。

 胸腹部CTで見ると、胃は胃瘻造設は難しい位置にある。手足を動かしてしまうので、体幹抑制と手の抑制をしないと高カロリー輸液もやりにくい。

 そのうち意識レベルが低下して、頭部CTを再検すると、左後頭葉に脳梗塞が発症していた。

 また、タール便が出たと報告がきて、その後治まっているかと思われたが、Hbが11g/dlから5g/dlまで低下していた。排便してなかっただけで、消化管にはたまっていたようだ。

 輸血を行うことにした。緊急内視鏡検査は貧血の経過をみて実施するかどうか決めるが、検査の時に誤嚥しそうだ。

 転院してきた時より、手足の動きが鈍ってきたので、これならCVカテーテル挿入もできそうだ。95歳だが、濃い治療をすることになってきた。

 

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97歳の新型コロナウイルス感染症

2021年03月23日 | Weblog

 昨日の午後5時過ぎに、新型コロナウイルス感染症と判明した97歳女性の入院依頼が来た。

 3月15日から倦怠感・食欲不振があり、翌3月16日から発熱・咳が続いていた。近医で感冒として治療していたが、その日旧国立療養所系の病院を受診していた。自前のコロナPCR検査で陽性と判明した。(同時に行った抗原定性では陰性で、PCRとの感度差を証明したことになる)。

 その病院の外来で500mlの点滴2本・抗菌薬・ステロイドと、内容からいえば1日分が投与されていた。収容先を探したが決まらずに、ほぼ時間外になりかけていたことになる。

 地域的にはその町から当院を受診する患者さんは皆無で、大抵は医療センターに搬送されるはずだった。医療センターでは患者数が増えていて、受け入れできなかったのだろう。

 県のコロナ本部にいる先生から、大学同門の当院院長に依頼があり、当院で引き受けることになった。発症から1週間が経過して発熱が続いていることから、肺炎が進行していると予想された。

 その地域の救急隊が搬送してきたが、患者さんは案外元気だった。この年齢で一人暮らしをしていた。息子さんたちは首都圏在住で、発症前に千葉県にいる息子が来ていたという(感染源?)。

 胸部CTを撮影すると、両側肺野にすりガラス陰影が広がっていたが、酸素飽和度は95%(室内気)と良かった。中等症Ⅰになるが、ちょうど肺炎が悪化する時期にあたり、ここ数日の経過で決まる。

 

 白血球4100・CRP19.2とCRPの上昇が目立った。リンパ球6.5%・LDH251・Dダイマー2.2・フェリチン1053とコロナで異常値を示す項目を満たしていた。

 中等症ⅠからⅡへの移行期相当で、すでに先方の病院で入れていたし、ここはデキサメサゾンを投与するのが妥当だろう(今日で発症9日目)。

 患者さんが行っているデイサービス先で、接触者のPCR検査が行われるはずだが、地域的に遠いので当院に依頼されることはないだろう。

 

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肺結核の注射薬治療

2021年03月22日 | Weblog

 肺結核の92歳女性がずっと入院している。そもそもは昨年6月に右肺炎で入院したが、通常の抗菌薬治療で軽快しなかった。呼吸器科外来に来てもらっている大学病院感染症科の先生の指示で抗酸菌塗抹検査を行った。

 塗抹で抗酸菌陽性、PCRで結核菌陽性と判明した(培養も出た)。肺結核(結核性肺炎)として、県内の結核病棟のある病院に転院となった。

 経口摂取できず、抗結核薬3剤の注射薬で治療が開始されていた(INH点滴静注・SM筋注・LVFX点滴静注)。喀痰塗抹が3回陰性となって、当院に戻ってきた。塗抹陰性でいいのか培養陰性で隔離解除なのか、大学病院から来ている先生に相談した。

 病院によって違うが、大学病院では結核菌培養陰性で隔離解除にしていると言われた。個室隔離で経過をみて、培養陰性3回を確認して隔離解除とした。

 その後、カテーテル関連血流感染や尿路感染症を併発していたが、それぞれ治療して軽快治癒した。注射薬3種の治療は1年半の予定なので、治療期間はまだまだある。

 隔離解除の後に、治療を依頼できる療養型病床のある病院はないかと当たってみたが、どこもダメだった。まあそうだろう。このまま順調にいけば今年の秋に治療期間が終了するが、高カロリー輸液だけになったとしても引き受ける病院はなさそうだ。

 経管栄養に切り替えても、やはり引き受けてくれる施設もなさそうだ。当院でずっと診ていくしかないのかもしれない。

 当初の肺炎としての入院から、3年目の内科の若い先生の診てもらっていて、戻って来てからも継続していた。4月からは別の病院に移動になるので(自治医科大学の義務年限)、当方が引き継ぐことにした。

 それにしても、こういう場合には経鼻胃管からの抗結核薬内服にはしないものなのだろうか。

 

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