なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

内頚動脈解離

2024年07月18日 | 脳神経疾患

 7月16日(火)に脳血管障害の専門病院から46歳男性がリハビリ目的で転院してきた。最初に転院依頼の紹介状が来たのは6月始めだったが、その後いろいろトラブルがあって1か月以上かかっての転院だった。

 5月15日に職場で倒れているところを同僚に発見されて、地域の基幹病院に救急搬入された。症状は意識障害(JCS 10)、左半身麻痺だった。頭部MRIで右中大脳動脈領域に梗塞巣を認め、CTAで右内頚動脈閉塞と診断された。

 血栓回収術のため、先方の専門病院へ転送となった。脳血管造影で右内頚動脈解離と診断されたそうだ。ステント留置を試みたが難しく、バルーン拡張のみ行ったとある。

 右内頚動脈は血流回復しているが、右中大脳動脈領域の脳梗塞はそのまま残った。

 その後穿刺部の出血から貧血を来して輸血を要した、というのが2回目の転院依頼だった。

 さらに穿刺部に感染を来して、菌血症・敗血症になった。血液培養で起炎菌は検出されなかったが、エンピリック治療の抗菌薬で症状軽快してきた、というのが3回目の転院依頼だった。

 転院してきた日の前日まで抗菌薬が投与されていた。当院で経過をみて、また発熱が見られれば、血液培養提出・抗菌薬投与が必要になる可能性がある。

 

 両親はすでに亡くなっていて、兄と二人暮らしだった。兄と相談して、日中ひとりで過ごせれば自宅退院だが、それが難しい時は施設入所ということになった。(本人は仕事ができるようになると思っているようだ、ともいっていた)

 内頚動脈解離は初めて見る。特に高血圧症など治療を要する疾患はなく、健診でも異常がなかったそうだ。

 

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