なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

多発性脳梗塞

2023年12月12日 | 脳梗塞

 12月9日(土)の日中に右半身の不全麻痺で89歳女性が救急外来を受診した。前日からの症状なので、日直の内科医が頭部CTを行うと右後頭葉に梗塞巣が描出された。症状とは合わない。

 頭部MRIで確認すると、両側の小脳と左右の大脳にも多発性脳梗塞を認めた。同時期に発症しているので、心房細動からの心原性脳塞栓症が疑われた。(MRAは年齢の割に動脈硬化が目立たず、きれいだった)

 心電図は正常洞調律だったが、市内の内科クリニックからDOAC(エドキサバン=リクシアナ15mg)が処方されていた。発作性心房細動で治療していたのかもしれない。

 発語はあり、簡単な会話が成り立ったり、成り立たなかったりだった。嚥下評価では飲み込みはできそうということで、嚥下調整食3から開始となった(評価と訓練を兼ねて昼のみから)。

 軽度の腎機能障害があるが、年齢も考慮して管理の面倒なワルファリンよりはということでのエドキサバン15mgだろうか。気持ちはわかるのだった。

 

 この患者さんはCTで肝臓内の多発性腫瘤もあった。トルソー症候群の要素もあるか。

 

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脳梗塞

2023年10月27日 | 脳梗塞

 10月26日(木)に市内の内科医院から、55歳男性が当院の脳神経内科外来(大学病院から応援)に紹介された。 

 内科医院には高血圧症(ARB、Ca拮抗薬)・糖尿病(DPP4阻害薬、メトホルミン)で通院している。10月21日に定期受診した時に、10月8日(日)に右上下肢の麻痺が出現した、という話が出たそうだ。上肢の麻痺は強かったが下肢はそれほどでなく、歩行はできたらしい。

 患者さんの住所は隣町で、当番医であった町内の個人病院を受診した。頭部CTで異常は指摘できず、内服している薬の副作用ではといわれたそうだ。(明らかに半身麻痺なので頭部MRIが検査できる病院へ紹介すべきだった)

 自宅で様子をみているうちに、翌日には上下肢麻痺が軽快(ほぼ消失)していた。良くなったので、連休(9日月曜日は祝日)明けにも受診はしなかった。

 内科医院としては、一過性の半身麻痺でTIA疑いとしての紹介だった。当院で頭部MRIを行うと、左内包後脚に新鮮なラクナ梗塞(拡散強調画像で高信号)が描出された。すでに発症19日目で亜急性期になってしまう。

 脳神経内科医は抗血小板薬2剤(DAPT=クロピドグレルとバイアスピリン)を早速開始していた。80歳くらいの高齢者ならわかるが、55歳がよくそのまま様子をみていたものだと思う。

 

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脳梗塞

2023年10月14日 | 脳梗塞

 10月13日(金)に97歳女性が脳梗塞で入院した。脳幹部の小さな梗塞巣だった。

 住所は隣の市内で、一人暮らしをしている。症状はめまいがして動けないというものだった。一人暮らしなのでふだんはADL自立なのだろう。BPPVのような回転性ではない。

 救急隊から当院に搬入依頼があった。救急担当の先生が急性期病棟に訊くと、いっぱいで無理といわれた。事情を伝えて、おことわりとなった。市内の病院に連絡すると、MRIがないのでMRIをどこかの病院で施行してからなら引き受けるといわれた。地域の基幹病院は当院でMRI撮像をして、所見があれば引き受けるという返事だった。

 また当院に連絡が来て、搬入となった。頭部MRIで延髄の左外側にポチッと脳梗塞を認めた。その時点で病棟に入院できるかまた訊いたところ午前中に退院予定だった患者さんがちょうど帰るところで、引き受けられるという。当院入院となった。

 

 放射線科の読影レポートは、大学病院の遠隔診断と、応援医師2名が直接当院での読影になっている。その日は放射線科医がいて、すぐに読影してくれた。まあ、撮像した放射線技師さんもオーダーした先生も普通に読める。(以前当院の放射線科常勤医だった先生で、定年後(延長を含む)なって、その後は週に2日だけ読影に来ている)

 MRAでみると脳幹部の動脈の狭窄があり、めまいはこの梗塞と椎骨脳底動脈の血流不全の症状でいいのだろう。

 

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脳梗塞

2023年10月03日 | 脳梗塞

 10月1日(日)の日直の時、午後2時ごろに83歳女性が救急外来を受診した。

 当初は転倒して、左大腿部を打撲してそれから歩けなくなったという話だった。ところが実際は、立位で農作業をしている時に、急に左下肢の脱力が生じたということなのだった。

 意識は清明で、普通に会話できて認知症はなさそうだ。左上肢の脱力はなかった。腰痛はない。左大腿に疼痛・圧痛はなく、整形外科の問題ではなく、脳の問題だった。

 頭部MRIで左大脳の皮質に罹る病変を認めた。確かにこの病変だと下肢>>>上肢の症状が出てもおかしくないか。

 急な脱力で脳梗塞としては合わないかと思われたが、FLAIRでも病変は写っていて、脱力を生じた時よりも前に脳梗塞は発症していたはずだ。

 隣町の内科医院から高脂血症の処方を受けているが、抗血栓薬の処方はない。心電図は正常洞調律で心房細動はなかった。MRAで明らかな脳動脈の閉塞は指摘できない。

 入院してもらって、抗血小板薬(DAPT)とエダラボンで治療を開始した。本人と家族には入院後の症状の進行がありえること、1週間経過をみないと症状が確定できないことを伝えた。

 

 

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