なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

薬疹?

2014年01月31日 | Weblog

 昨日、内科医院から90歳女性が心不全として紹介され、救急搬入された。確かに全身浮腫があるが、全身に皮疹(紅斑)がある。胸部X線・CTで心拡大があり、胸水も少しだけあるが、肺うっ血~肺水腫はない。慢性心不全が軽度にあるとしても、今増悪しているわけではない。肺炎の浸潤影もなかった。聴診上は喘鳴を認めた。この発疹自体が主病であり、それによる浮腫と判断された。喘鳴も気道の浮腫が疑われた。血圧はむしろ少し高めでショックではない。

 高血圧症で処方をうけていた(アムロジン・ミカルディス)。昨年末から浮腫でダイアートを追加したと紹介状に記載されていた。患者さんの家族から薬手帳を見せてもらうと、アロプリノール(200mg/日)が処方されていた。今月初めから高尿酸血症で処方されたらしい。そのころから浮腫が増加して、数日前から発疹として認識できるようになったらしい。感染症として明らかなものはないので、アロプリノールによる薬疹が疑われた。ステロイド(デカドロン4mg)を点滴静注して、抗ヒスタミン剤とH2ブロッカー内服で経過を見ることにした。

 今日は皮疹は赤みがとれて、浮腫も軽減していた。食欲も良く、受け答えも昨日よりずっと良くなっていた。喘鳴も消失した。今日もデカドロンを点滴静注して、明日からはプレドニン内服(20mg/日)にした。

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不随意運動

2014年01月30日 | Weblog

 85歳男性が昨日の当直帯に救急搬入された。当直は若い整形外科医だった。顔面のけいれん様の動きが続いていた。意識はあるが、ぼんやりしていた。この方は昨年10月に小脳腫瘍で県立がんセンター脳外科を受診して、悪性リンパ腫として化学療法と放射線療法を受けている。次回の外来予約は来月だった。電話で問い合わせてみたが、もう治っているので関係ないという返事だった。

 脳部MRIで左小脳に腫瘤(の治療痕)があった。脳幹部も大脳も問題ない。血液検査は異常なかった。けいれんとしてセルシンを投与して、動きは一時的に治まったが、また始まった。電話がきて、どうしましょうと言われた。顔面がピクピクと動いていても意識消失していないので、けいれんとしては変だ。短期入院として経過をみることになった。眼輪筋がピクピクする顔面神経けいれんはたまに見るが、こちらは片側に起きる。

 今朝になって、顔面の動きは治まっていた。家族の話では、顔面がピクピクと動いている時でも食事はとれるという。両側の頬部と下顎の動きだった。神経内科医と相談したが、けいれんではなく、不随意運動で振戦かミオクローヌスだろうという。実際に動いているところを見ていないので、推定になってしまう。治療薬としてはランドセンだが、定期的に内服するのもどうかということで、症状が出た時に頓用となった。

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貧血と肺癌

2014年01月29日 | Weblog

 消化器科の若い先生から相談を受けた。内科医院(その先生の父が院長)から60歳男性が貧血・消化管出血疑いで紹介された。健診で便潜血陽性(2日間とも)を指摘されて、小球性貧血だった。上部・下部消化管内視鏡検査を施行したが、出血源はなかった。腫瘍マーカーとしてCEAとCA19-9をみたが、いずれも正常域だった。小腸出血が疑われたが、当院ではカプセル内視鏡もダブルバルーン内視鏡検査もできないので、これ以上の検索は無理だった。

 貧血とは別に、胸腹部CTで右肺に八つ頭状の腫瘤があり、縦隔リンパ節腫脹を指摘された。肺癌では小球性貧血は説明しにくい。肺癌に関しては、がんセンターの呼吸器外科(あるいは呼吸器科)に紹介するとして、小腸の検査をどうするか。とりあえず、一番近い基幹病院の消化器科でカプセル内視鏡を行っているので(症例は少ない)、頼めるかどうか聞いてみることになった。肺癌についても、早急に紹介しなければならない。無理矢理一元的に説明するとすれば、肺癌の小腸転移だ。転移巣が小腸にあって、通常は粘膜下腫瘍になるが、表面にびらんを形成して、そこから出血が続いているというものだが、かなり苦しい。消化管出血と肺癌は別物と考える方がいいようだ。肺癌の症状はなく、たまたま見つかったのはラッキーだが、縦隔リンパ節転移があると手術適応はどうなるのだろうか。

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意味のないサムスカ

2014年01月28日 | Weblog

 昨夕、サムスカの簡単な説明会があった。急性心不全の適応に、肝硬変の適応が追加されたので、消化器系の医師向けにということだった。肝硬変は7.5mgでラシックス・ソルダクトン静注にあまり反応しない腹水に使うことになる。心不全とは違って、利尿が付きすぎると肝性脳症が悪化するので要注意だ。ところで、サムスカというのはどういう意味ですかと大塚製薬のMRさんに聞くと、それ自体に特に意味はないという。大塚製薬には胃薬でムコスタがあるので、そんな感じで4文字でつけただけらしい。

 誤嚥性肺炎をきたして、もともとの心不全も悪化した女性は何とか持ちこたえているが、発語がなくなり、レベルがダウンした。脳梗塞を繰り返しているので、再発と思って頭部CT検査をした。状態が悪いのでMRIは撮れない。数日経過しているので、発症していればCTでもわかるはずだった。明らかな脳梗塞再発は指摘できなかった。脳全体のレベルが低下したということなのか。経過をみて再検すると、はっきりしてくる可能性もある。

 食道癌が胃に浸潤した70歳男性は、今日から全粥きざみ食にアップした。今のところ通っているようだが、数日みないと何ともいえない。いったん施設へ戻す予定だが、これまで入っていた施設は退所扱いになり、新たに探さなければならない。

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グランやめると好中球減少

2014年01月27日 | Weblog

 先週入院した84歳男性はグラン投与(3日使用)で白血球数が6000にまで上昇したが、やめるとまた1600となった。好中球の比率が低く、実数で375しかない。発熱は受診時からなく、COPDなので肺炎としての陰影はないものの気道感染はあるのかもしれない。CRPも一番高くて2くらいしかない。血液培養2セットは陰性だった。今日心エコー検査で大動脈弁に疣贅が疑われたが、検査した循環器科医が言うには何とも言えないという。今から抗菌薬と中止して、再度血液培養を取り直すべきなのか。

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岸田先生の講演

2014年01月25日 | Weblog

 若手医師向けのセミナーがあって、その中で手稲渓仁会病院の岸田直樹先生の講演があるので、行ってきた。医学部の学生や研修医中心なので、そこに混じるのは気が引けるが、岸田先生の講演を聞く機会は今後ないかもしれないと思って行った。間違いなく参加者中最年長だ。

 岸田先生は話はおもしろく、「誰も教えてくれなかった風邪の診かた」の気道症状篇だった。意外に高い声でけっこう早口だった。俗っぽい話も織り交ぜて、笑わせながらの楽しい話だった。この本は後半の気道症状のない疾患のところが、不明熱の診断にもなっていてさらに面白い。本にサインをもらって帰ってきた。

 症例は、亜急性甲状腺炎、急性前立腺炎、慢性活動性EBウイルス感染症だった。最後のは扁桃原発の悪性リンパ腫かと思ったが、違った。なんでも珍しい症例を出したいということで、他大学の症例を持ってきたそうだ。実際は、臨床的に病巣が明らかで、病理医が生検標本を正しく診断できるかどうかの問題になる。

 昨日、ビブリア古書堂の事件手帖5が出たので早速買ってきた。若い人向けのラノベだが、古書の話がおもしろいので、年配の読書好きもけっこう購入しているのでないかと思う。株の雑誌で、あの株主優待の桐谷さんの特集があったのでいっしょに買ってきた。

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脳腫瘍

2014年01月24日 | Weblog

 昨日の午後に内科新患を診ていた医師(大学病院から応援)から、脳腫瘍の患者さんがいると連絡が来た。右眼の奥の痛みがあり、当院眼科外来を受診した。眼科的には異常がなく、内科外来に回されてきたものだった。頭部CTでトルコ鞍から右傍トルコ鞍部にかけて4X2cmの腫瘤があった。一部に嚢胞状構造もある。

 この方は肥満があり、糖尿病で内科医院に通院していた。パッと見にはクッシング?という印象を受けたが、単なる肥満なのかもしれない。唯一の脳外科医が当直明けで午後不在だったため、神経内科医に診てもらった。脳血管障害ではないので、逆に緊急性はないのかもしれないが、早急に脳外科の扱いとする必要がある。すぐに大学病院やがんセンターの脳外科に紹介するのは難しいということで、まずは一番近い基幹病院の脳外科へ紹介となった。そこで精査して、適切な施設に紹介となるそうだ。

 珍しいので外来にいた循環器科医も見に来た。境界が明瞭で、良性腫瘍のようだ。下垂体腫瘍とも思われたが、よくわからない。お互い脳腫瘍の分類や特徴などすっかり忘れている。今日放射線科の造影所見を画面で見ると、juxtasellar meningioma疑いとなっていた。脳腫瘍と言われて、付き添いの妻が、「だからもっと早くに検査していれば」といいかけた。その時、神経内科医が、「これからのことを考えよう」ときっぱり言ったのはなかなか良かった。

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感染性胃腸炎ーノロウイルス感染

2014年01月23日 | Weblog

 同じ施設の入所者が昨夜から今朝にかけて2名入院していた。昨夜は90歳女性(アルツハイマー型老年認知症)で、今朝は70歳男性(関節リウマチで変形著明)だった。二人とも便のノロウイルス迅速試験が陽性だった。当直医の脳外科医が点滴に指示を出していたので、午前中診に行った時は比較的元気になっていた。今日は水分のみにして、明日からは食事を出せそうだった。

 同じ施設にデイサービスで通院している86歳男性が嘔吐・下痢で発症した。午前中かかりつけの内科クリニックを受診して、当院に入院依頼で紹介されてきた。点滴を1本してきたので割と元気そうだったが、紹介でもあり家族の希望もあり、短期入院とした。同じ施設から何人のノロウイルス患者さんが出るのだろう。

 昨年は病棟の看護師さんが、ノロウイルスと思われる感染性胃腸炎の高齢男性からうつってしまった。肺癌終末期で入院したが、入院後に下痢が始まった。患者さんの妻が数日前から下痢していたことが後から判明した。これは防ぎようがなかった。

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まあ平穏な病棟

2014年01月22日 | Weblog

 昨日入院した好中球減少の84歳男性は発熱もなく、今日は食事してみたいというので出してみた。摂取量は少ないが、食べられた。今日も好中球は200くらいで、グランの投与を開始した。薬剤性と思われるが、内科医院からの処方は咳止めと痰の薬に、クラリスとトレドミンだった。たぶんトレドミンはしだいに食欲が低下してきて、元気もないというので処方されたのではないか。入院後は全部中止した。

 食道癌・誤嚥性肺炎の70歳男性は解熱して、検査値も改善してきた。脳出血後遺症でしゃべっている内容がよくわからないが、元気になってきた。明日、上部消化管内視鏡検査を経鼻で行って、食道から胃にかけての通貨状態を確認することにした。

 若い先生たちにお願いした、100歳の心不全・肺炎と95歳のCOPD急性増悪・肺炎も、昨日よりは良くなっている。全体的に病棟は平穏なようだ。

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好中球減少

2014年01月21日 | Weblog

 84歳男性が数日前からの食欲不振・倦怠感で受診した。喫煙歴があり、胸部X線・CTで気腫性変化を認めたが、明らかな肺炎像はなかった。発熱はない。尿路感染症も胆道感染症もない。白血球数が1300と低下していて、好中球は156しかなかった。Hbは12g/dlで血小板数は15万あった。末梢血で芽球はなかったが、骨髄穿刺を行った。やはり芽球はなく、血球貪食像も目立たなかった。いったい何なのか、さっぱりわからない。食欲はなく、食事はいらないという。といって、嘔吐・下痢・腹痛もない。点滴と、血液培養を提出してファーストシンで経過をみることにした。感染症の影響による所見なのか(この年齢でウイルス?)。

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