なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

透析室にノミが出た

2019年08月31日 | Weblog

 最初、感染管理ナースから、血液透に来ている患者さんの身体から虫が飛び跳ねたという報告が来た。どうもノミらしいという。

 その患者さんの自宅は猫を飼っているそうで、失礼ながら外見的に衛生的ではない。その後は別室で透析をしていたが、今度は透析室のスタッフ2人が噛まれたのだった。そしてその患者さんの身体から飛び跳ねたものを捕獲して顕微鏡で確認すると、ノミと判明した。

 透析室の遠くの方からもノミが確認され、部屋中に広がっていた。深夜に事務職員が殺虫剤を焚こうとしたが、透析室のMEさんから機器に影響するのでやめてほしいと言われ、地道に殺虫剤のスプレーをすることになった。

 自宅をどうすることもできない。病院に来た時はシャワーを浴びてもらい、そっくり下着ごと着替えてから透析室に入ることになった。着替えた服はビニール袋に入れて殺虫剤をかけ、そのままクリーニングに出すことになる。

 実際にシャワー室で着替えてもらったところ、身体中に大量のノミがいたそうだ。持ってきた鞄の中にも大量にノミがいた。見ていた看護師さんは寒気がしたと言っていた。病院内に入る前から、別ルートでシャワー室に案内しないと、歩きながらノミが病院内に広がる可能性がある。

 透析は週3回なので、毎回これを繰り返すことになる。スタッフの負担は大きい。殺虫剤は当然病院もちになる。感染管理ナースが同業者に訊いてみたが、そんなケースは経験していないといわれたそうだ。まあそうだろう。

 自宅で複数の猫を飼っているが、野良猫もまじっているらしいという話だった。行政(市)にも連絡することになったが、強制権がないので、手出しできないと言われた。きれいにした患者さんをいったん入院にして、その間に自宅のノミ駆除を業者に依頼することを家族に勧めることにしたが、それも強制力はない。保健所でも来るそうだが、やはり強制力はないので、乗り気ではないそうだ。

  

 今日は、道後温泉から坊っちゃん電車に乗った。松山市駅で電車の向きを人力で替えるのが面白かった。ロープウェイで松山城に登る。天守閣の急な階段を上がって、松山市内を一望できる。坂の上の雲ミュージアムは原作が好きなので、是非行きたかった。

 松山から特急しおかぜで瀬戸大橋を通って岡山に出て、姫路まで来た。

 

 

 、

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

痰からPasteurella multocida

2019年08月30日 | Weblog

 先々週の土曜日に、外科外来で診ている86歳男性が肺炎で救急搬入された。この方は食道癌・下咽頭癌があり、がんセンターで緩和的放射線照射を受けたが、その後再発していた。

 経口摂取できなくなって、胃瘻増設による経管栄養が行われていた。自宅でみるのが難しくなったら入院の方針となっていた。いよいよ悪化した際にはDNARの方針だった。

 内科日直は外部の先生(他の病院からのバイト)だった。酸素5L/分でも酸素飽和度の上りが悪く、人工呼吸が必要かもしれないと、地域の基幹病院に搬送したが、これまでの経過から当院で入院治療するようにと戻された(ごもっともです)。

 これまでの経緯から、肺炎ではあるが、外科入院となって治療が開始された。抗菌薬はセフトリアキソン(CTRX)が使用されていたが、月曜日に土日の救急外来受診・入院をチェックした時に、この場合はスルバシリン(ABPC/SBT)、あるいはもうゾシン(PIPC/TAZ)でもいいかなと思った。

 

 AST会議で、この患者さんの入院時の喀痰培養から検出された菌種について、細菌検査室の技師さんから訊かれた。検出されたのは、Pasteurella multocidaPseudomonas aeruginosaだった。当院ではPasteurella multocidaの感受性検査はできない。

 痰からPasteurella multocida?。どういう意味になるのか。

 入院後の経過をみると、酸素化は改善していて、吸入酸素量は2L/分まで下がっていた。炎症反応も順調に低下してきている。臨床的には確実に改善している。結果的にセフトリアキソンは正しい選択だった(普通の市中肺炎)。

 たぶん両者(両方の菌)とも気道の定着菌、と考えるのが正しいのだろう。当院に月1回来てもらっている感染症専門医にメールで相談すると、肺炎の起炎菌ではないでしょう、ということだった。

 その後、この患者さん宅では猫を2匹飼っていることがわかった。猫を飼っている家庭の人は、気道にPasteurella multocidaが定着するのだろうか。そういう研究はある?。 

 

 今日は高速バスでしまなみ海道を通って松山に来た。曇りだったこともあるが、島々を渡って来るので、7割がた陸地を走っていて、瀬戸内海を渡った 感動に乏しい?。今治に入ったところで晴れた(初四国)。

 道後温泉本館は工事中で、現在は入浴のみになっている。先ずは道後はいから通りで、お土産を買って宅配便で送った(これが大事)。 子規記念博物館は立派で見応えがある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺結核(再掲)

2019年08月29日 | Weblog

 先週の内科新患に76歳男性が食欲不振・倦怠感で受診して、内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が診察した。この患者さんは既往歴に肺結核があった。

 一昨年の2月に、同居する家族2名がインフルエンザに罹患して、自分も高熱があるという訴えで、夜間の救急外来を受診した(当時は73歳)。当直の外科医が診察して、インフルエンザ迅速試験陽性と出た。胸部X線で両側肺に浸潤影も認めた。インフルエンザ+肺炎として内科入院になった。

 担当した内科の先生が入院後に胸部CTで確認すると、両側肺の上葉~下葉に陰影があり、空洞を伴っていた。結核疑いとして、抗酸菌塗抹検査を行うとガスキー3号陽性と出て、結核菌PCRも陽性だった。

 結核病棟をもつ病院に紹介転院となって、抗結核薬4剤投与が開始された。症状軽快して退院した後は、当院の呼吸器科外来(外部の病院から)に戻ってきた。1年前に治療は終了している。

 今回胸部X線・喀痰検査が行われたが、肺結核の再燃は否定的だった。外来で経過をみて、検査をしていくことになった。

 

 2年前の肺結核時の胸部X線・CTを記載していたが、約2年分の画像フォルダに入れた画像を消去したら、ブログ内の画像も消えてしまったので(知らなかった)、再度記載しておく。

 左下葉背側に肺炎に匹敵する浸潤影があり、空洞を伴う。不整小結節・粒状の散布影・小空洞を認めて、いかにも抗酸菌感染症を示唆する陰影だった。放射線科の読影レポートは「非結核性抗酸菌症(NTM)に相当」だった。

  

 新幹線を乗り継いで尾道まで来た。天気は曇り時々雨。千光寺山ロープウェイで登って対岸の島々を見て、尾道渡船で向島を往復した。おのみち映画資料館にも寄った。しまなみ海道のスタート地点に来て今日は終了。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小脳梗塞

2019年08月28日 | Weblog

 明日から夏休みなので、病棟の指示を来週まで出しておく。抗菌薬や利尿薬を週末まで少し引っ張ってから中止にするなど、いる時とちょっと違った指示になるのは、大人の事情による。重症はいないが、誤嚥性肺炎が軽快して、嚥下訓練から食事を開始したばかりの(超)高齢者など不安定要素はある。

 内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)から、病院職員と結婚することになったと、報告があった。所属病院である医療センターの同僚からは、何の研修に行ったのかと冷やかされるかもしれない。病院にとっても、おめでたい話だ。

 昔、大学病院消化器内科から対癌協会に研修に行った先生(医学部の同級生)が、そこの医局秘書さんと結婚した。「早期癌を見つけに行って、お嫁さんを見つけた先生」とずっと言われていたのを思い出した。

 

 日曜日の夜間に77歳女性が回転性めまいで救急搬入された。ふだんは関節リウマチでリウマチ専門医のクリニックに、甲状腺機能低下症で当院の甲状腺外来に通院している。

 午後8時ごろにトイレに行った後から回転性めまいが発症している。良性発作性頭位めまいかと思われるような発症の仕方だった。当直医(大学病院からバイトの外科医)が頭部MRIを行うと、左小脳梗塞を認め、地域の基幹病院に救急搬送となった。

 急性期の治療後に、リハビリ目的で当院に戻ってくることになるだろう(たぶん)。これは上小脳動脈の領域(MRAではよくわからない)。脳血管の支配領域がよくわかる梗塞巣だ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

数日ぼんやりしている

2019年08月27日 | Weblog

 内科外来に通院している87歳女性が、3日前の土曜からぼんやりして、食事摂取も少ないという。在宅介護をしている孫嫁さん(看護師)が連れて来た。

 時々レスパイト入院も利用しているが、ふだんから寝たり起きたりなので違いがわからないが、毎日見ている人がいうので間違いないのだろう。発熱はなく、バイタルサインには有意な変化はない。

 咳・痰はなく、肺炎らしくはない。これまで尿路感染症(腎盂腎炎)で数回入院しているので、そちらが疑わしい。白血球7000だが、ふだんの3000~4000より増加して、CRP11と上昇していた。尿混濁を認めたが、尿路感染は除外診断なので、他疾患の否定を要する。一通り確認したが、他の異常は見当たらなかった。

 胸腹部CTで確認すると、肺炎像はなかった。単純CTだが、腎膿瘍や腎周囲脂肪織の炎症像は指摘できない。尿路閉塞はなかった。

 食事摂取は一部介助だが、ここ数日は全介助になっている。車いすにすわったところを見るとちゃんと開眼して、簡単な会話もできる。病院に来て、いろいろ検査で動かされたので、覚醒したようだ。入院でみることにした。

 

 この患者さんは3年前に尿路閉塞(尿管結石)を伴う腎盂腎炎で入院した。入院後に血圧が低下して、敗血症性ショックになった。補液の増量で乗り切れたが、自然排石を期待した小さな尿路結石がまったく動かなかった。

 地域の基幹病院泌尿器科に連絡して、転院搬送させてもらった。当時泌尿器科のトップだった女性医師はすぐに対応してくれて、大変ありがたかった。当院に来ている泌尿器科医(非常勤)も、いい対応をしてくれると褒めていた。その後その先生は他県のさらに大きい病院(600床以上)に転勤していかれた。

 その後も尿路閉塞を伴う尿路感染症で数か月に1回くらいお世話になっている。尿路閉塞は泌尿器科医にお願いするしかない。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小脳腫瘍

2019年08月26日 | Weblog

 土曜日の内科日直の時に、めまい・ふらつきが続く72歳男性を紹介したい、と内科クリニックから連絡が入った。

 10日前ごろからふらつくようになり、5日後に高血圧症で通院しているそのクリニックを受診した。注射(メイロン?)とめまいの薬(メリスロン)が処方されていた。症状が続くので(少しずつ進行)、その日再受診していた。

 さっそく来てもらったが、家族の車で来るものと思っていたが、一人でタクシーで来院した。意識は清明で、問診にはハキハキと答えた。構語障害(嚥下障害も)はない。

 脱力はなく歩行はできるが、たしかにふらつく。足を揃えて立つとふらついてしまう。バランスをとるために足を広げて歩いて(wide-based gait)、それでも左右に揺れる(酩酊様)。これは本物だ。

 小脳梗塞を疑って、頭部MRI検査を行った。拡散強調画像で、新規の脳梗塞はなかった。FLAIRで右小脳(小脳脚部)に高信号の腫瘤を認めた。第四脳室を軽度に圧排している。順番が逆になったが、頭部CTも行うと、低吸収に描出された。小脳出血でも、新規の小脳梗塞でもなく、腫瘍と判断された。

 さてどうしようか、だった。脳血管障害でなければ緊急性はないのかもしれない。週明けにがんセンターに紹介でいいのか。症状はしだいに進行しているようで気になる。

 地域の基幹病院は(たぶん)脳神経の当番の先生が誰か出ているはずだ。内科系の日直先生に繋いでもらって、脳神経の先生に診ていただくことはできるでしょうか、と訊いてみた。できます、ということで紹介させてもらった。

 救急搬送するほどではないが、一人でタクシーでやるわけにもいかない。奥さんは友人と出かけていたが、兄弟の人が車で病院に来れるというので、いっしょに受診してもらうことになった。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高齢女性の腸閉塞

2019年08月25日 | Weblog

 昨日は内科日直だった。90歳女性が下腹部痛で救急搬入された。普段はADL自立の元気な方らしい。受け答えははっきりしていた。

 前日の夜間から腹部の違和感があったそうだ。その日の朝起きてから、下腹部痛が続き(持続痛)、救急要請した。血圧が高値だが、痛みのためと思われた。それ以外のバイタルは発熱もなく、異常はない。

 救急車内で嘔吐していて、搬入時も嘔吐していた。腹部症状のためもあるが、救急車での搬入そのものによるのかもしれない(その後は嘔吐がなくなったから)。下痢はない。ふだんは便秘気味だそうだ。

 下腹部正中に帝王切開の手術歴があった。腹痛も下腹部正中で、圧痛があった。やや下腹部が膨満している。反跳痛ありとはいえなかった。デファンスはない。まずは癒着性腸閉塞が疑われる。

 血液検査の結果をみて、CTをできれば造影で行う予定とした。その前に立てそうなので、胸部X線と腹部単純X線(立位・臥位)を行った。明らかなニボーはないが、小腸ガスが少し目立つかもしれない。血液検査で炎症反応上昇はなく、肝機能・腎機能なども正常域で問題なかった。炎症性疾患ではない。

 造影腹部CTで、右下腹部から正中にかけて回腸がぐるっと回転している。子宮の左側に腸管が落ち込んでいるようだ。絞扼性腸背閉塞と思われた。腸管壁は造影されていて、虚血にはなっていない。

 外科日直の先生(大学病院からのバイト)に診てもらうと、「腸管壁は造影されているし、すぐ手術するほどでは」ということだった。経過をみるにしても外科で診てもらいたいので、外科当番の先生が院内にいたので連絡した。

 ほかの患者さんをいる診てうちに、気が付くと外科医が家族に手術の説明をしていた。麻酔科医の手配や、手術室の看護師さんの呼び出しがあり、そのまま緊急手術になった。仕事が早い。

 手術自体は短時間で終わったそうだ。後で外科医に訊くと、小腸が卵巣と腹膜の癒着したところにひっかかって閉塞していた。その部位だけ切って、あとは腸管を戻して終了になっていた。

 手術が必要と言われた患者さんは、「もう死んだ方がいいわ」と言っていたが、術後はすぐに回復して元気に退院していくのだろう。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

膵性糖尿病

2019年08月24日 | Weblog

 先週の日曜日に62歳女性が急性腎盂腎炎で入院していた。当番だった内科の先生が主治医になった。名前に聞き覚えがあり、確認してみると、2回入院で診ていたはずだが、内容はあまり覚えていない。簡単に言うと、既往歴は「糖尿病治療中断」だった。

 9年前に膝痛で整形外科を受診して、膝半月板損傷で手術予定となった。術前検査で糖尿病と判明して、内科に治療が依頼された。HbA1cが10.4%だった。肥満もあるが、普通の糖尿病ではなかった。膵臓全体に石灰化がある。アルコール多飲があり、アルコール性と思われた。(20歳の時に背部痛で入院したということで、膵炎の症状とすれば、特発性も否定はできない。)

 抗GAD抗体は陰性で、Cペプチド(空腹時)1.02ng/mLで少な目だが、インスリン依存状態ではない。インスリン強化療法で、血糖は改善して外来治療になった。

 翌年に外来での血糖コントロールが不良で、糖尿病教育入院になっていた。インスリンを増量したが、膵性糖尿病は夜間低血糖が危惧されるので(グルカゴンも低下)、持効型は少な目にした。退院後すぐに治療を中断していた。

 2年前に地域の基幹病院に膿胸で入院していて、糖尿病の治療も再開されて、当院の糖尿病外来(大学病院からバイト)に治療継続のため紹介になった。しかし、2回外来受診して治療中断している。

 そして今回だが、HbA1c8.5%と、2年前に中断する前と同程度だった。案外悪くなっていないものだ。ただ、合併症は進行しているということなのだろう。膀胱の拡張~両側水腎症を認めた。自律神経障害としての神経因性膀胱をきたしている。泌尿器科外来(当院は非常勤のみ)に紹介になった。

 入院後、抗菌薬投与(セフトリアキソン)で腎盂腎炎は軽快している。退院後に糖尿病の治療は継続できるのだろうか。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

閉塞性尿路感染+敗血症性ショック+・・・

2019年08月23日 | Weblog

 木曜日に内科医院からの紹介で、施設に入所している発熱の70歳男性が救急搬入された。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が対応したが、ちょうど1年前に肺炎で当院に入院した時に担当していた。

 症状は前日からの発熱(38℃台)で、同時期からの下痢もあった。それだけだと腸炎か、というところだが、複雑な病態だった。

 まず搬入時の血圧が81/46mmHg・脈拍119/分でショックバイタルだった。体温39.3℃、酸素飽和度88%(室内気)。胸部CTで右肺背側に肺炎様の陰影があった。昨年入院した時と同部位だが、遺残した陰影か少し加わっているか判別が難しい。

 尿は混濁していて、CTで左尿管結石・左水腎症を認めた。尿路感染症で間違いなければ、閉塞性急性腎盂腎炎になる。

 下痢に対してCD検査を提出すると、CD抗原・トキシンが陽性だった。1年前に退院してから当院は受診していないので、その後の抗菌薬使用の詳細は現時点ではわからない。

 急速点滴で血圧は反応して回復してきた(100を越えた)。肺炎はあるとしても、それでショックになるものではない。CD腸炎は発熱・hypovolemic shockになっている可能性はあるが、閉塞性尿路感染からの敗血症性ショックが一番の問題だろう。複数の診療科の問題がからむが、尿路閉塞に対する治療ができる泌尿器科のある病院へ紹介するしかない。

 検査結果は白血球5600・CRP12.6で、血小板11.4万・d-ダイマー22.6とDICになりかけているようだ。

 一番近い地域の基幹病院に連絡すると、泌尿器科医2名が手術に入っていて、今日は救急はとれないと言われたそうだ。後はどこの病院にお願いしたらいでしょうか、相談された。

 膀胱尿管逆流症の若い女性を紹介した赤十字病院泌尿器科が浮かんだ。ふだんほとんど紹介したことはないが、他科も充実していることからお願いしてみることにした。早速連絡すると、ありがたいことに引き受けてもらえた。

 純粋に泌尿器科だけの問題ではないので申し訳ないが、お願いするしかない。血圧低下があるので、若い先生が救急車に同乗して救急搬送となった。なんでもやさしく迎え入れてくれたそうで、感激して帰ってきたのだった。

 

 医療センターから来てもらっている地域医療研修の内科専攻医の先生には随分助けられている。来年の3月までで終了するが、4月から別の若い先生に来てもらえるかどうかは今のところ不明だ。内科常勤医が極端に少ないので、いないと診療が成り立たない。

 秋ごろ、また院長先生といっしょに医療センターに挨拶に行くが、自治医大出身の先生(地域医療研修が専攻医3年のうち2年)の動向は県が決定するので、予想がつかない。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レジオネラ肺炎

2019年08月22日 | Weblog

 火曜日の午後8時過ぎに60歳男性が救急外来を受診した。当直は外科医(大学病院からバイト)だった。血圧128/61・脈拍100回/分・体温39.1℃・酸素飽和度95%(室内気)で高熱が目立った。

 日中に草刈りをしていた。夕方になって気持ちが悪くなって自宅で休んでいた。会社の人が心配して見にいって、病院に連れてきた。

 当直医は最初熱中症を考えたらしいが、血液検査で白血球22000・CRP20.2と著明な炎症反応上昇があった。感染巣の検索として、胸部X線を行って、右上葉に浸潤影を認めた。内科当番の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)に連絡して、肺炎として入院とした。抗菌薬はゾシンが1回点滴静注された。

 水曜日の朝、前日の救急外来受診者をチェックした時に、血液検査の低ナトリウム血症(129)が気になった。肝機能検査はγ-GTPが92と軽度上昇しているが、他は正常域だった(けっこう飲酒するらしい)。CKは検査されていなかった(後で追加して正常域)。喀痰は出なかったようだ。

 ちょっとレジオネラが気になったので、レジオネラと肺炎球菌の迅速検査とCKの追加をしてもらおうと思った。午前8時過ぎに施設から救急搬入された肺炎・心不全の94歳男性を診てほしいと、当直医から引き継いだ外科医に依頼されたのと、その後に内科再来もあったので、午前中に連絡できなかった。

 感染管理ナースから、その患者さんはレジオネラ肺炎だったと報告が来た。担当の若い先生に訊くと、頭痛を強く訴えるのが気になったので尿中レジオネラ抗原を出したという(尿中肺炎球菌抗原は陰性)。

 この患者さんは特に、温泉に行ったとか、循環式のお風呂を使っているわけではない。数日前に会社の、当日は自宅の水撒きと草刈りをしているが、関係があるのか。

 抗菌薬はレボフロキサシン(クラビット500mg点滴静注)に変更した。当院で治療継続で診れそうだ。

 

 

 当院のレジオネラ試験は、肺炎球菌と同時にできるキットを使用している。当院のレジオネラ検査が陰性で、搬送した地域の基幹病院の検査でレジオネラ陽性となったことがある。最近はレジオネラ血清1型以外も検出できるキットも出ている。細菌検査室の技師さんも気にしていたので(他社からこのキットでは陽性に出にくいでしょうと言われた)、レジオネラの検査キットを調べてもらうことにした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする