なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

インフルエンザ+肺炎

2019年01月31日 | Weblog

 月曜日に食欲不振の87歳女性が家族に連れて来られた。家族は気づいていなかったが、38℃の高熱があった。時節柄インフルエンザ迅速試験(高感度)を行って、A型陽性と出た。内科新患担当の若い先生(大学病院からバイト)は、ラピアクタ点滴静注を行って帰宅とした。

 外来看護師さんから連絡が来て、家族が食欲低下が続くので入院させてほしいと言ってますという。先週からの症状で4~5日経過していた。日数的にインフルエンザだけではないと判断されて、画像検査・血液検査を行った。

 白血球数7400(普段は4000くらいなので倍増)・CRP8.0と炎症反応の上昇を認めて、胸部X線で両側下肺野に淡い陰影があった。胸部CTで確認すると、下葉背側を中心に淡い陰影が散在していた。インフルエンザ罹患から細菌性肺炎を併発したようだ。

 入院として抗菌薬(セフトリアキソン1g)と点滴(500ml2本/日)で、翌日には解熱して、食事摂取良好となった。今日の検査では、白血球数4100・CRP2.2と軽減していた。やせた小さなお婆さんだが、ちょっと治療しただけでぐっと良くなるのだから、丈夫なのだろう。

 来週の月曜日まで治療して肺炎は治癒する見込みとなった。ただ、この方は独身の50歳代の息子と二人暮らしで、日中はひとりになる。やっとトイレに行けるくらいで、ひとりで過ごすのは難しくなっていて、介護保険を受けたところだった(要介護2とされたがもっと上でもいい)。娘さんが付き添っていたが、本人が家を離れるのは嫌がるので、施設入所はどうかという話をしていた。

 それにしても月曜日の内科新患は受診数が多く、担当の先生は午後2時まで診療していた。お疲れ様です、遅くまですみませんと声をかけた。

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S状結腸憩室炎+認知症

2019年01月30日 | Weblog

 昨日3日前からの左下腹部痛で受診した39歳女性は、S状結腸憩室炎だった。入院治療を勧めたが、家庭の事情で入院できないと外来治療を希望して帰宅した。少なくとも3日後には必ず外来を再受診すること、症状が悪化すればその時点で入院のつもりですぐ受診することとしていた。

 そして今日午前中に外来を受診した。腹痛の悪化はなく、抗菌薬・鎮痛薬で軽減したが、食事摂取できないということだった。そのまま入院として、点滴と抗菌薬点滴静注で改めて治療を開始した。

 入院しにくい事情というのが、87歳認知症のお舅さんの在宅介護だった。当院の神経内科外来に通院している(正確には家族に連れて来られる)。その辺は家族で相談してどうにかかったのかと思ったが、午後になって地域医療連携室から、そのお舅さんのレスパイト入院を急遽引き受けることなったと報告があった。実際に引き受けるのは内科レスパイト入院係りの当方になる。明日からなので、今日は患者さんの夫か誰かが対応しているのだろう。

 名前を聞いたことがあると思って退院サマリーを確認すると、主治医で診たことがあった。診断は急性細菌性前立腺炎だった。数年前で、ち不明熱の鑑別して前立腺炎もあることがわかり始めたころだった。認知症で点滴静注が難しく(自己抜針で)、レボフロキサシン内服で治療していた。

 常に30名以上の入院患者を担当しているが、最近またさらに増えてきた。

 

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糖尿病性ケトアシドーシス

2019年01月29日 | Weblog

 肺癌でがんセンター通院中の肺炎、S状結腸憩室炎、数日食事摂取できなくて腎前性腎不全を呈した肺炎、などの患者さんを外来で診ていると、救急当番の外科医から連絡がきた。

 動けなくなって救急搬入された65歳女性が、高血糖を呈しているという。血糖684mg/dl・HbA1c16.1%だった。一人暮らしで、夫はすでに死去して、娘さんが県外にいるそうだ。両親が糖尿病かどうかは不明だが、動けなくなっているのを発見して救急要請した兄は糖尿病で通院している。患者さん本人はこれまで健診も受けず、通院もしていなかった。家族歴のある糖尿病の患者さんが、放置していてここまで悪化したということになる。腹部CTで膵癌は認めなかった。

 意識はぼんやりはしていたが、姓名・生年月日は言えて、見当識障害もなかった(JCS1程度)。末梢血で血液濃縮があり、血液ガスでpH7.270・HCO3 8.2・PaCO2 18.7と代謝性アシドーシスを呈している。尿ケトン体(3+)。糖尿病性ケトアシドーシスだった。

 地域の基幹病院に糖尿病科の先生が2名いらっしゃるので、連絡したところ診てもらえることになり、救急搬送となった。ケトアシドーシスを脱したら、その後は当院転院になりそうだ。

 

 外来で診ていた患者さんたちは腎不全の肺炎は入院となった。肺癌・肺炎の患者さんは来週にがんセンターの予約が入っていることもあり、外来治療で軽快しない時に入院の方針となった。まあ肺炎が治らないと化学療法もできない。

 S状結腸憩室炎の患者さんは家庭の事情でできれば外来で治療したいと希望された。炎症反応は軽度だが、入院が好ましいとはお話した。こちらも抗菌薬の点滴静注をして、内服で経過をみることにした。

 4名続けて入院になるかと思われたが、1名の入院になった。外来治療のあと2名も今週中に入院になる可能性があるが。

 

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緑膿菌と腸球菌

2019年01月28日 | Weblog

 先週末に85歳男性が高熱で動けなくなって救急搬入された。救急当番は整形外科の先生で、内科の若い先生が呼ばれて、さらに当方に相談が来た。普段高血圧症などで外来で診ている患者さんなので、そのまま引き受けることにした。

 昨年末から肉眼的血尿が続いて、予約日でない日に娘さんに連れてこられた。一人暮らしをしていて、顔がそっくりな娘さんが通いで世話をしている。尿細胞診は陽性で、腹部エコーでも膀胱内に丈の低い腫瘤が描出できで、膀胱癌だった。

 当院の泌尿器科外来(大学病院から)を通して、地域の基幹病院の泌尿器科に紹介された。来月の半ばに手術の予定となっていた。

 肺炎はなさそうで、軽度の肝機能障害はあるが、胆道感染ではないようだ。尿所見は昨年末から、赤血球>100/HPF・白血球>100/HPF・細菌(+)になっている。尿培養と血液培養2セットを提出して、尿路感染症(腎盂腎炎)として治療を開始した。

 今日培養結果が出て、腸球菌(フェカーリス)と緑膿菌が検出された。ゾシンで治療を開始していたが、まあ結果的にはぴったりだった。入院後、翌日にもいったんゲ解熱した後に高熱になったが、その後は解熱して経過している。なんとか治りそうだ。

 菌血症だと2週間以上の治療期間になるが、手術まで間に合うかどうかギリギリだ。今回のエピソードがあると、そもそも手術は延期になるかもしれないが。

 

 昨日は学位研究でお世話になった病理の教授のお通夜があり、出席してきた。自分にとって教授といえば、臨床の教授ではなく、こちらの病理の教授になる。年末にお歳暮を送っているが、今回はいつもいただく礼状のはがきが来なくて、どうかしたのかとは思っていた。

 

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「検査値を読むトレーニング」

2019年01月27日 | Weblog

 「検査値を読むトレーニング」本田孝行著(医学書院)を購入した。著者が内科学会講演会で「左方移動」の講演をされた先生と分かったので、即購入。研修医に絶対お勧め。

 ルーチン検査は13項目ある。

 1)栄養状態はどうか(アルブミン、総コレステロール、コリンエステラーゼ)

 2)全身状態の経過はどうか(アルブミン、血小板)

 3)細菌感染症はあるか(左方移動)

 4)細菌感染症の重症度はどうか(左方移動の程度)

 5)敗血症の有無(血小板、フィブリノーゲン)

 6)腎臓の病態(クレアチニン、尿素窒素、尿酸、尿検査、Ca、P)

 7)肝臓の病態(ALT、AST、AST/ALT、ビリルビン、肝臓での産生物質)

 8)胆管・胆道の病態(ALP、γ-GTP、直接ビリルビン)

 9)細胞障害(LDH、CK、ALT、AST、アミラーゼ)

 10)貧血(Hb、MCV、ハプトグロビン、網赤血球、エリスロポエチン)

 11)凝固・線溶の異常(PT、APTT、フィブリノーゲン、D-ダイマー、アンチトロンビン、血小板)

 12)電解質異常(血清Na、血清K、血清Ca、血清P)

 13)動脈血ガス(pHからアシデミアかアルカレミアを判断する、呼吸性か代謝性かを判断する、Anion gapを求める、補正HCO3値から、代謝性アルカローシスを判断する、一次性酸塩基平衡に対する代謝性繁華を判断する、総合的に判断する)

 

 そのうち、3)細菌感染症はあるか(左方移動)が面白い。

 「白血球およびCRPは感染症治療に役立たないと考える専門家も多い」(具体的に青木眞先生の本を引用)。それは、「多くの細菌感染症において白血球数は増加するが、感染初期や重症例では低下するので、白血球数で細菌感染症の有無を判定できない」、また「CRPは2~3日前の状態反映しており、タイムラグを考慮する必要がある」という。

 「しかし、白血球分画において左方移動を認めれば、細菌感染症と判断できる」。左方移動とは、白血球分画で、桿状核球の割合が15%以上になること。軽度左方移動は桿状核球が分葉核球の半分より少ない、中等度左方移動は桿状核球が分葉核球の半分より多い、高度左方移動は桿状核球が分葉核球より多い。

  

 好中球の体内分布と動態。血液中の好中球は、循環している好中球数(循環プール)を1とすると、脾臓・肝臓・肺などの毛細血管上に待機している好中球数(滞留プール)も1で、骨髄にはその40倍の好中球が貯蔵(骨髄プール)されている。好中球は、骨髄芽球から末梢血に出るまで7~10日間かかる。血管内滞留時間は数時間で、好中球は1日4~5回総代わりする。

 細菌感染初期は、循環プール+滞留プールの好中球が細菌に対応し、骨髄プールから供給されないので、血中の白血球数は減少する(細菌感染症のこの時期に検査されることは少ないので、感染初期に白血球数(好中球数)が減少することは意外に知られていない)。

 感染12~24時間後から骨髄プールの供給が始まるが、大量に消費されると貯蔵好中球はすぐに枯渇する。骨髄プールには循環プールの40倍の好中球があるが、分葉核球が消費されると、桿状核球・後骨髄球・骨髄球の順序で幼弱好中球が血中に出現し、これが「左方移動」。したがって、左方移動は骨髄プールにおける好中球枯渇を意味し、好中球を消費する細菌感染症を示唆する。

 左方移動が生じているとき、骨髄プールにおいて好中球の十分な蓄えがなくなるので、骨髄は好中球の産生を増加せざるを得ない。したがって、左方移動の程度は骨髄での好中球産生状態を表し、左方移動が高度であれば高t髄での好中球差産生が盛んであると判断できる。

 血中の白血球数(好中球数)は、骨髄からの好中球の供給量と細菌感染巣での消費量のバランスによりきまる。白血球数が基準範囲を超えていれば、細菌感染巣に十分な好中球が供給されており、基準範囲内もしくは下回れば細菌感染巣で必要とする好中球を供給できていない。

 

 左方移動と白血球数により、細菌感染症の病態は、以下の4つに分けられる。

1)左方移動なし+白血球増加  好中球消費はない。細菌感染症以外の原因(副腎皮質ホルモン投与、高サイトカイン血症など)で好中球が増加している。滞留プールから好中球が供給されている。

2)左方移動なし+白血球減少  好中球の消費があるが、骨髄が好中球産生を亢進していない。細菌感染症の初期。

3)左方移動あり+白血球増加  好中球の消費亢進があり、骨髄で好中球産生が亢進している。細菌感染症があり、必要な好中球の供給が行われている。

4)左方移動あり+白血球減少  好中球の大量消費があり、骨髄で好中球産生が亢進している。細菌感染症があるが、好中球の供給が不十分で患者は危険な状態である。

 

 左方移動を認めても細菌感染症でない場合(細菌感染以外の原因による血中の好中球減少)は、1)ウイルス感染症、2)無顆粒球症。

 左方移動を認めない重症細菌感染症は、1)感染性心内膜炎、2)細菌性髄膜炎、3)膿瘍。

 

 検査値を読むトレーニング: ルーチン検査でここまでわかる

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「総合診療」2019年1月号教えて検索!

2019年01月26日 | Weblog

 「総合診療」2019年1月号教えて検索!、を購入してみた。若手のできる先生方の情報収集術が書かれていて、到底真似できないが、優秀な方たちはどんなことをしているのかという興味で買った。

 そのうち「CME編 生涯学習の重要性と習慣化」は洛和会丸太町病院の先生が書かれている。「CME」とはcontinuous medical educationで、「医師生涯教育」。

 勉強の方法には「just in time learning」と「just in case lerning」があり、前者は「今困っている問題」について勉強すること、後者は「いつか困るかもしれない問題」について勉強することだそうだ。

 「jusut in case lerning」の習慣化ということで、 1)ACP Journal Club、2)EvidenceAlerts、3)ブログやSNS、4)各種勉強会への参加、5)New England Journal of Medicine、6)文献、医薬ニュース(大日本住友製薬)、7)ジャーナル四天王(CareNet)、8)「総合診療」購読、とある。

 年齢的には英語文献を読むより、それを読み込んでいる先生方の出された本を購入して読む方が効率がいい。総合内科なら徳田安春先生・山中克郎先生(最近は一発診断の宮田靖志先生、不明熱の國松淳和先生も)、救急なら寺沢秀一先生・林寛之先生、感染症なら岩田健太郎先生などなど。呼吸器・循環器・リウマチ膠原病・血液なども、この先生の本を購入すると決めている。

 医学雑誌は商業誌のみで、テーマが興味深い時しか購入していない。「Hospitalist」は年4回出ていて、全部購入した方がいいのだろうが、内容はけっこう難しい。あとはCareNeTVと契約しているくらい。内科学会の「セルフトレーニング問題」は毎年出していて、書籍も一応購入している。学会は年3回くらい行っているが、発表することはないので聴くだけ。昨年1回だけ参加した21世紀適々斎塾は、大阪開催なので行くのが大変だが、年に1回くらい行ってみたい(趣味?)。

 地域の講演会には割に行っている方で、全県的な講演会も時々は行っている。講演会でよく会う、というかよく顔を見る先生がいて、お話したこともないが、お互いにまた来ているなと確認しあうような感じになるのは面白い。地域の会だけでなく、全国的な学会でもそういう先生がいる。

 まあ総じて大した勉強はしていないが、年の割に研修医向けの本に詳しいので、初期研修医には(医学書購入の)いいアドバイスはできるかもしれない。齋藤孝先生が喫茶店活用術の本を出していて、当方も医学書を喫茶店で読むのを趣味にしているが、これは結構はかどっていい感じだ。

 

 

  

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門脈ガス血症

2019年01月25日 | Weblog

 早朝に93歳男性が嘔吐・下痢で救急搬入された。午前7時前に当直の循環器科の若い先生から連絡がきた。胃腸炎で入院させていいですかというので、入院にしてもらった。

 病院に来て診察すると大変な病状だった。まず血圧が80mmHg前後(頻脈120/分)でショック状態だった。昨夜下痢便が出て、その後から何度も嘔吐していた。搬入後には血便も出ていた。意外に腹部は平坦・軟で圧痛ははっきりしない。認知症+脱水症でぼんやりはしていたが、簡単な会話はできる。

 白血球数28900と著明な上昇があり、Hbが普段の13g/dlから18g/dlと濃縮して、脱水状態だった。CTで腸管壁の浮腫を広範に認めた。腹水貯留もあり、何よりも肝左葉の門脈にガス像がある。

 症状からは何らかの感染性腸炎があり、腹水・門脈ガス血症を来したと考えられる、非閉塞性腸管虚血(壊死)もあるが、腹痛は訴えず、圧痛もないことから否定的か。

 点滴を続けて入れても血圧がなかなか上がってこない。ノルアドレナリンも少量使用して100mmHgくらいになった。けっこう補液を続けたが、尿は乏尿だった。利尿がつかないと一気に悪化する。

 家族には厳しい病状と伝えた。この方はCOPD(HOT導入)があり、肺炎による悪化時は、地域の基幹病院呼吸器内科に搬送したりしていた。家族が高次医療機関を希望する方たちだった。今回は基幹病院消化器内科に連絡してみた。若い先生が出て、その病態では点滴・抗菌薬・昇圧薬で経過をみるしかなく、搬送しても特別な治療はありませんと言われた。その通りだった。

 家族にその旨を伝えて、不満はあるかもしれないが、当院で治療することになった。患者さんを診ていると重症感が伝わってこないが、93歳でこの病状では良くなるという保障はとてもできない。

 

 

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大腸菌ESBL

2019年01月24日 | Weblog

 月曜日の夜に93歳女性が高熱で救急外来を受診した。当直医は整形外科の若い先生で、内科当番だったので連絡がきた。

 時節柄行ったインフルエンザ迅速試験(その日から高感度検査が開始)は陰性で、胸部X線・CTで肺炎もないという。白血球数は14600と上昇していた。内科入院にしていいでしょうか、ということだった。尿路感染症(急性腎盂腎炎)と思われたので、尿培養と血液培養2セットを提出してもらって、セフトリアキソン1g点滴静注の入力をお願いして内科入院とした。

 翌日には解熱していて、食事摂取も良好だった。まあその後、朝方の不穏で看護師さんを困らせていたが。細菌検査室から血液培養からグラム陰性桿菌が検出されて、大腸菌らしいと報告が来た。

 菌血症でちょっと驚いたが、やはり尿路感染症だったのかと思った。受診時の尿検査は一般検査だけで、尿潜血陽性・白血球反応陽性で尿路感染を示唆していたが、高齢女性なので尿所見だけでは確定できなかった。

 このままセフトリアキソンを継続して、菌血症なので計14日以上の抗菌薬投与になる。1週間は点滴静注にして、その後はセフェム系内服(ケフレックス)に切り返る予定としていた。

 今日細菌検査室から連絡がきて、尿培養と血液培養2セットから同じ大腸菌ESBLが検出されていた。セフトリアキソンは検査上は感受性がないが、臨床的には効いた結果になっている。そのままセフトリアキソンで継続とはできないので、ESBLに合わせて抗菌薬を変更することにした。

 ST合剤・アミノグリコシド・βラクタマーゼ配合ペニシリンも感受性はあるが、ここは岩田流にセフメタゾールでいくことにした。ESBLはセファマイシンは分解できないそうだ。内服になればST合剤にできるか。

 今日の検査では、白血球数も尿所見も正常化していた(尿中細菌陰性)。尿路系には大量に抗菌薬が入っていくので、検査上感受性が無くても臨床的に効くことはよくあるが、ESBLの場合もそうなのだろうか?。まあそのまま継続使用とはしないけど。

 

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心内膜炎?

2019年01月23日 | Weblog

 昨日内科クリニック(当院循環器科から開業)から、40歳代後半の女性が不明熱で紹介されてきた。診療情報提供書に、心エコー検査(経胸壁)で疣贅は認めないとあった。

 先月16日からなので1か月以上になる。ご本人の話では、もともと平熱が35℃台で、36℃台でも微熱のようなものだという。38℃になることも何度かあり、熱が上昇すると関節痛が生じるが、その後は軽快するので関節炎ではない。主には、37.0~37.5℃くらいの発熱が出没していた。発熱とそれに伴う関節痛以外に症状はなかった。

 現在は市内の施設に勤務している看護師さんで、以前は県内有数の病院にも勤務していた。これまでの症状をメモしていて、現病歴がすごく取りやすい。小児期に心室中隔欠損症で大学病院小児科を受診したが、経過観察となったそうだ。

 半年に1回歯科を受診して。歯石をとっている。直近は11月で、口腔内細菌による亜急性心内膜炎とすれば合いそうだ。診察上は(当方が聴いた限りではだが)心雑音はなく、敗血症性血栓はなかった。胸部X線・尿検査で肺炎・尿路感染はなく、他にも感染巣となりそうな所見はなかった。

 当院の心エコー(上手な技師さん)でも心腔内に明らかな疣贅はなかった。心室中隔欠損も指摘できないという。TRの所見と肺高血圧疑いの所見はあった。

 血液培養をまず2セット提出したが、今日検査室からグラム陽性球菌が2セットから検出されたと報告が来た。今週中には菌名と感受性がわかるかもしれない。

 高次医療機関への紹介についてもお話していて、紹介は大学病院を希望されていた。経食道心エコーの適応なので、大学病院循環器内科へ紹介するのが適切か(心臓血管外科で心内膜炎を専門にされている先生も頭に浮かんだが)。

 亜急性心内膜炎だと、緑色連鎖球菌だろうか。原因は歯科処置?。

 

 

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2か月続く下痢

2019年01月22日 | Weblog

 内科新患に74歳男性が2か月続く下痢を主訴に受診した。嘔気もあって食欲もないという。入院希望だった。

 

 この患者さんは7年前に不明熱で入院していた。感染症・悪性腫瘍は否定的で、リウマチ膠原病科のある病院に紹介した。その後は返事が来なかったので、どうなったのかそれこそ不明だった。

 結局診断は皮膚筋炎となったそうだ。抗核抗体は陰性だったが、確かにCKは上昇していた。ただ入院中に有意な筋痛は訴えず、転院してから悪化していた。側頭動脈炎・リウマチ性多発筋痛症も疑っていたので、筋痛については評価したはずだが、よく覚えていない。成人スチル病を疑うような出没する皮疹があたったが、皮膚筋炎に典型的な皮疹はなかったはずだ。

 まあ診断力がなかったということだ。紹介した先がリウマチ膠原病科ということだけが正解だった。見る人が診れば、すぐにわかるのだろう。現在はプレドニン5mg/日で症状は治まっている。炎症反応は陰性だった。今もそのリウマチ膠原病科に半年に1回通院していて、普段は通院が大変なので、市内の内科医院に通院している。

 

 さて下痢だが、通院している内科医院で検査したり、外来で点滴をしたりした。下痢が続くので、今日は紹介状なしで自分で当院を受診していた。発熱はない。腹部は平坦・軟で、下腹部の正中から左側に軽度の圧痛がある。

 脱水症からくるものか、軽度腎障害があった。通常の感染性腸炎としては期間が合わない。といってアメーバ赤痢などを考えるようなことは何もなかった。下痢はまったくの水様便で、血便はなく炎症性腸疾患は否定的だが、可能性は残る。

 単純CTで見る限り、大腸癌を含めて腹部悪性腫瘍は指摘できない、ただCEAとCA19-9 が軽度に上昇していた。炎症反応はまるっきり陰性だ。

 内科医院は息子さんが消化器科なので、上下部内視鏡検査を積極的に行っている。症状が出る前だが、昨年の上部消化管内視鏡検査は異常なかった。今回下部消化管内視鏡検査を行なおうとしたが、痛くて中止になったそうだ。この方は8年前に当院の消化器科で大腸ポリープの内視鏡治療を受けたことがあり、痛みを訴えるのでドルミカムを使用したという記載がある。

 プレドニン内服の関係か、PPI(ランソプラゾール)が処方されていた。それまで多種類の内服薬があって、1週間前に減薬を指示されたが、PPIもやめていた。PPIによる顕微鏡的大腸炎の疑いがあるので、中止のまま経過をみることにした。抗菌薬を処方されたことは最近に限ってはないようだ。とりあえずは点滴と整腸剤で経過をみることにした。

 安定剤を使用して、前処置なしで直腸~S状結腸くらいを内視鏡検査する必要があるかもしれない。

 

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