なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

器質化肺炎、肺癌

2022年07月15日 | Weblog

 火曜日に、地域の基幹病院呼吸器内科から86歳男性が当院呼吸器科外来(非常勤医)に紹介されてきた。

 2017年に市内の内科クリニックから、肺野異常影で基幹病院に紹介されていた。右肺に非区域性の陰影が胸膜直下をスペアする形でぐるりと前から後ろに回ったようだ分布だった。

 気管支鏡検査の結果、器質化肺炎と診断された。プレドニン30mg/日から開始して軽快していた。6mg/日まで漸減して再燃して、増量後の漸減でも8mg/日で再燃して、プレドニン10mg/日で継続となっていた。

 また右肺上葉に結節影があり、「肺癌と判断されたが、精査・治療対象にならず、緩和ケアのみの方針になった」、と記載されていた。

 もともと糖尿病があり、ステロイド糖尿病も加わっていた。糖尿病科で診ていたが、DPP4阻害薬とグリニドの投与でHbA1cが10%だった。これはインスリンを要するようだ。

 6月から食欲も低下して、歩行も困難となって通院が難しくなってきたので、後は当院で診てほしいという紹介だった。

 

 呼吸器外来を診ていた先生から連絡がきた。ストレッチャー(介護タクシー)で受診したが、まったく動けない状態で褥瘡もあるので入院で診てほしいという。

 先方の画像が3月までのものしかなかったので、胸部CTで確認した。右肺上葉の肺癌(CEA8.8)はやや増大していた。器質化肺炎と指摘されるまでは喫煙していて(60年以上)、ベースに気腫性変化があった。

 器質化肺炎自体はプレドニン10mg/日で安定しているようだ。肺癌は経過をみるしかない。入院してリハビリをしても介助で車いす移乗くらいがやっとだろう。妻と二人暮らしで、在宅介護は困難だ。ある程度入院で経過をみて、施設入所を目指すことになる。

 

 木曜日に呼吸器外来に来てもらっている先生に、画像をみてもらった。肺気腫があり、胸膜直下の肺自体がダメージを受けている。胸膜直下をスペアする形になっているのは、器質化肺炎が比較的正常な胸膜内側の肺を非区域性に侵した、ということらしい。

 

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