なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ビプレッソ徐放剤

2022年07月13日 | Weblog

 先週の月曜日に、救急搬入が2件続いた。救急外来担当は,、バイトで来ている大学病院総合診療科の先生だった。最初の肺炎を引き受けて、2人目の急性腎盂腎炎の71歳女性を内科の別の先生に依頼した。

 血液培養2セットと尿培養を提出していたが、翌火曜日に血液培養2セットからグラム陰性桿菌が検出されていた。セフトリアキソンを開始している。その日も高熱があったが、食事摂取は良く、重症感はなかった。3日目の水曜日には解熱した。

 血液培養2セットから感受性良好な大腸菌が検出された。後は投与期間だけの問題になる。

 

 年齢はまだそれほどではないが、認知症で精神科病院に通院していた。処方は、ガランタミン24mg/日(最大量)・メマンチン20mg/日・ビプレッソ徐放剤50mg(就寝前)・リスペリドン1mg/日(昼)だった。ビプレッソ徐放剤が処方されているのは初めて見た。

 

 ビプレッソ徐放剤はクエチアピン(セロクエル)の徐放剤。セロクエルだと1日3回内服になるところを、1日1回内服で効果が持続する。

 ピプレッソ徐放剤は50mg/日で開始して、150mg/日~300mg/日と増量するとなっている。(この患者さんでは、リスペリドンと併用しているのがよくわからない) 

 セロクエルは適応が統合失調症で、ビプレッソ徐放剤は双極性障害におけるうつ状態の改善になっている。これは適応をとっているのがそうだということで、統合失調症にも、双極性障害のうつ症状にも躁状態にも効くそうだ。

 クエチアピンは多元受容体作用抗精神薬(MARTA)で、ドパミン受容体(幻覚や妄想の改善、躁状態の改善)、セロトニン受容体(陰性症状の改善、うつ・不安の改善)、ヒスタミン受容体(不眠の改善、食欲の改善)、アドレナリン受容体(興奮の抑制)、アセチルコリン受容体に作用する。

 MARTAでは、オランザピン(ジプレキサ)のほうがクエチアピン(セロクエル、ビプレッソ)より、効果・副作用ともに強いそうだ。

 内科では夜間不穏で使用するので、セロクエルを夕食後(か就寝前)に内服して、日中は効果が切れるようにすることが多い。現在使用している患者さんでは、最大75mg/日まで使用した。日中も効かせたい認知症の患者さんで、50gmg/日を分2(朝夕)で処方している。

 1回25mg1日2~3回から開始して、漸増して150~600mg/日まで(最大量750mg/日)とあるが、内科でそこまで使用することはないだろう。(100mg錠、200mg錠もある)

 

 向精神薬は、教科書の記載を見て使用するが、やはり精神科医が実際に使用しているのを見るのが参考になる。地域の基幹病院の精神科医は(重度の)夜間せん妄にロナセンテープを使用していた。転院してから、効きすぎで3枚/日を1枚ずつ減らしていったりする。

 デジレルも教科書の記載にはあるが、実際に使用しているのを見て、当院でもせん妄リスクのある患者さんの不眠に頻用するようになった。

 

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