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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「ねころんで読める頭痛学 改訂2版」

2025年06月18日 | 脳神経疾患

 「ねころんで読める頭痛学 改訂2版」間中信也著(MCメディカ出版)を購入した。第1版は持っていて、改訂2版は2021年には出ていた。

 今月市医師会講演会で片頭痛の講演があるので、買い替えて予習することにした。片頭痛予防薬のCGRP関連モノクローナル抗体の製薬メーカーの共催だった。

 片頭痛は「三叉神経終末から硬膜動脈に神経ペプチドのCGRPが放出され、血管の拡張と炎症が起こる」ことによって起こる発作性頭痛だ(三叉神経血管説)。CGRPはcalcitonin gene-related peptide:カルシトニン遺伝子関連ペプチドのこと。

 片頭痛発作治療薬のトリプタン製剤は画期的なことだったが、片頭痛予防薬のCGRP関連モノクローナル抗体もそれに次ぐ画期的な薬剤ということだ。

 自分で最初から使用するつもりはないので、適応がある患者さんは脳神経内科(または脳神経外科)で頭痛を扱っている先生に紹介する。ある程度使用して、定期使用になった時は継続投与を引き受けてもいいとは思っている。

 片頭痛とはいっても、4割は両側性で拍動性は半分だけで、決して「片側の拍動性頭痛」だけではない。嘔気・嘔吐を伴い、光過敏・音過敏があり、持続時間は4~72時間と長い。閃輝暗点などの前兆を伴う片頭痛もあるのは有名だ。頭痛の程度は中等度から重度で、日常生活に支障が出る。

 間中先生の「片頭痛は体を動かすとひどくなる緊張型頭痛は体を動かすと楽になる。」がわかりやすい。

 

 改訂2版 ねころんで読める頭痛学 診断と治療: アタマがイタい頭痛診療の悩みをドクター間中がすっきり解決!!

 

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慢性硬膜下血腫

2025年05月31日 | 脳神経疾患

 5月28日(水)の内科外来に90歳代前半の女性が受診した。

 認知症で施設に入所していたが、介護度が上がって来たので、別の施設に移動することになった。入所予定の施設の嘱託医から、慢性硬膜下血腫の有無を診てもらうようにという指示があったそうだ。

 

 3月9日に転倒して頭部を打撲した。地域の基幹病院を受診して、頭部CTで頭蓋内出血は認めなかった。経過中に慢性硬膜下血腫をきたすことがあるという説明は当然あったのだろう。

 最近の1か月で、日常動作のレベルが低下していた。介助で杖歩行・つかまり歩行であったが、介助で車いす移動になってきた。食事摂取はできて、話しぶりは緩慢で内容は?だが、会話はできる。

 車椅子での診察で、はっきり上下肢の左右差は判断し難い。さっそく頭部CTを行った。すると右慢性硬膜下血腫があった。ただし程度からは緊急手術とはならないかもしれない。たとえば五苓散内服で経過をみる、となるのかもしれない。

 判断するのは脳外科医なので、翌日の基幹病院脳外科外来の予約をとって、受診してもらうことにした。施設嘱託医の判断がナイスプレーなのだった。

 

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くも膜下出血

2025年05月29日 | 脳神経疾患

 5月28日に内科の若い先生から聞いた、くも膜下出血の患者さんの話。

 5月24日(土)にその先生は日直をしていた。午後1時過ぎに50歳代後半の女性が頭痛で救急搬入された。

 その日の早朝から弱った愛犬の介護でずっとおきていたが、お昼にその愛犬が死亡した。その15分後から頭痛と嘔気が出現した。

 搬入時、意識は清明で落ちついて話ができていた。血圧は正常域でふだんも高血圧症はなかった。発症が突発で、救急搬入でもあり、すぐに頭部CTを行った。典型的なくも膜下出血を認めた。

 脳外科のある地域の基幹病院に連絡して、受け入れ可能で救急搬送となった。

 頭痛は激痛だったはずだが、対応した印象ではそうは感じられず、愛犬が亡くなってショックを受けたんですね、と言ってしまいそうだったと言っていた。

 

 この患者さんは昨年の4月に左上下肢にしびれで、内科医院から頭部MRI検査の依頼が当院に来ていた。MRIで脳血管障害などの異常は認めず、MRAでも脳動脈瘤はなかった。(たぶん頚椎症だったのだろう)

 

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脳梗塞

2025年05月27日 | 脳神経疾患

 5月26日(月)の内科外来に、整形外科から左半身麻痺で受診した70歳代後半の男性が回されてきた。

 5月23日(金)の夜から左半身麻痺が出現して、構語障害・嚥下障害もあった。土日は受診せず、自宅で様子をみていたのだった。受診時は左下肢の麻痺が強く、歩行できなかった。

 2018年に脳梗塞の既往があり、症状は構語障害(呂律が回らない)だった。日常生活にはさほど支障はなかったようだ。発症した日も日中はトラクターを使って農作業をしていた。

 脳血管障害だとは思わなかったのだろうか。整形外科の外来を受診していた。整形外科の外来は受診数が多く、新患を診るのは遅くなってしまう。診察は午前11時過ぎになっていた。脳血管障害疑いですぐに内科に回された。(当院は現在脳神経内科は不在で、非常勤医の外来が週2回あるが、その日はなかった)

 会話は可能で、見当識障害もないようだ。頭部MRIもあまり待たずにできることを確認したが、頭部CTから始めた。3日前の発症なので、頭部CTでも右放線冠の新規脳梗塞が確認できた。

 頭部MRIも行って、拡散強調画像で右放線冠の脳梗塞を認めた。MRAでは両側内頚動脈の動脈硬化が目立つが、中大脳動脈はそうでもない。心電図は正常洞調律で心房細動はなかった。

 

 市内の内科クリニックに高血圧症・虚血性心疾患で通院して、抗血小板薬(バイアスピリン)も内服していた。急性期の治療は抗血小板薬2剤(DAPT)にして、時間は経過しているがエダラボンを使用するところか。

 これまでADL自立だったが、今回の脳梗塞では歩行は難しそうだ。急性期治療を地域の基幹病院脳神経内科にお願いすることにした。連絡すると受けてもらえたので、救急搬送した。(1~2週間後には当院のリハビリ病棟に逆紹介になる見込み)

 

 2018年最初に脳梗塞を発症した時も当方が診ていた。クリニックから構語障害で内科に紹介された(ご指名だった)。頭部MRIで左放線冠の脳梗塞(ラクナ梗塞)を認めた。当時は常勤の脳神経内科医がいたので、丁重にお願いして診てもらえることになった。

 クリニックの先生は以前当院に勤務していた。脳神経内科の先生は気難しいのを知っているので、内科経由の紹介にしたのだった。

 

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脳出血

2025年04月24日 | 脳神経疾患

 4月18日(金)に地域の基幹病院脳外科から脳出血の70歳代前半の女性が転院してきた。

 3月14日に脳出血(左被殻出血)が発症して救急搬入されていた。同日に開頭血腫除去術が行われて、術後に血腫は軽度に残存していたが、減圧は達成されたとある。

 症状は顔面を含む右(完全)片麻痺・全失語で、意識レベルは開眼している時もあるというくらいだった。開眼は薄めを開けているというくらいだった(瞬きはある)。

 経鼻胃管による経管栄養が行われていた。見込みとしては内視鏡的胃瘻造設術が必要で、当院転院前に施行してもらうと助かるのだが、と思った。

 当院転院2日前に頭部CT再検が行われていて、まだ血腫残存があり、脳浮腫もある。

 記載はなかったが、糖尿病もあり、インスリン強化療法による血糖コントロールが必要だった。(HbA1c8.2%で栄養剤注入後に血糖値が300以上になっていた)

 まず血糖コントロールをするのと、脳浮腫の改善で意識レベルが上がるかもしれないとも思ったので、経鼻胃管でしばらく経過をみることにした。

 転院1週間が経過して、開眼の程度?が改善してはっきり開眼するようになってきた。

(現在消化器科常勤医不在なので、胃瘻はアルバイトの消化器内科医とすることになる)

 

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もやもや病・脳梗塞

2025年03月16日 | 脳神経疾患

 糖尿病の50歳代前半の女性を数年前から外来で診ていた。両親が糖尿病で通院していて、2型だが遺伝性の要素が大きい方だった。

 肥満があり、「減量がんばりま~す」と明るく言うが、体重はあまり変わらないかった。DPP4阻害薬・メトホルミン・SGLT2阻害薬・少量SU薬を使用していて、HbA1cが8%前半だった。GLP1受容体作動薬のいい適応と思われたが、下痢が生じて継続できなかった。

 昨年9月に、ふだん感冒時などに受診してたる内科クリニックから甲状腺腫で紹介になり、内分泌専門の若い先生が診てくれた。甲状腺機能亢進を認めたが、抗TSH受容体抗体は陰性で、無痛性甲状腺炎として?経過観察されていた。

 その後はその先生が糖尿病も診てくれていた。実際、内分泌代謝に詳しい先生の方が適任なのだった。

 

 3月初めに地域の基幹病院糖尿病科から当院の回復期リハビリ病棟に、その患者さんが転院してきた。外来で診ていた先生がそのまま担当になっていた。

 1月初めに右半身麻痺が発症して、地域の基幹病院に救急搬入されていた。頭部MRIで両側大脳(特に左大脳)に梗塞巣を認めた。

 しかしそれ以上に意識障害があり、ケトアシドーシス(pH6.8)があった。(血糖350mg.dLでSGLT2阻害薬に特徴的な正常血糖ケトアシドーシスではなかった)

 担当科が糖尿病科で、脳神経内科と併診となった。ケトアシドーシスは治療ですみやかに改善したそうだ。その後インスリン強化療法を行ってから、インスリン使用を離脱していた。

 甲状腺機能亢進もまだあり、発作性心房細動の治療も要したとある。当院転院時には特に治療なしで甲状腺機能は正常化していた。一過性の機能亢進となると無痛性甲状腺炎と思ってしまうが、バセドウ病(抗TSH受容体抗体陰性例)の自然経過の可能性もあるそうだ。

 梗塞巣多発で発発作性心房細動による心原性脳塞栓症も疑われたが、MRAなどで基礎にもやもや病があると診断されていた。脳外科の判断では手術の適応があるそうだ。

 

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脳梗塞

2024年12月13日 | 脳神経疾患

 12月10日(火)に地域の基幹病院脳神経内科から、脳梗塞の70歳代後半の男性が転院してきた。

 11月13日の夜間に右半身麻痺が発症した。病院に搬入されて、11月14日午前1時に頭部CTが行われた。脳出血はなく、脳梗塞はまだ描出されていない。午前2時に頭部MRIが行われて、拡散強調画像で左放線冠に新規の脳梗塞を認めている。FLAIR画像ではまだ描出されていない。

 入院してその日の午後5時前に頭部CTが行われていて、CTでも脳梗塞は描出されている。

 入院翌日の11月15日午前11時に頭部MRIが再検されていて、搬入時よりは梗塞巣がやや増大していた。これは進行の度合いを見たのだろう。

 転院時にCDに入っていた画像で、入院後の変化がよくわかる。転院時に画像添付なしというのはほとんどないが、どのくらいの画像を入れるかは担当医によって違う。

 

 ラクナ梗塞になるが、場所が悪く、右半身麻痺はほぼ完全麻痺だった。リハビリをしても歩行はできないので、介助で車椅子移乗までになる。構語障害・嚥下障害もあるが、なんとか食事摂取はできる。

 転院翌日の血液検査で炎症反応の上昇(白血球15000・CRP15)があって、発熱はなかったが、ちょっと驚いた。胸腹部CTで確認したが、肺炎(誤嚥性)はなかった。尿カテーテルが留置されていて尿混濁があり、除外診断にはなるが、尿路感染症を反映しているらしい。

 陳旧性心筋梗塞の既往があり、抗血小板薬を2剤内服していた状態で脳梗塞を発症している。CTで冠動脈3枝の石灰化が目立ち、動脈の走行がわかるくらいだった。家族には入院中の脳梗塞、心筋梗塞がありうることをお伝えした。

 

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脳梗塞

2024年11月23日 | 脳神経疾患

 11月10日(日)は日直で、その日の当直は腎臓内科の若い先生だった。11日(月)の午前中に、「やっぱり脳梗塞だった」という声が聞こえた。同量のさらに若い先生に解説していた。

 60歳代半ばの女性が10日午後7時に当院救急外来を受診した。その日の昼(午後0時)から右半身のしびれを自覚していた。

 5年前に右上肢のしびれで地域の基幹病院(整形外科だろう)を受診して、頸椎ヘルニアといわれたという既往がある。ただしその時より症状は強く、その時は右下肢のしびれはなかった。

 意識は清明でバイタルはまったく異常がない。右半身の麻痺があるかどうかだが、わずかに右上下肢で麻痺があると判断していた。右上肢のバレー徴候で第5指徴候(右第5指が離れる)があり、右下肢の軽度の動揺性があると記載している。

 頭部MRIの拡散強調画像で、左延髄のわずかな高信号域とADCで同部位の低信号がある、とみていた。

 脳梗塞(左延髄梗塞)として基幹病院に紹介した。先方の再検で脳梗塞が確定したと報告が来た。「お見事でした」、なのだった。

 

 放射線科の読影レポート(遠隔診断)では、MRIで「新規病変なし(脳梗塞は認めない)」となっていた。(時々読影結果に問題のある先生)

 

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脳梗塞

2024年11月20日 | 脳神経疾患

 11月18日(月)に市内の整形外科クリニックから右半身脱力(不全麻痺)の80歳代前半の男性を紹介したい、と連絡が入った。普段は隣町の内科医院に高血圧症・糖尿病で通院している。その整形外科にも定期的に通院していた。

 発症は11月15日(金)の昼頃で、ふらついて転倒したそうだ。右半身の脱力(不全麻痺)があった。そのまま様子をみていたらしい。つかまり歩行はできて、そのうち慣れて足を引きずって歩行できた。箸を使うのが不自由だった。

 その日は整形外科で診る病気と思って受診していた。妻(要介護)と息子の3人家族だが、別居の娘さんが連れて来ていた。

 意識は清明で軽度の脱力がある(MMT4)。感覚障害はなく、頭痛・嘔気はなかった。脳梗塞のようだ。

 月曜日はMRI検査が混んでいる。連絡すると午後4時になりますということだった。日数的には頭部CTでも所見が出るだろう。CTで左放線冠に梗塞巣を認めた。ラクナ梗塞になる。

 4日目でいまさらという気もしたが、入院治療はどうかと勧めた。本人は嫌がっていたが、娘さんの説得で入院になった。入院後に頭部MRIも行った。

 場所的にはちょっと病変が進むと完全麻痺にもなる部位だった。経過をみないと症状がどこで固定するかわからない。抗血小板薬とエダラボンで治療を開始した。翌日には症状が軽減したが、自然経過なのだろうか。

 

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寝不足?

2024年10月27日 | 脳神経疾患

 10月23日(水)の昼前に、脳神経内科外来に脳出血後遺症で通院している60歳代後半の男性が、「頭がぼーっとする」という訴えて受診した。

 ふだん診ている非常勤の担当医は午前中だけなので、内科外来に回って来た。2~3日前から頭がぼーっとするという。仕事は大型トラックの運転をしていて、職場は隣県にある(住所は当地)。独身だが、同年配の知人の女性がいっしょにきていた(関係は詳しくは訊かなかった)。

 会話は普通にできるが、何となく反応が遅いように感じられる。見当識障害はない。歩行してもらうと特に問題はなかった。

 前日にトラックの左側のミラーをぶつけてしまったそうだ。また赤信号とわかっているのに、そのまま進行してしまったという。幸い事故には至らなかった。

 電柱が斜めに見えたともいうが、受診時にはなかった。複視や眼球運動の異常はなかった。頭痛、嘔気はない。

 会社から今日は休むようにいわれたという。寝不足はあったようだ。寝不足からの疲労とされたのだろうか。

 2018年に県内の別の地域にいた時に脳出血(左視床出血、軽度)を発症していた。右半身のしびれがあり、クロナゼパム0.5mg錠を3錠分3で内服していた(降圧薬はアムロジピン5mg1錠)。この薬は日中の活動に影響しないか気にはなった。

 頭部CTで脳出血はなかった。脳梗塞の精査に頭部MRIを行うことにしたが(脳腫瘍・脳炎の鑑別も含めて)、その日MRIは婦人科の造影2件などもあり混んでいた。実施は夕方になるという。朝食べないで来たというので、点滴と血液検査(異常なし)をした。病院の売店で食べ物を購入して食べていいことにした。

 あのガンガンとうるさい頭部MRIの最中に、放射線技師さんの表現では爆睡していて、これは寝不足じゃないですかといわれた。頭部MRIで新規の病変はなかった。翌10月24日も脳神経内科の外来(非常勤医)があったので、そこでも診察してもらうことにした。

 結局寝不足かもしれないということになったようだ。クロナエパムは漸減することになり、後はふだん診ている先生宛に経過をみて下さいとカルテ記載していた。

 

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