なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腹壁膿瘍?

2021年04月30日 | Weblog

 水曜日、午後の救急当番だった外科医が、39℃の高熱の61歳男性の救急搬入を受けた。夕方に受けたので、搬入されて検査をしているうちに時間外になった。

 若年性アルツハイマー病で施設にショートステイ入所していた。3つ隣の町の施設で、地元の個人病院に連れて行くと、とりあえず新型コロナのPCR検査(唾液)をしてくれて、結果は明日といわれた。

 施設に戻ったが高熱が続くので、救急要請した。地域の基幹病院など複数の病院で搬入困難といわれて、3月半ばに肺炎で入院した当院に連絡がきて、引き受けたという経緯だった(3月も他院受け入れ困難で最後に当院にきた)。

 その日は当直だった。外科医がやってきて、発熱の原因がわからないと相談された。3月のことがあるので、肺炎の再発だと思って引き受けたらしい。

 3月の肺炎として入院した時の胸部X線・CTも、水分が分布の問題で両側肺野背側にもやもやとした陰影が出ているだけのように見える。肺炎と言い切れないものだった。

 今回はそれもなく、肺炎は否定された。尿所見も異常がない。肝機能障害が軽度にあるが、肝胆道系の炎症を示唆する所見はなかった。

 ただCTは発熱外来経由だったので古い方の機械で撮影されていて、体動もあり、特に胆管系が見えにくい。64列のCTで取り直すことにした。すでに当直帯になっていて、外科医にあとはよろしくと言われた。

 取り直したCTをみた放射線技師さんが、左腹壁の病院に気づいた。確かにおかしい。腹部に発赤などはないが、よくよく見ると少し腫れていて圧痛がある。

 造影CTを追加して、帰ろうとしていた外科医に来てもらった。造影CTの所見も読影しがたいが、腹壁膿瘍が疑われた。

 放射線科の読影レポートでも指摘されていないが、3月の入院の時にも同部位に同じ所見があった。おそらく、その時も肺炎ではなく、腹壁病変での発熱だったのだろうと思われた。

 地域の基幹病院外科への紹介も考慮したようだが、とりあえず当院外科で入院して抗菌薬で経過をみることになった。

 ただ炎症反応の上昇に乏しく、本当に膿瘍でいいのかという問題がある。3月の時も今回も、抗菌薬投与で解熱しているので細菌感染として矛盾はしないが、炎症反応に乏しい。

 腫瘍の可能性もあり、腹壁膿瘍でいいかどうか、まだわからない。血糖コントロールは良好だが、患者さんは糖尿病がある。

 

 

 

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信用されなかった

2021年04月29日 | Weblog

 火曜日に県・保健所から、新型コロナウイルス感染症の52歳女性の入院を依頼された。

 ホテル療養をしていたが、咳が続いて病院でメディカルチェックをうけたところ、両側肺炎を認めたという。県内のホテル療養は県庁所在地のホテル3棟を借り上げている。

 ホテル療養中に病状が悪化した時は、コロナの診療をしている県庁所在地の病院が輪番で入院を引き受けることになっていた。病状悪化は肺炎の悪化か血液凝固異常の併発で、当院はそれを引き受けられるような病院ではない(単純に距離もあるし)。

 ただ、発熱はなく酸素飽和度の低下もないということだった。この患者さんは当市の隣町の山間に住んでいる。沖縄と北海道に出かけた後に発症していた。家族3人のコロナPCR検査は、当地域保健所の指示で当院で行っていた。県内の病棟逼迫もあり、引き受けることにした。

 4月5日に発熱(微熱)・咳で発症して、発熱はすぐに治まったが、咳が続いていた。ホテル療養後の4月15日~19日ごろに咳がひどくなり、病院受診を希望したが、様子をみるようにいわれていた。

 発熱や酸素飽和度の低下はなかったので、経過をみたのだろう。風邪薬をもらっていて、今日の治療薬で調べても出てこなかった。薬局に問い合わせると、市販薬ですと言われた。ホテルに医師は常勤していない。市販薬ならば処方箋なしで配ることができるのだった。(初めて知った)

 その後症状は軽快した。4月23日には、自分でもうホテルを退所できると思っていたそうだ。一緒にホテルに入った家族2名はすでに退所していた。症状があるので、長く置かれたのだろう。

 4月26日にやっと病院でメディカルチェックを受けることになった。胸部画像で両側肺炎を指摘されて、入院治療が必要とその病院の医師に言われた。

 保健所からの情報だけで患者さんはやってきた。病院からの診療情報提書や画像はなかった。胸部画像がX線なのか、CTなのかもわからなかった。

 当院では新型コロナの入院は胸部CTで評価することにしている。CTの結果は、両側下肺野にごくわずかなすりガラス陰影が描出された。

 放射線技師さんから、よくこのわずかな陰影で肺炎と指摘しましたね、といわれた。確かに胸部単純X線では難しいだろう。患者さんに確認するとおそらくCTでの判断らしい。

 血液検査はCRP0.0で、コロナ重症マーカーのLDH・血清フェリチン・Dダイマーは正常だった。

 咳がひどくなって胸部痛(胸膜痛?筋肉痛?)もあった時期には、肺炎像がもっとあったのかもしれないが、確定はできない。少なくとも当院入院の段階でもう治療は要さない。

 肺炎といってもごく軽度で治療は必要ないくらいです、と説明した。患者さんは肺炎で入院といわれてきたのでそんなはずはないと納得しなかった。

 入院3日前には自分でももう家に帰れると思っていたくらいで治療が必要でしょうか、今現在の症状からみて治療が必要と感じますかと訊くと、必要ないと思うと答える。

 ただ県庁所在地にあるそれなりの総合病院で入院が必要な肺炎といわれたから、と納得しなかった。入院した日は感染病棟の看護師に興奮して長い時間訴えていたそうだ。

 翌水曜日はセカンドオピニオン希望ということで、県のコロナ本部に当院でのCT画像と血液検査結果を届けて判断してもらうことになった。画像転送のシステムが当院に入っていないので、病院事務の係長が県庁まで直接届けた。

 その結果、当院の判断でよいということになった(県内で一番コロナを診ている病院の先生が判断したそうだ)。メディカルチェックをした病院は新型コロナを扱っていない病院なので、わずかな陰影でも驚いたのでしょうといっていた(と聞いた)。

 すでに退院基準を満たしているので、帰りますかと訊くと、すぐ帰りたいと希望した。結局一泊二日感染病棟に入院しただけで退院となった。

 咳がひどくなった時期に検査をしていれば、もう少しすりガラス陰影はあったのかもしれない。判断は疑問だが、先方の病院の方がはるかに病院としてのネームバリューはあるので仕方がないか。

 

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ファイザー社の新型コロナワクチン接種

2021年04月28日 | Weblog

 アナフィラキシー(ショック)の既往がある人も、普通に新型コロナワクチンを接種できるのでした。

 ファイザー社の新型コロナワクチンを受けることができない人は、①明らかに発熱している人(37.5℃以上)、②重い急性疾患にかかっている人、③ワクチンの成分に対し、アナフィラキシーなどの重度の過敏症の既往歴のある人、④上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人、になる。

 ①と②はそうだろう。③は主にワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)に対して強いアレルギーが出た経験がある人になるが、あなたはPEGに対してアレルギーがありますか、と訊いてもわからないだろう。(④は役所的なもの?)

 新型コロナワクチン以外のワクチン、花粉、食物、薬剤、ハチ刺されなどにアレルギーがある人(mRNAワクチンの成分であるポリエチレングリコールにアレルギーがある人は除く)も、新型コロナワクチンの接種は可能ということだ。

 要するに、あるかどうか判断がつかないポリエチレングルコールにアレルギーがある人以外は、ほぼ誰でも打てることになる。

 基礎疾患のある人はむしろ積極的に受けていいことになる。妊婦はワクチン接種のメリットとデメリットをよく検討して判断するとあるが、アメリカは希望者は接種可能としていて、すでに多数の妊婦が受けて影響はなかった。

 アレルギーの既往のある人、特にアナフィラキシーの既往がある人は、新型コロナワクチン接種後は急激なアレルギー反応が出ないことを確認するために、通常(15分程度)よりも長めに(30分程度)接種会場にとどまって様子をみることとなる。(その程度でいいことになっている)

 ただ問診表には、アナフィラキシーの既往の項目があり、そこが「はい」だと問診医は接種可能とするのに戸惑うだろう。予定では、5月末から始まる当市のワクチン接種会場には、医師会の先生(開業医)と病院勤務医が出ることになっている。

 医師会の先生は、アナフィラキシーの既往がある人については、病院勤務医に判断を任せてくるのではないか。(個人的な考えです)既往がある人については、ない人よりもワクチン接種でアナフィラキシーを起こす可能性が高いかもしれないが(根拠はない)希望しますかと、もう1回尋ねてその旨をメモしておくといいのかもしれない。

 1回目の新型コロナワクチン接種でアナフィラキシーを来した人には2回目の接種はできない、ということだけが確かだ。それ以外はワクチンを打てないとはいえない、のであった(どうなるかは、実際に打ってみないとわからない)。

 

 「新型コロナワクチンQ&A100」(日経BP)。わかりやすく解説している良書です。

日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A100

 

 厚生労働省のホームページに、ファイザー社の新型コロナワクチンについて、として記載されている。注意が必要な人は、「本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人」以外は、注意しながら(どんな注意?)受けることができる。

 以下は引用

 下記にあてはまる方は、本ワクチンの接種ができない、または接種に注意が必要です。
 当てはまるかどうかや、ワクチンを受けて良いか、ご不明な方は、その病気を診てもらっている主治医にご相談ください。
 また、当てはまると思われる方は、必ず接種前の診察時に医師へ伝えてください。

受けることができない人

明らかに発熱している人(※1)
重い急性疾患にかかっている人
本ワクチンの成分に対し重度の過敏症(※2)の既往歴のある人
上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。
(※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。

注意が必要な人

・抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人

妊娠中、又は妊娠している可能性がある人、授乳されている人は、接種前の診察時に必ず医師へ伝えてください。

※本ワクチンの成分
▷有効成分
・トジナメラン(ヒトの細胞膜に結合する働きを持つスパイクタンパク質の全長体をコードするmRNA
▷添加物
・ALC-0315:[(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル)
・ALC-0159:2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド
・DSPC:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
・コレステロール
・塩化カリウム
・リン酸二水素カリウム
・塩化ナトリウム
・リン酸水素ナトリウム二水和物
・精製白糖
 
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層状壊死

2021年04月27日 | Weblog

 3月30日に記載した、心原性脳塞栓症で内科クリニックから紹介された69歳男性のその後の経過。

 入院時検査の胸部X線で両側肺炎像を認めて、胸部CTで確認すると新型コロナウイルス感染症に特徴的なすりガラス陰影だった。コロナのPCR検査陽性と判明した。

 感染病棟に入院していたが、特に肺炎の悪化はなくコロナとしては順調に経過した。日数経過とPCR検査再検(回復期リハビリ病棟の担当医からの要望)で感染病棟の隔離解除となって、禍福期リハビリ病棟に転棟した。

 入院時にしか頭部画像検査をしていなかったので、特に出血性梗塞の有無を見るために、さっそく頭部CTを再検した。意識や神経症状の悪化はないので、出血性梗塞には至っていないとは考えていた。(抗凝固薬は継続投与していた)

 頭部CTを撮影した放射線技師さんから、出血ではと言われたが、違うようだ。放射線科の頭部CT読影レポートでは、皮質に沿った高吸収域で層状壊死の所見とされた。

 層状壊死は頭部MRI所見で確定するので、MRIも追加した。テキストにあるようなきれいな皮質に沿った層状壊死の像ではないが、おそらくそうなのだろう。出血でなければ問題ない。層状壊死は、T1強調画像・FLAIRで梗塞部の脳表が高信号に描出される。

 患者さんは、認知力低下はあるが自力歩行可能で、連休明けに自宅退院予定だ。

 

 「症例でたどる頭部MRI・CT 時間経過で画像はこう変わる」(金芳堂)は、題名の通り頭部MRI・CTの時間経過による画像の変化を記載している唯一の本で、わかりやすい。

 症例でたどる 頭部MRI・CT 時間経過で画像はこう変わる

 

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頼りない王冠~頸椎偽痛風

2021年04月26日 | Weblog

 内科新患を診ていた先生(大学病院からバイト)から相談された。患者さんは後頚部痛と発熱の83歳女性だった。電話で話を聞いて、頸椎偽痛風だろうと思われた。

 1週間前から微熱があり、その後に後頚部痛が出現した。土曜日(2日前)から痛みで首が回しにくくなった。意識は清明で嘔気や神経学的な異常はなかった。正中の右側に圧痛があった。首は全方向どちらに曲げようとしても痛みがある。

 白血球10600・CRP6.3と炎症反応の上昇を認めた。外来の先生が頭部~頸部CTを撮影していた。頸椎の軸椎歯突起の周囲に、細々と石灰化が写っていた。ちょっと頼りない所見だが、頸椎偽痛風(crowned dens syndrome)でいいようだ。

 

 NSAIDsを1週間分処方して外来再診と思ったが、連休になる。2週間分の処方として、数日内服しても症状が軽快しない時は、その前に受診してもらうことにした。

 

 今日は新型コロナウイルス感染症の72歳男性(中等症Ⅰ)が、退院基準を満たして退院した。代わりに、また72歳男性が感染病棟に入院した。

 パーキンソン病で通院している。絵にかいたような小刻み歩行で、つかまったり車椅子を使用して、室内を少し歩行(移動)できる。 

 デイサービスで通所している施設で新型コロナの患者さんが発生して、濃厚接触者として経過観察となっていた。咳が出始めて、PCR検査再検となって陽性と判明した。

 胸部CTでわずかにすりガラス陰影が疑われるところがあるが、現段階ではほぼ肺炎なしとしていいようだ。今週1週間経過をみないと重症化するかどうかわからない。

 

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息子が寄り付かない

2021年04月25日 | Weblog

 木曜日に調子が悪いという84歳女性が受診した。ふだんは高血圧症で通院しているが、安定剤(エチゾラム=デパス)を自分で調節して飲んでいた。取りに来ている。

 水曜日の午後に調子が悪いので受診したいと連絡が入っていた。心気的な訴えが多い方で、これまでの経過から緊急性はないだろうと思われたのと、翌日の受診としていた。

 4月初めに受診した時に、息子と別居してから夕方になると寂しい、眠れないという訴えがあった。抗うつ剤というよりは、安定剤的な効果を期待してセルトラリン(ジェイゾロフト)25mgを処方していた。

 珍しく息子さん(二男)が一緒に来ていた。前日の電話では心窩部痛があって、食欲低下していると訴えていた。受診時は特に腹痛もなく、食事摂取もできる。一人暮らしなので栄養が足りないという。ヘルパーさんが来るので、2食分は作ってもらえるが。

 まず、一通りの検査をすることにした。癌検診までしたわけではなく、高血圧症通院で行う胸部X線・心電図・血液尿検査だが、異常はなかった。

 

 息子さんだけ診察室に呼んで、事情を訊いた。長男夫婦が同居していたが、嫁姑の関係も悪く、また長男との関係も悪くて、家を出たそうだ。その後はほとんど寄り付かない。

 それから、大学通学と就職で他県に行っていた二男が同居するようになった。その後、二男が結婚して夫婦で同居していたが、同居の継続が難しいと別居に至った。嫁姑というよりは、その二男との関係が悪いそうだ。

 息子さんは穏やかな常識人に見える。何でも、この母親は自宅内では自分の使うものを身の回りに置いて、それに囲まれて生活している。掃除をしようとすると怒るそうだ。なにかと言い合うことがあったのだろうが、あまり具体的に母親の悪口は言わなかった。

 この患者さんは、受診するたびに担当ケアマネジャーの悪口を言っていた(「使えない」、という)。いろいろなことが気に入らないらしい。近所や親戚との交流もないが、それでも週1回はデイサービスに行っている。

 

 患者さん本人は入院を希望していたが、息子さんは入院の必要はないでしょうと言う。病院に迷惑をかけるから、ということだった。体調が悪いと、すぐに診てもらえるように救急車を呼ぼうとするので困るそうだ。

 入院するほど悪いところはないと説明した。せっかく来たのだから点滴してほしいと言う。点滴は栄養はさほどないとお話して、栄養が足りないと言うならば、むしろ栄養剤(エンシュアリキッド)を飲む方がいいと勧めた。

 次回予約日まで1日1缶で日数分を出した。セルトラリン内服で夜間はよく寝られるようになった、と言っていた。

 年を取ってからは周囲に感謝して過ごすことが大切だ、と思わせる人ではある。呼べば一応息子が来て病院まで連れてきてくれるので、まだいいのではないか。

 

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胆管癌・肝転移

2021年04月24日 | Weblog

 水曜日に消化器科医から相談された。胆管癌・肝転移の患者さんが肺炎も来しているが、新型コロナが気になる、ということだった。

 2018年に地域の基幹病院消化器内科で胆管ステントを挿入していた。一度内腔が詰まって入れ替えもしていた。CT画像を見ると、胆管癌が増大している。pneumobiliaを呈しているので、ステントが少なくとも完全には閉塞していないと思う、と言っていた。

 白血球8700・CRP16.2と炎症反応の上昇があり、肝機能はAST 57・ALT 45・ALP 433・γ-GTP 459・総ビリルビン0.9で、閉塞性黄疸ではない。

 CTで肝内に腫瘤が多発している。腫瘍マーカーはCEA 645・CA19-9 7807と派手に上昇していた。単純CTだけで造影はしていなかった。肝膿瘍も否定はできないが、転移巣なのだろう。胆道感染はあるかもしれない。

 右肺に浸潤影を認めるが、通常の細菌性肺炎でいいのでは、と答えた。前週末からレボフロキサシン内服が処方されていたが、効いていないようだ。胆道感染もカバーするためゾシン(PIPC/TAZ)を勧めた。

 

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当院向きのCOVID-19

2021年04月23日 | Weblog

 4月20日火曜日に、新型コロナウイルス感染症の72歳男性が当院の感染病棟に入院した。(前期)高齢者で、高血圧症・糖尿病があり、保健所から入院の指示となった。

 家族(娘)が新型コロナに罹患して、娘婿もかかった。4月5日に濃厚接触者としてPCR検査を受けて(地域の基幹病院)陰性だった。自宅で経過観察となっていた。

 4月15日から咳が続き、再度PCR検査を受けて、今度は陽性となった。保健所の接触者PCR検査は、陽性者が出るとすぐに接触者に行うため、潜伏期を無視した形になってしまう。

 入院したのは発症6日目だった。発症7日から10日で重症化するので、入院後に悪化する可能性があった。最近当院では重症化で高次医療機関に搬送したり、死亡例も経験している。

 感染管理ナースは「(72歳なので)重症化したら、搬送してもらいますよ」と保健所に伝えたそうだ。(重症化する患者さんが続いて、高齢で転院搬送を断られるので、怒っている。)

 症状は咳だけで、発熱はなかった。酸素飽和度も97~98%(室内気)で問題なかった。胸部CTで両側肺野、主に右肺野にすりガラス陰影が散在していた。

 白血球4200(リンパ球33.9%)・CRP4.3と炎症反応が軽度上昇している。Dダイマーは0.9と正常域でLDHも241とわずかな上昇のみだったが、血清フェリチンが1186と上昇していた。

 中等症Ⅰ相当で、うまくいけばこのまま経過観察で退院にできる。今日で9日めで、発熱・酸素飽和度の低下はない。たぶん大丈夫だろう。

 当院はこのくらいの、中等症Ⅰか中等症Ⅱでも酸素吸入2L/分程度の症例がちょうどいい。病床が逼迫している東京だったら、このくらいはホテル療養になるのだろう。

 

 

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気胸

2021年04月22日 | Weblog

 昨日24歳男性が左肺の気胸で外科外来を受診していた。気胸の軽度としては軽度のため、1日経過をみることになった。CTで見て、明らかなブラはないようだ。(喫煙者ではある)

 今日はかなり進行してしまっていた。これは胸腔ドレナージをするしかない。地域の基幹病院に紹介するのかと思ったが、外科医がドレーンを挿入して当院入院とした。

 左肺は広がったが、ドレーンの位置として葉間にあるかどうかが気になる。

 

 7月の市医師会講演会の座長を依頼された。講師は糖尿病で有名な先生で、その分野では全国的に知られている(はず)。完全web開催なので、ホテルに設置されたブースから行うことになる。web講演会の座長は初めてだが、どんな感じになるのだろうか。

 

 

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肺胞低換気症候群

2021年04月21日 | Weblog

 月曜日に、循環器・呼吸器・消化器の急性疾患を搬送させていただいている病院から、患者さんの転院依頼が来た。

 当院の糖尿病外来と神経内科外来(てんかん)に通院している90歳女性だった。4月3日(土)に呼吸困難で当院に救急搬入された。血液ガスでPaO2 92.5・PaCO2 93.3・pH7.180(酸素吸入あり)と、著しい高二酸化炭素血症(酸素投与量が多すぎた)・CO2ナルコーシスになっていた。

 胸部X線で心拡大・肺うっ血・胸水貯留を認めた。日直だった外科医(大学病院からのバイト)が・低酸素血症で先方の病院に救急搬送していた。

 転院後はNPPVを装着して、何とか離脱した。ただし夜間に酸素飽和度が70%台まで下がったりしていた。90%前後が好ましいが、82%くらいは許容としたとある。診断は肥満による肺胞低換気症候群だった。

 昨年の胸部X線では特に大きな問題はなかった。しかし今年3月の胸部X線では胸水が貯留し始めていた。

 超急性期病院であり、できるだけ早く引き取ることにして、今日転院してもらった。患者さんはなかなかの体格で元気だったが、ほとんで難聴で筆談を要した(耳鼻咽喉科では加齢によるとされていた)。

 夜間に急変する可能性があると説明されていた。ついてきたお嫁さんにその旨を改めて説明すると、年だからしょうがないねえ、ということだった(この辺は娘と嫁では反応が違うところ)。

 酸素吸入はされていなかったが、酸素飽和度は87%だった。酸素吸入0.25~0.5L/分で開始して経過をみることにした。

 糖尿病はインスリン強化療法で、それでも血糖コントロールは良好ではない。年齢的にはHbA1c8.0%くらいで充分だろう。

 現時点では息切れもあり、動けないので在宅介護は難しい。リハビリを入れてもこれまでのような手引き歩行は難しいかもしれない。酸素吸入の問題もあり、施設入所が難しいので、療養型病床に依頼するようになりそうだ。

 先方の病院から送られてきたCDに、4月16日の胸部X線があり、まだ胸水が目立つ。明日一通り検査するが、まだまだ予断をゆるさないようだ。

 一気に10kgやせれば、ぐっと改善すると思うが、それは無理だ。

 

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