なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

成人の水痘

2024年05月31日 | 皮膚疾患

 5月27日(月)に発熱・発疹の29歳男性が受診した。水痘らしい。

 5月25日(土)から発熱(38℃)があり、頭痛・倦怠感もあった。患者さん本人が発疹(紅斑散在くらいか)に気づいていた。

 26日(日)当番医を受診して、新型コロナの迅速検査が行われて陰性だった。患者さんが発疹の話をしなかったのか、発熱があるので迅速検査だけ行って解熱薬を処方したのかもしれない。

 27日は当院でもまず発熱外来扱いになるので、新型コロナとインフルエンザの迅速検査から始まった。両者陰性で内科外来受診になったが、発疹があるので皮膚科外来に回された。

 顔・体幹・四肢に紅暈を伴う小水疱が散在していて、水痘と判断された。血液検査では白血球は正常域でCRP2,0と軽度に上昇していたが、肝機能・腎機能は正常だった。

 水痘・帯状疱疹ウイルスvaricella-zoster virus(VZV)のIgMとIgGの外注検査を提出して、ファムシクロビルが処方された。(最近皮膚科医はアメナメビルを処方しているようだが)

 

 皮膚科医に成人の水痘がいたそうですね、と訊いた。VZV迅速検査(デルマクイックVZV)が出ているが、院内に入れていないということだった。

 また白癬菌の抗原キットも出ているが、さすがに白癬菌は鏡検でしょう、ともいっていた。

 

 マルホから、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原キット(デルマクイックVZV)単純ヘルペスウイルスキット(デルマクイックHSV)白癬菌抗原キット(デルマクイック爪白癬)が出ている。「デルマクイック」というのはうまいネーミングだと思う。

 

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肝膿瘍

2024年05月30日 | 消化器疾患

 5月28日(火)にリハビリ病棟に入院している82歳女性が急に39℃の発熱を呈した。

 3月29日に脳出血(左後頭葉)が発症して地域の基幹病院に入院した。4月11日には当院にリハビリ目的で転院してきたが、まだ出血は残っていた。(経過は左→右)

 

 リハビリを開始して、特に問題なく経過していたので、担当医は「青天の霹靂」と表現していた。発熱以外の症状には乏しかった。肺炎疑いで胸部CTを行うと、肺炎はなく、思いがけず肝臓に低濃度の病変があった。白血球13600・CRP13.3と炎症反応が上昇していたが、肝機能は正常域だった。

 胸腹部造影CTを行うと、右葉後区(S7・S8)に肝膿瘍を認めた。胆道系の異常は認めない。

 どうしましょうかと相談された。抗菌薬投与でいけるのかもしれないが、基本的には肝膿瘍の治療はドレナージになる。

 その先生は以前別の肝膿瘍の患者さんを基幹病院に紹介していた。今回は肝臓担当の先生が退職してしまった関係で、受けられませんということだった。結局、消化器病センターのある病院に連絡して転院となった。

 

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腰椎圧迫骨折

2024年05月29日 | 整形外科疾患

 5月27日(月)、整形外科に2名の入院があった。ひとりは施設入所中の84歳女性で左大腿骨転子部骨折だった。右大腿骨転子部骨折の手術歴があり、こちらは通常の?入院だった。

 もうひとりは78歳女性で腰椎圧迫骨折だが、問題があった。4月から腰痛で歩行できなくなった。特に転倒・打撲がきっかけではないらしい。当初は自宅内で這って動いていたが、しだいに動けなくなった。

 先週末の金曜日に地域の基幹病院を受診して、救急科で対応していた。画像では4箇所の腰椎圧迫骨折があり、少しずつ増加していたと思われた。

 家族の話ではアルコール依存ということだったが、肝機能検査からみると最近は飲めなくなっているようだ。2か月近く入浴もできず、家族は夫と息子なので排泄の始末ができず、相当な不衛生状態が続いていた。

 基幹病院としては入院の適応なしと判断されて帰宅となったが、動けないことに加えて食事摂取も難しくなっていた。26日日曜日の深夜に家族が当院に連絡してきた。看護師が受けて、月曜日の朝に地域医療連携室から連絡を入れることになった。

 基幹病院から診療情報提供書をFAXで送ってもらい、当院への紹介という形にした。疾患としては腰椎圧迫骨折なので整形外科が担当にはなるが、サルコペニア状態に関しては内科が入ることになる。

 治療というよりは介護・看護の問題が大きい。どこまで改善できるかわからないが、まずシャワーからスタートという当院向きの患者さんではあり、できるだけ手をかけてやってみることになった(福祉サービスの手続きも始める)。

 

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消化管穿孔・急性腹膜炎

2024年05月28日 | 消化器疾患

 5月26日(日)の当直は小児科医だった。翌27日の午前7時過ぎに、前日からの腹痛が続く、71歳男性が救急搬入された。おそらく日勤帯で内科に引き継ぐ心積もりだったのだろう。

 前日の夕食後(午後7時ごろ)に急に上腹部~臍部痛が生じて、症状が続いていた。一晩我慢して月曜日の朝になってからの救急要請だった。

 診察では筋性防御ありと記載していたので腹膜炎と判断されたようだ。腹部単純X線(立位・臥位)を撮影して、血液検査の結果が出たところで、月曜日の午前中の救急当番だった内科医に申し送りとなった。

 腹部単純X線では明らかなfree airを指摘できない。腹部CT(単純で入れたが、造影も追加)を行うと、free airを指摘できた。中等量の腹水貯留もあった。

 胃潰瘍の既往がある方だったが、胃穿孔はよくわからなかった。当院は現在外科常勤医は不在なので搬送になる。一番近い地域の基幹病院外科で受けてくれたので、すぐに搬送できてよかった。

 おそらく予定手術が入っているところに、緊急手術が入るので大変だと思うが、夜間よりはいい?。それにしても患者さんはよく一晩我慢したものだ。

 

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十二指腸潰瘍

2024年05月27日 | 消化器疾患

 先週の5月22日(水)に消化器科医が内視鏡的胃瘻造設術(PEG)をする予定だった。お手伝いを依頼されていて、午後2時ごろをいわれていた。

 その日は病棟の多職種カンファランスとICTのラウンドもあり、リハビリ病棟での思いがけないお見舞いの家族の低血糖発作もあった。そういえば胃瘻造設で呼ばれないと思っていたが、中止になっていたのだった。

 

 患者さんは88歳女性で、4月初めに著しい低ナトリウム血症(100)と判明して、担当した内科の若い先生が大学病院に搬送した方だった。大学病院での治療後に、当院に転院していた。

 食事摂取が進まず胃瘻造設が予定されたが、前日の血液検査でHb5.9g/dl(MCV94.7)と貧血があることがわかった。吐血下血はなかった。

 急遽貧血精査の上部消化管内視鏡検査が行われて、十二指腸潰瘍(A2)を認めた。検査した時は明らかな出血はなかったので処置は不要だった。

 4月9日大学病院搬送時のHbは12.1g/dLと年齢的にはほぼ正常域だった。4月23日大学病院病院から転院してきた時にHb9.2g/dLと(後から見ると)すでに低下していた。

 5月の連休明けに行った下肢エコーで軽度の深部静脈血栓症が疑われた。造影CTを行って、下肢の深部静脈血栓症が確認されたが、肺血栓塞栓症は(CTでわかる範囲では)なかった。そこでDOAC(エドキサバン)が開始された。

 これも後で見るとだが、CTで十二指腸球部から下行脚にかけて壁肥厚があるようだ。大学病院入院時から十二指腸潰瘍があり、にじむような出血はあったのだろう。そこにDOACが処方されたので出血が進行した、という経緯のようだ。

 P-CAB(タケキャブ)内服が開始されて、輸血(濃厚赤血球4単位を2日間)も行われて、今週はHb14.4g/dLと正常(より上昇?)だった。

 

 十二指腸潰瘍の治療が開始されて、貧血が改善すると、食事摂取できるようになった。胃瘻造設は不要となるようだ。

 

 

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低血糖(血糖20mg/dL)

2024年05月26日 | 糖尿病

 5月22日(水)の午後3時からICT(感染管理チーム)のラウンドをしていた。ICTラウンドは、毎週水曜の一つの項目だけを確認する短いラウンドと、月1回第3木曜日の感染症専門医が来た時の院内の各部署を詳しく見るラウンドがある。

 その日は点滴台のチェックをしていた。最後はリハビリ病棟だった。ラウンドが終わって引き上げようとすると、看護師長さんが患者さんをストレッチャーに乗せてナースステーションに運び込んだ。

 「低血糖です」という。てっきり入院の患者さんかと思ったが、そうではなかった。入院している母親の面会に来た50歳男性だった。

 

 名前を聞いてすぐに思い出した。1型糖尿病で以前は当院に通院していた患者さんだった。血糖コントロール不良と低血糖などで10回くらい入院している。内科の別の先生(人情派)が苦労して診ていた。最後は10年ちょっと前で、外科に入院して下肢の切断術(壊疽が治らなかった)を受けていた。

 現在は地域の基幹病院の糖尿病科に通院して、インスリン強化療法を受けている。昨年12月にも当院に低血糖で救急搬入されていた。ブドウ糖点滴静注+静注ですぐに回復して、帰宅している。

 

 今回も血糖20mg/dLと低下していて、最初はしゃべっていたが、すぐに傾眠となり内服はできなくなった。グルコース入りの点滴を入れて、50%グルコース20mLを静注すると、すぐにしっかり開眼して普通にしゃべり出した。もともと饒舌な方なので、分かりやすい。

 その後、外来の処置室に移動して、30分後、1時間後と血糖を測定した。売店で購入した軽食(パンと飲み物)をとってもらって帰宅とした。

 

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自信の持てないPMR疑い

2024年05月25日 | リウマチ膠原病

 3月31日に記載した83歳女性のその後。右大腿骨頸部骨折の保存的治療となり、当院リハビリ病棟に転院してきた。

 1型糖尿病があり、内科で血糖コントロールをすることになった。Cペプチドは測定感度以下で枯渇していて、抗GAD抗体は陰性だった。

 

 この患者さんは1型糖尿病以外にも問題があった。先方の病院の退院近くから軽度の炎症反応上昇が続いていた。(先方では整形外科ということもあり、気にされていなかった)

 CRP5前後で白血球数は正常域にある。入院後に何度か再検しても同様だった。CRPは5~8mg/dL台で推移していた。体温は平熱から37.2℃くらいの間にある。

 肺炎、尿路感染症、胆道感染症などの感染症は否定的で、血液培養2セットは陰性だった。膠原病のマーカーも特に異常値を呈するものはなかった。血沈が100近くに上昇していた。M蛋白は検出されない。

 もともと自宅でもぼとんど動かない方だそうだ。今回は右大腿骨頸部骨折があり、亀背で常に左側臥位になっているが、自分で右側臥位にもなる。それでも動かされる時に右下肢以外も痛がります、ということだった。

 リウマチ性多発筋痛症(PMR)疑いとして診察を繰り返したが、診察上は確診が持てなかった。痛いといったり、痛くないといったり、自覚症状・他覚症状の判断がつかない。

 

 たまたま37.5℃くらいの発熱があった時に、内科の別の先生(偉い先生)が診て、血液・尿検査と画像検査をオーダーしていた。単純に肺炎か尿路感染症かと思ったらしい。その後は何もいわれなかったので、これまでに経過をみたらしい。

 通常ならばプレドニン15mg/日で診断的治療を試みる。しかし何しろ、1型糖尿病で血糖が不安定で糖尿病専門医がいる病院で手術をやめた人だ。 

 ずっと診断的治療を躊躇っていたが、そろそろ自宅退院を考慮する時期になってきた。ある程度の決着をつける必要があり、プレドニン10mg/日を開始してみた。

 血糖は持効型インスリンを少量増量しただけで、今のところあまり変わらないようだ。病棟看護師さんの話では、動かしたときの痛がり方が軽快しているという。炎症反応は軽減してきた。もう少しプレドニンで経過をみることにした。

 

 (3月31日の記載)

 3月27日(水)に右大腿骨頸部骨折の83歳女性が地域の基幹病院から転院してきた。先方の整形外科から当院の整形外科への紹介だが、骨折は保存的治療となっていた(整形外科としてはあまりやることはない?)。

 1型糖尿病で先方の病院の糖尿病科に通院している。インスリン強化療法をしているが、それでも血糖の上下が極端だった。内科に血糖コントロールを依頼された。

 経過は2月13日から発熱があり、翌日にCOVID-19と診断された。その後、自宅で転倒骨折が起きたが、受診を控えていた(受けてもらえなかった?)。隔離解除の2月下旬になって、病院に連絡して、2月28日に入院となった。

 当初は手術を予定していたそうだ。しかし、血糖が40~600mg/dl以上と変動していたこと、もともとのADLが自宅でやっとトイレに行くことから、保存的治療となった。

 

 問題の1型糖尿病は2017年に発症していること、自己インスリン分泌能が高度に低下していわゆるブリットルな血糖変動、と記載されていた。食事量も不安定なので、食後に超速効型を使用していた。

 76歳の1型糖尿病というのは何だろうか。1型は急性発症、緩徐進行型、劇症とあるが、どれに相当するのか。本人に訊いても、若い時は糖尿病がなかったらしい、ということしかわからない。発症の経緯も、どこの医療機関を受診してきたかも覚えていないという。

 可能性としては緩徐進行型で、インスリン依存状態になってから受診して、糖尿病専門医へ紹介されたということではないか。

 息子と二人暮らしだが、日中は一人になる。昼のインスリン注射はヘルパーさんの手助けでしているという。単位だけ合わせて本人に手渡すのだろうが、押す力がないと注射できない。本人の手を添えてヘルパーさんが押しているのかもしれない。

 抗GAD抗体と血中Cペプチド測定を外注で提出した。

 

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全身浮腫その後

2024年05月24日 | 腎疾患

 5月23日(木)病棟で電子カルテを見ていると、「お世話になりました」と患者さんが病棟看護師さんに挨拶して退院するところだった。

 4月19日に記載した全身浮腫の患者さんだった。4月17日に40歳代後半の女性が当院内科外来を受診したが、全身浮腫で著しい腎機能障害(血清クレアチニン9.59mg/dL)を認めた。

 市内の内科医院に糖尿病で通院していて、HbA1c8.4%と血糖コントロールは良くないが、血清クレアチニンは1mg/dL程度(尿蛋白は3+)だった。急性上気道炎症状(咽頭痛)や下痢が続いていたことが、急性増悪のきっかけになったと考えられた。

 利尿薬の投与では無理と判断されて、カテーテルを挿入して緊急透析となった。その後、地域の基幹病院血管外科の先生に依頼して透析用のシャント造設が行われた。3日間転院となって造設後はすぐに当院に戻った。

 今週からシャントを使用しての透析となり、カテーテルは抜去された。

 

 ちょうど担当していた腎臓内科の若い先生がいて、経緯を教えてくれた。入院した時は助かるかどうかという病状だったが、うまくいってよかったという。基幹病院との連携もうまくいっていて、最近は血管外科の先生といい関係ができているという。

 透析のシャントは造設後2週間は使用できないそうで、今週やっと使用できるようになり、維持透析の見込みがついたので退院になったのだった。

 入院時にASO高値が見られて溶連菌感染が関与したかもしれないこと、下痢が続いていて腎前性の要素があったことはわかるが、緊急透析で腎機能が戻るかもしれないという期待は外れたといっていた。(胸部X線は左が4月17日、右が5月20日)

 

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浮腫の下腿蜂窩織炎

2024年05月23日 | 皮膚疾患

 5月2日に記載した完全房室ブロックの95歳女性のその後。5月21日に入所している施設から、左下肢の浮腫がひどいので診てほしいと依頼が内科外来に入った。

 うっ血性心不全で両下肢の浮腫はあるはずだが、左下肢だけというのは何だろうか。心不全の増悪ではなく、深部静脈血栓症か。

 施設で救急要請して、救急隊から37.4℃の発熱の発熱があると報告があった。微熱では何ともいえない。

 搬入されると、すぐに左下腿の蜂窩織炎と分かった。一部が自壊して膿が出ていた。下腿前面が中心だが、発赤はほぼ全周性だった。中心の7~8cmがぷよぷよして、膿瘍があるかと思われた(もっと液体っぽかったが)。

 一通り検査して、心不全の悪化や肺炎・尿路感染症など他の感染症は否定的だった。蜂窩織炎でいいようだ。ただし、液体貯留は膿?。皮膚科医が注射器に針を付けて穿刺すると、軽度に膿性のさらさらした液体だった。膿瘍形成というよりは、浮腫のある下腿なのでこんな形になったらしい。

 動いてしまうのでMRIは撮れない。CTで診て筋層への進展はなく、ガス発生などもなかった。

 穿刺液と血液培養2セット(静脈が細すぎて、2セットとも動脈から採取)と提出して、抗菌薬を開始した。壊死性皮膚軟部組織感染症になると困るが、翌日の様子では大丈夫のようだ。

 

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急性胆嚢炎

2024年05月22日 | 消化器疾患

 5月18日(土)当直の時に、翌19日(日)午前4時過ぎに病棟から連絡が入った。入院している82歳男性が腹痛を訴えているとう。

 

 患者さんは娘と二人暮らしで、隣りの市内に居住している。4月26日に自宅の庭で倒れているところを隣人が発見して、救急要請していた。娘さんは日中仕事で、自宅に患者さん一人になる。認知力低下とADL低下はあるが、何とか自宅で生活できるというくらいだった。

 救急隊から39℃の発熱があると報告があった。左前額部と頬部に擦過傷があり、左手背の皮膚が広範にめくれていた。頭部CTは異常なし(脳委縮と陳旧性ラクナ梗塞のみ)。

 コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性で、発熱の原因は軽度の肺炎と診断された。その日救急外来を診ていた外科医(大学病院からバイト)から、その時間の内科当番の当方に連絡がきた。

 肺炎は抗菌薬1週間投与で解熱軽快した。ADLが低下したので、リハビリのため入院継続となった。しかし座位になっただけでももともと100mmHgの血圧が70mmHgまで低下して、意識が低下してしまう。(横臥すると回復)

 リハビリの目標を下げて、座位を長く保つことと、介助で車椅子移乗できることにしていた。在宅介護が困難であれば施設入所も考慮となった。

 

 今回の症状は、18日午後11時ごろに臍周囲の痛みを訴えた。夜間だし、指示のアセトアミノフェン500mgを内服させると軽快したそうだ。翌19日の午前4時にまた腹痛の訴えがあり、それで連絡したという経緯だった。

 痛みは右季肋部痛になっているという。胆嚢結石があるのは知っていた。アセトアミノフェン1000mgの点滴にしてもらった。内臓痛→体性痛の経過か。

 午前中に胸腹部CTを行うと、胆嚢が腫大して、周囲に軽度の腹水貯留があった。胆道系の拡張はなかった。白血球11000・CRP1.6と炎症の初期像だった。肝機能障害は軽度だった。(時間外は検査技師が不在で簡易検査法になる)

 胆嚢結石・急性胆嚢炎として抗菌薬(PIPC/TAZ)と点滴を開始した。胆嚢結石は一度でも胆嚢炎を起こせば手術適応になったしまう。

 娘さんは仕事でか電話に出なかったので、午後から病棟看護師さんにまた電話してもらうことにした。「胆嚢結石があり、今回急性胆嚢炎を来したこと。当院は外科手術ができないので、保存的治療に反応しない時は搬送になること」を伝えてつたもらった。

 その日の午後から高熱が出ていた。アセトアミノフェン使用で20日朝は37.2℃で、腹痛は自制可(ぼーっとしているので正確につかめないが)ではあった。

 白血球19200・CRP16.8とぐっと上昇したのは想定していたが、AST 967・ALT 583・LDH 420・ALP 318・γ-GTP 112・総ビリルビン4.2(血清アミラーゼは正常域)と思いがけない高値になっていた。胆道系酵素より肝細胞性障害が目立つが、ビリルビンも上昇している。総胆管結石もある可能性があるが、胆嚢の炎症自体が重度なのか。(発症早期からの腹水が嫌な感じ)

 

 地域の基幹病院外科に連絡して、事情をお伝えした。受けれもらえたので、救急搬送させてもらった。造影CTで確認してからとも思ったが、すぐに搬送とした。自宅から直接先方の病院に行く方が近いので、娘さんには当院に来ないで直接行ってもらうことした。

 

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