なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳幹梗塞

2014年08月31日 | Weblog

 88歳女性が先週の金曜日に救急搬入された。高血圧症で当院の内科に通院していた。その日の午前中に家族が出かけて、家にひとりいでいた。夕方家族が帰ってきて、倒れているのに気付いて救急要請した。

 当直医は外科医だった。その日私は、低ナトリウム血症の患者さんを診ていて午後7時すぎまで病棟にいた。外科医から電話が来て、「意識障害があるが、血液検査では異常がないし、画像でも異常が出ないが、どうしよう」と相談を受けた。意識は大声で呼びかけると、ひとこと喋ったり、痛み刺激で払いのけたりと変動していた。頭部CT・MRIで脳出血・脳梗塞はなかった。ただ、脳全体特に前頭葉・側頭葉の萎縮が目立ち、MRAでは椎骨脳低動脈系の血流低下を示唆していた。入院して経過をみて頭部の画像検査を再検する方針とした。

 入院してから左半身麻痺が出現した。翌日の頭部MRI再検で拡散強調画像に脳幹部梗塞(右中脳腹側)が出ていた。椎骨脳底動脈からの分枝の閉塞なのだろう。この年齢だと、片麻痺よりは嚥下障害の有無が大事になる。ADLが介助で車イスになってもやむを得ないが、食事摂取だけはできてほしい。幸いにしゃべることはできるので、嚥下はできるかもしれない。 

 今日は日直で病院に来ている。昨日は救急搬入からの内科入院が続いて5人入院して、内科の若い先生たちが分担して主治医になった。それ以外にも救急搬入要請が続いて3人くらいは別の病院にお願いしたそうだ。けいれんで入院した両側大脳に多発性に出血(それぞれは5~10mm程度)を認める85歳男性の病態がわからない。身寄りもなく、責任者は市役所職員ということで、脳血管障害の専門病院に搬送するのもためらわれたそうだ。

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抗菌薬適正使用生涯教育セミナー、3%高張生理食塩水

2014年08月30日 | Weblog

 今日は東京国際フォーラムで開かれた抗菌薬適正使用生涯教育セミナーに行ってきた。新幹線で日帰りだった。ベーシックコースだが、ペニシリンから抗菌薬を順番に講義するのではなく、入院患者の発熱をテーマにした講演だった。細川先生、大曲先生は講演が上手で、わかりやすい講義をしてくれる。こういうものは、その分野の専門家(講演ベタ)を読んで講義させればいいというものではない。一日岩田健太郎先生の講義を聴くというのも面白いと思うが、実現はしないだろう。

 セミナーが始まる前に病院に電話して、低ナトリウム血症の82歳女性の病状と検査結果を確認した。血清ナトリウムが108まで低下して、意識障害(傾睡状態)を呈していた。浮腫はなくなり、胸部X線で肺うっ血・胸水も軽快していた。敗血症性ショックから急性腎不全(急性腎障害)になり、輸液増加で浮腫が出現した。その後利尿がついて浮腫は消失したので、輸液を維持輸液にしていたら、低ナトリウムになってしまった。ナトリウム濃いめ点滴で少し改善したが、そのままいけるかと思ったが、翌日には少し戻ってしまった。

 これまで3%高張生理食塩水の点滴はしたことがなかった。今回初めて3%生食(生理食塩水500mlから100ml抜いて10%塩化ナトリウムを120ml混ぜる)を使用した。50~100ml/時で開始して、2時間おきにナトリウムを測定して1日9までの上昇に留めると記載されている。昨日午前10時から開始して、111から115になって、夕方には118になった。そのまま午後9時まで続けて、そこで中止した。今日は血清ナトリウム123だった。ヴィーンD500ml+10%塩化ナトリウム20mlをメインにして40ml/時で持続点滴にしているので、きょうはそれだけを継続して、また明日血清ナトリウムを測定することにした。

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分水嶺領域の脳梗塞

2014年08月28日 | Weblog

 入院していた93歳女性が今日自宅に退院した。嘔吐下痢になって、誤嚥性肺炎をきたして、かかりつけの内科クリニックから紹介されて救急搬入された。急性腎前性腎不全もあったので、数日食事摂取できなかったものと思われた。ユナシンで治療を開始して肺炎は軽快したが、1週間くらい投与して便に血液が混じってきた。大腸検査はしてないが、ユナシン(アンピシリン)による出血性腸炎が疑われた。ちょうど肺炎が改善していたので、ユナシンを中止して整腸剤(ミヤBM)内服にしていたら、血便は消失した。

 退院の予定をたてて、あと3日で退院という日の朝に言語障害が出た。言葉を想起するのに時間がかかった。四肢の麻痺はなかった。頭部MRIを行うと、左大脳の分水嶺(ACAとMCA、MCAとPCA)に複数の脳梗塞があった。失語症の症状だった。入院時の心電図で心房細動はなく、再検してもやはり心房細動はなかった。脳血管の末梢で血流が低下したのだろう。エダラボンと点滴(500mlを2本)で経過をみると、言語障害はほとんど消失した。1週間後には自分でポータブルトイレに降りて、2週間後には歩いて隣のベットの患者さんのところに行って話をしていた(表敬訪問ですと言っていた)。

 独身の息子と二人暮らしで、むすこがさびしがっているからと退院を希望した。かくしゃくとしているとはこの患者さんのような人を言うのだろう。恐れ入りました。

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ビクトーザを使ってみる

2014年08月27日 | Weblog

 GLP-1受容体作動薬は、これまでほとんど使ってこなかった。DPP4阻害薬+メトホルミンに少量のSU薬追加の順で治療することが多く、それで血糖コントロールが悪いと、BOTにしていた。ただし、食事療法を守れず、肥満があって自己インスリン分泌が十分ある患者さんでは、BOTにしても結果は良くない。そこから本格的にインスリン治療に持っていけばよいのだろうが、やはり食事療法の見直しの方が望ましい。

 40~50歳台のメダボ患者さんに、遅ればせながら、ビクトーザを使いだした。50歳台男性はDPP4阻害薬・メトホルミンで胃腸障害が出て継続できなかった。この方は母親と妹が糖尿病で、その二人はインスリンを使用しているので、あまり注射に抵抗がなかった。0.3mgの初期量から開始して、通常よりもゆっくりと時間をかけて(日数をかけてだが)増量したところ、0.9mgでも継続できた。そして、血糖コントロールは改善してHbA1cが8%から6%台になった。

 さらに40歳台女性、40歳台男性に使い始めた(女性の方は体重が130Kg)。現在は、4人目の食事療法に自覚がない女性に入院で使用している。糖尿病食に慣れてもらうつもりで4週間の約束で入院とした。6か月おきに教育入院を繰り返している糖尿病の患者さんが3人いて、そのうちのひとりの70歳台女性は冠動脈疾患で急死した(再発)。もう二人も(精神疾患がある)も前後して入院してそろってしまった。

 ビクトーザでは保険診療上できないが、GLP-1作動薬にインスリン併用という治療にもっていくしかないかもしれない。

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感染症学セミナーの内容

2014年08月26日 | Weblog

 日本臨床微生物学会・感染症学セミナーの内容を振り返ってみた。日曜日に新幹線代をかけて行ったかいはあった。

 杏林大学呼吸器内科 皿谷健先生   1)肺炎球菌髄膜炎から血管炎をきたして脳梗塞。2)水痘帯状疱疹ウイルス感染から血管炎をきたして(動脈瘤形成も)脳梗塞。3)頸椎偽痛風(Crowned dens syndrome) 4)SLEとDermatomyositisのoverlapで侵襲性アルペルギールス症 5)水痘肺炎(子供から親に感染して再活性化) 6)肺膿瘍ではなくてアクチノミセス 7)大動脈弁置換術後に僧房弁に疣贅(MSSA) 8)三尖弁の心内膜炎から多発性肺膿瘍 9)潰瘍性大腸炎 便中白血球を診る 10)肺炎球菌肺炎からMRSA腸炎(あるかないか議論あり)と化膿性関節炎 11)細菌性腹部大動脈瘤 12)へそだれは尿膜管遺残膿瘍 13)結核性椎体膿瘍 Pott's disease 14)肝硬変・慢性腎不全・ステロイド内服で化膿性右肩関節炎。起炎菌はEnterobacter cloacae。 (もうひとつあったかも)

 虎の門病院 荒岡秀樹先生   免疫不全感染症 悪性リンパ腫(T-lymphoblastic lymphoma)の化学療法中に感染症 フレンドリーな雰囲気で講演も面白くて、今後この先生に注目しようと思って聞いていた。ただ、内容が難しくてよく覚えていない。虎の門病院血液内科は100床の入院ベットをもっているそうだ。体格のいい部長先生がテレビに出ていて(情熱大陸?)、見たことがある。

 杏林大学呼吸器内科 本多紘一郎先生   三尖弁形成術・徐脈性心房細動でペースメーカー植え込み術・大動脈弁置換術後・心室中隔閉鎖術・胸骨骨髄炎で開心術という、すごい症例で逆に参考にならない(当院でこんな症例は診ない)。肺炎球菌肺炎加療中に、脾梗塞・肝動脈瘤・脾動脈瘤を発症。 Candida albicansによる感染性動脈瘤。

 東京女子医大感染症科 藤田崇宏先生   1)末梢カテーテル関連血流感染症。 案外多いらしい。これは目からうろこ。2)限局性角化型疥癬 3)慢性リンパ性白血病。肺炎球菌髄膜炎が改善してから血管炎による脳梗塞発症。初期にデキサメサゾンを使用するので、それが切れるタイミングで発症するらしい。治療は再度ステロイド投与。この先生も話し方が面白くて今後注目だ。

 亀田総合病院感染症科 細川直登先生   1)透析患者さんの壊死性筋膜炎。Vibrio parahaemolyticusの感染。壊死性筋膜炎は痛みの範囲がひろく、痛みの程度がひどい。 2)誤嚥性肺炎。起炎菌はGBS。Streptococcus agalactiae。 3)尿管結石による閉塞性急性腎盂腎炎。起炎菌はStaphylococcus epidermidis。 4)セレウス菌感染と脳結核種。開頭による生検施行。こんな難しい症例は当院では診れないので、へえ~と驚くのみ。

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1型糖尿病でしょう

2014年08月25日 | Weblog

 内科医院から糖尿病の41歳男性が紹介されてきた。中南米で車の仕事をしていたが、1か月前から倦怠感・口渇・多飲・多尿があり、現地で血糖700台を指摘された。日本に戻ってきて同医院を受診したが、HbA1cが15%で空腹時血糖500台、随時血糖700台のため、本日急遽当院受診となった。

 来てみると、意識清明で普通に歩いている。中南米の海岸にいるような格好をしていた。食事は普通にとれる。両親など糖尿病の家族歴はないので、1型糖尿病と思われた。抗GAD抗体を提出。そのまま入院して、インスリン強化療法を開始する。

 

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感染症学セミナー

2014年08月24日 | Weblog

 今日は臨床微生物学会の感染症学セミナーに行ってきた。症例の1000本ノックという題名と、会場が東大の本郷キャンパスというのに惹かれた。4時間ちょっとだが、感染症で頭がいっぱいになって帰ってきた。臨床微生物学会というのは初めて聞いたが、検査技師(細菌検査)さんの学会らしい。機会があればまた行ってみたい。検査技師100名、医師70名という参加者(薬剤師と看護師も少し)だが、内容は医師にはいいが、患者さんを直接見ない検査技師さんたちには難しいのではないだろうか。講演の内容は明日まとめよう。

 乏尿になった82歳女性は昨日輸液2000mlで尿量が1700ml/日で、悪くはないが浮腫がとれるほどではなかった。東京の本郷から病院に電話して、今日もラシックス10mgを静注した。尿が出始めて、血清カリウムが3.1と下がってきたので、カリウムがほとんどフリーで指示していた輸液を変更した。自宅に帰ってまた電話すると今日は半日で尿量が2200ml出ている。浮腫も軽減してきたそうだ。ラシックスの追加はなしで経過をみることにした。なんとかなりそうだ。

 内科の若い先生が担当している脾臓低形成の劇症型肺炎球菌も昨日の時点では改善していた。文献としては、脾臓低形成の劇症型肺炎球菌感染症はけっこう症例報告が出ている。脾臓摘出術後のoverwhelming postsplenectomy streptococcal infectionと同じことになるようだ。今回の症例は類天疱瘡の発症とステロイド投与が誘因になった。

 9月から病院の感染管理室長になる予定。実務は感染管理委員会の若い委員長にまかせるので、ほとんど名目だけだが(管理職がなる決まりなので)、一応は責任者になる。病院で感染症の学会やセミナーに毎年行っているのはこの二人だけなので、このコンビで協力してやっていくしかない。

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入院後乏尿

2014年08月23日 | Weblog

 一昨日急性胆管炎または急性腎盂腎炎で入院した82歳女性は、翌日血圧が70台となり、乏尿になった。意識は清明で会話もできた。苦痛はもともとの腰痛で、呼吸困難などはなかった。前日の夕方入院して、点滴で1500ml近く入っていたが、結果的には少なかったのだろう。点滴を150ml/時にして、夕方まで経過をみたが、血圧は80~90mmHgでふだんは100mhg前後とはいえ低下していた。夜電話で病棟の看護師さんに聞くと、朝からの尿量は125mlだった。浮腫や呼吸困難はなく、酸素飽和度も正常域だったので、点滴の速度をそのままにして、症状がある時は連絡するようにお願いした。今朝まで連絡はなかったが。

 前日の尿量は250ml/日と乏尿だった。さすがに3500ml/日以上の点滴が入ったので、全体に浮腫があり、胸部X線で胸水と肺うっ血が認められた。血圧は90mmHg前後だった。さすがに点滴の速度を80ml/日に下げて、ラシックス10mgを静注した。午後1時半で、朝からの尿量が500ml出ていた。やっと利尿がつき始めた。

 整形外科の処方がロルカムとトラムセット(前にセレコックスが出て、さらにロルカムも出ていたらしい)が処方されていたので、感染症としての発熱が数日マスクされていた可能性がある。また腰痛で寝込んでいたこと、最後に疼痛にデカドロン注が入ったことが、悪化に原因になったと思われる。腎機能障害にも影響したはずだ。まあ、圧迫骨折の痛みがひどかったので、その時点での治療としては仕方ないが。

 明日は、臨床微生物学会の感染症学セミナーに行くことにしていて、このまま尿が出なければ行けないかもと思ったが、なんとか行けそうだ。医局で明日(日曜日)日直の先生と会ったので、患者さんのことを話したら、診てくれるという。今晩と明日の朝に電話で尿量と血圧をチェクして、安定していれば出かけよう。日帰りで東京まで往復するのも疲れるが。

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急性腎盂腎炎?、急性胆管炎?

2014年08月22日 | Weblog

 昨日は感染巣で迷った入院が続いた。といってもコモンなもののどれかというほどだが。84歳女性は40℃の高熱で救急搬入された。外科の外来に通院していて、モルヒネを内服していた。重度の熱傷後に植皮手術を受けていて、熱傷自体によるのだろうか、疼痛がひどくてモルヒネが開始されていた。ここのところ2回腸炎の診断で消化器科と外科に入院している。回腸末端から上行結腸にかけて腸管壁が肥厚して、周囲脂織に炎症像があった。憩室炎でもなく、感染性腸炎にしても変だが、それぞれ敬愛して退院している。

 今回は肺炎はなく、CTで見ると腸管壁の炎症はなかった。前回の入院で退院前後から腹痛を訴えていたが、救急室で診察した限りでは、腹痛はないと言い、腹部の圧痛もなかった。もともと肝嚢胞があり、CTで依然と比べて嚢胞内が低濃度と等濃度でまだらになっていて、嚢胞周囲の肝組織がやや高濃度に見えた。放射線科の読影で、肝膿瘍疑いとなった(腎機能障害があって造影できず)。エコーの方がわかるので、さっそく腹部エコーを行たが、単なる嚢胞にしか見えなかった。尿路感染症だろうと導尿して採尿した。肉眼的にはそれほど混濁がないようみ見えたが、尿検査としては膿尿の所見だった。CTで両側腎臓は正常像で腫大も周囲脂肪織の炎症像もなかった。CVA叩打痛もない。意識ははっきりしていて、頸部痛もなく普通に首を回せた。尿路感染症でいいのだろうと判断して、尿培養・血液培養後に抗菌薬を開始した。

 さらに夕方82歳女性が高熱で受診した。この方は先天性胆道拡張症があり、胆管癌で手術を受けていた。当院の検査で総胆管末端のみが嚢状に拡張していて、診断がつかず、胆膵の専門病院に紹介した。胆道鏡検査で胆管癌と診断された。手術は胆管癌が総胆管内を上行性に進展していて、結局肝管空調吻合術になった。その後何度か急性胆管炎を繰り返したが、抗菌薬投与で治癒していた。ここ数年は胆管炎は起こさずに無事に過ごしていた。

 今回も高熱だけで腹痛はなかった。いつも肝機能障害が目立つが、今回はあまり目立たない。尿検査で尿混濁があり、急性腎盂腎炎なのかもしれないと思った。今月初めから腰椎圧迫骨折で整形外科に通院していて、腰痛で動くのがひどい。さらに受診した日は午前中に整形外科を受診して、ロルカム・トラムセットの内服でも痛みがひどく、デカドロン・メチコバールの注射をしていた。CVA叩打痛は判断つかず、CTで腎臓の炎症像もはっきりしない。いつもの急性胆管炎も否定できず、しかし今回は急性腎盂腎炎のほうが疑わしいという診断で入院した。

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脾臓の低形成?

2014年08月20日 | Weblog

 60歳男性が昨日の早朝fに発熱で救急外来を受診した。当直医は外科医だった。白血球増加があり、CRPは陰性だった。細菌感染症の超初期の像なのかもしれない。肺炎・胆道感染症・尿路感染症はなく、NSAIDのみ処方された。日中は自宅で経過をみていたが、その日の当直帯に入ってすぐに再受診した。血圧が70mmHgと敗血症性ショックと思われた。当直医は整形外科医で輸液をして内科の当番医師に連絡した。血液培養後に抗菌薬(メロペン)が開始された。腎機能障害や血小板数減少(10万)もあった。

 今朝には解熱して血圧も100ちょっとに回復していた。点滴スタンドを引っ張って廊下を歩いていた。胸腹部CTで脾臓が有意に小さかったので、担当医が免疫グロブリンを検査するとIgGが低かった。

 以前、脾臓摘出術後の患者さんが外科に入院していて、コンサルトされた。頸椎偽痛風に敗血症を併発して、血液培養から肺炎球菌が検出された。肺炎球菌ワクチンは接種されていなかった(確か脾摘は大学病院で受けた)。NSAID(セレコックス)と抗菌薬(セフトリアキソン)で解熱軽快した。

 今回の患者さんは脾臓摘出後ではない。脾臓低形成というべきなのか(定義はあるのか?)。感染巣の検索として心エコー(経胸壁)を行ったが、疣贅はなかった。脾臓摘出後では、明らかな感染巣を認めないこともあるという話を主治医がしていた。脾臓が小さいといっても、60歳まで無事に過ごしていた。ただし。今月から皮疹があり、皮膚科で類天疱瘡と診断された、プレドニン30mg/日が開始されて、易感染性状態だったことが関係していると推定された。

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