3月22日に新型コロナウイルス感染症で入院した97歳のその後。
入院した時点で1週間発熱が続いていた。両側肺野にすりガラス陰影を認めた。酸素飽和度は94%以上で酸素吸入はまだ不要だったので、程度としては中等症Ⅰになる。
発症後1週間は経過しているので、デキサメサゾンの投与はできる(早期投与はウイルス増殖を助長)。そのまま経過をみるのもあるかと思ったが、発熱が続いていることと、炎症反応が予想より上昇していたこともあり、投与することにした(6mg/日)。
白血球4100(リンパ球6.5%)・CRP19.2で、CRP10くらいかと思っていたので、びっくりした。Dダイマー2.2・血清フェリチン1053・LDH251とコロナらしい異常値を呈した。
翌日から解熱して、ステロイドなので入院時の食欲不振も軽快した。500mlの点滴は中止して、デキサメサゾンと抗菌薬(セフトリアキソン)だけの投与とした。
今日で投与10日目となり、デキサメサゾンは中止とした。発症から2週間以上経過していたが、そのまま感染病棟から退院にする予定だった。
当院の感染病棟は4名までだが、保健所から新規入院をお願いしたいと依頼が来て、この患者さんは地域包括ケア病棟に移動してもらうことにした。
感染病棟と違って、通常の病室に代わって、患者さんは喜んでいた。PPEフル装備のスタッフではなく、通常の催事かるマスクの看護師さんが来るので、気持ちが落ち着いたようだ。
この患者さんは一人暮らしだった。ケアマネージャーが濃厚接触者の自宅待機期間明けに迎えに来ること、ヘルパーさんの訪問開始の都合などがあり、退院は来週末になっている。
胸部CTで確認したが、すりガラス陰影はまだ残っていた。CRPは0.4まで下がったが、コロナに特徴的な検査項目は低下したもののまだ異常値を呈している。
新型コロナの入院治療をする病院を退院可能となっても、介護の都合などでできない高齢の患者さんがいる。その場合は、療養を引き受ける病院に転院にしているようだ。
当院はもともと後方支援病院のような病院なので、感染病棟から一般病棟(地域包括ケア病棟)に移して、退院を待つのはいいようだ。(転院の手続きも面倒)