なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

器質化肺炎

2023年12月24日 | 器質化肺炎

 12月21日の昼過ぎに、呼吸器外来に来ている先生から連絡が入った。器質化肺炎で診ていた患者さんが、軽快して治療をいったん休止することになった、という報告だった。

 

 9月7日の記事に記載した75歳女性だった。他の病院に高血圧症・気管支喘息(吸入ステロイドとプレドニン2.5mg内服で通院している。高血圧症1か月咳・痰が続くという訴えで7月13日当院の内科外来を受診した。

 症状が続いて、7月19日(水)夜間に再受診した際に当方が当直だった。胸部X線・CTで両側肺にすりガラス陰影と浸潤影が散在していた。入院として、翌日呼吸器外来の先生(大学病院から)に相談して、器質化肺炎として、プレドニン25mg/日(0.5mg/kg)で治療を開始した。

 認知力低下のある方で、退院希望が強く、7月28日に軽快退院して(プレドニン20mg/日)、外来治療とした。呼吸器科外来で診てもらえることになった。

 

 次回の呼吸器科外来受診前の8月14日に発熱で受診した。外来を診ていた先生から、入院治療をお願いします、と連絡がきた。胸部CTで以前の陰影は軽快したところがあり、それとは違う部位に同様の陰影が出現していた。

 細菌性肺炎の併発を考慮して、抗菌薬で治療して軽快したような経過だった。しかし胸部CTで画像を確認すると、入院時の陰影が軽減して、別の部位の同様の陰影が出現した。要するに、全部が器質化肺炎の変化だった。

 プレドニンは増量しないで、経過をみていて自然に?症状・所見が軽減していった。プレドニンを20mg/日~15mg/日~12.5mg/日と漸減して、そこで退院・外来治療に切り替えた。

 なかなか難治かもしれないという予想で、呼吸器科外来で診てもらっていた。陰影は少しずつ軽減して、プレドニンを10mg/日~7.5mg/日~5mg/日~2.5mg/日と漸減していった。

 そしてその日の胸部CTで右中葉に陰影が軽度に残るが、プレドニンを休止して経過をみることになったのだった。軽快した時の証拠に胸部X線ではなく、胸部CTで画像を残しておきます、といっていた。(ちょっと誇らしげな感じだった)

 

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陰影はコロナ様

2023年10月12日 | 器質化肺炎

 10月10日(火)に別の内科の先生に相談された。患者さんは、前日の9日(月、休日)に日直をしていた時に診察した67歳女性だった。10日にも受診して、PCRの結果待ちだという。

 経過は長く、発症9日目になる。10月2日に発熱(37℃台)があった。3日に市販のコロナ迅速キットを行って陰性だった。4日から発熱が38℃台になった。咳、痰、頭痛もあり、嘔気で食欲不振となっていた。

 8日に急患センター(他市)を受診して、コロナの迅速検査を受けたが陰性だった。肺炎疑いとして、抗菌薬(クラビット)が処方された。9日にまた自宅でコロナの検査をして陰性だった。

 9月に当院の発熱外来を受診している。以前にオーグメンチンで薬疹が出たそうだ。処方されたクラビットでも薬疹が出ているらしいということだった。当院からグレースビットを処方した。(同じ系統の抗菌薬だが)

 10日に胸部X線を行い、淡い陰影を認めた。胸部CTで精査した結果がコロナらしいということだった。確かに両側肺に陰影があり、基本的には胸膜直下の陰影ですりガラス様に見える。右肺中葉の陰影ははっきり浸潤影で、全体的にはすりガラス陰影と浸潤影の混合のような陰影だった。

 確かにコロナらしい陰影でもあったが、その後コロナのPCR検査の結果が出て、陰性だった。ここまで検査を繰り返して出ないというのはコロナではないのだろう。

 血液検査の結果は白血球6400・CRP11.7で、血小板が7.7万と低下していた。コロナらしい単球増加はない。クラビットで解熱していないということは、(薬剤熱の可能性もあるが)感染症ではないのかもしれない。

 両側の奇異な陰影で、抗菌薬が効かないとすれば、器質化肺炎だろうか。当院は呼吸器外来(大学病院から応援)が週1回しかない。患者さんは看護師さんということもあり、地域の基幹病院呼吸器内科に紹介することを勧めて、翌日受診となった。

 翌日確認すると、放射線科の読影レポート(大学病院の遠隔診断)は「陰影の分布から器質化肺炎を疑う」となっていた。

 

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器質化肺炎

2023年09月07日 | 器質化肺炎

 7月19日の当直の時に、発熱・咳・痰が続くという75歳女性が受診した。他院に高血圧症・気管支喘息で通院していた。

 前の週の7月13日に咳・痰で当院の内科外来を受診していた。その時は対症療法として処方されて、後は通院している病院を受診するようにと説明されていた。(予約日はまだだったので行っていない)

 胸部X線・CTで両側肺に陰影を認めたが、通常の肺炎としては奇異な印象があった。経過も長く、炎症反応の上昇はわずかだった。

 次の日に呼吸器外来(大学病院から)があったので相談した。器質化肺炎でしょう、といわれた。プレドニン0.5mg/kg/日の25mg/日から開始することになった。

 1週間抗菌薬と併用していいですか、と訊いたが、どちらが効いたかわからないくなるので、プレドニンだけにと言われた。プレドニンだけの投与で症状・所見は軽快した。

 放射線科の読影レポートにも、鑑別として非結核性抗酸菌症(NTM)が上がっていたが、喀痰の抗酸菌塗抹は陰性だった。

 プレドニンを20mg/日に漸減したところで退院希望があり、呼吸器科の外来を予約して退院とした。

 

 呼吸器科外来の予約日より前の8月14日に、発熱で内科外来を受診した。担当していた先生から入院治療を依頼された。胸部CTでは前回の陰影は軽快して、右肺の下肺野背側と左肺舌区に新たな浸潤影があった。

 プレドニンは同じ量で抗菌薬(ABPC/SBT)を使用した。呼吸器科の先生と相談すると、器質化肺炎としての変化のようだが、と言われた。とりあえず、治療を変更しないで経過をみると、解熱して炎症反応も軽快していった。

 プレドニンは15mg/日に漸減して経過をみることになった。その後1日だけ発熱が見られたが、すぐに解熱した。陰性化していた炎症反応はまた少し上昇した。

 胸部X線では判断が難しいので、8月31日に胸部CTを再検した。今度も入院時の浸潤影が軽快して、今度は右上葉と中葉に浸潤影があった。プレドニン15mg/日継続で、炎症反応はまた陰性化した。

 今回の入院も抗菌薬が効いたのではなく、器質化肺炎の自然経過のようだ。プレドニンで治療しているので、修飾された経過になるが。

 プレドニンを増量(0.75~1mg/kg/日)すればいいのかもしれないが、それなりには治まっている。できるだけ少ないプレドニン量で発熱などの症状がなく、炎症反応も治まった状態を維持できればいい?。

 

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