10月12日に診た腸閉塞の85歳男性のその後。
腸閉塞があり、胃切除術・S状結腸切除術の既往があることから術後の癒着性腸閉塞を疑った。心房細動・心臓ペースメーカー植え込み術後だったので、上腸間膜動脈閉塞などの血栓塞栓も疑ったが、CTでは否定的だった。
外科の先生に相談して、当院で対応できない(緊急手術できない)ことから、ペースメーカー植え込み術を行った病院に搬送した。
その患者さんが先週土曜日にしゃっくりが続くという訴えで、救急外来を受診していた。内科日直だった内科の別の先生が診察した。土日の救急外来受診者を一通り確認していて、腸閉塞で搬送した患者さんと気づいた(外科医が紹介状を記載したので当方には連絡がなかった)。
搬送先の病院では、CT画像から横行結腸癌が疑われた。大腸内視鏡検査で横行結腸癌と診断して、狭窄部位にステントを挿入して、腸閉塞を解除していた。
高齢で心臓病があることから、手術は行わない方針になった。患者さんもそのことは説明されて知っている。その後、同院の外来で経過観察となっていた。おそらく病状が進行して入院を要する時は、当院に入院依頼が来るのだろう。
腸閉塞と診断した時に、もっとしっかりCT画像を読影する必要があった。術後ということで癒着性と思い込んで、新規病変の検索をしていなかったことになる。CT画像を見返すと、確かに横行結腸に腫瘤がある。
搬送先の病院でステントを挿入された後の像。これは今月腸閉塞疑いで、心臓病の処方をしているクリニックから当院外科に紹介されて撮影された。腸閉塞と断定するほどではなく、経過観察とされた。その時骨盤底に腫瘤を認めて、播種が疑われていた。(結果的に手術適応はなかったのだった)
先週末のしゃっくりも播種の影響が疑われていた。腸閉塞とは言えないので、安定剤屯用で経過をみてもらうことにしていた。