なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

外来治療で軽快した肺炎

2023年03月31日 | Weblog

 先週の木曜日のお昼に、地域医療連携室から診療情報提供書を持ってきた患者さんを診てほしいと依頼された。

 非結核性抗酸菌症(NTM)疑いで、呼吸器科外来で年1回のフォローをしている88歳男性だった。次回の予約は8月に入っている。

 火曜日にデイサービスに行っていて、昼食の時にむせがあり、その後に夕方から夜間にかけて発熱・湿性咳嗽があった。

 地域の基幹病院にも昨年誤嚥性肺炎で入院しているので、そちらを受診していた。血液検査と胸部X線・CTが行われて、明らかな肺炎像はないが、誤嚥性肺炎が疑われるとして、内服の抗菌薬が処方されていた(ジェニナック=ガレノキサシン))。

 水曜日の午前中に呼吸器内科の外来を受診して、解熱して食事もとれることから、そのまま外来治療となった。後はNTM疑いで診ている(年1回だが)当院で治療継続をお願いします、紹介されたのだった。

 

 この患者さんは2016年に血痰で、腰痛で通院している整形外科クリニックから当院の呼吸器科外来(大学病院から)に初回された。右肺下葉背側に限局性の浸潤影があった。両側肺野に粒状影も散在もあった。経過をみているうちに、浸潤影も軽快して血痰も消失して、終了となった。

 2018年に胸部X線で少量の右胸水貯留があり、市内の内科クリニックから呼吸器科外来に紹介された。右胸水とともに、両側肺野の粒状影・線状影もあった。

 抗酸菌検査は塗抹も培養も陰性だった。非結核性抗酸菌症(NTM)疑いで外来フォローとなった。(胸水貯留はNTMとしてどうなのか)昨年8月の胸部CTでは、右胸水が少し増量していたが、肺野の陰影は変わらず。そのまま1年後フォローとなっていた。

 今回の先方の胸部CTをみると、右下肺野背側に浸潤影がある。2016年に最初に受診して、自然に軽快した時と同じような陰影だった。

 紹介で外来を受診した時は解熱してふだんと変わりなかった。先方で3日分処方されたジェニナックを追加して、1週間後再検査とした。胸部単純X線だけだが、夜間受診より陰影は軽快して、炎症反応上昇もほぼ陰性化していた。

 今回の誤嚥性肺炎は治癒として、変わりなければ8月の予約日(NTM疑いフォロー)に受診してもらう。ただ、NTM疑いで診ているので、ジェニナック(ニューキノロン)は好ましくなかったかもしれない。(オグサワが良かったか)

 

 一昨年と昨年はそれぞれ2回当院に入院して、昨年は基幹病院に1回入院している。今年は外来治療から始まったが、肺炎で何回入院するだろうか。

 

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来院時心肺停止

2023年03月30日 | Weblog

 火曜日の午前は救急当番だった。市内の救急隊から心肺停止の88歳女性の搬入依頼が来た。

 ひとり暮らしで、訪問した家族が発見して救急要請している。(生存確認できるのは前日午後7時)夜間か早朝に亡くなっているので、蘇生は到底できないと思われた。

 救急隊はラリンゲルチューブ挿入と自動心マッサージ器を装着していた。点滴を試みたが入らなかったそうだ(搬入後に看護師さんが手背からすぐに入れた)。

 

 その日は通院している内科医院を受診するので、午前8時に別居の息子さんが自宅を訪問した。読んでも返事がなく、自室ベットで布団をかけた状態で横になっていた。

 その時呼吸していたかどうかは確認していないので、後から訊かれてもわからないそうだ。寝ているものと思って、そのままにしていた。

 午前9時半にまた声をかけたが、反応がなかった。呼吸していないのに気付いたというよりは、びっくりして救急要請したという経緯だった。

 救急隊到着時から心静止で、それは変わらなかった。心肺停止状態、両側瞳孔散大・対光反射消失で、布団の中にいたはずだが、すでに身体は冷たくなっている。

 心肺蘇生・薬物投与でも全く反応はなかった。途中で息子さんに状態を説明すると、無理に続けなくてもいいです、といわれた。既定の時間継続してから、死亡確認を行った。

 

 Autopsy imagingを行った。(今どきなので、心肺停止から死亡された時はコロナの検査で確認する=陰性だった。)頭部CTでは頭蓋内出血はなかった。

 胸腹部CTでは両側肺に胸水貯留と肺うっ血・水腫がある。亡くなってもおかしくない所見だった。慢性心不全の急性増悪なのだろうか。

 普段から労作時には息切れがあったそうだ。医院で心不全といわれていたかはわからないそうだ。冠動脈の石灰化は思ったより目立たず、そもそも心筋梗塞があったかは画像ではわからない。

 

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サイトメガロウイルス感染症

2023年03月29日 | Weblog

 1週間前から37℃台の発熱が続き、全身の皮疹を伴った30歳女性が3月15日に入院した。入院治療は内科新患で患者さんを診た、内科の若い先生が担当した。

 

 発症5日目に内科医院を受診した。血液検査では白血球7000・CRP2.7と軽度の上昇があった。溶連菌感染疑いとして、セフェム系第3世代経口薬が処方されていた。

 

 当院受診時は体温38℃台で、頭痛・関節痛があり、食欲低下もあって入院を希望された。咽頭痛の訴えはない。内科の若い先生が担当となった。

 白血球5300・CRP3.7で炎症反応の程度は同じだった。AST 61・ALT 83・ALP 72・γ-GTP 89と軽度の肝機能障害もあった。HBs抗原・HCV抗体は陰性。

 外注検査は、EBウイルスはVCA-IgG陽性・EBNA陽性で既感染、サイトメガロウイルスはIgG抗体陰性・IgM抗体陽性と出た。サイトメガロウイルス感染症だった。

 教科書的には、サイトメガロウイルス感染は、EBウイルスより10歳くらい上の30~40歳代で、咽頭痛はあまり目立たない。診断がついてしまえば、特徴に合致しているのだった。

 肝機能障害がいったん上昇して、入院6日目にはAST 286・ALT 357・ALP 104・γ-GTP 131となっていたが、発熱は微熱となり、炎症反応は下がって来ていた。

 食欲不振ということだったが、入院後は完食だった。退院して外来フォローになったが、1回か2回受診して終診になるだろう。

 

 自治医大卒の若い先生は、4月から内科専門医のホスト病院に移動することになった。(義務年限はあと2年あるそうだ)

 

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尿カテーテル抜去後に高熱

2023年03月28日 | Weblog

 脳神経内科の外来に脊髄小脳変性症で通院していた87歳は、昨年末にCOVID-19に罹患して入院した。

 感染病棟入院中から経口摂取は難しかった。隔離期間が解除となって、一般病棟に転棟してから聴覚言語療法士(ST)が介入して嚥下訓練を行ったが、やはり経口摂取は難しかった。誤嚥性肺炎で治療もしたが、経口摂取しなければ、喀痰吸引はほとんど不要だった。

 四肢をかなり動かすので、内頚静脈の穿刺を断念して、大腿静脈からCVカテーテルを入れて高カロリー輸液を行っていた。1か月は安定していたが、カテーテル関連血流感染を来した。血液培養2セットからMRSAが検出された。バンコマイシン投与で軽快・治癒した。

 内頚静脈からの穿刺も考慮したが、やはり穿刺時に抑えるのが難しいだろうということで、やむを得ず反対側の大腿静脈からCVカテーテルを挿入した。またカテーテル関連血流感染を来して、今度はMRSEが検出された。またバンコマイシンを投与した。

 PICCを行っている先生もいるので、依頼することも考えた。最終的には、胃瘻造設による経管栄養を行った方がいいだろうと判断した。胃瘻造設も経管栄養も問題なく施行できた。

 家族は妻と娘さんだが、在宅で介護は困難なので、療養型病床のある病院への転院を手配して、最終的には施設入所の方針となった。

 

 大腿静脈からのCVカテーテル穿刺だったので、尿カテーテルを留置していた。抜去しても自尿はあるので、経管栄養が上手くいった段階で抜去した(もっと早期に抜去すべきだったか)。

 すると翌日に高熱と悪寒・戦慄が生じた。酸素飽和度の低下はなかったが、血圧が一時低下して(60台)、急速輸液(1000mlで血圧80~100mmHgで、1500mlで100mmHg台へ)を要した。

 導尿で白色~黄白色の膿尿が採取されて、尿路感染症(敗血症性ショック相当)による症状だった。尿カテーテルは異物なので、自尿があれば本来は抜去が好ましいが、残尿が多く、むしろ尿カテーテル留置の方がドレナージが効いて効果的だった。

 以前に提出した尿培養の結果は緑膿菌・大腸菌だった。院内感染でSPACEカバー(尿路感染なので嫌気性菌カバーは不要)を要するので、第4世代セフェム(当院はセフォゾプラン)で治療を開始して、翌日には解熱して血圧も通常通りとなった。

 経管栄養を再開して、抗菌薬だけ点滴静注としていけそうだ。(末梢血管が細くて看護師泣かせの患者さん)

 

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すごい急性硬膜下血腫

2023年03月27日 | Weblog

 先週の木曜日に医療センターから急性硬膜下血腫術後の74歳男性が転院してきた。内科の別の先生が担当だが、転院した時から発熱があり、誤嚥性肺炎の治療が開始されていた。

 発症は昨年10月だったが、術後に脳梗塞の併発や意識障害の遷延があり、長期の入院になっていたようだ。経鼻胃管からの経管栄養を受けていた。

 

 発症の前日と5日前に頭部打撲していた。意識レベル低下と嘔吐で発症して、翌日に地域の基幹病院に救急搬入されたが、さらに医療センターへ搬送されていた。

 重症で対応が難しいと判断されたようだ。発症時の頭部CT画像も送られてきていて、確かにこれは大変だった。脳実質内に出血が及んでいて、クモ膜下出血にもなっている。病側の腫脹と健側への圧排も目立つ。

 脳ヘルニアかによる右後大脳動脈圧迫のため脳梗塞を来していた。さらに点状の高信号域が散在して、びまん性軸索損傷と判断されていた。

 直近の頭部CTは右後頭葉の脳梗塞があるが、発症時の画像に比べると、落ち着いている?ように見える。

 

 基幹病院はかなりの対応ができるが、すぐにさらなる高次医療機関に転送した大変な症例ということで、画像を確認させてもらった。誤嚥性肺炎が治癒したら、内視鏡的胃瘻造設術(PEG)で消化器科医といっしょに関わるかもしれない。

 

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奇異性脳塞栓症

2023年03月26日 | Weblog

 脳神経内科が閉科になるので、外来で診ていた患者さんたちが他院や当院の他の外来に割り振られている。4月初旬の当方の外来に知らない名前があり、確認すると脳神経内科からの依頼だった。

 現在は71歳の女性で、2019年に67歳の時に脳梗塞を発症していた。めまいを訴えて救急搬入されていた。当時いた外科医が救急当番で対応している。

 症状としては右半身不全麻痺と構語障害が一時的に生じたが、搬入時は消失していたらしい。頭部MRIで出血も梗塞も認めなかったが、MRAで左大脳動脈が閉塞していた(M1)。心房細動はなかった。

 脳神経内科に相談されて、入院治療を勧められたが、症状が軽快(消失?)したことから入院を嫌がった。抗血小板薬が処方されて帰宅(外来治療へ)となった。

 発症したのが、午後2時頃で搬入されたのが午後3時過ぎだった。拡散強調画像でもまだ出ないかもしれない。ただ症状は軽快していた。アテローム血栓性脳動脈硬化があり、バイパスからの血流が低下して一時的にTIA様になったと判断したのだろうか。

 その日の午後7時過ぎに右不全半身麻痺と構語障害が出現して、地域の基幹病院に救急搬入された。今度は症状が継続して、頭部MRIで左被殻から放線冠にかけて脳梗塞を認めたため入院となった。

 入院後の頭部MRI再検で左中大脳動脈の末梢への血流が出現していた(狭窄はある)。症状も搬入時よりは軽減したが、脳梗塞巣は残った。

 脳梗塞の機序として脳塞栓症が考えられたが、心房細動はない。下肢静脈エコーで深部静脈血栓症があり、心エコーで卵円孔開存(右左シャント)を認めて、奇異性脳梗塞症と診断された。抗血栓療法は抗凝固薬(DOAC)が選択された。

 急性期の治療後に、当院回復期リハビリ病棟に転院して、リハビリ後に外来治療継続となっていた。昨年の頭部MRIを見ると、脳梗塞巣は縮小して(経時的変化?)、左中大脳動脈の血流はさらに改善しているようだ。

 中大脳動脈に血栓が詰まったが、血栓が流れて、穿通枝レベルの動脈閉塞に留まった、ということなのだろう。(現在、MMT4/5の不全麻痺で歩行できる)

 地域の基幹病院でも昨年から脳血管内治療が始まった。脳血管障害の急性期は、専門医のそろった医療機関で扱ってもらう必要がある。

 

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インフルエンザでした

2023年03月25日 | Weblog

 病院の検査技師さん(技師長)が水曜日に発熱外来を受診した。前日の夕方から腰痛と発熱(38℃台)があり、頭痛・鼻汁もあった。

 自分でコロナの抗原検査を行ったが、陰性だったそうだ。コロナのワクチンは昨年12月にも受けていた。病院職員ということで、コロナのPCR検査を行った。1時間ちょっとかかって結果は陰性だった。

 現在は県外への移動なども訊かなくなっていたが、訊いてみると週末に親戚の法事で関東に出かけていた。インフルエンザは?という話になり、インフルエンザ迅速試験を行うと、普通にA型陽性と出た。

 

 今年はインフルエンザも流行するといわれていて、確かに昨年一昨年度はほとんど見られなかったが、今年度は時々見かける。それでも小児科での検出が多く、内科(大人)ではたまにいるくらいだった。

 技師さんは「関東に出かけてインフルエンザをもらってきた人」、ということになった。インフルエンザの予防接種は当然病院で受けている。インフルエンザ予防接種は感染予防効果が低いのだった。

 

 宮沢 孝幸先生(獣医学者、京都大学医生物学研究所准教授)の本によると、mRNAワクチンは免疫細胞以外の細胞でも抗体を産生してしまう。そうなると抗体を表出した時に免疫細胞から攻撃を受ける。(自己免疫性疾患のようになる)

 またmRNAワクチンで産生されるのは一番変異するスパイク蛋白に対する抗体なので、変異すると効かなくなってしまう

 mRNAワクチンは製造が容易なので、他のウイルスに対するワクチンもmRNAワクチンで製造するようになるかも、という話も出ていたが、どうもそうはいかないらしい。(コロナとインフルエンザに対するmRNA2価ワクチンをつくればいいという話になっていた)

 むしろコロナに対する不活化ワクチンの方が結果的には優秀(安全)、ということになるのかもしれない。(ジオノギで製造している)

 ウイルス学者の絶望 (宝島社新書)

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超高齢者の急性心不全

2023年03月24日 | Weblog

 水曜日の午前11時に、施設入所中の90歳男性が救急搬入された。午前9時ごろに意識レベルが低下して、血圧が低下した(70~80mmHg)。ふだんは自力歩行できる方だった。

 救急当番の外科医(大学病院から)が対応した。搬入時、会話は可能だった。血圧97/76mmHg(その後も100前後)で、酸素飽和度が89%(室内気)と低下している。

 胸部X線・CTで心拡大と肺水腫~うっ血と胸水を認めた。急性心不全(慢性心不全の急性増悪)の所見だった。心電図は心房細動(やや頻脈)で完全右脚ブロックがあり、ST上昇は指摘し難い。(BNP 559.0pg/ml)

 心エコー検査ではEF 60%と良く、AR・MRが中等度に認められた。その日の内科入院係の腎臓内科の若い先生に連絡がいって、心不全で入院となった。90歳という超高齢で、循環器内科への搬送にはしなかった。

 利尿薬の投与で治療が開始された。病棟の入院して、利尿がつくかと思われたが、午後4時過ぎに心肺停止となってしまった。急だったので心肺蘇生が行われたが、反応はなく、そのまま死亡確認となった。

 循環器内科に搬送していたら、違った結果になったのだろうか。

 

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コロナの薬は高額

2023年03月23日 | Weblog

 連休明けの5月8日から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は5類感染症に移行する。インフルエンザにように、どこの医療機関でも対応することになるはずだが、実際はどうなるのだろうか。

 当院は以前は呼吸器内科医が複数いて、結核患者用の陰圧のかかる病室がある(現在は結核は診ていない)。コロナはそこで診ていたが、院内クラスター発生時には一般病棟でも診ていた。看護師数減少で、コロナ対応のチームはつくれないので、今後は一般病棟の個室で診るようになる。

 

 公費負担はなくなるので、普通の入院費を請求するようになる。PPEを使用することや集中的に対応するようになることで、病院としては割が合わない。(N95マスクだけ付ければ、フルPPEは不要か)

 コロナ用の抗ウイルス薬は高額で、9月末までは公費負担ということだが、その後は他の薬剤と同様になる。高額過ぎて入院で診ると相当な持ち出しになってしまう。

 点滴静注のレムデシビル(ベクルリー)は5日間で38万円かかる。内服薬のパキロビッドは5日間で19.8万円(腎不全用は12.5万円)ラゲブリオは5日間で9.4万円かかる。

 入院治療の場合はレムデシビルを使用することになるが、完全に赤字になる(5日間の入院だと入院費は15万くらい)。コロナの診療は外来治療に限ることになりそうだ。

 

(倉原優先生のYahoo Newsから)

 

表. 5類感染症移行によって変わること(筆者作成)
表. 5類感染症移行によって変わること
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気づけば肺炎・心不全

2023年03月22日 | Weblog

 月曜日の夕方に皮膚科医から相談された。3月1日に右下肢(足関節内果部)の皮下膿瘍でに入院していた83歳男性のことだった。

 皮下膿瘍は切開をして、抗菌薬内服(セファレキシン)で治療していた。入院時に38℃の発熱があったが、その後は平熱~微熱で経過していた。酸素飽和度は90~92%(室内気)だった。

 急に食欲が低下して、炎症反応の上昇もあり、頭部CTと胸腹部CTを撮影したそうだ。入院後にも転倒・頭部打撲があった。頭部CTで硬膜下水腫と少量の血腫があった(慢性+急性)。

 胸腹部CTでは左肺に広範な陰影があり、放射線技師さんがびっくりしていたそうだ。

 

 どんな患者さんが確認すると、相当な既往歴があった。2017年に食道癌の手術を受けていた(胸部食道癌で胃管再建術)。5年経過して明らかな再発はなさそうだが、まだわからない。

 2020年に心原性脳梗塞で入院している。心電図をみると心房細動で、糖尿病外来からDOACが処方されていた。2015年に前立腺癌で放射線療法を受けていて、現在は地域の基幹病院泌尿器科に通院している。デキサメサゾンがまだ処方されているので、治癒してはいない。

 

 右肺下葉背側は浸潤影で誤嚥性肺炎と判断される。左肺全体に陰影が広がっているが、誤嚥性肺炎から進行して胸水貯留・無気肺になっていたものだろう。

 外来通院時の胸部X線で心拡大と胸水貯留があり、心房細動・慢性心不全の状態だった。肺炎による心不全の悪化が加わっている。

 一見して明らかな悪化ではなく、くすぶるように進行していって、やっと判明した?ということだった。著明な低蛋白血症もあり、浮腫で末梢静脈からの点滴も困難になってきている。できる範囲で治療してみるしかないが、厳しい病状だった。

 

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