なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

BPSDにバルプロ酸

2023年12月26日 | 認知症

 11月14日に地域の基幹病院から、脳挫傷・脳梗塞の85歳男性がリハビリ目的で転院してきた。依頼があったのは10月4日だが、当院の病棟の事情と、10月24日の脳梗塞発症があり、受け入れがなかなかできなかった。

 転院依頼があった時は経管栄養をしていたが、転院時には経口摂取が始まっていた。胃瘻造設かと思っていたので、その点は助かった。

 9月15日に屋根から転落して頭部を打撲した。外傷性くも膜下出血・脳挫傷・後頭骨骨折を来していた。心房細動でDOAC(エドキサバン)を内服していたので、Xa阻害薬中和薬のアンデキサネットアルファ(オンデキサ)が使用したそうだ。オンデキサは338671円なり。(搬入時→再検→再検、脳梗塞発症時)

 保存的に治療していたが、不穏がひどく、精神科が介入して向精神薬が複数処方されていた。ブロナンセリン(ロナセンテープ)・クエチアピン(セロクエル)レンボレキサント(デエビゴ)に、バルプロ酸(デパケン)も入っていた。

 転院時は不穏はそれほどでもなかったので、夜間不眠ためトラゾドン・ラメルテオン(ロゼレム)を追加して、バルプロ酸は一般的でないので休止した。

 当初は転院後に胃瘻造設の処置を予定していたので、まず急性期病棟で受けていた。しかし経口摂取ができることから(嚥下調整食3から4へ)、その必要がなくなり、すぐにリハビリ病棟へ転棟となった。

 転倒後はリハビリの指示が入らないというのも困ったが、不穏がひどくなった。セロクエルを漸増していったが、(日中笑顔のこともあるものの)怒り出すと大声を上げて(歌謡のコンクールで出ていた方で、よく声が通る)、抑制をすり抜けた。

 これは施設入所は困難で、向精神薬の量からいっても精神科病院でないと対応できない、ということで精神科病院に転院を打診することになった。(受け入れはけっこう厳しい)

 エビデンスはないが、症例報告はあるバルプロ酸(デパケン)を再開してみた。先週末からだが、ちょっといい感じになってきた。突発的な大声は出るが、長くはならないそうだ。

 

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嘔吐は消失した

2023年12月19日 | 認知症

 12月14日に、11月30日に記載した79歳女性の夫が来院した。患者さんは2022年6月から精神科病院に入院している(その前は施設入所)。70歳ごろからの認知症だった。

 嘔吐が続いて、当院に転院してきた。消化管に問題(上行結腸、S状結腸の浮腫性狭窄)はあった。病態ははっきりしないが、経鼻胃管での吸引を継続すると、吸引量はわずかになって軽快した。

 ガストログラフィンで造影ずると問題なく、直腸まできれいに造影された。胃管を抜去したが、その後嘔吐はなかった。(大腸内視鏡はしなかった)

 精神科病院にいる時から、口を開けようとしないということもあるが、飲み込みが悪くなっていた。たまった唾液でムセたりしている。経口摂取は断念した。

 とりあえず、末梢静脈からの点滴で2週間も経過してしまっていた。高カロリー輸液に切り替えることにした。(頸部が展開できず、やむなく大腿静脈(オムツで隠れる部位のやや遠位)からCVカテーテルを挿入した。(はい、穿刺部位としては好ましくありません)

 夫は県庁所在地在住だが、元々は合併吸収された町の住所なので、外れの方になる。幸い近くに認知症対応の老人病院がある。

 当地にはまったく土地感がないが、何度か車で来たのですこし慣れたようだ。それでも近くはない。上記病院への転院を希望された。(老人病院は勝負が速い?といわれているが、それは言わない)

 この夫婦には子供がいない。夫はかなり元気な方で、妻より3歳下だというから76歳になる。まだまだ運転免許書を返納するつもりはないという。(十分審査に通るだろう)

 子供がいないので、二番目の連絡先は患者さんの姉(すでに死亡)の夫(義理の兄)になっていた。高齢でもあるし、自分が妻より先に亡くなったらどのくらい関わってくれるかわからないという。間違いなく奥さんが先ですとはいえないので、長生きする必要がありますね、とだけ伝えた。

 ちなみに紹介を考えている病院には、以前当院の外科に勤務していた中堅の先生がいる。当院から別の病院の外科に移動になり、その後は外科医をやめてしまったようだ。外来はほぼない病院だが、入院患者30名以上(~40名)の担当になるはずだ。

 

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