なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

器質化肺炎・間質性肺炎

2022年08月31日 | Weblog

 7月に地域の基幹病院呼吸器内科から、特発性器質化肺炎の86歳男性が当院呼吸器科外来(専門病院からのバイト)に紹介されてきた。

 これまで2回の急性増悪を来し、幸いにそのつどステロイド増量で軽快していた。増悪の経過からプレドニン10mg/日で継続して減量はしないとなっていた。在宅酸素療法(HOT)が導入されている。

 紹介理由はADL低下で先方の病院への通院困難ということだったが、すでに寝たきり状態となり妻ひとりでは在宅介護が困難だった。

 呼吸器外来の先生も、診察室に介護タクシーのストレッチャーで入ってきた患者さんをそのまま処方継続で帰すわけにもいかず、入院で診てくれと依頼された。褥瘡処置もあり、しばらく病院で診て、病状が安定していれば、療養型病床のある病院へ転院とする方針となった。

 約1か月は安定していたが、8月半ばに発熱・酸素飽和度低下があり、胸部CTで確認すると両側肺野に間質性陰影が広がっていた。紹介先の病院へ戻すことも家族に提案したが、転院は希望しなかった。最期まで当院で診てほしいといわれた。

 以前の急性増悪時の治療も記載していたので、その通りに治療していったんちょっと症状が落ち着いたように見えた。また発熱があり、その後意識が低下して呼吸も不安定になった。

 これまでの器質化肺炎増悪と画像が違うので、専門医に診てもらった方がよかったと思ったが、診療情報提供書はあとはそちらでということを示唆しているようだ。当院で治療継続とした。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1週間目の発症?

2022年08月30日 | Weblog

 8月28日日曜日の日直の時に、咳が続いて食欲低下した95歳男性が受診した。8月18日に施設にデイサービスに行ったが、施設内でCOVID-19の発症者が出て、濃厚接触者として自宅待機していたそうだ。

 自宅待機は8月23日に解除になり、25日というのが正確ならば7日目の症状となる。自宅内でCOVID-19罹患者はいない。

 体温は36℃台だったが、発熱外来扱いとして規定の時刻に病院に来てもらって、コロナの抗原定性試験を行った(発熱外来は受診者が多いのでPCRはしていない)。結果は陽性だった。

 酸素飽和度は96%で、車の後部座席に座っていたが、特に呼吸困難もない。当院のCOVID-19の入院は、何か特別なことがなければ平日に限定している(人手の問題。地域の基幹病院が対応してくれる。)。ラゲブリオ内服を処方した。保健所に発生届けを提出して、指示待ちとした。

 

 翌日の月曜日に保健所からCOVID-19患者外来アセスメントの依頼が2件あり、93歳男性と95歳男性だった。前者はアセスメント後に療養施設入所予定だった。肺気腫はあるが、肺炎像はなく、酸素飽和度の低下もなかった。年齢の割に動きもよく、軽症相当として、そのまま施設療養可能とした。

 後者は日曜日に受診した患者さんで、保健所では外来アセスメント後の指示がなかった。もともと、右腎癌があり、経過観察となっていた。保健所としては、超高齢で担癌患者で食欲低下しているので、入院相当と考えているようだ。

 発熱はなく、酸素飽和度低下の有意な低下はなかったが、胸部CTで両側肺下肺野背側に陰影があるかもしれない。軽度の胸水貯留は以前からある。右腎癌は2月の検査より若干増大していた。

 細菌性肺炎併発による悪化の可能性もあり、感染病棟が1床空いていたので入院とした。

 

 忽那先生のYahoo newsによれば、濃厚接触者の待機期間が5日に短縮されたが、17%は6日目以降に発症する。医学的な根拠はなく、労働者確保のための恣意的な決定なのだろう。

 

 

濃厚接触者の待機期間が7日から5日に短縮

濃厚接触者の自宅待機期間と検査による自宅待機期間短縮(倉原優先生作成)

 

オミクロンでも約17%は6日目以降に発症

オミクロン株の最終曝露日から発症までの期間(国立感染症研究所HPより/筆者加工)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

腎臓内科の目で

2022年08月29日 | Weblog

 先週の木曜日に77歳女性が救急搬入された。外来で診ている患者さんだが、その日の救急当番だった腎臓内科の若い先生が診てくれた。訪問看護師が痰が絡んで呼吸状態が悪いとして、救急要請していた。

 脳梗塞を繰り返して神経内科で診ていた。誤嚥性肺炎で内科に入院した時に、嚥下障害で胃瘻造設となって、その後は内科外来通院となっていた。

 日常生活全介助で、糖尿病のインスリン強化療法と経管栄養の管理は家族(夫と娘)がしている。今診ている胃瘻造設の患者さんとしては一番経過が長い。

 

 もともと糖尿病性腎症と腎硬化症からの慢性腎臓病(CKD)があり、血清クレアチニン1.15~1.30mg/dl程度だったが、搬入時は1.66mg/dlとなっていた。

 胸部X線・CTで両側肺野に肺水腫像と胸水貯留があった。BNPがそれまでの100前後から422と上昇していた。心疾患の悪化よりは腎疾患としての悪化の結果だろうと判断されていた。利尿薬投与(ラシックス注)で入院後は症状軽減していた。

 

 腎臓がかなり菲薄化しているが、大動脈も石灰化で土管状になって腎動脈が影響を受けているかもしれないという。経管栄養も腎不全用のリーナレンに変更してみます、といわれた。リーナレンは途中から保険適応になっていた。

 入院中は腎臓内科で診て、外来になったら内科で診てもらって、時々CKD(DKD)として腎臓内科外来でも診せてもらいます、と言われた。別の目で診てもらうと、改善すべき点を指摘されて患者さんにとってもいいのだった(こちらも勉強になる)。

 

 誤嚥性肺炎で入院した時に、症候性てんかんとしてけいれん発作が頻発した。神経内科に相談して、抗けいれん薬としてエクセグラン(ゾニサミド)を推奨されて使用開始していた。

 現在ならば、新規抗てんかん薬(イーケプラなど)を使用するところだ。エクセグランは、現在は古い抗てんかん薬の中で比較的新しい方の薬という位置づけだ。当時は新規の抗てんかん薬で、神経内科としても使用してみたい薬だったらしい。(神経内科医は、現在はビムパットが好き。フィコンパはまだ使用していないようだ。)

 

 腎臓内科医はこの患者さんの息子さんの血液透析をしているそうだ。糖尿病性腎症からの透析導入だった。娘さんも糖尿病で市内のクリニックに通院しているはずだが、詳細はわからない。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上腸間膜動脈症候群

2022年08月28日 | Weblog

 水曜日は当直だった。午後11時半過ぎに病棟から連絡があった。8月12日から入院して、翌日に地域の基幹病院に転院予定の83歳女性が急に喘鳴が出現して酸素飽和度が低下したという。

 これまで喘鳴の既往はなかったらしい。喘鳴は吸気時か呼気時か尋ねると、ちょっと間があって呼気ですと答えた。呼気時だと上気道狭窄になる。

 病棟に行ってみると、ゼーゼーという音が聞えた。聴診すると呼気時の喘鳴で両側肺に聴取される。吸気時にひゅっという音が入るが、ぜーゼーという呼気延長があり、一瞬で一気に吸気をするためだった。浮腫はなかった。上気道に狭窄音はない。気管支喘息発作ということになる。

 デキサメサゾン8mg点滴静注を入れて、これまで経緯を確認した。1年前から食後に嘔吐するようになっていた。最近は食事をするたびに嘔吐するようになり、内科医院から当院に紹介された。

 腎臓内科の若い先生が担当していた。仕事の半分は透析だが、それ以外の内科診療も行っている。

 医院での内視鏡では、胃は問題なく、十二指腸内は食残が多く観察困難だった。胸腹部CTでは胃から十二指腸下降脚まで拡張しているが、水平脚のところで狭窄しているように見える。

 消化器科医に相談すると、十二指腸が大動脈と上腸間膜動脈で挟まれてしまう上腸間膜動脈症候群ではないかといわれた。単純CTだけなので見えにくいが、拡張しているのはその部分だけなので合っている。基幹病院の消化器内科に相談して、転院の予定となった。

 胸部は両側胸水が貯留しているが、肺野は肺うっ血・水腫はなく、慢性的な変化のようだ(心嚢液貯留も軽度にある)。心臓喘息ではないだろう。

 ひどい発作の時に、いきなりβ2刺激薬の吸入を行うとかえって刺激で悪化することがある。ステロイドを入れてから吸入するのが無難だ。今回もステロイド投与後にネブラーザー吸入を開始したが、刺激で喘鳴が悪化してしまい、すぐに中止した。

 喘鳴は少し良くなったが、ステロイドだけの効果を待つのも頼りない。ネオフィリン125mgの点滴静注とβ2刺激薬の貼付剤(ツロブテロールテープ1mg(2mgの半分)も追加した。(体重が31kg)喘鳴の程度が軽減して患者さんも楽になったという。そのまま経過を見てもらうことにした。

 朝に診に行くと、喘鳴は消失して、酸素吸入も止まっていた。患者さんは予定通り転院となった。その日担当医は夏休みで不在だったので、今回のエピソードを診療情報提供書に記載した。

 

 上腸間膜動脈症候群は、本当にそういう病態があるのかとい話もあるようだ。10年以上前に知的障害で施設入所中の極端にやせた中年女性が、上腸間膜症候群の診断で外科手術となった。

 十二指腸水平脚で切って上腸間膜の腹側で吻合するという手術で(切除はしていない)、症状は消失した。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

単球増加、好中球減少

2022年08月27日 | Weblog

 8月13日(土)に日直の時に、89歳男性が発熱%で救急搬入された。新型コロナの検査(抗原定性試験)は陰性だった。胸部CTで両側肺下葉背側に淡い陰影(右>左)があった。

 放射線技師さんに腹部の腸間膜脂肪織に淡い陰影(CTでは白っぽい)があるのではと指摘された。腸間膜脂肪織炎の症例が以前に何例かあったが、今回は腹痛はまったくなく、圧痛もない。

 血液検査で白血球減少(3100)があり、好中球36%と低下していた。リンパ球は39.0%と低下はなく、単球が22.0%と増加していた。Hb11.8g/dlと以前より低下していたが、血小板は29.0万と正常域だった。

 個室入院として、肺炎を想定してスルバシリン(SBT/ABPC)で治療を開始した。翌週になっても発熱が続いていた。8月16日に白血球1500とさらに低下して、好中球が11.0%と低下した。単球が54.0%と増加していた(%の問題で個数はさほど変わりない)。

 新型コロナのPCR検査を行ったが陰性だった。胸部CTを再検すると、両側肺下葉背側に見られた陰影はなく、右肺には軽度の胸水貯留(それに接する肺に無気肺軽度)があった。CRPが入院時の12.8から19.6になっていた。

 肺炎・胸膜炎?として、好中球減少もあり、抗菌薬を緑膿菌カバーのカルバペネム(メロペネム)にして、G-CSFのグラン注を併用した。

 2日間解熱がみられた。白血球3900~4700、好中球17~20%と思ったほどの効果が出なかった。少しいいかと思ったが、また発熱が続いた。

 グランを中止すると、白血球1300~1700・好中球8~19%・単球46.0~59.0%で推移した。骨髄穿刺をしてみたが、血球貪食像や単球性の芽球の増加はなかった。(外注検査になるが、技師さんが見慣れている)

 グランを使用していたこともあり、骨髄球系が増加している。血液検査担当の技師さんにこれが末梢血に出ないのは不思議といわれた。

 大学病院の血液内科に先生(教授)が来た時に、骨髄像を見てもらったが、やはり血球貪食像も慢性骨髄単球性白血病の所見もないといわれた。少し異型があり、あるとすれば骨髄異形成症候群(MDS)だが、骨髄像だけでわかりにくい時もありますという。

 骨髄穿刺後にプレドニンの投与を開始して、見かけ上の解熱が続いた。食事摂取も増加してきた。根本的な治療ではないので、緩和ケア的なものになる。

 感染症の検索を続けること、膠原病のマーカー提出を勧められた。治療はとりあえずは今の治療継続で、抗真菌薬も考慮してということだった。

 家族に来てもらって、診断・治療に困っていることをお伝えした。短時間病室で面会してもらったが、認知症があり、重症感は伝わりにくいか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熱中症と思ったらコロナ

2022年08月26日 | Weblog

 火曜日の当直は腎臓内科の若い先生だった。午後10時前に、熱中症と思われる21歳男性が救急搬入された。

 その日はアルバイトで朝から戸外で作業をしていたそうだ。暑い日でかなりの発汗があった。午後1時には手がつるような症状があった。そのまま作業を継続して、午後6時に終わって車で自宅に着いた。

 車から降りた時から全身の筋硬直で動けなくなった。救急要請した当院に搬入されたという経緯だった。熱中症で、以前の分類では症状は熱痙攣に当たる。

 点滴を開始したが、血液検査でHb17.5g/dl・総蛋白10.2g/dl・血清アルブミン6.7g/dlと著明な血液濃縮の所見があった。BUN28.9mg/dl・血清クレアチニン2.80mg/dlと急性腎前性腎不全を呈して、血清カリウムが6.6mmol/lと上昇していた。(CK 582・ALT 61・LDH 312と筋原性酵素の上昇は比較的軽度だった)

 外来で点滴を2本くらいしてと思っていたようだが、この数値では入院治療を要する。入院時の念のための検査として、新型コロナウイルスの抗原定性試験を行うと、意外に陽性と出た。

 コロナとしては無症状か軽症なのだろう。その時点では脱水症による症状の治療となるが、感染病棟入院を要する。当院の感染病棟はいっぱいだった(木曜日に1名退院予定で空く予定)。

 保健所に連絡すると県庁所在地の総合病院が当番に当たっていたようで、そちらで引き受けてもらえることになった。数日の大量点滴で軽快すれば、途中からホテル療養に切り替わるのかもしれない。

 

 翌水曜日に感染病棟に勤務する看護師2名が、発熱はないものの、咽頭痛が2週間前から続いていることが判明した。コロナの検査(院内の迅速PCR検査)を行うと2名とも陽性だった。

 発症日からはすでに隔離療養期間を過ぎているが、数日自宅静養とすることになった。コロナワクチン4回目の副反応で3名が休んでいて、勤務表作成が綱渡り的なのものになってしまった。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

COVID-19患者が自宅で死亡した場合

2022年08月25日 | Weblog

 皮膚科の先生が医局員向けにメールを配信していた(院内OA)。土曜日の当直だったが、翌日曜日の午前5時に救急隊から搬入要請が入った。

 COVID-19に罹患して自宅療養していた98歳の高齢者が、自宅で心肺停止になった。(正確には呼吸してないのに家族が気づいて、救急要請して、救急隊が到着して心肺停止を確認した。)

 家族は心肺蘇生を希望していないが、受け入れ可能かということだった。受け入れて死亡確認するとして、その後の段取りがまったくわからなかったそうだ。その旨を伝えると(どうしていいかわからないということを、夢中で?しゃべった)、救急隊が「他をあたってみます」と言って話は終わったという。

 「どうすればよかったのか、今後もありうるので、ご報告します」というメール内容だった。皮膚科の先生は、日中の勤務時間には発熱外来にかかわっていない。当直の時に発熱の患者さんが受診すれば、やむなく?コロナの検査をしていた。

 

 確かに感染病棟はどこも逼迫していて、施設でクラスターが発生してもそのまま施設内で経過をみたりしている。自宅療養になる高齢者も増えている。

 さすがに超高齢者だと、コロナ対応の施設入所にしたりしているようだ。このところ連日保健所から施設入所前の外来アセスメントが依頼されて、バイタルサイン・胸部CT・血液検査の結果を報告している。(胸部X線でもいいが、当院は部屋の問題もありCT使用)

 問題なければ予定通り施設入所になり(県庁所在地とその近くに2か所あるそうだ)、入院が好ましい病状だと当院あるいは他院での入院を考慮する。

 

 亡くなった98歳の患者さんの居住地は地域の基幹病院の近くで、当院ではかかわっていないので、診断・療養の詳細はわからない。診断されたばかりで、療養先の決定前だったのかもしれない。

 皮膚科の先生は、たとえば午前7時か8時過ぎに救急隊の連絡がきていれば、当方などに連絡して対応を訊いたのだろう。午前5時なので電話するのを遠慮したのかとも思ったが、むしろ寝ているところに連絡が来て、すぐには頭が回らなかったか(ちょっとしたパニック状態)。

 

 対応としては、まず救急車で搬送してもらって、PPE着用で発熱外来のブースで死亡確認を行う。救急の看護師さんは夜間ひとりだけなので、病棟から応援をもらって(あるいは日中の勤務時間になるのを待って)、PPE着用で「COVID-19患者さん死亡時のマニュアル」通りに納体袋に収容する。葬儀社にCOVID-19患者さんの死亡として連絡して到着を待つ。ということになる。

 高齢者だとCOVID-19はきっかけに過ぎず、基礎疾患の悪化や心疾患や脳血管障害の併発で亡くなった可能性がある。しかしあえてAutopsy imagingはしないだろうから、死因としてはCOVID-19と記載するようになる。

 亡くなった患者さんは呼吸をしていないので、エアロゾルは発生しない。本当は普通の亡くなった方と同様の対応で問題ないらしい。それでも医療機関としてはフル(full)のPPE着用で対応することになる。また、納体袋に収容しないと葬儀社で扱ってもらえない。(葬儀社も通常通りにすぐに来院することはなく、相当待たされるとは思う)

 都市部だと往診でCOVID-19の診療を行うクリニックがあるので、死亡確認時にも往診してもらえるのだろう。地方の郡部ではなかなかそういうクリニックはないので、病院で対応になるか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胸部異常影

2022年08月24日 | Weblog

 7月に高血圧の血圧コントロール目的で、83歳男性が内科医院から腎臓内科外来に紹介されきた。

 高血圧症・糖尿病・慢性腎臓病(CKD)があり、糖尿病はHbA1c6.4%で血糖コントロール良好だった。血圧は高いだけではなく、変動が大きく、自覚症状を伴っていた。血清クレアチニンが2mg/dlで、できるだけ安定した血圧管理にする必要があった。

 主にはエンレスト導入目的で短期間の入院治療となった。エンレスト300mg(朝200mg、さらに就寝前100mg追加)が投与されていた。

 胸部X線で右上肺野に結節影を認めた。胸部CTで確認すると、右上葉の辺縁不整な結節影の他に、右上葉(S2)のすりガラス陰影と左下葉背側のすりガラス陰影も認めた。

 放射線科の読影レポート(大学病院の遠隔診断)では、結節影は原発性肺癌疑いで、すりガラス陰影は炎症性変化の疑いとされた。

 呼吸器外来(外部の専門病院医師)に紹介された。入院は短期間なので、外来で画像検査再検の方針になった。83歳でCKDありなので、どこまでやるか(精査・治療)とも記載していた。左肺の陰影は単なる炎症性ではなく、こちらの方が疑わしいと記載していた。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

COPDの肺炎(肺膿瘍?)

2022年08月23日 | Weblog

 先週の火曜日(8月16日)に、呼吸器科外来に来ている先生(呼吸器センターのある専門病院)から、急性肺炎の74歳男性の入院治療を依頼された。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で通院している。7月初めに軽度の肺炎を発症して、それは市内の内科クリニックを受診して、経口抗菌薬(アベロックス)で軽快していた。

 8月2日から微熱があり、また同じクリニックを受診して、抗菌薬を処方された。今回はオーグメンチン+サワシリンのいわゆるオグサワだった。断続的に発熱が続いて、8月9日に当院の呼吸器外来に紹介された。胸部X線で腫瘤様に見える。

 オグサワ継続で1週間治療して、8月16日には炎症反応は軽減(CRP26.9から12.7)して、発熱は間隔が長くなったが、まだ発熱することがあった。

 胸部X線で陰影は淡くなって範囲は広がっているように見える。治る過程なのかもしれない。一部膿瘍になっている可能性があるので、入院で抗菌薬点滴静注で治療してほしいということだった。

 胸部CTで確認すると肺気腫の肺炎らしい陰影だった。患者さんは準備があるのでと翌日に入院した。抗菌薬をどうするかと思たったが、オグサワが効いているので、同効薬のスルバシリン(SBT/ABPC)1回3g1日3回で開始した。

 微熱から平熱になって、炎症反応もさらに軽快(CRP5.9)してきた。1週間以上は継続して、点滴静注で押してそのまま中止にしようかと思っていた。

 

 呼吸器科の先生から、今週末に退院にするとしても、退院後も経口抗菌薬を継続して外来に回すようにと言われた。肺膿瘍として4週間くらいの治療を想定しているのだった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肝細胞癌ではなかった

2022年08月22日 | Weblog

 現在高血圧症で当院に通院している90歳男性はC型肝炎・肝細胞癌があった。2009年に肝細胞癌が発見されて(当時は78歳)、当院入院で経カテーテル肝動脈塞栓療法(TAE)を行った。

 当時は放射線科医がまだ常勤医で、現在も読影で来てもらっているがんセンターの放射線科医といっしょに治療してくれた。ただ肝動脈の分岐の問題で完全には治療できなかった。

 その後、大学病院の消化器内科に紹介して、治療をしてもらった。しばらく通院していたが、地域の基幹病院に肝臓専門医が来たことで、大学からそちらに回された。現在は3か月に1回の通院になっていた。

 

 先週の月曜日に当院を外来受診した際に、今月初めから心窩部に使える感じがすると訴えた。症状は食後に起こり、嘔気を伴って嘔吐したこともあるという。

 30歳代に十二指腸潰瘍で胃切除術を受けていて、ビルロートⅠ法の再建術になっている。その時の輸血がもとでC型肝炎になったと推定される。

 食後の受診でもあり、腹部単純CTで確認すると、残胃が拡張して食物がたまっている。肝左葉の濃度が右葉とは違い、腫瘍が腹壁型と胃切除術後の吻合部に浸潤しているように見える。胆嚢の壁が厚いようも見える。

 翌日に消化器科で上部消化管内視鏡検査を行ったが、スコープは十二指腸側まで問題なく通過する。吻合部の一部が粗造で念のため生検されていた。通過障害は胃外からの問題で生じているようだ。

 造影CTで確認するのも考えたが、基幹病院の消化器内科に精査依頼することにした。受診後の一報では、胆嚢癌と判断されたらしい。家族も呼んで今後のことを相談するそうだ(たぶん治療は難しい)。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする