なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

幽門狭窄

2017年06月30日 | Weblog

 昨日は料理店でちょっとした集まりがあった。消化器科に2名の入院があったので、消化器科の先生は遅れて来るとは思っていた。「真面目だからなあ」という話が出ていたが、結局2時間近く遅れて来た。

 入院のひとりは60歳半ばの男性の幽門狭窄だった。1か月前から、食べるとずっと心窩部にたまっていて嘔吐するという。体重が7Kg減少して、軽度だが脱水症からの腎前性腎不全を呈している。CEAは正常域で、CA19-9が3000と上昇していた。よく1か月も受診しなかったものだ。

 CTで見ると、幽門前庭部に全周性の不整腫瘤があって、まず胃癌と判断される。胃内の食物貯留が多く、嘔吐を誘発するので、すぐには内視鏡検査をし難い。NGチューブで引いても詰まってしまう。数日絶食で点滴をしてからの内視鏡検査になるが、状況は同じかもしれない。点滴で脱水症の治療をして腎機能が正常化したら、造影CTで確認する予定になった。

 放射線科の読影でリンパ節転移も指摘されて、腹部エコーでも認められた。「癌性腹膜炎でないといいが」と言っていた。バイパス術のみになる可能性もあるので、年齢的には専門病院へ紹介したい。最近は幽門狭窄を見ることはかなり少ないと思う。「ピロステ」という言い方を久しぶりに聞いた。

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利尿薬大量投与

2017年06月29日 | Weblog

 今月初めに糖尿病腎症・ネフローゼ症候群の40歳代後半の男性が、全身浮腫(主に下半身)で入院した。血清クレアチニンは2.2~2.6mg/dlで、まだ透析になる値ではない。血清総蛋白4.9~5.5mg/dl・血清アルブミン1.3~1.5mg/dlと低いので利尿薬の効果が出ていない。

 以前、もうひとりの糖尿病腎症・ネフローせ症候群の40歳代男性も、著明な両側下肢浮腫で入院した。サムスカが出たころで、ラシックス・アルダクトンAに追加して、浮腫は改善した。そのころ血清クレアチニンが4mg/dl台だったが、その後さらに上がって、結局血液透析導入になった。それに比べて、浮腫の程度もひどく、サムスカの効果にも乏しく、より難治だった。

 外来処方は、ラシックス40mg/日・ダイアート60mg/日・アルダクトンA50mg/日・サムスカ7.5mg/日だ。前回も全身浮腫で入院したが、改善はわずかで、途中入院に飽きて退院していた。外来受診時に「再入院は」と聞くとずっと嫌がっていたが、動けなくなったので予約外で受診した。入院はと聞いても返事しなかったが、奥さんに何度も「入院するんでしょ」と言われてしぶしぶ承知した。

 腎臓内科(大学から外来に来ている)の指示で、ラシックス120mg/日に増量した。除水のための透析導入も考慮してもらっていた。1週間くらいほとんど変わらないかったが、2週間目に体重が10Kg(91Kgから81Kgへ)減少していた。下肢に少し皺が出てきていて、見かけでも改善がわかるようになった。その後の1週間でさらに10Kg体重が減少して、浮腫がかなり改善した。3週間で20Kg分の水が抜けたことになる。

 リハビリを開始して、何とか歩行できる見込みが出てきた。表情も少し明るくなった。血清クレアチニンの悪化はなく、むしろ若干改善している。

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リパクレオンが効いたようです

2017年06月28日 | Weblog

 60歳代前半の男性が糖尿病で通院している。初診は12年前で糖尿病と慢性下痢があった。初診時から糖尿病の合併症(網膜症・腎症・神経障害)がすでにある。

 初診から2年の間に5回入院していた。下痢がひどく体重減少・衰弱での入院だった。そのうち1回は入院300日に及んでいる。別の内科の先生が診ていて、当時自分も病院にいたが、この患者さんのことは覚えていない。

 衰弱がひどく、入院後は高カロリー輸液になっていた。さらに退院後に在宅高カロリー輸液をしていた。当時としては珍しいが(今でもだが)、長期の入院でも退院の目途がつかず、やむなくそういう対応になったようだ。その後は入院していないが、何か良かったというと、初診後から禁酒できたことかもしれない。

 以前に長年のアルコール多飲があり、診断はアルコール性慢性膵炎・膵外分泌障害による消化吸収不全・膵性糖尿病となっていた。当時のCTでは膵石灰化はなく、膵臓自体が著しく萎縮しているわけではない。膵外分泌試験はしてないはずで、慢性膵炎確診にはならない。肝硬変はない。

 その後担当医が退職して、大学から外来にバイトで来ていた若い先生が担当していた。その先生が常勤になって数年いたが、昨年退職したびで、当方の外来通院になった。消化酵素は通常のタフマックが出ていたので、それを高力価消化酵素剤のリパクレオン900mg/日に変更した。DPP4阻害薬とアクトスはそのまま継続している。HbA1cは7.0%前後で悪くはない。

 現在は、食事中からお腹がごろごろはして、毎食後に排便があるが、以前よりはすっとましだという。リパクレオンにしてから明らかに改善したことを自覚していた。軟便気味だが、以前にのような不消化便ではない。過敏性腸症候群の要素もあるかもしれないので、セレキノンとミヤBMも併用している。

 それにしても、消化器科の治療薬は以前に比べると大分進歩したが、膵臓の分野ではリパクレオンが出たくらいで治療的には大した進歩はない。FOY・フサン・フオイパンも随分前からあるし。

 

 

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「教えて!SGLT2阻害薬の使いかた」

2017年06月27日 | Weblog

 昨日は来月に来る医学部学生の実習の打ち合わせの会合に出た。立派なホテルで、アイスコーヒーとケーキ付き。現在研修医はいないので、指導に慣れていない。学生は実習に来る前に、その地域についてレポートを提出するそうだ。そんなに真面目にしなくてもと思うが、今はカリキュラムできちんと決まっていて、全部評価の対象になるという。大した指導もできないので、評価は甘くするつもりだ(標準がわからないし)。学生といっしょに来る大学教官の先生に挨拶して帰ってきた。

 「教えて!SGLT2阻害薬の使いかた」加来浩平編(羊土社)を読んでいる。SGLT2阻害薬は6種類(7薬剤)出ている。使い分けはあるのかというと、「SGLT2阻害薬は良好な血糖降下作用がおおむね薬剤間の差がなく認められています」、「薬剤間の違いを明確に示す根拠はない」、「副作用の頻度についてもおおむね同程度」とあって、「今後の大規模臨床試験の結果によって薬剤ごとの特性がより明らかになると思われる」。

 今のところSGLT2阻害薬は、どれを使っても差がないということになる。ただし、欧米での使用を考慮すると、カナグル・フォシーガ・ジャディアンスになるのかもしれない。平尾先生の「黄金のレシピ」は、DPP4阻害薬・メトホルミン・少量のSU薬の組み合わせになっている。今だと、DPP4阻害薬・メトホルミン・SGLT2阻害薬になりそうだ。

 心不全を合併した糖尿病の症例には、利尿薬としてSGL2阻害薬を優先的に使うべきという意見があるそうだ。現在欧米では慢性心不全の症例を対象としたSGLT2阻害薬の大規模臨床試験が計画されていて、将来的には糖尿病のない心不全の症例にもSGLT2阻害薬が使える様になる可能性があるという。

 この本の症例集の中に、HbA1c15%と高値なのにSGLT2阻害薬を使う症例が出ている。ケトーシスがないこと、自己インスリンが十分出ていることを確認している旨が記載したあるが、危険な使用と思われる。内科医院から当院に紹介された症例はHbA1c11%と高値だった。まずDPP4阻害薬が処方されて、次にSGLT2阻害薬が追加されていた。入院時に糖尿病性ケトアシドーシスになっていた(他の先生が担当)。HbA1cが10%を越すような症例には、インスリンなしでのSGLT2阻害薬使用は好ましくないと思う。

 SGLT2阻害薬は、人工的に「生まれつきの腎性糖尿(SGLT2遺伝子変異)」と同じ状態にする薬ということになる。SGLT1を阻害すれば、腸管からのグルコース吸収を抑制するので、SGLT1阻害薬を作れば治療できそうだが、そうなると高度の下痢・脱水を生じてしまうそうだ。残念。

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RS3PE?

2017年06月26日 | Weblog

 糖尿病と老人性うつ病で通院している70歳半ばの女性が、今日(定期の予約日)外来を受診した。先月末から身体中が痛くて動くのが大変という。両側上腕と大腿に把握痛があるようだ。しゃがむ動作ができないという。ベットからの起き上がりと、ベットに寝ようとして足を上げる動作がひどい。

 同じ時期から両手(手関節)と両足(足関節)の浮腫もあった。症状からはリウマチ性多発筋痛症、それも浮腫を伴うRS3PEが疑われる。白血球は8500と正常域(ふだんも7000~8000)だった。追加したCRPは0.5mg/dlとわずかの上昇しかなく、きっとこちらは亢進していると思った血沈も35mm/時とたいした値ではなかった。

 症状はPMR・RS3PEだが、炎症反応の上昇がわずか過ぎるので、ちょっと迷う。それでも、この症状を呈する他の疾患も思いつかない。入院した方がいいかと聞いたが、患者さんは迷っていた。歩行はできるし、食欲は普通。

 プレドニン10mg/日を1週間外来で続けて、来週再受診とした。プレドニンを少なめにしたのは、やせて体重が少ないこと、炎症反応が低値なこと、糖尿病(HbA1c7.0%)がありプレドニン投与で血糖が上昇することから。

 昨年は食欲低下で10Kg以上痩せた。膵癌などを疑って検査したが、異常はなかった。うつ病による症状と判断されて、精神科受診が好ましいが、嫌がった。内科で抗うつ薬(SSRIのジェイゾロフト)を投与して、しだいに元気になった。この患者さんの夫と娘も糖尿病で私の外来に通院している。

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急性薬物中毒

2017年06月25日 | Weblog

 午前0時過ぎに当直の外科医から連絡が来た。20歳代前半の女性が、精神科クリニックで処方された安定剤などを大量に飲んで、意識障害で救急搬入されていた。救急室に行ってみると、前腕に見たこともないほどの数のリストカット痕があった。当直医はJCS30~100と言っていたが、確かに痛み刺激ではねのける動作をするが、開眼ととるかは微妙な状態だった。バイタルは異常なかった。

 結婚していて現在首都圏在住だが、精神的に不安定なので5日前に家族が実家に連れ戻したという。すでに通院させたい精神科病院には電話で問い合わせをしてたが、受診は2週間後と言われたそうだ。

 家族が複数来ていた。両親が離婚していて、それぞれに再婚していると後で聞いたが、実の両親とも来ていた。主には実母との相談になった。専門の精神科ではないので、家族の付き添い(それも複数)がないとで入院継続は難しい。それでいいということで、入院にした。

 今朝は意識が大分回復していた。トイレまで歩くといって、看護師さんに支えられて歩いたが、ふらふらしている(個室内のトイレ)。尿器やポータブルトイレでは納得しないようだ。ふらふらするのに、看護師さんが支えると触るなと怒鳴った。

 母親と相談して、明日まで入院してもらって、精神科へ紹介することにした。診療情報提供書をFAXして、受診(出来れば入院)をお願いするが、すぐに診てもらえるかどうかはわからない。病棟の看護師さんが対応に苦慮しているので、明日まで病棟で預ってもらうのが限界だろう。

 東京など首都圏では、それなりに専門病院があるので、対応できるのかもしれない。地方では一般病院に救急搬入されるが、そこからの精神科受診がけっこう難しい。

(後日記) 午後には普通に動けるようになった。病棟看護師に対する暴言・暴行が続いた。本人は退院すると言い、家族は退院をしぶった。このままだと警察を呼ぶしかないと伝えて、退院になった。手足のおびただしいリストカット痕と言動からは、境界性パーソナリティー障害なのだろう。希望していた精神科病院宛てに紹介状を書いて渡していた。今日、地域医療連携室からそこはすぐには外来予約がとれないと連絡が来た。今週中に診てもらえる別の精神科病院(公立)宛てに紹介状を書きなおした。精神科で診たからよくなるとも言えないのだろうが、精神科の係りにしてもらわないと対応できない。(6月26日)

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急性膵炎の入院があった

2017年06月24日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ていた。昨夜は内科当番だったが、当直の外科医からは連絡がなかった。夜間の受診を確認すると、80歳代前半の男性が急性膵炎で入院していた(当直医が主治医で)。

 血清アミラーゼが1900と上昇して、肝機能障害は胆道系酵素の上昇が目立った。総胆管結石と思ったが、総胆管の拡張はなく、結石も指摘できない。いったん乳頭部に結石が嵌頓して、自然排石されたのかもしれない。萎縮した(脂肪置換された)膵頭部が浮腫状に腫脹して、奇妙な形態になっている。うまく保存的に軽快してほしいものだ。

 今年2回右下腹部痛で受診(1回は入院)した40歳代男性が、また右下腹部痛で受診した。いずれも最初は左上腹部痛(正中寄り)から始まって、2時間くらいで右下腹部痛が出現する。最初の腹痛は関連痛なのだろう。腹部CTで見ると、盲腸・上行結腸の憩室の炎症のようだ。前のCTでは描出された虫垂を指摘できないので、虫垂炎は否定できないが。

 外来で点滴2本と抗菌薬と鎮痛薬(アセリオ注)をして腹痛は軽減した。入院したほうが無難と勧めたが、帰宅を希望した。抗菌薬内服にして、腹痛の増悪時はすぐに再受診するよう勧めた(軽快しても3日後に再受診予約)。

 神経内科外来にパーキンソン病(認知症も)で通院している70歳代後半の男性は、施設にショートステイ入所中だった。今朝から発熱と痰のからみがあって、受診した。右下肺野背側(S10)に浸潤影を認めて、(誤嚥性?)肺炎で入院とした。

 食事をした約2時間後から、腹痛や嘔吐・下痢が発症した患者さんが2名受診した。暑くなったこの時期らしい発症だ。

 今日も内科当番なので病院に泊まって待機。来月の学生実習の時に簡単な講義をするので、スライドの準備をしている。

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リンパ腫関連血球貪食症候群

2017年06月23日 | Weblog

 先月末に救急搬入された89歳男性は、急性肺炎と汎血球減少症を認めた。認知症があり、自宅の外で倒れているのを発見されて、家族が救急要請したという経緯だった。

 肺炎に対して抗菌薬を投与した。入院後はふらふらと動き出してベットサイドに倒れたりして、体幹抑制を要した。家族から最近は食事でムセるようになっていたと言われていたが、確かに、食事をするとゼロゼロして吸引を要した。

 入院後に汎血球減少症が増悪したが、専門病院への紹介も難しいと判断され(連絡しても受けてはもらえないだろう)、当院で骨髄穿刺を行った。血液担当の技師さんから血球貪食像と異型な細胞を認めるというコメントがあった。抗菌薬に加えてステロイド(1mg/Kg)を投与してが、結局2週間の経過でDICになって亡くなった。

 その後に骨髄像の結果(外注)が帰ってきた。やはり血球貪食像と正常骨髄にはない異型細胞を認め、「リンパ腫細胞を疑います。血球貪食が旺盛です。細胞表面マーカーでご確認ください。リンパ腫関連血球貪食症候群が疑われます。」とあった。可溶性IL2レセプターは11300と著増していた。

 胸腹部CT(頸部から鼠蹊部も含む)で明らかなリンパ節腫脹はなく、リンパ節生検はできない。骨髄生検すればいいのだろうが、骨髄穿刺液のクロットを提出すれば組織診断もできる。

 今度機会があれば提出するが、それよりもすぐに血液内科のいる専門施設へ搬送したい。患者さんが精査治療の対象となる中年(か認知症のない比較的若い高齢者)だと紹介できるが、認知症の(超)高齢者だと実際は自施設で対応するしかない。

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低ナトリウム血症

2017年06月22日 | Weblog

 昨日低ナトリウム血症の60歳代後半の女性が紹介されてきた。昨年まで当院に勤務していた先生(循環器科)のクリニックからの紹介だった。

 患者さんはもともと慢性心房細動・慢性心不全があり、2か月前には心不全の急性増悪で当院の救急外来を受診して、心臓センターのある専門病院に搬送されている。軽快退院後はクリニックに戻って、治療を継続していた。

 6月初めから食欲が低下してきたそうだ。患者さんは、入院先の病院から「水分を1日1000ml以上とるように」言われたと思っていて、食欲がなくても、水を多く飲んでいた。それは「水分は1日1000mlまでの水分制限でずよ」とお話したが、きょとんとしていた。また、病院で指導された減塩食を真面目に守っていたので、味がなくて食欲が低下したようだ。

 この方は3か月前に頭痛を訴えて、救急外来を受診したことがある。頭部CTでは明らかな脳血管障害は認めないが(MRIだとラクナ梗塞はあるか)、年齢の割に前頭葉の萎縮が目立つ。アルツハイマー型認知症がありそうだ。

 クリニックでの前日の血清ナトリウムが119mEq/Lで、当院で検査すると115mEq/Lだった。明らかな神経症状はないので、慢性の経過で低ナトリウム血症になったものと判断される。心不全症状の悪化はなかった。クリニックでの処方は、利尿薬としてダイアート30mg・サムスカ7.5mgが入っていた。

 クリニックの紹介状にある通り、水中毒相当のようだ。尿比重から推定した尿浸透圧は100~200mOsm/Kgで希釈尿になっている。意識は清明なので、3%食塩水ではなくて、生食500mlを昼から20ml/時で開始した。夕方には血清Na119mEq/Lになった。そのまま今朝まで継続して、血清Na122mEq/Lになっていた。入院後は食事摂取(ほぼ全量)できたので、今日は半日生食の点滴をして、明日再検とした。

 甲状腺機能をみると、軽度に低下していたので、マーカーを提出して、甲状腺ホルモン少量を補充することにした。認知症のテストもしてみる。貧血として鉄剤が処方されていたが、鉄も血清フェリチンもかなり増加していたので中止した。以前から慢性腎不全があり、腎性貧血(Hb9~10g/dl)のようだ。

 要するに、今回の低ナトリウム血症は、水分制限を水分摂取と誤解したためと、減塩食を守り過ぎたために生じたようだ。

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高カリウム血症

2017年06月21日 | Weblog

 90歳前半の男性が、昨夜高カリウム血症による不整脈(完全房室ブロック)で救急搬入された。

 もともと高血圧症・慢性腎不全で通院していた。血清クレアチニンは2.8~3.0mg/dlで、血清カリウムは5~6mEq/Lで推移している。昨夜は血清カリウム7.7mEq/Lに上昇していた。

 当直医(外科医)がGI療法(10%グルコース500ml+ヒューマリンR10単位)を行って、昨夜のうちに血清カリウム7.2mEq/Lに下がって正常洞調律に戻っていた。今日は血清カリウム6.2mEq/L。ご本人は難聴があって筆談を要するが、元気いっぱいだった。

 脱水症だったようでもなく、高カリウム血症の増悪した原因はよくわからない。いつも付いてくるケアマネの話では、亡くなった養子の奥さんが別棟に住んでいたが、食事を運ぶだけになっているという。かなり頑固で、人の言うことを聞かないそうだ。福祉サービスとしてはヘルパーさんが週2回入るだけで、デイサービスは嫌がって行かない。

 この方は8年前に、尋常性乾癬で通院していた皮膚科から血小板減少症で内科に紹介された。それまで正常域だった血小板数が6万と低下して、2週間後に再検で9000まで下がった。入院して、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)疑いとして、免疫グロブリン大量投与とステロイドパルス療法を行い、血小板数は正常化した。その後プレドニンを継続していて、現在は5mg/日を内服している。

 その数か月後に内服薬を中断して、全身倦怠感・退堂困難で入院した。副腎不全としてステロイド点滴静注をしてすぐに回復した。どちらの入院時も、ちょっと良くなるともう退院すると言って5日で帰っている。家族は少し病院に置いてほしいという希望だったが、前回のことがあるので、今回もすぐに退院すると言い出すのだろうと言っていた。実際、朝から帰ると言い出していた。 

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